「デーミーウールーゴースー!」
同じ頃のナザリック地下大墳墓
「これはこれはアインズ様!
我が在所をお訪ね下さるとは光栄の極みで御座います。ささ、どうぞこちらへ。」
当所の
フレーバーテキストに「人間のそれを用いた最高級
勧められるがままに、どっか、とそこに腰掛けたアインズに対し、
「何か御用であればこちらから参りましたのに、ツアーと何か御座いましたか?」
ツアーの傀儡がナザリック地上部に現れたこと、これをアインズが単身出迎えて何やら話し込んでいたことを当然承知しているデミウルゴスはそう問うが、見るからにアインズは不機嫌そうだ。
「ツアーの国に侵攻してきた阿呆どもがあって、よりによって……。
神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、と名乗りを上げたそうだ!」
「嗚呼!」
アインズが言い捨て終えるよりも前に、デミウルゴスは胸の前で左右の手を握り合わせ陶酔の表情を浮かべた。
「いよいよアインズ様におかれましては、あの頼もしくも小憎らしい
「……はぁ?」
口パカ。ペカペカ。
この時点で完全にアインズは、デミウルゴスの
「んなわけあるかーーー!」
「……はて?
では、どうしてその
「それを訊きたいのはこっちの
またぞろオマエが何か企んでやらせてるんだろ!だよな?そうだよなーーーッ!」
「まさか!よもや
「至高の主の名を騙って遊ぶなどと思うか?なんて白々しい言い訳は聞き飽きたぞ!
いったい何度オマエに前科があるかわかっているか!」
デミウルゴスに弁明の
「……正確なところは
あぁ、アインズ様。お手間では御座いますが<
口パカパカ。ペカペカペカペカ。
「……おまえじゃない、と?」
「先程来、そのように申し上げております。」
「……忘れてるだけじゃなくて?」
「そこは何とも。」
言下に否定しろよ!
ここに至ってアインズは、馬々鹿々しく思いつつもシズちゃんズ4号に<
だが。
デミウルゴス自身が書き記した日記に記載がないことが、果たしてデミウルゴス無罪の証明になるのだろうか?
「じゃぁ……どういうことなんだ?」
とアインズ。
「はて、そこは
と、ぽかん、とした様子のデミウルゴス。
いや、そこは得意の悪知恵を巡らせて考えろよ!とアインズは身勝手だ。
その意を察したものか、やがてデミウルゴスは語り始める。
「こちらの世界の住民で御身の御尊名を知る者などほんの僅かで、その
おまえを除いてな!
「一方で、御身……正しくはユグドラシル時代の我等が
「……はぁ?」
口パカ。ペカペカ。
「じゃ、何か?
最近やって来たプレイヤーがオレの名……オレたちのギルドの名を騙っていると?」
頭を冷やして考えれば、確かにそれはないとは言えない、とアインズは思う。
「それ以外に何かあり得ますでしょうか?」
おまえがいるだろ!
「なんで?」
「はっ?」
「仮におまえの言う通りだとして、そいつは何故そんなことをする?」
このアインズの問いに対し、デミウルゴスは心底不思議そうな表情を浮かべてアインズの顔を覗き込んだ。
そんなことは御下問されずとも、御身がご承知では?と言いたげだ。
「……ちょっと整理がつかんから、おまえから思うところをまず言ってくれ。」
と促されて、されば、とデミウルゴスは饒舌に語り始めた。
「いくつかの可能性が考えられますが微細を除けば二つに一つ、ということになりましょう。
第一には、最後に殲滅いたしましたギルド
この時点でアインズは、
「……ユグドラシル時代より御身に筋違いの遺恨を抱えた者が、御身を挑発すべくその名を騙っておる、というもので御座いましょう。
ただ、これは相手方が既にこの世界に我等ナザリック地下大墳墓が存在しておることに気づいていなければ成り立ちません。ここ二百年、我等が
なら言わなくていいじゃねーか、などと思いつつ、アインズは
ルーシェン、とか言ったあのNPCは今も……という表現はあの瞬間の三秒間に閉じ込められたルーシェンに対しては厳密にはおかしいが……今も死に続け、蘇り続けているのだろうか、哀れなものだ、と。
無論、真実のところはアインズには知りようがないし、もたらされた救済が
「従って、より濃厚なのは第二の可能性となりますが、
おー、なるほど!
