(
ナザリックの目、ニグレドからの<
(トブの森西側外縁、西方およそ二十キロの
アホか!白昼、しかも単騎で何やってやがるんだ!
いや、昼間から何やってんだ、という点ではオレも偉そうなことは……言えんか。
「オレにそいつの直上五十メートルの座標を。
そう命じながら、アインズは
(どうぞご武運を。)
「あぁ、ありがとうニグレド。
すまんがアルベド、続きは帰ってからだ。」
「承知いたしました、どうぞご武運を。」
「<
全裸の愛妃アルベドの傍らに禍々しい渦が巻き起こり、アインズは
*
「さて……目当ての町とやらは何処だ?」
麾下のNPCコンチュータスに命じて得た転移先座標……万が一のことがあってはならぬ、とその算出には検算に検算が重ねられ、確定にまで二日間を要した……に自ら<
「五キロ程ノ誤差ハ許容願イマス。」
コンチュータスは馬鹿正直にそう告げたが、上空から俯瞰すれば見つかるだろう、とフンバルトは<
まず目につくのは東の方角に果てしなく拡がる広大な森。少し視線を左に向ければ彼方に万年雪を頂上部に湛える険しい峰々が見える。ギルド、アインズ・ウール・ゴウンの自然愛好家ギルメン、ブループラネットでもあれば溜息をついて感銘を覚えるこの情景も、そういった感性を欠くフンバルトには何の感銘ももたらすことはない。
彼の認識としては、それらはただ狩り場の背景であるに過ぎない。
くるり、と周囲を見回してみて、先程眺めた森とは丁度逆方向、三キロほど先に、丘の上に石造りの町並みが見えるのを認めて「コンチュータスもなかなかやるじゃないか!」とフンバルトは嘯いた。一息にその上空へと移動すると、町には少なからぬ人間と
「あー、あー。」
声の調子を確かめて、フンバルトは大声を張り上げた。
「聞けぃ、クソども!」
声が届かなかったのか、あるいは、聞こえたとしても誰も上空から呼び掛けられる、とは思ってもみないことなので、敢えてこれを見上げて確かめる者がなかったからなのか、特に反応はない。
「おまえらは、俺たちに喧嘩を売った!
その代償は身を以て支払ってもらう。」
やはり誰からも反応は返ってこないが、自身の台詞に酔っているだけのフンバルトは、そんなことには何の関心もなかった。
「ブラッディーレイン同様に、業火の中で焼き尽くされるがいい!」
そう叫ぶや、ブンッブンッブンッ、と腕が振られる。
超位魔法の準備
光り輝く複雑怪奇な魔法陣がフンバルトを包み込むに至って、昼過ぎの陽光とは異なる方角からの不思議な光に気づいたいくらかの人間、
「満願成就までもう少しだ、分不相応な行為の
フハハハハハッ!」
フンバルトは、八の字に広げた両手の平を上に向け、勝ち誇ったように天を仰いで笑ったが、そのとき漸く、自身の真上から
ボクッ!
落下速度に加えて思い切り振りぬかれた
「ゲフッ!」
ズドン!
まったく無防備なままに奇襲を受け、間抜けな呻き声を漏らしながらその身体は勢いのまま背中から地面に叩きつけられた。
ズンッ!
フンバルトが自身の落下で
流石にこれで死んではいないだろうから、這い上がってくるまでは待ってやろう、と余裕の構え。
ややあって、穴の中から何かが出て来る。
最初に見えたのは……
「……ん?」
続いて皮手袋を嵌めた手が穴の
覗いた顔は山羊のそれ。ご丁寧に
……ウルベルトさん?
なわけはない。
単騎で超位魔法に着手した阿呆のことだから無対策に違いない、と踏んだアインズは<
種族:
何じゃ、こりゃ?
これはどう考えても盟友ウルベルト・アレイン・オードルの劣化版
魔法探査にまったく無防備であるがゆえに、習得魔法の一覧もアインズは把握するが、当然のことながら<
一方で、地味ではあるが<
「土着の
「ふぁ?」
こいつ……ウルベルトさんの猿真似をしながら、オレが誰かわからんのか?
