億劫のオーバーロード   作:wash I/O

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混血森妖精(ハーフエルフ)サミュエルソン・エルキュルハウゼン、妖巨人(トロール)ゲン・ガン率いる(サン)クウェール勢が自称神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国を迎え撃つ。そのとき、本物のアインズ・ウール・ゴウンは?


2.合戦原野(バトルフィールド)

 蒼天を背景に滑空する白いものがある。

 

 鷲頭天馬(ヒッポグリフ)

 

 馬に猛禽の頭と翼を与えたその出で立ちは、さぞ恐ろしい魔物か、との印象を与えるが、(いま)一人の人間を背に乗せて中空(ちゅうくう)()くその姿は、腹側の白い毛並みに対し背側は暗い褐色の、いわゆる逆影の保護色(カウンターシェーディング)になっていて、生来狩る側ではなく、むしろ狩られる側の生き物であることを示している。

 実際、アーグランド評議国本土で騎獣として重宝されるそれは、自身と同体格以上の存在の接近に常に怖気(おじけ)性質(たち)が知られているので、これに跨っての剣戟、騎射などは試みられようはずはなかった。

 

 さりとて、軍馬に求められる(わざ)は機動兵力のみではない。

 

 只今こうしてなされているように、直接の会敵を前提としない物見、斥候にこれは打って付けで、父に似て豪放磊落にして豪気果敢ながらも、母に似て存外知的な一面も併せ持つところの混血森妖精(ハーフエルフ)サミュエルソン・エルキュルハウゼンは、旧知の妖巨人(トロール)ゲン・ガンと共に(サン)クウェールの村人に槍衾戦術を教授する傍ら、往路共に空行(くうこう)した部下に命じて村の南、時間距離にして四半日(しはんにち)の範囲を哨戒飛行させた。

 これまでの経緯から、サミュエルソンもゲンも帝国は強きに(へつら)い弱きを(しいた)げる(たぐい)(やから)と考えていて、そんな連中が威力制圧に万全を期すべく電撃戦を仕掛けてくる、などということはあるまいと判断していたが、一方で、これを即席の槍衾で持ちこたえようという基本戦略であるがゆえに、確保しておきたい心理的余裕、というものは確実にあった。

 経験不足の集団が突然の敵の出現に見舞われれば、ただそれだけで恐慌(パニック)に陥り、隊列を乱しさえしなければ持ちこたえられる相手に背を向けて逃げ出す、などということはままあり得る。逆に、十分に心構えをして予想通りの相手を待ち受ける(てい)となれば、生来心弱き者であっても存外戦線の維持は叶うものだ。

 また、目下の村人の槍隊は急上昇する習熟曲線の最中(さなか)にあり、そのどの時点の能力を前提とするかで実際に採り得る戦術は随分と変わってくる。そして、そこで選択された戦術を(みな)に周知徹底し、それに応じて出処進退を知らせる合図も確認する必要はあるから、どの時点で敵の襲来を把握し、どこで訓練に見切りをつけて戦術選択と実戦前提への演習へ進み、どれだけの心理的余裕を確保して敵を待ち受けるか、は、まさに(サン)クウェールの命運を決する生命線でもあった。

 

 槍隊の訓練は順調に進んでいる。特に、食料、武具等の支援物資を満載した荷馬(にば)を伴ってサミュエルソンの部下二十余名が到着して以降は士気が上がった。

 中でもそれに貢献したのは、槍隊全員には行き渡らなかったものの、方陣最前二列分は十分あった槍だ。実はこれは実戦用のそれではなく、ポリス・ウロヴァーナで競技用に用いられる……がゆえに調達が容易であった殺傷力の低いものなのだが、村人からすれば軽くて扱い易く、しかも、それまで訓練の便宜に用いていた鋤や鍬よりも数割間合い(リーチ)が長かったことが、結果的に村人たちに大きな安心感をもたらしたようだった。

 加えて、ゲン麾下の小鬼(ゴブリン)たちから、足りない武具を補うべく彼らが普段の狩猟に用いるところの簡易な投石具(スリング)の製作が提案され、いくつか試作してみたところこれが存外村人との相性がよかった。これも火力で言えば多寡が知れたものにはなるが、牽制に用いるには十分だし、遠間から使えるので心理的負担も槍よりは低い。

 さらにはこれを村の女衆の一部が自分でも扱えることに気づいて、それまで自身を戦力と見做していなかった彼女らが日に日に頼もしくなっていく男衆槍隊に負けじ、と自ら加わるようになって俄に村は活気づいた。

 

