クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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レッドリボン軍(1)

 大猿から人間に戻った悟空は、カウントダウン中に立ち上がったので試合続行となる。

 

 しかし素っ裸だったので、クリリンが亀仙流の道着を貸そうと申し出た。

 けれどそこで私が待ったをかけ。間一髪で重い道着を作成する。

 

 いくらブロリーから一撃をもらったうえに空腹で疲れているとはいえ、身軽になった悟空に、ジャッキー・チュンが勝てるとは思わない。

 

 彼もかめはめ波で月を破壊していないので、余力はある。

 だがやはりリーチで辛うじて勝てた彼では、地力の差は如何ともし難い。

 

 何より悟空に、世界は広く、上には上がいると実感してもらいたかった。

 ブロリー以外にも強い人はいっぱい居るのだと、そう思って欲しい。

 

 そんなこんなで、一時はどうなることかと思った。

 しかし、何とか軌道修正できたし、ヨシとするのだった。

 

 

 

 

 第二十一回天下一武道会の優勝は、ジャッキー・チュンになる。

 そして試合後に、食事を一緒にどうかと誘われた。

 

 個人的にはお呼ばれされたいけれど、ここはお断りさせてもらう。

 

 悟空だけでも、賞金の大半を使ってしまうのだ。

 私とブロリーが同行したら、破産してしまいそうである。

 

 なので、亀仙人にこっそり食事代を渡し、弟をよろしくお願いしますと小声で頼んでおく。

 彼も心当たりがあるようで、凄く感謝された。

 

 私は役に立てて良かったと思いつつ、続いて用意しておいたホイポイカプセルを取り出す。

 

「私が作成した、重い装備一式が入っています」

 

 そして、どうぞと二人に渡す。

 

「クリリンさんの分だけでなく、ヤムチャさんの分も用意しました。

 もし良かったら使ってください」

 

 別に使わなくてもいいが、彼らとは滅多に会わない。

 なので、今のうちに渡しておく。

 

 クリリンとヤムチャは、将来的には悟空と力を合わせて地球を守るのだ。

 重い服が微力でも修行の助けになれば、幸いである。

 

「ありがとうございます」

「ありがたく使わせてもらう」

「どう致しまして。では、私たちはこれで」

 

 なお、ヤムチャに関してはハイスクールに通っている。

 普段は下着やリストバンドと靴ぐらいしか、身に着けられないだろう。

 

 それでもやらないよりはマシだし、原作よりは少しは強くなれるはずだ。

 

(悟空だけじゃ不公平だし、バランスを取らないとね)

 

 彼らは次の天下一武道会に出場するので、これである程度は強さを合わせられるだろう。

 色々とガバガバな気もするが、悟空についていけるなら良しだ。

 

 

 

 とにかく約束は果たしたし、私とブロリーは瞬間移動で一足早く実家に帰らせてもらう。

 だがその前に、あることを思い出してブルマに声をかける。

 

「そう言えば、ブルマさんに頼みたいことがありました」

「ミズナから頼み事とは珍しいわね。何かしら?」

 

 懐から一枚の紙を取り出して、ブルマに手渡す。

 

「新しい修行場として、重力室を作ってもらいたいのです」

 

 彼女は渡された図面を、真面目な顔で流し読みしていく。

 そして、やがてふむと頷いた。

 

「なるほど、これが重力室の設計図ね」

「設計というか、私の勝手なイメージ図ですね」

 

 原作は大体こんな感じだったようなと、思い出しながら図を描いたのだ。

 多分正しいとは思うが、もしかしたら間違っている箇所もあるかも知れない。

 

「予算はどれだけかかっても良いです。お願いできますか?」

「別にいいけど、スクールに通いながらだから、ちょっと時間がかかるわよ?」

 

 彼女はまだ若く、ヤムチャとスクールライフを送っている。

 発明の時間が取れなくても仕方ないし、私も一朝一夕で完成するとは思っていない。

 

「構いません。時間がかかっても良いので、よろしくお願いします」

 

 そう言って、深々と頭を下げる。

 ブルマは、任せなさいと笑って引き受けてくれた。

 

 きっと未知の装置に挑戦するのが、楽しいのだろう。

 

(そろそろブロリーも気の制御が上手くなってきたし、新しい段階に進みたいと思ってたんだよね)

 

 この世界には、カッチン鋼やゼットソードという超重量の金属がある。

 なので重い服はまだまだ改良できるが、それだけでは不十分だと思っていた。

 

 重力室は新しい修行場として、ブロリーの役に立つはずだ。

 ただし気を抜くと暴走状態になるのは大変危険で、屋外ならまだ良いが精密機器がある部屋でそうなると不味い。

 

 私では修理ができないため、ブルマを呼ぶか重力室を持っていかなければいけないのだ。

 

(あと数年も修行すれば、ブロリーも気を完全に制御できるかな?)