アインズは、つい先程まで、またデミウルゴスの
「本百年紀の<揺り返し>は……」
「はい、既にその時期からは五十年近く経っておりますから、仮に第二の可能性が是であったといたしますと、その
この場合、その
デミウルゴスは、アインズの問いたいところを淀みなく見事に補完してみせたが、その余りの即答振りが返ってアインズを不安にさせる。
「いや待て待て!
やっぱりおまえじゃないのか!おまえがそのプレイヤーをけしかけて、そういう
「よもやそんなことは……ないと思います、多分。」
だからー!言下に否定しろよ!
「……ともかく、だ。
アインズの意図としては、必ずしも四人で論じることよりも、これ以上差しでデミウルゴスと話していたら頭がおかしくなりそうだ、という思いの方が強かったのであるが、命じられたデミウルゴスは事も無げに、
「確かに承りました。
すべては至高の主、アインズ・ウール・ゴウン様の思し召しのままに!」
と礼を執ったので、アインズはこれ幸いに赤熱神殿を
残されたデミウルゴスは、いつものように無闇矢鱈と楽しげだ。
「これは楽しくなって参りました!」
ワハハハハハッ、と哄笑が第七階層に響き渡り、その住人たちは「あぁ、また何か碌でもないことが始まったぞ」と眉を顰めた。
*
時を前後して、トブの大森林の西端近く、かつてリ・ブルムラシュールと呼ばれた城塞都市廃墟を眺める丘の上に鎮座する
そもそも当地は、血塗れの再来、覇王エンリネの治世……
言うなれば門前町、のようなものであるが、ここから貢納の団は森に分け入って森の民の首都と見做された
当初はトブの森側から保存食料の
二ヶ月ほど前、当地を南方からやって来た人間、亜人の混成集団が訪れ、リ・ウロヴァールに対して求めたのと同様に定期的な貢納を要求した。
町の住人たちは、通り掛かる旅人に糧食を援助するのは、そもそもそれが我々の存在意義なので望むところだが、遥か南方のあなたたちのところへ何かを届けろ、と求められても意味がわからない、と応じ、以てこの噛み合わない交渉はたちまちに決裂した。
際して、かの集団はやはりリ・ウロヴァールに対してそうしたように「神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国に楯突いてタダで済むと思うな」の捨て台詞を残し、これが事実上の宣戦布告であることがわからないほど森の民たちは能天気でも阿呆でもなかった。そういうことは先々起こり得ることだ、というのは、覇王エンリネが森の
かくして、
捨て台詞を残して去った軍勢は百名ほどであったから、再襲来するとして倍くらいにはなるだろう。であれば、こちらも同程度の人員で備えれば、あちらも戦っても益なしと判じてまた捨て台詞を吐いて立ち去るに違いない……森の民側の認識はこの程度のものであったのだが、さて、二ヶ月を経て予期された通り姿を現した南方からの招かれざる客は、
やはり前回同様に相手方から使者がやってきて再び定期的な貢納を要求したのだが、これを迎えるにあたり、丘下にある攻め手から見える場所に二百名の守り手がこれ見よがしに姿を晒して威圧したにも関わらず、攻め手はまったく
交渉はたちまちに決裂して「
攻め手の企図するところは夜襲であるに違いない、と、いささか書物を通じて軍事に明るい、と自称する
が、一向に攻め寄せる気配はない。
どういうことだろう、と守り手の
曰く、攻め手が円陣を組む中央に何か木の箱があって、それに向かって
続いて言うには、木の箱はどうやら
と同時に!