 そんなこんなで半月ほど経った時分になって、鷲頭天馬(ヒッポグリフ)を駆る斥候から、敵影発見、の第一報がもたらされた。

 寄せ手は事前に予想された通り百人前後の人間、亜人の混成軽装歩兵。装備は不揃いで、決して無秩序でこそないが隊列も整わず、以前から知られていた愚連隊から変化はないようだ。斥候はゲンから五十年前の森の玄関口(アントレ・デラフォレ)の出来事も聞かされていたので、彼らが(ひつぎ)やそれに類するものを運んでいないか慎重に観察したが、今のところそういうものは見られなかった。

 存外ゆっくりな進軍速度から導かれた会敵予想時間は五日後。サミュエルソンは村自体、特に耕作地を荒らされることを憚って敢えて迎撃のための出陣を発議し、誰からも異論が示されなかったためこれが既定方針となった。

 一日南進し、村の畑の南端(なんたん)を背にした原野に陣取ること。そこで一日(いちにち)、英気を養いつつ段取りの最終確認をおこなうこと。目論み通り事が運べば三日目の午後に北進してきた敵を、自分たちは一日半休んだ上で迎え撃つことが出来るだろう。

 

 

                    *

 

 

「なるほど、そこで一旦立ち止まるということは、突進だけが能の猪武者ではない、か。

 ありがたいことだ、これでほぼ勝利は間違いないぞ。」

 

 視野確保のため自身は馬上(ばじょう)にあって、三隊の方陣各百余名を後方から見ていたサミュエルソンは、さらにその向こうで一旦進軍を止めた帝国の軍勢を一瞥していた。

 畢竟、(いくさ)はただの殺し合いでは決してない。敵味方、いずれにせよ、兵はそれぞれ勇敢ではあっても命を惜しむ者だ。どれだけ崇高な使命を掲げて戦っていようとも、最期の最後には、ほとんどの者は良かれ悪かれ易きに流される。

 

「合図を!」

 

 サミュエルソンが傍らの部下に命じると、それぞれに独特の拍子(リズム)を刻む太鼓(ドラム)が打ち鳴らされる。その音量は、戦場の隅々まで行き渡るに十分だ。そしてそれが鳴り響く都度、三隊すべてが、あるいは一隊のみが、あるときは槍を上段に構えたり、一斉に三歩前進したり、あるいは(みな)(とき)の声を上げたりする。

 

 馬上(ばじょう)のサミュエルソンは、見るからに目前の帝国の軍が困惑しているのを看破した。

 そりゃそうだろう、これまでただ威を誇りさえすれば収奪に応じていた村を相手にしてきた連中からすれば、よもやこんな歓迎を受けようとは思いもしなかったはずだ、と。

 

 村人に対する訓練の時間の大半は、こうした特定の合図に呼応して、(みな)が一斉に、かつ、並び立つ戦友に怪我をさせないよう注意を払いながら、素早く何らかの行動を起こすことに費やされた。

 当初村の男たちは、敵を倒す方法を教えてくれるんじゃないのか!こんなことをして何の意味がある?と不満を(あら)わにしたものだが、サミュエルソンはある程度(みな)がこれに習熟するまでそういった抗議を黙殺した。そしてある時点に至って、

 

「おまえらに、おまえらがどのくらい強くなったかを教えてやろう。」

 

と、村人を二隊に分けて相対(あいたい)させ、その片方にのみ上段構えの合図を送った。

 合図を受けなかった側は、目前の隊が一斉に槍を振り上げる(さま)を見て、それが同じ村の仲間だとわかった上で、それでもその迫力に腰を抜かした。立場を入れ替えて同じことをすれば、今度はやはり構えられた側が、さきほどの様子を自身攻め手で体験していたにもかかわらず、やはり腰を抜かした。

 

 帝国の軍勢を困惑させているのはその迫力だった。

 もちろん、サミュエルソンは、それが本質的には虚仮威(こけおど)しに過ぎないことを承知している。

 

「おまえたちは強くなった。が、これが付け焼き刃でしかないのも事実だ。

 そのためにこそ、トブの森の猛者たちが加勢してくれている。極(まれ)に、おまえらの虚勢を見抜いて切り崩しにかかる勇敢な敵はあるし、それ以上に、槍衾のヤバさを(かい)さずに飛び込んでくる馬鹿はいる。」

 

 そう言ってサミュエルソンは村人たちの笑いを誘った。

 そして力強くこう断言した。

 

「そういう連中は森の猛者に任せることだ。あいつらは差しでの戦いには滅法強い。おまえらは、あいつらの力を信じて、決して逃げ出さず、その背後を守りあいつらの戦いを支えているのは自分たちなんだ、と誇って槍を構え続けることだ!」

 

 そして今まさに、村人たちが真価を問われるときがきた。

 寄せ手の最前列にあった数人の見るからに屈強な亜人が、様子見に集団を離れて前進してきたからだ。

 

 すかさず合図の太鼓(ドラム)が打たれ、中央の槍隊が整然と槍を構えたまま三歩引き下がり、左右に割れて花道を作る。その中を、悠然と得物を肩に掲げて姿を現したのは……

 

 妖巨人(トロール)老兵(ヴェテラン)ゲン・ガン!

