「モモンガさん、どう思います?」
忘れもしない盟友、ウルベルト・アレイン・オードルの声がする。
あぁ、自分はまたアルベドに
「どう……と言われても、特に何とも思ってないですけど。」
返答しているのはアインズではなく、鈴木悟の
場所はナザリック地下大墳墓円卓の間。着座するモモンガとウルベルトの
「私も本来こういう物言いは好きではないですが、それにしても、いくらなんでも最近の新参たちは創意工夫がなさ過ぎる。」
憤懣やる
「あまりにマニュアル的、というか、攻略
「駄目ですよー、ウルベルトさーん。」
とペロロンチーノが割り込む。
「そういうの、古参気取りとか、老害、とかいって若い人たちに嫌われますよー。」
笑いながらそういうペロロンチーノにつられてモモンガもまた、あはは、と笑いを溢すが、笑われるウルベルトはなおも不満げだ。
「茶化すな、ペロロンチーノ!
だいたいですよ。マニュアルに従って無難なことだけをやるというのなら、それは<
「ウルベルトさんのおっしゃることはわからなくもないですけど、そのマニュアル的な知識の積み上げにオレたち自身が関わってきたのも事実ですし、新参の人たちがそれに倣うのは仕方がないんじゃないですかね。」
と応じるモモンガの言葉は、少なからず同様に新参プレイヤーの言動に不満を抱きつつも、それを如何に消化しているかについて語った死獣天朱雀からの受け売りだ。
「モモンガさーん、ウルベルトさんの愚痴に真面目に付き合うことないですよー。
ウルベルトさんは、新参がオレたちみたいな突飛な工夫をするようになったらなったで、生意気だ何だと文句を言うに決まってるんですから。」
「おまえはシャルティアと遊んどれ!
私はモモンガさんと真面目な話をしてるんだ!」
当時のモモンガにとって、愛すべき仲間として認識されていたのはあくまでもナザリック地下大墳墓に
そんなモモンガ、鈴木悟であっても、特に知性の面において秀でたギルメンについては「いったいこの人は<
不思議と悟は、ベルリバー、ぷにっと萌え、ガーネット、ブループラネットらについては、その知恵と知識の深さを認めつつも、そういう思いを持たなかった。彼らはいわゆるオタクであり、趣味と生活が地続きにつながっていないことが容易に想像できたからだ。悟は彼らから多くのことを学んだし少なからず影響を受けてもいたが、それでも、それは悟の
逆に悟が、中の人はいったいぜんたい何者なんだ?という思いを常に抱き続けたのが、タブラ・スマラグディナ、死獣天朱雀、そしてウルベルト・アレイン・オードルである。
中でも、ウルベルトは別格だった。
現れ方は両者過分に異なるものの、タブラ・スマラグディナ、死獣天朱雀が明らかに鈴木悟を知性においては格下の存在と見做し、一方は悟を見下し、一方は悟を導かんと振る舞っていることには、流石の悟も早い時点で気づいていた。
対してウルベルトは、今もそうだが、
「私はね、モモンガさん。
人間は、
とウルベルト。
それは知っている。
ウルベルトの奉じる悪の思想だ。
今でこそ誰にも意識されなくなったが、ギルド黎明期においてそれは、確かにギルド、アインズ・ウール・ゴウンの行動原理を規定し正当化する精神的支柱であった。
悟は、当初はこれを、ウルベルト、という悪魔
対して、悟自身にはウルベルトのそれに対応するような、主義、思想、のようなものは、少なくとも自覚的にはまったくない。だから悟は、自分はウルベルトとペロロンチーノのどちら寄りか、と問われれば、疑う余地なく、
「そういう意味で、<
「それはまた極端な。」
「いやいや本当の話です。我々のような底辺はもちろんのこと、アーコロジーの支配者たちにしても、ただただ世襲してきた役割を演じ続けることに汲々とし旧套墨守するのみで、
ウルベルトはしばしばモモンガに対し「我々底辺」のような物言いをしたものだが、実のところ悟はこれを言葉通りに信じていなかった。
たとえば、悟はユグドラシル末期のタブラとウルベルトがそれぞれ<
実はウルベルトの中の人が、底辺どころかアーコロジーの支配者側の存在であったのだとしても、それはさして驚くには値しない。そのくらいの計り知れない存在感が、この極めて臆病でありつつも常に大言壮語を吐き、他者が暗に望むところを看破してお膳立てすることに如才ない悪魔の姿をした友人には、確かにあったのだ。
「せめて……せめてユグドラシルは、皆が恣に振る舞い人間としてある、そういうものであるべきだ、とお考えにはなりませんか、モモンガさん?」