「きゃぁーーー!」
と、神聖系魔法の使い手という触れ込みの人間の女が悲鳴をあげた。
「と、と、とんでもない
どう考えても彼女の言う
連中、我々にぶつけるために
「オマエノ祈リデ退散デキルカ?」
屈強そうな
さりとて、ここで潰走を始めるとそれこそ取り返しのつかない事態になるやも知れぬ、と、たちまちに対抗する手段こそ思い浮かばないものの、ひとまずは抗戦せざるを得まいと銘々腹を括って得物を構え、丘の下から場違いな楚々した足取りで歩み来る女の子を待ち受けるしかなかった。
そのとき。
攻め手にも守り手にも誰も気づく者などいなかったが、この様子を上空から眺める者がある。
「やれやれ。」
と呟くのは、ふわりふわりと宙に浮かんで黒衣の
「手出しすまい、と思っていたが、それは反則だろうて。」
やおら、その両手が振り上げられる。
袖の先から突き出た指先は、肉も皮をもまったく欠く骨の指先!
「<
刹那、歩み来る
ただ、歩み来た
これを上空から見る
元より夜目の効く彼ではあるが、<
「馬鹿め、丸見えだぞ。
<
……<
ボコボコボコッ!
丘を駆け上がるに見えた
右肩、左脇腹、右足がそれぞれ内部から破裂して今にも千切れそうだが、不思議と当人の表情はケロリとしている。ただ、このまま走り続けるのは無理だ、という感じだ。
「元より
だが……これはどうかな?」
上空の黒衣の
「<
彼の得意とする火炎系魔法でありながら、神聖属性の力も有する不浄を焼き払う炎が女の子を包み込み、
「……グッ、ギャァーーーーー!」
一拍置いて耳を塞ぎたくなる恐ろしい絶叫が周囲に響き渡った。
燃え上がった女の子は、そのまま生きた松明であるかの如くしばし千鳥足でふらふらした
攻め手の陣は沈黙に包まれている。
誰が最初に口を開いたものか、
「まさか!」
「よもや!」
「あのブラッディーレイン様が!」
異口同音のどよめきが波のように拡がる。
敵に対して最も遠い場所に立っていた何人かが、そっと身を翻して逃げ去ろうとするも……
「さて、おまえら。」
立ち塞がるように音も立てず降り立つ黒衣の
「俺が言うのも
あんな物騒な
そう告げる目前の
「自身が弄ぶ手段は敵方にもひょっとするとあるやも知れぬ、と考えるのは
と一喝が飛ぶが、言葉は辛辣だが口調に
既に戦意を折られた攻め手は、最早これまで、今生との別れよ、とへにゃへにゃと
だが、骸骨姿の
「これに凝りたならば、分不相応な力に頼って事をなそうなどとは思わぬことだ。
今日のところは見逃してやるから、帰っておまえらの親玉に伝えろ。」
生きて……帰してもらえる、のか?
「トブの森には不世出の
そう告げると、再びふわりと宙に舞い上がった黒衣の骸骨は、そのまま闇に溶け込んで彼らからは見えなくなってしまった。しばし彼らは腰を抜かしたままでいたが、そのうち誰彼となく立ち上がり、無言のままにおずおずと南へ向かって歩き始めた。
こうして、
そして。
幸か不幸か、吸血鬼少女が何らその力を振るうことなく速やかに撃退されてしまったがゆえに、トブの森周辺を監視するナザリックの目、ニグレドの
対して丘の上では。
「おーい、おまえら。聖水の備えはあるか?」
頭の上からそんな声が聞こえて、唖然としたまま丘下を眺めていた
「「「……な!」」」
声を出せた者も意味のない絶句を発するしかなかったのだが、そのまま人だかりの真ん中に音もなく降り立った黒衣の人物は、きょろきょろと周りを見回している。
見回すその顔は見紛うことなき、骸骨。
「大丈夫だとは思うが、夜明けまでまだ
だが、たちまちには誰も動き出さなかった。
否、動き出すことができなかった。