 

 これをあからさまな挑発と受け取ったものか、寄せ手の中でも血気盛んな獣身四足獣(ゾーオスティア)がこれを討ち取れば勝負は決まる、とばかりに陣前(じんぜん)に立ったゲンに飛び掛かった。背丈ではゲンが勝るが、体格では下半身に虎の四足を有する獣身四足獣(ゾーオスティア)が優勢。

 跳躍と共に前方に突き出された鋭い爪を伴う腕がゲンに迫るも、ゲンはまったく臆することなく片足を半歩下げてかわし、下げた足を軸に全身を一回転させて得物を横薙ぎに振るった。岩をも砕く重鎚(ヘヴィーメイス)獣身四足獣(ゾーオスティア)のこめかみを襲い、頭蓋が割れ砕ける嫌な音が鳴る。

 

 どさり、と獣身四足獣(ゾーオスティア)のもはやぴくりとも動かぬ身体(からだ)が地面に落ち、ゲンは残心(ざんしん)に一息吐いた(のち)、片手を自身の顔の前で立てて一礼。たった今、自身が屠った相手の冥福を祈る(てい)を採った。

 その機微を(かい)さぬものか、あるいは単に隙ありと見たか、続けて左右から山羊人(バフォルク)の戦士が曲刀(シャムシール)を振り上げて飛び込んで来るが、いつの間にか巨人の左右、銘々が飛び込む真正面に弓銃(ボウガン)を構えた小鬼(ゴブリン)が立ちはだかっていることを認めて息を呑むも、既に踏み切ってしまっていてなす(すべ)がない。

 マイシューマツ、フーライトルがほぼ同時に放った矢は、これまたほぼ同時にそれぞれの山羊人(バフォルク)の眉間を(あやま)たずに貫いた。飛び込んできたその身体(からだ)が、やはり、どさり、どさり、と二人の前に虚しく落ちる。

 

「……スマンナ、助カッタ。」

 

「お安い御用でさーな!」

「無法者相手に、義人を気取るのもほどほどにしてくださいよ!」

 

 そう軽口で応じつつも二人の小鬼(ゴブリン)は既に次弾(じだん)を装填しており、マイシューマツは故意に大きく弓銃(ボウガン)を振り向けて、最初に襲い掛かってきた三人の後ろで進むに進めず退()くに退()けずを醸していた豚鬼(オーク)(やじり)を向け、

 

「バンッ!」

 

 片足を前に大きく踏み出しながら大声でそう叫ぶと、豚鬼(オーク)は、ひぃ!と声を挙げて後ろ向きにひっくり返った。

 

(とき)(こえ)ヲ!」

 

 ゲンが後ろの槍隊に半身を向け、重鎚(ヘヴィーメイス)を軽々と片手で振り上げれば、

 

「「おぉッ!」」

 

と一糸乱れぬ歓呼があって、寄せ手の飛び出してきていた最前列は、ひっくり返った豚鬼(オーク)を残したままにじりじりと下がった。放置された豚鬼(オーク)も、総崩れを誘いかねないので駆け出しこそしないものの、四つん這いでそろそろと自陣営へ戻る。

 同じような光景が、それぞれ前衛に大鬼(オーガ)を押し立てた左右の槍隊の前でも繰り広げられ、なおまして(サン)クウェール()は気勢を上げた。

 

 この様子を満足()に、でありながら怜悧な目で観察していたサミュエルソンが呟く。

 

「仕上げだな。」

 

 やおら、馬の鞍に吊り下げていた森妖精(エルフ)らしからぬ長剣(ロングソード)を抜いて軽々と片腕で振り上げ、ゆっくりと前方へ向ける。これを合図に、太鼓(ドラム)がこれまでのそれの倍以上の調子(テンポ)で連打され、先頭にゲン、大鬼(オーガ)を押し立てた槍隊がゆっくりと、一歩一歩を踏みしめるように、ざっ、ざっ、と威圧するような足音を立てながら前進を開始した。太鼓(ドラム)それ自体もまた、敵に対する心的(しんてき)圧迫を期してのものだ。

 

 寄せ手に退(しりぞ)く猶予を与えつつの駄目押し、である。

 

 実際、寄せ手は誰の目に見ても狼狽した様子で、何なら後方からは背を見せて逃げ出す者の姿も見えるが、それでも意外なことに、中軸の七割方は崩れず持ちこたえようとしている。

 

 ここに至って(サン)クウェール軍を指揮するサミュエルソンに迷いが生じた。

 

