「ブルー……さんよ。
いくら何でもそれはないだろ!間抜けにも程があるぞ!」
アインズにそう怒鳴りつけられて、
もう十年以上前からアインズたちが、ブルーたちが拠点NPCの言いなりになっていることに気づいていた旨を突きつけられ、ブルーは完全に戦意を折られてアインズに恭順する姿勢を見せた。これに対しアインズは、デミウルゴスとの間でも長く懸案になっていたブルーたちのギルド拠点の所在を尋ねたが、返ってきた答えは、
「それが……憶えてないんだ。」
というもの。
曰く、ブルー自身の主観としては、サービス終了したはずのユグドラシル延長戦が始まったのは半年ほど前で、気がつけば自分は見慣れぬ廃墟の中に立ち尽くしており、しばらくしてギルド拠点防衛の
目下、我ら
突然NPCが音声言語でそんなことを言い出したこと、それ以上に、つい先程までユグドラシルサービス終了日に図らずも円卓の間で落ち合ったピンクと思い出を語らっているうちに陥った口喧嘩の最中だったような気がするのに、今に至るまでの記憶がすっぽり抜け落ちていることにブルーは驚くほかなかったが「正確なところは不明だが、敵方から未知の
そもそもブルーは、そしてピンクも、元は仮想世界で個人
以降は、どうしてログオフ出来ないんだろうか、と疑問に思いつつも、都度届く<
「おまえの境遇には微かに同情せんでもないが……それでもだな。
いくら何でもそりゃないだろうよ!」
アインズは
過去の事例から考えて、こちらの世界に渡り来た
以降、ブルーがNPCから指示の<
「で……そのNPCというのは?」
「ルーシェン、という
これで、そのルーシェン、とやらがデミウルゴス級の知性の持ち主であることは確定だな。
「確認するまでもないか、とは思うが。そのルーシェンの創造主は?」
「……お察しの通り、クリフだよ。」
これは思っていたよりも深刻な事態かも知れない、とアインズは考え込まざるを得なかった。
ブルーの話を素直に信じる限り、クリフというプレイヤーは、ユグドラシル以外のゲームから戦技に秀でたプレイヤーを招いてギルド戦力の強化を図っていたらしい。ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの維持強化に余念のなかったモモンガ、鈴木悟ではあったが、そういう発想を持ったことはまったくなかったように思うので、その点においてはクリフはなかなかに
一方で、クリフが事実上の傭兵として招いたギルメンたちを、ギルド維持強化の手段と見做していたのは疑いなく、この点についてはギルメンの存在そのものが目的であったアインズ自身とは好対照を為していることになるが、その性向は、おそらく手づから創造したNPC、ルーシェンとやらにも余す所なく受け継がれているに違いない。
デミウルゴスが、ウルベルト・アレイン・オードルの化身であるが如く!
そしてクリフが、ユグドラシルを震撼させたかの千五百人の大襲撃の
うわーーー、
その一方で心の片隅に……少しだけ喜びもある。
「念のために訊くが。
ユグドラシル最終日にログインしていたのは、おまえとピンクさんだけか?」
最後に残った懸念をアインズは口にした。
「円卓の間にいたのは俺とピンクだけだが……断言はできないな。」
僅かながらもいずれ対峙するやも知れぬ未知のブルーの仲間たちについて、聞き出したいのは山々ではあるが、自身が前もって検知ないし予測したことの追認を求める場合を除き、拷問や買収などの手段で敵方ギルドの情報を聞き出すことは、そのような手段を弄する
「よくわかった、証言に感謝しよう。
で、ブルーさんはこれからどうする?」
「……えっ?」
「気づいているかと思うが……いや、おまえは気づかんのだろうな。
ユグドラシルからこちらの世界へやって来た者は、オレ自身を含め、限られた期間しか記憶が維持できないという制約を負っている。おまえが自身のギルド拠点位置がわからなくなっているのも、ルーシェンが意図的におまえを長期に渡ってギルド拠点から遠ざけ、おまえ自身がそのことに気づかずに対策を怠った結果だ。」
アインズは、思うところあって、常には他の
「あんたは……」
「ん?」
「モモンガさんは……平気なのか?」
まぁ、普通は正気ではいられんわな。
「オレはかれこれ三千年以上これをやってるんでな、今更だ。」
「はぁ?三千年!」
「何をそんなに驚く?