んなことオレに言われてもなぁ……とモモンガは苦笑いの
「人間が、人間としてあれない世界など……いっそのこと滅んだ方がいい。」
「あはは、まさに悪魔的ですね!」
「いや、ウルベルトさんは皆に人間らしくあって欲しい、と願っておられるみたいだから、そういうわけでもないのかな?」
「モモンガさんも、仮にギルメンの皆がマニュアルに書かれたことだけを黙々とこなす存在になったら、と考えるとゾッとするでしょう?」
モモンガは、ウルベルトのこの問いを軽口で受け流した。
「そうなってくれたら、ギルド長としてのオレの苦労は減って、楽ですけどね。
でも……」
即座にこう付け加える。
「……確かに嫌です。
そんなアインズ・ウール・ゴウンは……オレたちのアインズ・ウール・ゴウンじゃない!」
「恣に振る舞う
「それって……やまいこ流?」
何か思い詰めた様子を見せていたウルベルトが、ここに至って初めて笑顔の
きっとウルベルトの中の人は、<
本人が語らぬことを無理強いに聞き出さないのは、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの不文律だ。
「モモンガさんも私と同じように考えてくれるようで……ホッとしましたよ。」
悟としては、適当に相槌を打った感があるので、ウルベルトが何に納得してくれたのかがよくわからなかった。
対して、夢の中でこれを振り返る只今の大魔王アインズ・ウール・ゴウンは、何やら得体の知れないもやもやとした思いが自身の内から湧き上がってくるのを覚えている。
どうしてオレは、こんな話を記憶の底から
「……ん?」
不意に、暗闇でも損なわれることなく瞼で封じることすら叶わない視覚が復旧して、アインズはそこに、自身の寝顔を満足げな微笑みを浮かべて眺めている愛妃アルベドを認めた。
今は名すら思い出せないかつての鈴木悟の母も、幼い日の悟の寝顔をこんな笑顔を浮かべて眺めていたものだろうか。
「……ありがとう、アルベド。
お陰でよい夢を見れたよ。」
「それはよろしゅう御座いました。」
「懐かしいウルベルトさんと話ができた。」
アインズがそう言うと、アルベドはきょとんとした表情を浮かべた。
あぁ、とアインズは思う。
自分はこれまで幾度となくアルベドにこうして癒やされてかつての黄金時代を夢に見てきたことだろうが、自身の性格から考えればその内容をアルベドに語ったことはないだろうし、彼女も強いてそれを聞き出そうとはしなかったに違いない。
「……どのようなお話をなされたのですか?」
そう問われて、不意に思い出した記憶を語りたい衝動に駆られたアインズは躊躇いを覚えた。
自分が癒やされたら、次はアルベドの番だ。
「いや、またでいいよ、アルベド。」
「どうぞご遠慮なさらずに。
思う存分語られた後、出血大
ふふふ、アルベドには敵わないなぁ、とアインズは苦笑する。
「……じゃぁ、お言葉に甘えさせてもらおうか。」
アインズがそう応じると、アルベドはそそくさとアインズに安楽椅子の姿勢を採らせ、自身はその中にころんと転がり込んでアインズの骨の両手を引き寄せ、自身の豊満な胸の上に置いた。
「ウルベルト様と……どのようなお話をなされたのですか?」
アインズは、さきほど夢の中で語らったウルベルトとの会話をアルベドに話して聞かせた。
アルベドはただ黙って耳を傾けつつ、時折立てた指先を自身の唇に当てて何やら思案する様子を見せる。
「なかなかに……示唆的な記憶、で御座いますわね。」
とアルベド。
アインズ自身、そこは気になっていたところではある。
「ウルベルト・アレイン・オードル様の人となりについては、必ずしも通じておりませんが。」
そう断った上でアルベドは続けた。
「我が創造主、タブラ・スマラグディナ様が
おそらくそれはタブラ・スマラグディナの
「タブラさんは、ウルベルトさんのことを……何と?」
「タブラ・スマラグディナ様はかよう仰せになりました。
ウルベルト・アレイン・オードルは、
パカリ、とアインズの骨の口が
「……はぁ?
それって三国志の……」
アインズには、自身アインズ・ウール・ゴウンの軍師、
「左様で御座います。古代中国、
アインズの理解としては、タブラとウルベルトは決して不仲でこそなかったが、同時に馬の合う間柄でも決してなかった。むしろ、ウルベルトはタブラの蘊蓄話を忌み嫌っていたし、タブラもきっと、ウルベルトがそうであることに気づいていなかったわけはない。
そのタブラが、ウルベルトをこのように評していたとは!