 妙だ。

 この連中は、自ら汗して糧や財を生むことを厭い、なまじ(サン)クウェールの村人が無抵抗に無茶な貢納要求に応じるがゆえに図に乗った(やから)であって、そんな(もの)たちがこの想定外かつ不利な状況下で命を賭して踏み(とど)まろうとするのは理に叶わない。

 ゲンから聞かされた、五十年前の戦いで連中が持ち出したという不死者(アンデッド)のような何か切り札が控えているのだろうか。否、そんなものがあればその(ふだ)は既に切られていて然りだ。そんな気配は微塵も感じられない。

 にもかかわらず、はっきりとした指揮命令系統が感じられないのに、ここから退(しりぞ)けば(とど)まるよりもなお凄惨な運命が待ち受けているかのような必至の形相で構えているのは、こちらの相手の背景理解の前提が誤っていたからだ。死兵と化した寄せ手と乱戦になれば、こちらも相応の被害を覚悟せねばならないが、さりとて、今更こちらの戦術を転換する猶予もない。

 

 ひとまずサミュエルソンは、進軍の太鼓(ドラム)の打ち手に合図して、行軍速度を落とさせた。加えて、槍衾の背後からの投石を采配する。既に自分たちの勝利を能天気に確信している村人たちは、嬉々として指示に従い、槍隊の頭上を越えて石礫(いしつぶて)が寄せ手を襲うも、やはり寄せ手は、さらに困惑の()を増しはしたが、それが致命傷に至らぬことを承知しているがゆえか崩れはしなかった。

 

 マズいな……どうする?

 

 そのとき!

 人一倍敏感な彼の森妖精(エルフ)譲りの長耳(ちょうじ)が予期していなかった音を捉えた。

 

 それは寄せ手、向かって右後方の少しだけ隆起して視線を遮っている丘の向こうから近づいて来ているように聴こえる。カン、カン、と打ち鳴らされる金属音で、サミュエルソンの知識としては、獣を追う巻狩りに用いる鳴り物の(たぐい)

 

 続いて無数の風切音。

 矢の斉射?しまった、敵に別働隊の備えがあったか!

 

 慌ててサミュエルソンは、やはり太鼓(ドラム)の合図で全軍の一旦静止と防御の構えを命じた。

 (サン)クウェールの村人たちは、圧倒優勢と見ていた状況での意外な命令に一瞬どよめきの声を上げたが、元よりサミュエルソンから総指揮へ疑問を持たず速やかに従うことを命じられていたし、それが素直に遂行される程度の信を彼が得ていたこともあって混乱は生じなかった。

 

「な!」

 

 思わずサミュエルソンは、周囲の味方に動揺を与えぬよう(こら)えていた驚きの声を漏らしてしまった。が、それは彼のみならず、味方の(みな)が同様だった。

 

 右手奥の丘の向こうから飛んできた矢は、(サン)クウェール軍ではなく、寄せ手の帝国勢に降り注いだからである。曲射のそれは決して命中率は高くなかったが、それでも運悪く脳天や肩口を射抜かれた数人の人間、亜人がバタリと倒れ、こちらが真に決定的な駄目押しになった。

 それまで、隊列を組んでこそはいないがそれでも一陣として行動していた彼等は、後ろから順にてんでバラバラの方向に背を見せて潰走し始めた。戦争の定石であればすかさず追撃を命じるところではあるが、そんな力量は(サン)クウェール軍にはないし、目下の状況に不明瞭な点がある以上、そういった投機的な攻勢は妥当ではない。

 そう判じたサミュエルソンは、高々と長剣(ロングソード)を天へ向けて掲げて見せた。同時に太鼓(ドラム)が全員、指揮官に注目、の合図を発する。

 

「諸君……。

 勝利の勝鬨(かちどき)を!」

 

 ……。

 

「「「ォ……オゥ!オゥ!オゥッ!」」」

 

 一拍遅れて、周囲に響き渡る歓呼の声が上がる。

 サミュエルソンは、得物を振り上げたまま、空いた片手でやはりそれまで我慢していた(ひたい)の汗を拭った。

 

 

 

「「白亜城(シャトー・クレユ)?」」

 

 突然現れた援軍と合流し、どこから来たのか、と問うて返された言葉に対し、必ずしも大陸西部の生き残り村に精通していないサミュエルソン、ゲンは、たちまちにはその意味するところを(かい)せなかった。

 てっきり、そういう名前の城が何処かにあるのだろうか、と思ってよくよく聞けば、それは戦場となった地点から西へ二日ほど、かつてボウロロープ侯爵領、あるいは侯国と呼ばれた地域の西半分を占める石灰岩台地に近年になって成立した村落で、白亜城(シャトー・クレユ)の名は、彼らが暮らすところの平野の耕作地を望む石灰岩に囲まれた白亜の台地が、遠目には城郭を思わせることに(ちな)んだものだと言う。

 

「ワシらは本来は猟師(ハンター)でして。」

 