オレはユグドラシルに非公式ラスボスの勇名を馳せた
ピンクさん、とやらは、気の毒ではあるが既に正気ではないように見えたので問答無用に片付けさせてもらった。これまでにも数え切れんほどのプレイヤーをそうしてきたさ。
おまえはそうでもないようだし、こうして仔細を素直に話してくれたし、そもそもオレの敵じゃないからこの
と言いつつも、アインズは既にブルーが何を望むかは概ね理解しているつもりだ。
「俺も……強制ログオフ、してもらえるか?」
しばし呻吟した後に発せられたブルーの言葉は、これまたアインズの予想通りだった。
「敢えて問おう。
意味するところを正しく理解しているか?
そして……それは間違いなくおまえ自身の意思か?」
「辛辣なことを言ってくれる……だが、これは俺の……意思だとも。
……モモンガさんに会えてよかったよ。」
「わかった。
もし、クリフさんに会うことが叶ったら、オレからよろしく、と伝えてくれ。」
「それは悪い冗談だぜ、モモンガさん。」
その口調は、最初にクリフの復活を試みなかったのか、と問われた際に発せられた言葉と、
「悪夢を終わらせてやろう。
<
*
「
「ほんとーに……申し訳ありませんでしたァーーー!」
ナザリック地下大墳墓地上部の草原。
土下座する大魔王アインズ・ウール・ゴウンに、
結果的に二人のプレイヤーを仕留めるに至ったものの、これまでまったく想定されていなかった
「
「ごもっとも!ごもっとも!」
戦闘中から、戦闘そのものよりもこの事態に陥ることを確信してどんよりとした気分になっていたアインズとしては、ひたすら謝るしかなかった。
「無論、アインズ様がその程度のことで、
「なら……いいんじゃねーの?」
「何かおっしゃいましたか!」
「いえ!その……すいませんでしたーーー!」
結局二人はこの
「落とし
と、いつものように開会を楽しそうに宣言するデミウルゴス。
いささか不服げにアインズは
誰一人として座らねば疲れる身でもなし、席を設けるのも形式的に過ぎよう、ということになって、アインズ、アルベド、ツアー、パンドラズ・アクター、デミウルゴスの順に、
アインズは、
なんか、ユグドラシル時代のペロロンチーノたちと
と、さきほどの土下座を埋め合わせて上機嫌だ。
「本日は、ご
皆の無言の同意。
これが本会議がナザリック地上部で開催されている理由である。ナザリック地下大墳墓の防衛結界は、ツアー本体が傀儡を操るところの<
ちなみに。
寝入ったままのコニーの宮殿を離れるに際しツアーは、気がかりなのでしばらくはここでコニーを見守る、とアインズに告げたが、これに異論を唱えた者があった。
意外にも、竜人執事セバス・チャンである。
「
この言葉にしばしアインズとツアーは顔を見合わせて「今回は想像の斜め上だらけだな」と感心するやら呆れるやらの様相を示したのだが、考えてみればセバスの言はもっともだ、と納得して、セバスだけをコニーの元へ残し、<
よもや、とは思うが。
寝込みを襲って二人目、なんて勘弁してくれよ!
などとアインズは不安に思わないでもなかったが、流石に当の父親の前でそういう
「では、
さきほどまでの激昂が嘘のような……アレは今回の一件を足がかりに九十六時間出血大
「十数年前より存在が知られていた
以前よりこの者たちは、プレイヤーであるにもかかわらず彼ら自身の拠点NPCの言いなりになっている疑惑がデミウルゴスから呈されておりましたが、アインズ様自らの尋問により、これが事実であることが確認されました。加えて、このNPC、ルーシェンなる者が、その出自に従い我らギルド、アインズ・ウール・ゴウンに敵対する強い動機を有する可能性が明らかとなりました。
本日議すべきところといたしましては、彼ら、ギルド
「あー、素晴らしいまとめだ!流石アルベド、惚れ直したぞ!」
土下座の余韻の残るアインズは、愛妃を大袈裟に褒め称えて阿る振りを見せたが、頭が戦略
「恐れ入ります、アインズ様。」
と徹して怜悧に応じ、むしろアインズは、デミウルゴス、パンドラ、ツアーの、しらー、とした冷たい視線を浴びる羽目となった。
「ゴホンッ!……ともかく、だ!