 

 あくまでも私の目算ではあるが、もし気の制御が完全ではなかったら、抑制して技を封じた状態使うことになるだろう。

 

 とにかく無茶なお願いを引き受けてくれたブルマに、大いに感謝する。

 そして私たちは、今度こそ実家に瞬間移動した。

 

 ちなみに悟空は、孫悟飯の形見である四星球を探す旅に出る。

 食事を終えたら、すぐにボール探しに出発したのだった。

 

 

 

 

 

 

 天下一武道会が終わり、山奥の屋敷に帰宅する。

 夜なので食事をしながら、今日あったことを弟と話す。

 

 ブロリーは悟空の成長や地球人の健闘ぶりを、楽しそうに語っていた。

 

 そのあとはのんびり風呂に入って一日の汚れを洗い流し、フカフカのベッドでゆっくり休む。

 

 

 

 次の日、目が覚めたら分身体に管理を任せていた広大な農地を見回る。

 毎日欠かさずチェックしているので、特に異常はなかった。

 

 ブロリーも一日修行を休んだとはいえ、今日から平常通りに再開だ。

 弟の成長をこの目で見たことや、地球人も意外とやると好感度が上がったらしい。

 

 モチベーションが高まり、より一層鍛錬に身を入れていた。

 

 

 

 一方で私は、余程のことがない限りはマイペースだ。

 保護者として地球での生活の面倒を見ないといけないし、そもそも自分は修行をしても、戦闘力が殆ど上がらない。

 

 相変わらず弱いままなので、イメージや自主トレで十分だ。

 それでも少しずつは強くなっていて、あとはもっぱら美味い食事や食材の追求、他にも生活レベルの向上に努めている。

 

 

 

 そんなある日、今日もいつも通りにブロリーと食事をしながら雑談をしていた。

 

「そう言えば悟空は今、レッドリボン軍と戦っているみたいですね」 

「……レッドリボン軍?」

 

 大鍋から直接ラーメンをすすりながら、続きを話していく。

 

「ええ、地球最悪の軍隊です」

「危険か?」

「悟空も不覚を取れば、危ないかも知れません」

 

 原作では、危うい場面も何度かあった。

 何かの歯車が狂えば、悟空が負けてもおかしくはない。

 

「ですが強くなるには、時には危険に飛び込むことも必要でしょう」

「ああ、実戦に勝る経験はない」

 

 サイヤ人は瀕死から復活すると、大幅にパワーアップする。

 私はそんなことはごめんだが、悟空は何度も危うい目に遭い、そのたびに劇的に強くなってきた。

 

 なのでレッドリボン軍との戦いは、弟が経験を積む絶好の機会と言える。

 私もブロリーも、手を貸さないほうが良いだろう。

 

 

 

 しかし、そうは言っても悟空は私の弟だ。

 やっぱり、あまり危険な目には遭って欲しくはない。

 

「ううん、少し心配ですね」

 

 私は腕を組んで、うーんと唸りながら天井を見上げる。

 

「世界は広く、地球人にも悟空と戦える者もいるでしょう」

 

 悟空は天下一武道会で準優勝しだが、それはあくまで表の世界だ。

 裏の世界の実力者は、参加していなかった。

 

 そしてレッドリボン軍との戦いで、敵として立ち塞がる。

 道着をつけたままでは勝ち目は薄いどころか、負けるのが原作の流れだ。

 

 しかし、あれは一歩間違えれば死んでいてもおかしくない。

 絶対にドラゴンボールに当たるとは限らないため、安全策を取っておいて損はないだろう。

 

「少しだけ、手助けしますか」

 

 サイヤ人は戦闘民族で、一対一の戦いを好む。

 そして相手が強ければ強いほど、燃えるタイプだ。

 