そんな馬鹿なことあり得るか、
「そっちから出て来てくれたのなら話は早い。ブラッディーレインの
……
何の話してんだ、この馬鹿?
それに……今、ブラッディーレイン、とか言ったか?
まさかとは思うが
っつーか、
アインズの脳内に益体もないツッコミが吹き荒れていることなど知る由もない山羊男は、幸せなことに今なお自分の台詞に酔っているのか、ぺらぺらと御託を並べた。
「神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国に楯突いた己の愚かさを思い知るんだな!」
ほぅ……そういうことか。
「奇遇だな。」
とアインズ。
「ハッ?……な、
「オレも……アインズなんだよ。」
これで流石に気付くだろ。
だが、山羊男の反応は、
「貴様……余程、俺を怒らせたいらしいな!」
はい、馬鹿確定。
「死ね、<
「<
山羊男はすべてを焼き払う地獄の業火を放つも、たちまちにアインズが生成した
「な!」
いや……この程度で驚く奴がオレに単騎で挑むなんてあり得ねーだろ!
「「アインズ様!」」
そのとき、上空から遅れてやって来たデミウルゴス、シャルティアの声がする。
あー、この馬鹿、デミウルゴスに見せたらヤバいかもしれないな。
「デミウルゴス、上空で待機。封鎖を。」
一方の山羊男は、上空の声を確かめるべく一瞥する余裕もない模様。
「ハッ、<
この分だと時間対策も即死対策もしてねーよな、こいつ。
この馬鹿がすべてを差配した、とも思えないから、とりあえずこいつは屠っちまって、他にいる仲間から事情を訊き出す、でいいかー。
面倒臭くなってきたアインズは、一息に終わらせよう、と決断する。
ここまでする必要もぶっちゃけなかろうが、最期の最後にコレを見れたら……
この馬鹿も、本望だろうよ!
ババッ、とアインズの骨の両手が八の字に開かれた。
合わせて、中腹に抱え込む至宝の紅玉が正面から顕わになる。
「<
ゴーーーン!
「……ハァーーーーー?」
山羊男の口がぱかりと大きく
ゴーーーン!
そのまま草でも
ゴーーーン!
「ゲ、<
フンバルトが大慌てで
ゴーーーン!
おまえ……本当に、真性の馬鹿なのか?
ゴーーーン!
おちょくって
ゴーーーン!
いや、せっかく発動した
ゴーーーン!
さてと……<
ゴーーーン!
じゃ、いっきますよーん。
ゴーーーン!
……ん?
ゴーーーン!
ゴーーーン!
ゴーーーン!
十二秒が経過し、この間に即死魔法が使用されなかったことを以て<
アインズの目前には……。
土下座でガタガタ震える山羊男の姿があった。
*
「なんだオメーら?」
「帰った帰った!ここは
廃墟の片隅のぽつん、と残った聖堂の周囲に
「「あん?何か言ったか?」」
「あ……いや……その……」
「ど、どーぞ、どーぞ、お好きなように。」
「な、何かお探しなのであれば、う、承りますが……。」
と
かつてのローブル聖王国王都ホバンス、その廃墟の郊外。
当地周辺から遥か大陸中西部までもからみかじめ料を集めている愚連隊の拠点、とされる建屋にキーノ率いる<黒の百合>は辿り着いた。
彼らが神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、などという物騒な名乗りを上げた話から、もう少し歯応えのある連中か、と思っていたが、出会う者は
「おまえたちの親分と話がしたい。
あるいは……」
アインズ・ウール・ゴウンか、と問うよりも前に、もっとも卑屈そうな
どう考えても、今こうして愛想笑いを浮かべながら先導する
この奥に待っているのがプレイヤー、あるいはNPCだとしても、どうしてそいつはこんな連中に取り巻かれているのだろうか。ましてや、こんな連中に傅かれている者が、よりによってアインズ・ウール・ゴウンの名を
この時点で、キーノはある程度の見切りをつけていた、と言えるだろう。
果たせるかな、聖堂の奥で彼女たちを待っていたのは
だかしかし。