オレは
「いささかアインズの言い
アインズの自己弁護に続き、ツアーの微妙に
「いえいえ、
さらりとパンドラズ・アクターがそういうので、アインズは「おいおい、勘弁してくれよ、おまえがコニーと子を成したら、オレとツアーがおじいちゃん同士になっちまうじゃねーか!」と馬鹿なことを考えているが、無論、パンドラが言っているのはそういう意味ではないのだ。
アインズが好きなものは、基本、パンドラだって好きなのである。
「むしろ疑問に思いますのは、
果たして、忠誠の鍵に縛られたユグドラシルNPCに、そのようなことが成し得ますでしょうか。少なくとも
パンドラズ・アクターのこの言に深くアインズは首肯する。
そこはアインズも気になっていたところだ。
「幸いにして、今なお自身の創造主であらせられるアインズ様と共にあるパンドラズ・アクターがわからぬのは無理なからぬところかとは思いますが。」
と、前置きして。
「
そう言い始めたのはアルベドである。
「
あり得ぬことでは御座いますが、たとえば只今このとき、ウルベルト・アレイン・オードル様がナザリックにご帰還なさった、とご想像ください。」
自然と皆の視線が彼女に集まる。
「もちろん
ですが、もし万が一、ウルベルト様がアインズ様に対し、一緒に<
何となれば、
一同一様に息を呑む。
が、すかさずデミウルゴスがこう言った。
「それが、タブラ・スマラグディナ様であってもかね?」
「ぐっ。」
とアルベドが言葉を詰まらせる。
「よせよせ!」
とアインズ。
「益体もない揚げ足取りを嗜むのはおまえの悪い癖だな、デミウルゴス。」
「こ、これは!失礼いたしました!」
慌ててデミウルゴスは深く叩頭して詫びを入れたが、アインズは愉快げに笑いながら続けた。
「そんなあり得ない仮定の話でおまえたちが
それに、万が一そんなことがあるとして、だ。
タブラさんやウルベルトさんが帰還したとして、もちろんオレも手放しで歓迎するだろうが、オレにナザリックを捨て去るよう勧めるなんてことがあろうものなら、それがタブラだろうがウルベルトだろうがオレのこの手で」
「いけません、父上!」
大慌てで身を乗り出したパンドラズ・アクターがアインズを制した。
「
彼のこの言葉に、たちまちにアルベドとデミウルゴスはすみやかに跪き、
「思慮が至りませんでした、どうかお許しください!」
「失言、深くお詫び申し上げます!」
と深い反省を示した。
「いやいや、オレの方こそ悪かった。格好いいかな、と思って口にした言葉だけだが、確かにパンドラの言う通りだな、気をつけるようにする。」
このやりとりを、ツアーは微笑ましげに眺めている。
「アルベドの言わんとするところは理解したつもりだ。」
そう言いながらアインズは、手を差し伸べてアルベドとデミウルゴスに立ち上がるように勧め、二人もこれに素直に従った。
「ユグドラシルNPCの忠誠心は、第一義的にはギルドに向けられるものであって、必ずしもプレイヤーの一挙手一投足をすべて追認するものではない、と……そういうことだな?」
アルベドの問題提起の含意するところに触れたアインズの問いかけに対し、
「そこには
とデミウルゴス。
「これまで
思えば、これまで
……いや、それは。
ちょっと違わなくないか。っつーか過分におまえの趣味じゃないかぁ!あーん?
「ボクからもよいかな?」
脱線の気配を感じてか
「ボクも正直なところ、今振り返るからそう思う話だろう、と思う。それを前提に聞いて欲しい。こちらの世界の人々から八欲王、と呼ばれた
「ほぅ、聞かせてもらおうじゃないか、ツアー。」
既にアインズは興味津々だ。
「実際彼らの主戦力たる顔触れは八人いたが、当時はそんなことは知る由もなかったが、プレイヤーが二人、NPCが六人だったように思う。これも確たるところは断言できないが、ボクの理解としては皆、キミたち同様のいわゆる
「
上機嫌にアインズはそう応じたが、これを言われたツアーはいささか心中複雑だ。
親兄弟知り合いを皆殺しにされて完封もくそもあるまいよ、と。
だがキミは、そんなことは憶えてはいないんだよね、羨ましいことだ。
が、これが記憶にないのは同様であるはずのアルベドが、何かを感じ取ったものか、
「いけないわ、アインズ。ツアーにその物言いは!」
と、彼を嗜めるようなことを口にした。
さらに続いてツアーの方を一瞥し、
ごめんね、ツアー。
彼ったらこうだから、許してあげてね。
ツアーは彼女からそう言われたような気がして、その心遣いが嬉しかった。
なので、言っても詮のない不平を述べるよりは、ナザリックの流儀に従うべきだろう、と判じた。
「よせよせ、アインズ。デミウルゴスでもあるまいに。」
「……ふぁ?」
この一瞬に
実のところアインズは、しばしばアルベドとツアーの間にアインズには理解できない
「……思ったほどウケなかったね。何の話だったっけ?