 基本的に助力は求めないので、ブロリーも悟空のことが心配ではあるが、助けに行こうとは言わない。

 それに彼の場合は、弟が負けるはずないと信じているのもあるだろう。

 

 食事をしながら、私の発言を黙って聞いていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 私が悟空を手助けすることを決めてから、少しだけ時が流れた。

 ある人物と接触するために、彼が指定する場所に向かう。

 

 今回は相手が相手なので、ブロリーに気を消してこっそり付いて来てもらった。

 

 店の外に待機してもらい、何かあったら念話を送るので、その時はすぐ助けに来るように頼んでおく。

 

 

 

 私は街の隠れ家的なバーに入り、カウンターの椅子に座ってある人物を待つ。

 

 だが身長的には、どう見ても幼女である。

 子供らしくミルクを注文してちびちびと飲む。

 

 ブロリーは育ち盛りなのか追い抜かれてしまい、ちょっとだけ悔しい。

 

(まあ牛乳を飲んだからって、別に身長が伸びるわけじゃないけど)

 

 そんなことを考えながら何気なく店内を見回すと、今は私と裏の事情を知るバーテンダー以外は誰もいない。

 本日は貸し切りなので、他の客は入ってこないようだ。

 

 

 

 そのまま少し待つと、入口の扉が開いて目的の人物が来店する。

 気を感じればすぐにわかるので、わざわざ振り向くことはしない。

 

 そして彼も、私のことを知っている。

 真っ直ぐこちらに近づき、隣の椅子に座った。

 

「世界一の殺し屋、桃白白<たおぱいぱい>だ」

 

 桃白白の簡単な自己紹介が終わったので、今度は私が口を開く。

 

「どうも、桃白白さん。私は──」

「知っている。女神ミズナであろう?」

「えっ?」

 

 私は表向きは平静を装いつつ、内心ではいきなり何言ってんだこの人と大いに困惑する。

 まさか女神の呼称が、裏の世界まで轟いているとは思わなかった。

 

「最近は世界中の街に現れ、人助けをしているようですな。

 殺し屋である私とは真逆の存在ゆえ、ちと興味が湧いたのです」

「はっ、はぁ……そうですか」

 

 どうやらそれが、私が女神と呼ばれている理由らしい。

 ドラゴンボールで願いを叶えてから、帰りに大きな街に寄って食材を買い込んだ。

 

 その時食べた物が、とても美味だったのだ。

 以降は各地の名産品を求めて、ちょくちょく外出することが増えた。

 

 そして今は、世界最悪の軍隊であるレッドリボン軍がやりたい放題している。

 治安が非常に悪く、犯罪が多発していた。

 外出するたびに事件に巻き込まれては、犯人逮捕に協力しているのだ。

 

 そういう意味では、助けられた人が私のことを女神と呼ぶのも、一応は納得できた。

 

「それで女神が殺したい標的は、一体誰ですかな?」

 

 私が言いようのない羞恥心に悶えて内心でゴロゴロ転がっていると、桃白白が仕事の話を振ってくる。

 

「本来なら一人で一億ゼニーいただくところですが、貴女はとても運がいい」

 

 彼はにやりと笑いながら、得意気に続きを話す。

 

「今年は私の殺し屋二十周年キャンペーンで、半額セールを実施中である。

 一人につき、五千万ゼニーでサービスしましょう」

「どっ、どうも、ありがとうございます」

 

 何と返して良いのか、わからなかった。

 しかし一応料金を割引してくるので、素直にお礼を言っておく。

 

 色々戸惑ったけれど、私は当初の目的を果たすべくコホンと咳払いをして、場を仕切り直す。

 

「その前にお聞きしますが、標的にトドメを刺さずに瀕死に追い込むことはできますか?」

 

 今回の依頼においては、特に重要なことだ。

 なので真剣な表情で彼に尋ねると、桃白白は顎髭を弄りながら少し考える。

 

「私は標的は必ず殺す信条ではあるが、そのような依頼人もおりますな。

 ですが手間がかかるので、料金は倍もらいますぞ」

「構いません。それでお願いします」

 

 駄目だったらどうしようとビクビクしていた。

 しかし、トドメを刺さずに瀕死に追い込むのは可能なようだ。

 