少なくともこれは、手放しの賛辞ではなかろうが、決して軽んじた相手に捧げられる評でもあるまい。
「その含意を推し量りますのは憚り多きことながら。」
とアルベドは語る。
「タブラ・スマラグディナ様がウルベルト・アレイン・オードル様の才を高く買っておいでであったことは疑いようも御座いません。
一方で、この故事の含意するところを鑑みれば、評される
なんと!
アインズは
おそらく、アルベドの解釈はタブラの真意を射たものであるに違いない。
そしてアインズは、続くアルベドの言により一層驚かされることになる。
「さきほど承ったアインズ様……この場合、モモンガ様、と申し上げたほうが正しいかとは存じますが、モモンガ様とウルベルト様の会話を思いますに、これまた推し量りますのは憚り多きことながら、ウルベルト様ご自身も己に何か足らぬところがあることをご承知で、その足らぬところを
「……ど、どゆこと、それ?」
あまりに想像の埒外のアルベドの発言に、アインズはいささかキョドり気味だ。
それを気にする様子はアルベドにはない。
「つまりこうで御座います。
ウルベルト様は、誰も彼もが恣に振る舞う世界を理想となさいました。これはまさに、タブラ・スマラグディナ様が覚えた王者の才の一つで御座いましょうが、でありながら、恐れ多きことながら、ウルベルト様はそれをご自身で実現する才には恵まれなかったのであり、また、そのことをご自身でご承知であられたので御座いましょう。」
「ふむふむ。」
確かに。
ウルベルトには、やたらと大言壮語を雄弁に弄ぶわりには、それで以て他者を動かすのはまったくの不得手で、どちらかと言えば正論を言っているのに相手からは反感を買うことが常であった。
アインズ、当時のモモンガはウルベルトが極端な物言いでこそあれ真っ当なことを言っていることだけは理解できたので、どうしてウルベルトの言は自然に受け入れられることがないのだろう、と不思議に感じたものだが、今振り返れば、確かにウルベルトには、それが何である、と明言することこそ難しいものの、確かに、何か他者との意思疎通に際して決定的に欠けているものがあって、ほんの僅かな言葉足らずや逆に余計な一言が、真意が伝わることを妨げるきらいがあった。
そして、本質的に他者と本音をぶつけ合う胆力を欠いたウルベルトは、そうなることがわかっていたからこそ、より自身の真意を迂遠に示すように、さらにはモモンガを含む誰かを自身の代弁者に仕立てて語らせるようになり、それはさらに、他者がウルベルトの真意を理解することを困難にしていったのだ。
「対してモモンガ様……アインズ様は、今なおそうであらせられるように、ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの皆様が恣に振る舞う
ウルベルト様は、そんなモモンガ様にだけはご自身の真意を語り、モモンガ様に理解されることを以てご自身の心の
アインズは、自身の力がアルベドの柔肌を傷つけぬよう気遣いながら、それでも力強く彼女を背後から抱きしめた。
「やはり、アルベドはオレの宝だ!
オレ自身では、そんなことには思いも及ばなかった。」
「ご謙遜で御座いましょう。
むしろ、自分が誰かからこのように当てにされている、愛されているなどということを
同様に、アインズ様は
ふふふ、やっぱりアルベドには敵わないや。
だが、負けっ放しは大魔王アインズ・ウール・ゴウンの矜持に触る。
「待たせたな、アルベド。今度はオレが奉仕させてもらう番だ。」
「お心遣い、痛み入ります。」
「心遣いなもんか!
今のオレは、おまえの敏感な部分を責め立てて、あられもない悲鳴を上げさせたくてうずうずしているぞ!」
「優しくしてね、アインズ。」
「残念ながらそれは約束できないな。
オレは……」
突如アインズは腰を突き上げ、既に愛液で濡れそぼったアルベドの秘所に
「……我儘なんだ!」
「あぁ……!