キーノもクレマンティーヌも、おや?と感じている。
ナザリック地下大墳墓の食客であった時分、エントマとは一緒に仕事をする機会が多かったし、あそこで出会った存在の中では唯一自身と力量が拮抗すると感じたこともあって、キーノにはユグドラシル由来の存在の力の程を計るのにエントマを基準に考えるのが癖になっている。
そして、キーノ自身には必ずしもその自覚はないが、エントマが<アインズ・ウール・ゴウンの
つまるところ、キーノにとって目前の
が、それと、相手が素直にそれを認めてくれるか、は別問題だ。
「お、
別に私にまで敬語を使ってくれなくてもいいのに、とキーノは苦笑いする。
敢えてキーノは先手を取った。
「前触れもなく訪問した無礼は詫びる。」
この言葉に、蟲は静かに片手を差し出して見せた。
気にしなくてよい、の意だろうか。
「私の名はキーノ・インベルン。わかるか、とは思うが
こちらは私の眷属、クレマンティーヌ。そして旅の仲間、双子忍者のクゥイアとクゥイナ。」
キーノの指先が双子忍者を指したとき、あからさまに蟲は身を乗り出して凝視する構えを見せた。
なるほど、こいつも気づくのか。
キーノは
「待て。おまえも立場があろうから、この先の話に人払いが必要であれば、まずはそちらから。」
既に、キーノたちの後ろでは、自分たちが
意外にもキーノの意図が通じたものか、蟲は四本の腕をひょいひょいと振って後ろの破落戸たちに、出ていけ、と促した。戸惑いからかしばし誰も動かずにいたが、最初の一人が退出すれば、付和雷同に雪崩を打って逃げ散っていく。
「オ心遣イ、痛ミ入ル。」
ここに至って、初めて蟲が言葉を発した。
どうやら話が通じる相手のようだ。キーノはホッ、とない胸を撫で下ろした。
「ソチラノ忍者ハ……」
「そう、こいつらはユグドラシルの生まれだ。
が、私とクレマンティーヌは違う。こちらの世界の
「ソノヨウナコトガ……」
「それを言ったら、おまえだって随分な数のこちらの世界の子分を引き連れているじゃないか?」
カチカチカチ、と虫が左右の大顎を噛み合わせる。
笑って……るんだろうな、多分。
「失礼、名乗リヲ頂キナガラ返シテイナカッタ。
私ハ、コンチュータス。
なるほど。そうだろう、とは思ったが、こいつはいわゆるNPCか。
「わかってくれているとは思うが、私たちはおまえたちと事を構えるつもりはない。」
「ソレヲ聞イテ安心シタ。私デハ
お、意外に素直じゃないか。
「訊きたいのはただ一つだ。
おまえたちは……神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、と名乗っているのか?」
この問いに、コンチュータスは押し黙る。
キーノは、問い方が直裁に過ぎて、必ずしも理解できているわけではないユグドラシルの礼儀作法に背いてしまったものだろうか、と思案する。
「いや、問い糾しているわけじゃないんだ。
理解してもらえるかわからないんだが、この世界でその名を出すことは、場合によってはおまえたちにとって命取りになることもあり得る、ということを伝えに来たんだ。」
「……ド、ドウイウコトダ?」
コンチュータスはあからさまに慌ててみせる。
「おまえ……アインズ・ウール・ゴウン、を知らないのか?」
「ソノ言葉ハ知ッテイル。」
……はぁ?
言葉……ってどういうことだ?
「
「
「左様。」
どうにも意味がわからずに、キーノは助け舟を求めてクレマンティーヌを振り返るが、こちらは
「……何やってんだ、おまえ?」
「いやー、ワタシの推理も捨てたモンじゃないな、って!
アインズ・ウール・ゴウン、ってのは、アインズさんだけの名じゃなくて、ワタシらには意味がわからなくてもユグドラシルの連中ならみんな知っている何か有名なモノなのよん!」
あー、そう言えばクレマンティーヌがそんなことを言ってたな。
「コンチュータス、そうなのか?」
「イヤ、私モ意味ハ知ラヌ。」
ズコッ!