そう、八欲王だ。」
と、ツアーは本題への復帰を図る。
「アインズも言うように、
明らかに彼らはそれぞれのプレイヤーとそれに追従するNPC三人ずつの二組で対立していた。追従する三人から見てプレイヤーが自身の創造主だったのか、アインズがペロロンチーノくんを介してシャルティアとそうであるような関係であったのかまではわからないが、それでも
そして互いに、捗々しくないギルド維持資金集め、ボクとの闘争について、責任を
「なるほど、ツアーの話は示唆に富んでいる。」
ツアーの体験談には、アインズとしては先の対ブルー戦を通じて覚えた違和感に重なるものがあった。
「当ててやろう。しばしば八欲王のうちのプレイヤー二人は、NPCへの指示を曖昧にしたり、本来プレイヤーが下さねばならん決断を、互いを意識して躊躇ったな。」
「流石はアインズ、ご明察だよ。」
「よせよせ、ツアー。デミウルゴスでもあるまいに。」
続けて出しにされて、いささかデミウルゴスが憮然とした顔をしている。
「
ユグドラシルNPCは、プレイヤーが命じたことにはそれが何であれひとまずは従うが、それがギルドそのものと利害相反する場合はギルドの利益が優先されるし、逆に、NPCの側から説得してプレイヤーから形式的に言質を得てしまえば、主従関係をひっくり返せもする、ということになるな。
オレたちが今日の今日までこの事実に気が回らなかったのは、ある意味当然ではある。
自慢するわけじゃないが、オレはナザリックにおける最終的な決断権はオレにあると常に意識しているし、むしろ決断することこそがナザリックにおけるオレの責務だ、と自覚している。そして、オレ自身がアインズ・ウール・ゴウン、すなわちギルドと同一無二の存在なんだから、そこがブレることは決してない……なかったはずだ!」
言いながら途中で自信がなくなってきたアインズは語尾を濁したが、もちろん三賢者たちは、ごもっとも、ごもっとも、と至高の主を称賛した。
「そこで次に気になる点だが、そのルーシェンとか言うNPCは、結果的にプレイヤーまで捨て駒にして……何がしたいんだ?デミウルゴス級の知性を有したものの差配にしては、今回の仕掛けは拙速に過ぎたし、実際ピンクも、そして本人が望んでのことではあるがブルーも死んじまったわけだしな。」
アインズは議題を次の
敵の動機を知ることは、対ギルド戦のイロハのイだ。
「それについても、
とアルベド。
アインズは、他の皆が特に何も言い出さないのを確認して、黙って骨の手を差し出し続きを促した。
「さきほども申し上げました通り、
さきほど同様の語りだしに一瞬、ぎょっ、としたアインズではあるが、なるほど、それはアルベドの言う通りではあるな、何ならアインズ自身もそう考えて乗り越えて来た道だ、と思う。
「対して、ルーシェンなる者の視点で考えますれば、創造主たるクリフなる者はユグドラシル在りし日のうちに落命を知らされ、にも関わらず、
「いや、待て待てアルベド!」
とアインズ。
「クリフは<
「それは承知しております。」
「なるほど、確かに
と割り込んだのはデミウルゴス。
「アルベドも
ですが、これが我々に理解できるのは、アインズ様を含む至高の四十一人の皆様方が、<
「
彼らの拠点<
パンドラズ・アクターも続けてこれに同意する。
「つまり……どういうことだ?」
自身NPCではないアインズは、彼らが自明と感じるところがたちまちには理解できない。
対してアルベドは、さらりと結論を示した。
「ルーシェンが目論むは、創造主クリフの復活。」
「……んなコトできるわきゃねーだろ、
「いや、アインズ。そう断言するのはいささか早計ではないかい?」
素っ頓狂な声でアルベドの言を否定したアインズに、すかさずツアーが異議を唱えた。
「ブルーがクリフの死を記憶していたことは、とりもなおさず彼らの<
「な!」
そんなことはよもやあるまい、とは思いつつも、アインズはツアーの言に
「プレイヤー復活の手段は、拠点からの
ユグドラシルの
「もし、<
されば、取り得る手段はただ一つで御座います。」
「ユグドラシル金貨五億枚を投じての
息子の含意を読み取ったアインズがそう呟く。
「私の調査を元に、彼らのギルド規模および資金の推移を概算してもらっていたように思うが、どうだったかな、パンドラズ・アクター?」
と問うたのはデミウルゴス。
「如何せん未確定要素が
しかも彼らは、同じ資金源から
「ブルーの話ではルーシェンとやらはシズ・デルタ同様の
アインズは、皮肉でもなんでもなく存外心底悲しんでそう口にしたが、デミウルゴスには何やら違う考えがあるらしい。
「あるいは……」
ん?