素敵よアインズ、愛しているわ!」
「オレもだアルベド、もっとその可愛い声を聞かせてくれ!」
それから数時間、アインズの寝室にはアルベドの陶酔とも嗚咽とも悲鳴ともつかぬ声が響き続けた。
*
ユグドラシルのキャラクターは、自身に従属する最大一千六百万余の何かと連動する
これは、ゲーム上でそういった従属物がキャラクターの固有
有限の
対して、こちらの世界に渡り来て以降のナザリック地下大墳墓には、唯一、この上限と直面した
ナザリック随一の情報将校、恐怖公である。
彼の配下、正しくは子孫の数は既に一千六百万を軽く超え、この世界のありとあらゆる場所に潜んでいるが、恐怖公と視聴覚を共有し正しく管理下におくことができる眷属の総数は、やはりこの理論値の制約を受けている。新たにこの世に
多くの場合、始祖の恩恵に漏れたゴキブリたちは、そうでないゴキブリたちの共食いの贄として饗されることになるのであるが、運良くそこから逃れた
さしもの恐怖公も、常に定員いっぱいの一千六百万余の眷属からの情報をすべて捌き切ることは敵わないので、実際のそれは分散管理されている。それぞれの現場において何かを見、何かを聞いた報告は、
つまり、集合知であるところの恐怖公眷属情報網総体の関心を強く惹いた情報だけが、印象的な
そのような次第であるから、至高の主アインズ・ウール・ゴウンや階層守護者の面々が少なからず関心を向けた事象であることは百も承知の上で、それでも恐怖公は、大陸南西の僻地の小国、アレイン皇国神都で催された
それでもナザリックの
それは、恐怖公にとっては本当に退屈極まりなく、また、その意図が理解不能な光景であった。
アレイン皇国神都は、直径およそ5キロの真円に近い城壁に囲まれた城塞都市だが、城壁の内部、かつて所狭しと立ち並んでいたであろう建築物は一部を除き
そこに、
この
「まったく……わけがわかりませんな。」
と恐怖公は独り呟いた。
さりとて、この光景にまったく見覚えがないわけではない。というのも、
今もまさに恐怖公の目前には、至高の主より下賜された狩りの獲物を貪りつつ、交尾してはその総数を増やそうとする眷属たちが踊り狂っている。アレイン皇国の
ただ、異なるのは。
独り恐怖公は呻吟する。
群衆のそれはわからなくもない。彼らはただ弱く、愚かで、この狂宴の先に何が待ち受けるかに思い至らぬ阿呆どもだ。その阿呆どもに
だが、これをやらせている黒幕、アレイン皇国の君主、とされる人の子アレイン、とやらには、これだけの浪費をおこなう何らかの明確な目的があるに違いない。だが、恐怖公にはたちまちにはそれが思い浮かばなかった。
あるいは。
そのアレイン、とやらも、単に底抜けの阿呆なのだろうか?
恐怖公は、眷属情報網と接続しているエントマ・ヴァシリッサ・ゼータを介して、状況の簡潔な要約を情報戦の上司となるデミウルゴスに報告した後、意識を他の領域の監視へと移した。
シャルティアあたりであればあの露悪的な集会を喜ぶやも知れないが、至高の主を含め、ナザリックの仲間たちがこれに関心を抱くとは俄には思えない。そんなことよりも、未だ兆候を掴めぬ本百年紀の
そのような次第で。
恐怖公の意識は全世界大に広く薄く拡がっていたため、
「なんと!」
「そんな!」
「どうして?」
「よもや!」
「そんなことがあり得るのか?」
「まさか!」「どうしてここで?」「不敬!」「不届き千万!」「許されざる悪行!」「何とも恐れ多い!」「麗しの
雪だるま式に拡大する興奮が眷属
それでも彼は決して慌てふためくことなく、
興奮の
きゅきゅきゅきゅきゅっ!と、恐怖公が覗き見んとする映像、音声が巻き戻る。
「ピーーーッ、キーーーーーーーン!」
その出来事は、
むっ、と顔をしかめつつ、恐怖公は追体験を続ける。
「……あー、あー、マイクテスッ、マイクテスッ!」
昨今、こちらの世界の住人が<
「あー、お集いの弱者、愚者、無能の諸君!」
何者かが拡声器を通じてそう告げ、同時にそれまであちらこちらで打ち鳴らされていた
「
言葉通りに信じるのであれば、只今
「……おまえらぁ。
楽しんでくれているかーーー!」
この問いかけに、うぉーーー!と群衆が歓呼で応じた。
「酒も煙草も食い物も、唸るほどあるから遠慮なく楽しんでくれたまえ!」
再び群衆が、うぉーーー!と歓呼する。
「おまえたちにはその権利がある。
おそらくは、応える
「そして今日は、おまえたちに、
……その秘密を、小生が教えてやろう、などと
神都はざわめきに包まれた。
誰一人、人の子アレイン、と称する人物の真意はおろか、彼が何処から語りかけているかすらわからないからだ。
「……教えてやろう!
すべては……大魔王アインズ・ウール・ゴウンの
なんと!