「うーん、どうにも話が噛み合わないな。」
キーノは頭を掻き毟りながらそうボヤく。
「コンチュータスちゃん!」
と呼び掛けたのはもちろんクレマンティーヌだ。
複眼で全景を捉えている彼は、名を呼ばれたからとてそちらに頭を向けることはない。
「さっきキーノちゃんが、神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、の名を出したとき、ちょっと考え込んだよね?アレってば……どういうこと?」
この問いが突破口を
「ソレハ……方々ノ
「「似てはいる?」」
思わずキーノとクレマンティーヌが
「……差し支えなければ、コンチュータスのギルドの名を訊いても構わないか?」
「ア…………ソ。」
んん?
「……クレマンティーヌ。
今の……復唱できるか?」
「いやいやいや!
なまじアインズ・ウール・ゴウン、なんて変な言葉を当たり前に知ってるから返って難しいわ!」
うーむ、と唸るキーノ。
「すまない、コンチュータス。
とても失礼なことなのかも知れないが、ユグドラシルとこちらの世界の音韻の違い、か何かのせいだと思うんだが、おまえたちのギルドの名は、ちょっと私たちには聞き取りにくい、というか、わかりにくい、というか、紛らわしいものだ。
本当に申し訳ないんだが、もう一度、ゆっくり言ってもらえるか?」
意外にもコンチュータスは、キーノが随分と自身に気を遣っていることに気づいたようで、
「ソンナニ
と断りを入れた後に、続けてこう言った。
「ア、イ、ソ、ズ、ウー、ノ、レ、ゴ、ウ、ソ……ダ。」
「「うがーーーっ!」」
キーノとクレマンティーヌが同時に頭を掻き毟る。
「だ、駄目だ!アインズ・ウール・ゴウンが邪魔して頭に入ってこない!」
「ワタシらって、思った以上にアインズさんに毒されちゃってたのねーーー!」
と、ここで。
黙って後ろに立っていた双子忍者の片割れ、会話担当のクゥイアがポソリと。
「アイソズ・ウーノレ・ゴウソ。」
全身を使って、ア、イ、ソ、ズ、ウー、ノ、レ、ゴ、ウ、ソ、と片仮名を作る
いや、クゥイナくん。
どれだけうまくやっても、キーノもクレマンティーヌも片仮名は読めないですから、残念!
「「……おぉ!クゥイア、
抱き合いながら感激するキーノとクレマンティーヌ。
えっへん顔のクゥイア、いささか不服そうなクゥイナ。
「ソレデ合ッテイル。」
うんうん、と頷くコンチュータス。
だがしかし。
「って……何だそれ?」
キーノの言葉に、カクリ、とコンチュータスの膝が折れる。
「名、トハ、ソウイウモノ、デハナイカ?
デハ、キーノ、トハ何ダ?
クレマンティーヌ、トハ何ダ?」
お、なんだコイツ。
無骨な化け物か、と思いきや存外話せるじゃないか!
「確かに、それはおまえの言う通りだな。」
「つまりコンチュータスちゃんは、ご主人様がそのアイ……なんちゃら、と名乗らずに、神聖アインズ・ウール・ゴウン帝国、と破落戸どもに名乗ったのに違和感を覚えてた、ってことでいいのかな?」
「
うーむ、とキーノは唸る。
何が起こっているのかはぼんやりと見えては来たが、それでも相変わらず意味不明であることに違いはない。
コンチュータスが所属するギルドはアイ……なんちゃらで、音の響きはなんとなくアインズ・ウール・ゴウンを連想はさせるが、それそのものではない。一方で、コンチュータスの
これを
「そうだ!ギルドの名で遊んでいる場合じゃなかった!」
一瞬、コンチュータスが、ムッ、とした様子を見せる。
「あ、すまん、コンチュータス。そういう意味じゃないんだ。
おまえの仲間に……私みたいな感じの、幼い女の子の吸血鬼は
「
キーノの瞳が驚きの余りがまん丸に
「いや待て待て!今、何と言った?」
「
「そこじゃない!おまえの同志の名だ!」
コンチュータスは、目前の少女吸血鬼も、今は亡き同志に似て情緒不安定な奴だな、などと思っているが、流石に口には出さなかった。
「アリンス・ブラッディーレイン。
レベル、デハヤヤ私ニ劣ルガ、イイ奴……デモナカッタガ、ギルドヘノ忠誠ヲ共ニスル仲間ダ。
北ヘ向ウ破落戸ニ加勢スベク同行シタガ、在地ノ者ガ使役スル、エルダーリッチ、ニ討チ取ラレタ、ト聞カサレタ。」
繋がった!