「あるいは……我々から奪うか。」
「……おまえ、本気でそれを言っているのか?」
これに応えたのはデミウルゴスではなくアルベドだ。
「ルーシェンなるものが
「左様、所在すらわからぬ我らがナザリック地下大墳墓への正面切っての攻略などあろうはずも御座いませんが、その気になれば脅迫、詐欺、誘拐など、手段はいくらでもありましょう!」
と、何故か無闇に楽しそうなデミウルゴス。
……おまえらが敵じゃなくて、よかったよ。
とアインズは溜息をつく。
対してアルベドは心配げにこう言う。
「問題は、遺憾ながらこのような
彼女が懸念するのは、アインズがナザリックは当然としてすべての
「しかし、連中はオレたちの存在をそもそも知らんだろう?」
「いやアインズ、それも早計だ。」
とツアー。
どういうことだ?と問う訝しげなアインズの視線がそちらへと向かう。
「一つ頭に引っかかっていたことがある。
超位魔法を試みようとした
「……言われてみれば、そうだな。」
「となれば、魔法詠唱者にアレを命じたのは問題のNPCだ。」
「どうやってか、ブルーとオレが対峙しているのに気づいて諸共の殲滅を図った……と言いたいのか?」
「それ以外に何かあるかい?」
「デミウルゴス!」
やおらアインズは最も頼りにする腹心の名を呼んだ。
「どうだ、そんな手段があり得たと思うか?」
デミウルゴスは即答した。
「恐怖公に相当するNPCが彼らの傘下にあれば可能なのではないか、と。」
「……なーるーほーどー、その手があったか!」
何故かアインズは、突然
骨の裸体を晒し、脱いだ衣装を上下に、ぶんっぶんっ、と振る。
中から
きゃっ、と可愛らしい声をあげてツアーの後ろに隠れるアルベド。
「デーミーウールーゴースー!」
「ギ、ギルドに忠誠を誓うNPCには、た、たとえ
「禁止だ!」
「……はっ?」
「今後、コレはなしだ!
わかったか?わかってるよなァ、
「はっ!確かに承りました。
すべては至高の主、アインズ・ウール・ゴウン様の思し召しのままに!」
ほんっと、やっとれんわ!
憮然としつつも再び
「厄介なことになった。」
改めて皆の視線がアインズに集中した。
「超位魔法一発でオレを仕留められるとは敵も思ってはいなかったはずだ。にもかかわらず、自身の
ギラリ、とアインズの頭蓋骨に穿たれた二つの眼窩が血のような鮮やかな赤に光り、着直した漆黒の
「……これは、明白な宣戦布告だ!」
「アインズ。」
自身の名を呼ぶツアーの意図を、既にアインズは解している。
「そうした方がいい、一旦コニーのところへ戻れ。
まだ眠ったままならおまえの居城に運んだ方がいいかも知れん。
しばしセバスはおまえに預ける。おまえが敵に遅れを取るとは決して思わんが、おまえにも他にやらにゃならんこともあろうし、コニーの騎士は多いにこしたことはあるまい。セバスにはオレからも追って言い含める。
「ああ、心得ているとも。」
言うが早いか、
その残光を見送りながら、アインズは満足げに腕を組み嘯く。
「さぁて……俄に面白くなってきたな!」
なければ幸い、であることは百も承知である上で、それでも、千五百人の大襲撃以来誰かの挑戦も受けることがなくなったギルドに寂寥感を覚えていたアインズは、自身がアインズ・ウール・ゴウンだとわかった上で喧嘩を売ってくる
むしろ、大好きだ!
それがわかっているがゆえに不安げな視線を愛する
創造主が楽しそうであるならばそれで満足な財務責任者パンドラズ・アクター。
そして、自身に匹敵するやに思われる知性の持ち主との対峙に心躍らせる狡知の参謀デミウルゴス。
銘々微妙に異なる思惑を抱えつつ、かつてなかった