 問題は真剣勝負の最中に、手加減する余裕があるかだ。

 なので、そこは実際にやってみるまでわからない。

 

 けれど桃白白は、仕事で殺しをしている。

 引き受けた以上、真面目にやってくれるはずだ。

 依頼が達成できずに料金を受け取れないのは、避けたいだろう。

 

 なので取りあえず私は懐に手を入れ、一枚の写真を取り出す。

 

「標的は孫悟空です。彼を瀕死に追い込んで欲しいのです」

 

 瀕死というのは、放っておけば間違いなく死ぬほどの重症だ。

 ただしサイヤ人を除くだが、桃白白はそのことを知らない。

 

「ふむ、苦しませてジワジワ殺したいほど、深い恨みを抱いていると」

 

 彼は私と悟空の関係に、興味津々のようだ。

 女神として有名だし、弟にも尻尾が生えている。

 天下一武道会で家族であることは公表したし、この程度は調べればすぐにわかるだろう。

 

 なので気にせずに、依頼に関して話を進めていく。

 

「もし途中で邪魔をされたら、その人たちも瀕死でお願いします。

 料金は今ここで、先払いで渡します」

 

 そう言って私は、懐から大きなダイヤモンドを取り出した。

 それを彼の前にコトリと置く。

 

 これには桃白白だけでなく、我関せずを貫いていたがバーテンダーも驚いた。

 

 能力で創造した物だが、品質は天然物以上なので何の問題もない。

 

「私は宝石に、あまり詳しくはありません。

 ですが、少なくとも十億ゼニー以上の値打ちがあるはずです」

 

 桃白白も、宝石の観察眼は持っていない。

 チラリとバーテンダーに視線を向ける。

 

 するとカウンターの奥からダイヤモンドを注意深く調べて、やがて真面目な表情で静かに頷く。

 

 プロに鑑定してもらわないと詳細はわからないが、最低でも十億ゼニー以上の値打ちは保証されたようだ。

 

 

 

 私がその気になれば、大金持ちになるのは容易い。

 能力を使えば地球の経済を破壊することもできるのだ。

 

 しかし、そんなことはしたくない。

 できればダイヤを作成するのは、今回限りにしたいものだ。

 

 とにかく交渉は成立し、桃白白と仕事の話を詰めていく。

 

「それで、手順は? 女神が私の後ろを付いて来るのですかな?」

 

 彼の発言に、私は微笑みながら首を横に振る。

 

「いえ、瀕死に追い込んだら、あとは放置で構いません」

「なるほど、ジワジワと苦しんで死ぬのがお望みですか」

 

 変な方向に勘違いしているようだが、否定して依頼を断られたら面倒だ。

 なので私は何も答えずに、曖昧に微笑んでおく。

 

「今は孫悟空は、聖地カリンというところにいるはず。

 桃白白さん、よろしくお願いしますね」

「うむ、任された」

 

 深々と頭を下げると、桃白白は不敵な笑みを浮かべて返事をする。

 世界一の殺し屋だけあって、大した自信だ。

 

「殺害報告の必要はありません。

 桃白白さんなら必ずやり遂げると、信じていますので」

「当たり前だ。世界一の殺し屋である私に、殺せぬ者はない」

 

 原作を知る私からすれば、彼が殺せない対象はかなり多い。

 しかし、そんなことは今は関係はないし、悟空を瀕死に追い込むという目的は果たした。

 

 

 

 私は席を立ち、バーテンダーにミルクが美味しかったことを伝える。

 そして優雅に一礼して、店の外に歩いていく。

 

(ブロリーも隠れて待っているのは、暇だったろうし。

 せっかくだから何処か適当な飲食店に寄ってから、家に帰ろうかな)

 

 そんな緊張感の欠片もないことを考える。

 何にせよ一仕事終えたので、開放感を味わいながら扉を開けて弟が待つ外に出るのだった。




各キャラの最大戦闘力

ミズナ 70
ブロリー 6億~7億
悟空 160
桃白白 130

この時点での原作悟空は推測で90らしいので、桃白白は本当に強かったんですね。
こっちでは修行してるから上回ってますが、それでも重い服を着てれば大幅ダウンです。
まあ、かめはめ波で気を一点集中されたら、桃白白でもヤバいですが。
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