恐怖公は息を呑み、同時に、何に自身の眷属たちが反応して色めき立ったかを理解した。
突如、あろうことか至高の主の御尊名が持ち出され、眷属たちは驚きを隠せなかったのだ、と。
「おまえたちの父は、何ら名を遺すことなく無為に死んでいった。
それは
大魔王アインズ・ウール・ゴウンがあるからだ!
おまえたちの母は、おまえら以外には何も遺すことなく死んでいった。
それは
大魔王アインズ・ウール・ゴウンがあるからだ!
おまえたち弱者、愚者、無能は、無為に、何の意味もなく生きていくことを強いられている。
それは
大魔王アインズ・ウール・ゴウンがあるからだ!」
これは……ドえらいことになりますぞぉ、と恐怖公は息を呑む。
神都の群衆たちも、自分たちの置かれている状況が呑み込めずに、ただざわざわと不安げに周囲を見回すのみ。
「そんなおまえたち弱者、愚者、無能を、小生が埋め合わせてやろう。
心ゆくまで、喰らって呑んで糞してヤッて、そして踊り狂うがいいッ!」
ここに至ってうねり狂う
「
ナザリック地下大墳墓
ややあって、辛うじてその
「まさか!
決してデミウルゴスの忠義を疑ったことなどないが、アインズの名を使って遊んだ前科は山程あったような気がするぞ、とアインズは思うも、直感的に、デミウルゴス自身がこの事態を裏で糸引いていることはあるまい、とも考えている。
デミウルゴスの
アインズは、
一方で、もちろんこれを恩着せがましく主張するつもりは毛頭ないものの、でありながら、アインズは狩りの獲物を選ぶに際しては細心の注意を払っていて、基本的には弱者、愚者、無能から一方的に搾取したり略奪したりするムカつく連中を狩ってきたのであり、弱者、愚者、無能から感謝されることこそあれ、彼らの不幸が自身の
「敵の真意が奈辺にあるにせよ……あからさまな挑発、で御座いますなぁ。」
知性の有無に関わらず、この世界の存在の生殺与奪は至高の主アインズ・ウール・ゴウンの思いのままであって当然、と考えるパンドラズ・アクターは、そういった創造主の考えに思い馳せることなく、ただ簡潔に常識的に考えられるところを口にした。
「敵、と言うからには、パンドラズ・アクターはこれを裏で糸引くのは
アルベドにそう問われて、パンドラズ・アクターは即座に、
「それ以外に……あり得ますかな?」
と応じたが、これはアルベドに言下に否定された。
「真意がわからないのは
こちらにやって来たばかりの彼らに、アインズ様の只今の名乗りを前以て知る
「なるほど。それは……
「
と恭しくデミウルゴスが復命する。
「こちらの世界にある
アインズも黙って、うんうん、と頷いて見せる。
「
ほうほう、と、ツアーを除いて誰もたちまちに思い出せないアインズは続きを促す。
「最後に、ツアーの舎弟として
「……つまり、人の子アレイン、とやらが、何故オレの名を知っているのか、何を目的にわけのわからぬ主張を大群衆を前にやっているのか、いずれもさっぱりわからん……ということだな。」
アインズとしては、それで三賢者を責めるつもりなどない。
「ですが。」
とアルベド。
「これが、パンドラズ・アクターも申しましたように、
「あぁ、そうだな。それ以外にはあるまいよ。」
アインズも即座にアルベドの言葉に賛同した。
「
「何を言ってるんだ、アルベド?」
ニッ、とアインズの骸骨の形相が妖しげな微笑みを浮かべる。
「この報告を、玉座の間ではなく、オレの部屋でおこなった理由はなんだ?
答えは簡単だ。この話をシャルティア、コキュートス、アウラ、セバスが聞けば、
三賢者は、真を射抜かれて沈黙した。
至高の主の御名を弄ばれて立腹しているのは彼らとて同様であるが、彼らにはそれを直截的な行動に移さぬだけの知性と自制心が備わっている。
「おまえらのその判断は正しい。」
「では!」
アルベドはすかさず
「だが!」
との、アインズの力強い言葉に遮られた。
「よりによってこの阿呆は、このオレ、アインズ・ウール・ゴウンに喧嘩を売ったんだぞ。
こいつが何処の誰で、何が目的か、なんてことはこの
アルベド、デミウルゴス、パンドラズ・アクターは三者三様に深い溜息をついた。
元よりわかっていたことだ。我らが至高の主に、これを黙殺することなど叶うまい。
骨の諸手をガバッと振り上げつつ、アインズは立ち上がった。
「出撃だッ!
然るべき
わははははっ、と高笑いする我儘気儘な骸骨に、翻意を強いる