キーノの脳裏に霊感が走った。
白銀の蟲の甲冑武者と
シャルティア・ブラッドフォールンに
そして、アインズ・ウール・ゴウンにアイソズ・ウーノレ・ゴウソ。
これが偶然であるはずがない。
どちらかがどちらかを模倣したものだ。
そして、互いの力量から鑑みれば、アインズ・ウール・ゴウンのナザリック地下大墳墓こそが
トブの森のエンリネたちが、血塗れ、覇王エンリ・エモットに因んで名付けられたように。
いや、少し違う。
コンチュータスの外見とギルド名だけではわからなかった。
だが、アリンス・ブラッディーレインだけは、あのシャルティアが常に語尾に「ありんす」と添えることが先行しないとあり得ない名前だ。
つまり我々の知るアインズ・ウール・ゴウンは、
そう考えればすべての説明がつく。
何故、アインズ・ウール・ゴウンは初代ジルクニフ・エル・ニクスを気に入っていたのか。
つまり、アインズ自身がユグドラシルにおいて同じ立場にあって、初代ジルクニフに何らかの共感を
何故、ラナー・ヴァイセルフはアインズ・ウール・ゴウンに対し無謀な戦いを挑んだのか。
王族でありつつも真にその威徳を身につけることが叶わなかった彼女が、真の王者に嫉妬したからだ。
何故、
それは、アインズ・ウール・ゴウンがユグドラシルにおける最強の存在だったからだ。
何故、コンチュータスの
それは、アインズ・ウール・ゴウンがユグドラシルにおける
アインズ・ウール・ゴウンは数ある
彼こそが、ユグドラシルプレイヤーの
にもかかわらず、当の本人は自分自身を「ただのおっさん」と嘯き、世界最強の
だがしかし。
既にアインズは、
さもありなんだ。あの大魔王は、自身の名を騙ってこちらの世界の者たちからの搾取を試みた者を許しはしまい。
さりとて、
「コンチュータス!」
改めて強い語調でキーノは、目前の
「おまえにとっては不本意やも知れないが。私たちをおまえの
コンチュータスは言葉を詰まらせた様子で、たちまちには応答を返さない。
「一刻を争う話だ。おまえの仲間、アリンス・ブラッディーレインとやらを葬ったのは
おまえたちが図らずも敵対してしまっている相手は……」
「……相手ハ?」
「まさにアインズ・ウール・ゴウン……本人なんだよ!」
コンチュータスは固まったまま動かなくなってしまった。
無論、この時点の彼は、未だアインズ・ウール・ゴウンとは何であるかを理解はしていない。が、明らかに自分よりも強く見える目前の
そしてコンチュータスは、よりにもよってそのアインズ・ウール・ゴウンが待ち構えるやも知れない地点へ、本人に命じられてのこととはいえ、自身の
「
コノ、コンチュータス。一命ヲ懸ケテ、キーノ達ヲ
そう言うが早いか、コンチュータスは左下腕の爪先に嵌めていた指輪に右上腕の爪先を重ねて器用に操作した。その魔力が発動され、<
「私ハ
そう言いながらコンチュータスは礼を執ってキーノ達に先を促した。
キーノはその腰のあたりにそっと触れてこう返す。
「諦めるのはまだ早い。
危機に真正面から向き合う心を
「そーゆーことよ、コンチュータスちゃん。気楽に行きましょーーー!」
「前進!」
真っ直ぐ前に指を振り下ろす
<黒の百合>の四人は次々に<
キーノたちは、ほぼ同時並行的に、でありながらまったく異なる状況下において、アインズ・ウール・ゴウンが自分たちが辿り着いたのと同じ真相に、まさに触れようとしていることを未だ知らない。