 二十人と少しの射手を含む総勢五十人の部隊を率いていた初老の男はそう切り出した。

 曰く、彼等も分家元となった生き残り村の習慣を引き継いで長く南方の勢力にみかじめ料を収める暮らしをしてきた者たちだったが、(サン)クウェール同様にその急な値上げを求められて一旦はこれに応じはしたものの、次のみかじめ料を収めれば自分たち自身が行き詰まると気づいて途方に暮れていたものらしい。

 

「半月ほど前に、イプシロンの(あね)さんが村を訪ねてきましてな。」

 

 指差す先に目を向ければ、言われてみれば確かに猟師(ハンター)(ぜん)とした弓隊の傍らに、場違いな金髪縦巻き髪(ロール)の豊満な美女の姿がある。

 

「聞けば、あんたらが南方の軍勢と一戦交えるつもりだから、これに加勢すれば法外なみかじめ料と縁切りが叶うとか。みかじめ料に二進(にっち)三進(さっち)もいかなくなってたのは確かじゃし、ワシはともかく、若い(モン)(みな)(あね)さんの色気にのぼせてヤル気満々なんで、(いち)(ばち)か討って出るしかないじゃろう、という話になったわけですわ。」

 

 存外能天気な口調でそう語る男の話に、正直なところゲン・ガンなどは軽い眩暈を覚えていたのであるが、()なのか何か思惑あってのことか、サミュエルソンは諸手を振り上げて、

 

此度(こたび)(いくさ)は、諸君の加勢の資するところ(だい)であった!」

 

と、文字通り手放しで称賛してみせた。対して褒められた男は恐縮する。

 

「いやいや、ワシらは単に運が良かっただけですじゃて、あんたらの勇ましさにゃ頭が下がります。うちの連中ときたら、一番(あね)さんにのぼせてた野郎が怖気(おじけ)たものか道中(とん)ずらする始末で、お恥ずかしい限りですわ。」

 

「しかし……」

 

とサミュエルソン。

 

「そのイプシロン殿(どの)は、どうやって我らの顛末を知ったのだろうか?」

 

 あぁ、流石のサミュエルソン(アニィ)もそこは気になるのか、とゲンはホッと一息つくも、

 

「彼女はボ……私の仲間です。」

 

と、それまで気配も感じさせなかった夜会巻きの美女、アルファが不意に会話に加わって事も無げに言う。

 

「なんと!

 アルファ殿(どの)も存外お人が悪い。事前に備えあるを教えてくださっていたら、最終局面でハラハラせずに済んだのに。」

 

 サミュエルソンは彼女に、半ば冗談交じりにそう告げたが、

 

「今後のことを考えても……少し劇的(ドラマティック)であった方が都合がよろしいでしょう?」

 

と、これまた事も無げに応じられて、サミュエルソンは、

 

「なるほど!さもあろう、さもあろう!」

 

と豪快に笑った。

 アルファは、サミュエルソンの反応には特に関心がない様子で、むしろ、道中行方不明になったという猟師(ハンター)の命運に関わったに違いない金髪縦巻き髪(ロール)をギロリ、と睨むも、睨まれた側はペロリ、と舌を出した(のち)に、ゲフ、と満足げなげっぷを吐いた。

 

「そんなことよりも。」

 

と、アルファ。

 

「負傷者の救護を。」

 

「「?」」

 

 この物言いにサミュエルソンもゲンも意外そうな表情で顔を突き出した。

 (いくさ)は完勝と評すべきもので、(サン)クウェール側に負傷者はいない。

 

「ベータには治癒魔法の心得がありますので、中には救命できる者もありましょう。」

 

 アルファが指差す先には、逃げ散った帝国勢に取り残された人間、亜人が転がっている。アルファが言う通り、ゲンに側頭部(そくとうぶ)を叩き潰された獣身四足獣(ゾーオスティア)、マイシューマツ、フーライトルに眉間を撃ち抜かれた山羊人(バフォルク)のように疑いなく絶命している者もあるが、中にはうめき声を上げている者もある。

 

「ガンマがあちらに野戦病院を用意していますので、怪我人を運ぶのを手伝ってください。」

 

 こちらも指差す先を見れば、不愛想(ぶあいそう)な美人が何やら白地に赤い十字の印の入った天幕(テント)の準備をしている。サミュエルソンもゲンも、その意味するところはよくわからない。

 

「なんと!」

 

 サミュエルソンは目を真ん丸にして驚きを示した。

 こちらの世界の常識としては、一旦矛を交えた敵方の怪我人を救護する、などという話は聞いたことがない。

 

 対してゲンは、近年実例こそ聞かないものの、森の民は大昔からそうであったと伝え聞いているので、自然と体が動き出した。よもや、とは思うが、なおも戦意を失わぬまま倒れている者もないとは言えないから、村人にこれを任せるのは悪手だ。