「心配しなくても、陽光を浴びればもう復活はせんぞ。」
いや、そこじゃないんですけど、と思ったのかどうかはともかく、とにかく誰かが事情を訊かねばなるまい、と度胸のある一人の
「私ハ
骸骨姿の
「……何カ。何カ、私ノ名乗リニ
不安になったゲンはそう問うたが、骸骨は、
「いや、不思議な縁もあるものだな、と思っただけだ。」
と応じた。
その表情など肉も皮もない骸骨からは読み取れようもないのに、それでもゲンには、骸骨が微かに、ではあるが笑ったように感じられた。
「事情がわからねば、おまえらも困るわな。」
と骸骨。
この時点で、引き気味だった周囲の面々も、どうやら怖い御方ではないようだ、と
「血塗れ、覇王将軍と面識のあった者はいるか?」
これにはゲンが答える。
「エンリネ将軍ハ我ガ父
「あぁ、既に随分経つが憶えている者があったか。であれば話は早い。
俺は晩年のエンリネから、万が一こういうことがあれば森の
おぉ!とどよめきが起こる。
と同時に、誰彼からとなく、
「もしや?」
「まさかあの伝説の?」
「
「ドクロサマー!」
と声が漏れ聞こえ始め、これに対して骸骨が急に両手を振り上げてぶんぶんと振ったので、
「あー、それはやめてくれ。今更やめてくれ。頼むからやめてくれ!」
その口調が命令や恫喝ではなく、あからさまに懇願だったので緊張が緩む。
すかさずゲンが膝を折って伏礼を執り、気づいた者から順にこれに倣った。
「窮地ヲオ救イイタダキ、アリガトウゴザイマシタ!」
「「「ありがとうございました!」」」
この大合唱に、骸骨はいささか迷惑気味だ。
「あー、そういうのもよせよせ!
俺は、エンリネが残り僅かな余生を割いて、少しだけ俺に付き合って楽しい話をしてくれた、その恩に報いただけのことで、それが果たせた今となってはおまえらが今後どうなろうと知ったことじゃない。だから、ないはずの情が湧くから、そういうのは
「敢エテ御芳名ハ伺イマセンガ……
ゲンは父から伝え聞かされた、トブの森からの難民帰還事業の物語を思い返しつつそう尋ねる。
「あー、大昔にそんな呼ばれ方をしていたことがあったかもな。
おまえさんのご先祖様からも、だ。ま、あいつとは先生、生徒、じゃなくて……」
ゲンが顔を上げて、不思議そうな表情を浮かべて骸骨を伺う。
返ってきた言葉は驚天動地だ。
「……友達だったんだがな。」
「ナント……!」
「おまえさんと会えてよかったよ。」
やはりゲンには、表情のない骸骨が確かに微笑んでいるように見える。
「余計なお世話かとは思うが聞いてくれ。」
骸骨は
「俺は本来はおまえら生者と関わるべき存在じゃない、まぁ、見ればわかるわな。
今後も助け舟を出すつもりはないから一つだけ助言しておくが、おまえらの今回の一件への対応は決して間違っちゃいない。二百も出せば相手が戦いもせずに
が、自分たちよりも数に劣る連中が
俺の言っていることが……わかるか?」
誰も声に出しては応じないが、無言のままにこくこくと頷くのを、骸骨は
「では生者の諸君、これでお別れだ。
おまえらの遠い子孫に出会うことがあれば、おまえらがいささか無思慮ながらも勇敢だった、と伝えることを約束しよう。」
と言い残して、そのまま宙に浮かびアッという
*
「……ますますわけがわからなくなってきたぞ!」
「だよねーーー。」
「わけわからん。」
首を傾げる
この
ちなみに。
あれほど当人が嫌がったにも関わらず、伝聞を繰り返すうちにこれが、
「どう考えても、
とキーノ。
「あの御仁も大概お節介焼きよね。」
とクレマンティーヌ。
おい、おまえら。
その取り違え、何回目だよ!