 

「サミュエルソン、ソレハ我等ニ任セテクレ。」

 

「ではお願いしましたよ。」

 

 アルファはゲンを一瞥するでもなく、そそくさと野戦病院、とされる天幕へ向かって歩み去ってしまった。

 

 そのような次第だったので、ゲンはそれ以上深入りすることが叶わなかったが、勝利に沸き上がる(みな)余所(よそ)に、彼だけは何やら空寒(そらさむ)さを覚えている。

 

 今聞かされた話がすべて事実であるとして、アルファにせよイプシロンにせよ、その真に目的とするところもさることながら、(サン)クウェールが自ら発した来援の求めとは独立して事態を把握し行動開始していないと、今あるこの状況に決して至っていないことは明らかだ。

 さらに、アルファたち三人組は、その一挙手一投足を監視していたわけではないが、少なくともこの半月我々と行動を共にしていたのに、どうやって白亜城(シャトー・クレユ)猟師(ハンター)を使嗾したイプシロンと気脈を通じ、しかも、絶妙の時宜(タイミング)に援護射撃をさせるなどということが叶ったものだろうか。

 

 すべては。

 我々とはまったく次元の異なる、まるで天高く上空からすべてを見通すような視座(パースペクティブ)が存在することを一連の流れは示唆している。

 だが、村人たちは当然のこととして、森の民たちも、サミュエルソンまでもがそこにはまったく思い至っていないようだ。それは、単に彼らの想像力の不足、というよりは、未知の俯瞰者側に自らを隠蔽する意図があるからではないのか。

 

 だが、仮にそうなのだとしたら。

 その未知の存在……アルファが「(あるじ)(めい)に従ったのみ」と言うところの(あるじ)、とやらは何者で、何を目的にこれをやっているんだ?

 

 そこまで考えてゲンは不意に背筋に悪寒を覚える。

 逃げる仲間に踏みつけられて片足を折った人間を肩に担いで野戦病院へ向かう自身を待ち受ける、赤毛三つ編みの美女、ベータの冷ややかな視線が注がれている。

 

「そこに深入りすると……死ぬわよ。」

 

と彼女は言わなかったか?

 

 顔には出すまい、とは思いつつも、ゲンは思わず目尻を引き攣らせたが、たちまちにベータは、それまで得物を狙う鷹のようにゲンを睨んでいた視線を緩ませニコリと笑った。

 

 ……ヤバさ、半端(はんぱ)ないわ。

 

 なのでゲンは、そこで考えるのを()めた。

 考えてもどうしようもないことに対しては、敢えて無知であるに()くはなし!

 

 

                    *

 

 

 妖巨人(トロール)老兵(ヴェテラン)ゲン・ガンが措定したところの超越的な視座(パースペクティブ)から、目下の状況を俯瞰する者がある。

 

「結局……姿を現さなかったな。」

 

 ナザリック地下大墳墓第九階層(ロイヤルスィート)執務室。

 残念そうにそう呟く至高の主、大魔王アインズ・ウール・ゴウンを筆頭に、守護者統括アルベド、参謀デミウルゴス、財務責任者パンドラズ・アクターが(つど)っている。

 

「つまり、敵方には我らのニグレドや恐怖公眷属に相当する者はなく、財の収集を現地人に丸投げしている、ということになりましょうか。」

 

 その含意するところを読み解くは、ギルド拠点維持資金の獲得方法こそがその関心の大半を占めるパンドラズ・アクター。

 

「そこを断定するのは早計ではないかしら?

 我等同様に、逆撃(カウンター)の備えあるを警戒して敢えて探査(スキャン)を控えていることもあるでしょうし、現地人への丸投げは、深い考えなく()()()()()()を堅守したもの、とも考えられるでしょう?」

 

 パンドラズ・アクターの言に冷や水を浴びせるのは愛妃アルベド。

 

「とまれ、我々の計略により、背後にある何者かは現地人に任せたままでは事が為らぬことに気づきますでしょうから、遅かれ早かれ何らかの反応があるものか、と愚考する次第です。」

 

と、いつものように無暗矢鱈と楽しげな狡知の最上位悪魔(アーチデヴィル)デミウルゴス。

 

 言うまでもなく、(サン)クウェールに加勢しその内紛を未然に防いだアルファ、ベータ、ガンマは戦闘メイド(プレアデス)のユリ・アルファ、ルプスレギナ・ベータ、ナーベラル・ガンマであり、白亜城(シャトー・クレユ)からの援軍を誘導したイプシロンはソリュシャン・イプシロンである。

 

 事の発端は、新たな百年紀を迎え厳戒態勢にあったナザリックにおいて、半世紀ほど前に邂逅したアインズ・ウール・ゴウンの模倣(パロディ)ギルド、アイ()ズ・ウー()()・ゴウ()の存在を踏まえ定期的な監視対象となっていた大陸西部の人間、亜人社会の動向に、ささやかな異変が生じたことをデミウルゴスが捉えたことに始まる。

 

 すなわち、彼が捉えた異変とは、(サン)クウェール、白亜城(シャトー・クレユ)の村人たちを困惑させた、みかじめ料の唐突な値上げだ。

 

 フンバルト・アライヤン・ヘーデル、ケロロンチー、タッチューの中学生三人組プレイヤーは、野放図かつ無思慮と見做されつつも、現地人から無分別な収奪を図るような者とも考えられてはいなかった……というか、この餓鬼どもは自身の記憶制約の問題にまったく気づいておらず、ギルド拠点に閉じこもってビデオゲームに興じていることが知られており、その対外的な戦略が変化することはないと考えられていたので、明らかにこれは異変であった。

 しかも、それが起こったのがまさに<百年の揺り返し>の年ともなれば、これが偶然であろうはずはない。確実に、新たな来訪者(ユグドラシルプレイヤー)が関わっている、と考えて然りである。

 

 デミウルゴスからこれを知らされたアインズが最初に打った手は、月並みながら<伝言(メッセージ)>で件の三人組に呼び掛けて事情を訊くことだったのだが、その下僕(しもべ)を含め誰からも応答はなかった。

 同じ世界(ワールド)に存在する相手に対し、第十位階を操り得る者の発する<伝言(メッセージ)>を、一時的にならばともかく、完全に遮断する方法は一般的には存在しない。同様に、どれほど彼我の(レベル)に開きがあろうとも、ユグドラシルプレイヤーを恒久的に拘束する方法もまたないので、フンバルト、ケロロンチー、タッチューの三人は、武運拙く既に敗死したものであろう、と判断された。

 

 ギルドの<日誌(ログブック)>にその存在が刻まれているがゆえに忘れ得ぬ友、ウルベルト・アレイン・オードル、ぺロロンチーノ、たっち・みーの上っ面のみを真似た三人組に、思うところがなかったわけでもないアインズではあったが、さりとて彼もまた、こちらの世界での記憶が続かぬ者、そこに感傷を(いだ)くことなどあろうはずもなく……否、憐れなもんだな、程度にはあったかも知れないが……目下(もっか)のアインズの関心は、南方の亜人勢力を使嗾してのみかじめ料徴収システムを構築した彼らが既にないと考えられるにもかかわらず、そのシステムだけが独り歩きしているのだとすれば、本百年紀の新たな来訪者(ユグドラシルプレイヤー)が彼らを屠ってシステムを乗っ取った以外に可能性はない、という事実に向かっている。

 

「今一度、わかっていることを整理しよう。」

 

と、一人掛け寝座椅子(ソファー)に横柄にふんぞり返ったアインズ。

 

「配下の軍勢が在地勢力に撃退されたにもかかわらず、プレイヤーもNPCも介入してこなかった点については、オレとしてはパンドラの見解に賛成だ。いくら他のプレイヤーの存在可能性を既に知っているとはいえ、ギルドの生命線となる維持資金獲得に万全を期さないとは考えにくいから、その手段を欠いている、と見るのが妥当だろうよ。」

 

 アインズとしては、先にアルベドから示された反論が、万全を期すべくあらゆる可能性を列挙したに過ぎないことを理解しているので強いて配慮(フォロー)など加えないし、アルベドもまた愛する(あるじ)のそういった判断を百も承知なので、特にこれを気にすることはない。

 

「だが、オレたちの読みが外れたのは事実だ。即応できないのは能力限界だ、というのが素直な解釈だが、最期の最後まで介入がない、というのは意外だな。」

 

 南方(なんぽう)勢力から大陸西部に課せられたみかじめ料値上げにデミウルゴスが気づいて以降、主に恐怖公眷属(ゴキブリ)を使っての情報収集が続けられてきたが、三人組を葬ったであろうと思われる今回の来訪者(ユグドラシルプレイヤー)の存在はまったく捉えられていない。

 

 これまで数多(あまた)来訪者(ユグドラシルプレイヤー)を撃退してきたナザリック地下大墳墓であるが、こちらから邂逅(コンタクト)を求めた場合を除き、相手方にこちらの存在が前以て知られていた事例(ケース)は極稀だ。

 デミウルゴスの日記に記録を求めれば、アインズを逆恨みした現地人(ラナー)に使嗾されたところの、ナザリックが初めて直接に邂逅した来訪者(ユグドラシルプレイヤー)エリュシオンと、二百八十年前、アインズがもたらした<(めぇ)()く七日間>を目撃したがためにその存在を知った水晶の夜(クリスタルナイツ)。そして、後者に対しての足掛け五年間の戦いは、ナザリックの時間尺度からすれば瞬く間の出来事でありながら、良悪様々な戦訓を彼らに残した。