まぁ、話の中で、髑髏様がかの難民帰還事業を率いた先生だ、ということになっていた……なってしまっていたので、これが実はアインズではない、と気づけという
「しかし……わけがわからないのは、その攻め手の名乗り、だな。」
神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国の名は、その、森の民からすれば馴染みにくい音韻にもかかわらず、いや、むしろそうだからこそその物珍しさも手伝って、かつてそれが当地ではいつの
ゆえに、これが激しく彼女らを困惑させている。
「アインズさんが自分の名を冠した帝国の侵略から森の民を守る……って、どういうことだ?」
「ワタシにわかるわけないじゃん!」
キーノとしては、アインズが自ら<
「そう言えばクリフちゃんが……」
と、クレマンティーヌは、今から振り返ってもっとも近い
本来のクリフはユグドラシルサービス終了以前に<
「アインズ・ウール・ゴウンの……なんだっけ……も、ももん?……ももんが?
とにかく、なんかそういう妙なことを言ってたじゃん?」
クリフは、<黒の百合>に対し、自身の宿敵として、アインズ・ウール・ゴウンのモモンガ、の名を持ち出したが、アインズ・ウール・ゴウンを只今のアインズの個人名、と考えて疑わないキーノたちは、長くこのクリフの言いの意味するところを正しく理解できないままにいた。
「ワタシらの知ってるアインズさんと、その神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、とやらが、実はまったく別物だ、ってことは考えれないかな?」
「こんな妙な言葉にそんなことあり得るか?」
キーノはクレマンティーヌの発想を俄には受け入れられない模様。
「いやいや、それはさ。ワタシらがわかんないだけで、ユグドラシルでは極々普通の言葉で、何なら同名の者がいっぱい居た、って可能性もあるじゃない?
あるいは、元ネタになったアインズ・ウール・ゴウンとかいうユグドラシルにおける過去の偉人か何かがいてさ。
「かつてのエンリネのように?」
キーノたちは、デミウルゴスに
「理屈としてはわからないでもないが……アインズだけ、とか、ゴウンだけ、ならともかく、アインズ・ウール・ゴウンなんて長い名前でそれは……ないんじゃないか?」
そう言いながら、仮にそうだとしたら、直近の
神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国とやらがナザリック地下大墳墓であり、これを迎え撃ったのがアインズ本人なのだとしたら、そんなことは考えようもないが、あの狂気の忠誠を捧げる化け物どもの一部、ないしは全部が、アインズに対して反旗を翻したことになる。
そして、伝え聞いた物語を素直に信じるのであれば、撃退されたのは少女吸血鬼だ、ということだから、これはかのシャルティア・ブラッドフォールンだ、ということになるではないか!
確かにシャルティアは阿呆の
いや……阿呆、なのだろうか?
「どうする、キーノちゃん?」
と身を乗り出すクレマンティーヌ。
「どうするって……何が?」
「西へ。神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、とやらを見極めに。
アインズさんと関わりあるにせよないにせよ、
おいおいおぃ、えらい前のめりだな、おまえ。
と、若干引き気味のキーノ。
「アインズさんはワタシらに言ったわさ。
みんな自由気ままに跳び回ってもらいたい、って。
おまえらにはそれに見合う力量がある、って。
おまえら自身が自分で手が届かないことまでオレが語ってしまえば、もうおまえら、元には戻れない、って。」
クレマンティーヌの瞳が、いやにキラキラと輝いている。
「そんなこと言われて、神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、なんて面白そうな話を鼻先にぶら下げられて、ビビって手を
「おまえなぁ……いや、クレマンティーヌの言う通りかも知れないな。」
そう、自分たちは大魔王とは言えアインズに傅いているわけでも反目しているわけでも
アインズがどうであろうと、ナザリックのお家騒動だろうとも、自分たちから見て興味関心を
「じゃ、決まりね!
双子ちゃーーーん、行っきまっすよーーー!」
「
胸の前で丸みを作る
そんな具合で<黒の百合>もまた、事態を中途半端に把握したまま渦中へ飛び込む意を決した。
この時点の彼女らは、よもやの奇想天外な展開が待ち受けていようなど知る由もない。