 

 その最たるものは、敵に存在を悟られることなく最初の一手で一気殲滅する戦略は、当初考えられていた以上に重要だ、というものだ。

 特に、ナザリックの防衛線が、物的なもの、心的(しんてき)なものを含め自覚がないままに恐ろしく肥大化してしまっていることを、水晶の夜(クリスタルナイツ)との戦いは否応なく突き付けた。極言すれば、ナザリックはナザリック地下大墳墓のみ守り抜ければそれで必要十分だ、というのは揺るがざる真理である一方で、至高の主がその程度では決して満足しないことを、既に大半の下僕(しもべ)は承知している。

 敵対可能性のある来訪者(ユグドラシルプレイヤー)にナザリックがこの世界にあることを知られることは、ナザリック地下大墳墓に対する直接の攻撃、以上の危険(リスク)を孕むことになる。水晶の夜(クリスタルナイツ)のNPCが現地人を人質にとり結果的にアインズが単騎決戦を受けて立つに至ったことは、まさにそれを象徴していた。

 

 これを踏まえて、現地人を使嗾して南方の軍勢を迎え撃たせる素案を提示したのはアルベドである。

 

「そこはまったく仰せの通りで、(わたくし)といたしましても忸怩たるところで御座います。」

 

 デミウルゴスの事前の調査で、トブの大森林、アーグランド評議国の有志が介入に動き出すことは予想されていたため、ナザリックは、ただただ彼らが負けないようにすることだけを目的に、能力隠蔽の指輪を装備させた戦闘メイド(プレアデス)四名を送り込んだ。

 生き残り村側が勝利しないまでも、戦線が膠着すれば否応なく背後に隠れている来訪者(ユグドラシルプレイヤー)は痺れを切らせて出て来るはずで、これを捕捉し、十二分に調査をおこなった(のち)に必要があれば一気殲滅する、がその大方針であった。

 

 だがしかし。

 

「ユリたちからの報告によれば、尋問した寄せ手負傷者からも有益な情報は得られなかったようで、今回の来訪者(ユグドラシルプレイヤー)は想像以上に慎重な性向の持ち主かと思われます。これを読み切れなかったことは、お詫びの(もう)しようも御座いません。」

 

「いやいや!それは別にアルベドのせいじゃないだろ!」

 

 無暗に恐縮する愛妃にアインズが助け舟(フォロー)を出して、その微笑む猫の瞳に癒される。

 

「そもそも、敵方にとってこの敗北がさしたる問題ではない、という可能性も御座いますな。」

 

と言うのはパンドラズ・アクター。

 

「みかじめ料が四十倍に値上がりしたことは、単純に考えると彼らの求めるところがかの三人組のそれの四十倍であったことを意味し、拠点レベルに直せば千五百ほどになりますが、実はこれがそもそも過大な要求であり……つまり敵方の拠点レベルはもっと低くて、多くの村が一旦は応じた貢納によってたちまちの要は満たされている、と考えると、即応がないことにも納得がいきましょう。」

 

 その理屈はもちろんわかってはいるが、細かい計算は必ずしも得意でない、というか苦手なアインズは……ついつい彼等に倣って失念しそうになるが、かの大魔王の最終学歴は小学校なのである……うーん、だとするとどうなるんだっけ?としばし沈黙するが、先にデミウルゴスが、やはり無暗矢鱈と愉快げに語り始めた。

 

「パンドラズ・アクターの申すことはもっともですが、仮にその者たちの拠点レベルが当初見積もりの半分であったとしても、貢納が絶えれば、遅くとも二年後には最初の値上げで得られた資金は底を突くことになります。」

 

 二年か。

 ナザリックの時間尺度からすればほんの一瞬だが、それでもアインズの主観からすればそれは随分と長い退屈な時間でもある。

 

 そう至高の主が考えたことをたちまちに見抜いたものか、続けてデミウルゴスはこう言う。

 

「もっとも、二年も待つ必要はありますまい。

 要は、このままではギルド維持資金は尽きるのだ、ということを知らしめてやればよいのです。(わたくし)に一案が御座いますればどうかお任せください、アインズ様!」

 

 おまえに任せると……大抵碌でもないことになるんだけど。

 

 一抹の不安が頭を(よぎ)ったアインズではあるが、さりとて代案も浮かばないので骨の手をひょいひょい、と振って、善きに計らえ、と合図すると、なおましてデミウルゴスは歓喜の笑みを浮かべ、口は三日月型に今にも裂けそうだ。

 

 あ……マズったかな。

 

 だがしかし。

 意外にもデミウルゴスの打った手はデミウルゴスにしては至極穏健なもので、でありながら、恐るべき深慮遠謀を秘めてもいたのである。

 

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