クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

16 / 38
レッドリボン軍(2)

<孫悟空>

 じっちゃんの形見の四星球を探す途中で、オラはレッドリボン軍と何度も戦った。

 中には危ない場面もあったが、結果的にはその全てに勝利する。

 

 しかし聖地カリンで出会った奴は、今までの相手とは違う。

 何しろ柱に乗って、突然空から降ってきたのだ。

 

「アロ~ハ~」

 

 地面に刺さった柱の上に乗って、怪しい男は呑気に挨拶をする。

 そのただならぬ様子に、ウパの父ボラが警戒して大声を出した。

 

「なっ、何者だ! お前は!」

「世界一の殺し屋。桃白白!」

 

 殺し屋というのだから、人を殺すのが仕事なのだろう。

 しかしオラには、何故ここに来たのかさっぱりわからない。

 

「殺し屋だと? 殺し屋が、この聖地カリンに一体何の用だ!」

「こんなところに用はない。用があるのは、そこの小僧だ」

「何っ!?」

 

 桃白白と名乗った殺し屋が、オラに視線を向ける。

 

「オラの何の用だ? オラ、おっちゃんなんか知らねえぞ」

 

 やはり心当たりがなく、警戒しつつ彼の話に耳を傾ける。

 

「レッドリボン軍に依頼されたと言えば、わかるだろう。

 ボール拾いの邪魔をするお前を殺すのが、仕事の内容だ」

 

 オラはレッドリボン軍と何度も衝突し、ドラゴンボールを奪い合った。

 奴らは根っからの悪人なので、神龍への願いは絶対ろくなものじゃない。

 

 おいそれと渡すわけにはいかずに、思ったことがそのまま口に出る。

 

「レッドリボン! またか~! しつっこいなあ!」

 

 オラを殺しにきた桃白白に怒りをぶつけると、彼はまだ話すことがあるようで、思い出したかのように口を開く。

 

「それと、お前の姉にも依頼されたぞ。孫悟空を殺してくれとな」

「ねっ、姉ちゃんがオラを!? うっ、嘘だっ! 嘘だーっ!」

 

 あの優しくて家族思いの姉ちゃんが、弟のオラを殺すように桃白白に依頼したなんて、絶対に嘘に決まっている。

 

 いくら疑うことを知らずに、素直に信じるオラでも、これだけは真っ向から大声で否定する。

 

「嘘ではなく本当だ。

 まあお前が信じようが信じまいが、殺すことには変わりないがな」

 

 何より桃白白は、オラが大好きな姉を悪人のように語るのだ。

 到底許せずに、激しい怒りが胸の奥から湧き出てくる。

 

 しかしここで、父親の足にすがりついているウパが大声で叫ぶ。

 

「ちっ、父上! あのお兄さんを助けてあげて!」

「うむ、今の少年は少々危うい! 私に任せておけ!」

 

 ボラは不敵に笑う桃白白に一歩近づき、大きな声を出す。

 

「その少年は、私の息子の命を救ってくれた。

 このまま黙って立ち去らぬのなら、私が相手になるぞ」

 

 槍を構えるボラに、オラは感情のままに大声で呼びかけた。

 

「おじさん! あいつはオラの相手だ! オラが倒す!」

 

 しかしオラの声を聞いたボラは、安心させるように優しく微笑んで口を開く。

 

「少年、聖地カリンを守るのも私の役目だ。

 離れていろ。ウパ」

 

 今のボラの笑顔は、何となくだけど姉ちゃんに似ていた。

 なのでそれを見たオラは少しだが、心を落ち着かせることができた。

 

「ふっふっふっ、馬鹿な奴だ。わざわざ死を選ぶとはな」

 

 だが桃白白は、相変わらず不気味に笑っている。

 まるでオラたちのことなんて、未地機の小石のように全く眼中にないようなのだった。

 

 

 

 

 

 

<ミズナ>

 世界一の殺し屋は、やっぱり強かった。

 道着を着用している悟空と互角か、それ以上の実力を持っている。

 

 かめはめ波を受けて服が燃え、かなりの大ダメージを受けた。

 それでも何とか耐えきり、お返しのどどん波をお見舞いする。

 

 結果、悟空に直撃して見事倒してみせたのだ。

 私との契約は、ちゃんと守ってくれた。

 

 ちなみにボラは槍投げで急所を外して刺さって貫通しなくても、殆ど致命傷で意識不明だし、悟空は胸ではなく腹を撃たれて気絶している。

 

 原作を知ってると私としては、前者はまあ即死じゃないからまだいい。

 しかし弟のほうは、じっちゃんが守ってくれずに余計に酷くなった。

 

 けれど、現実も運良くドラゴンボール当たるとは限らない。

 

 色々思うところはあるが、両者ともに放っておけば一日保たずに死ぬ。

 今すぐ医者に見せれば万が一ぐらいで助かるが、聖地カリンは人里離れていて、電話もないし遠すぎる。

 

 そして真面目に契約を完了させた桃白白を見て、私の好感度が少しだけ上がった。

 しかし、彼がレッドリボン軍の依頼も受けているとは意外だった。

 

 良く考えれば両方受けたほうが儲かるし、原作でも契約している。

 別におかしくはないが、タイムトラベルもので良く聞く歴史の修正力なのかも知れないのだった。

 

 

 

 

 

 

 ウパが、意識は朦朧として苦しむ二人を寝かせて何とか傷を治療しようとしている。

 だが医者でない彼に、できることは殆どない。

 

 徐々に衰弱して死に近づいていく彼らの出血を、必死に止めようと頑張りつつ、悲しそうな顔で見守るぐらいだ。

 

「ちっ、父上、悟空さん。……ボクがもっと強かったら」

 

 このまま放っておけばサイヤ人の悟空は助かる可能性があっても、ボラは確実にあの世行きだ。

 

 しかし私は、そのために備えていた。

 瞬間移動で弟の目の前に飛び、現在死にかけの二人に近づく。

 

「うわあっ!? だっ、誰っ!?」

「説明はあとです。少しだけ、失礼しますね」

 

 戸惑っているウパを横目に、二人に静かに手をかざして意識を集中させる。

 

「きっ、傷が!?」

 

 先程まで生死の境を彷徨っていた悟空とボラの傷が、みるみる塞がっていく。

 それと同じく顔色も元に戻って血色が良くなり、ついで破損したり汚れた服も直しておいた。

 

「もう大丈夫です。傷は完全に塞がりました」

 

 取りあえず危機を脱したことを確認した私は、静かに息を吐く。

 

「誰だか知りませんが、ありがとうございます!」

 

 ボラは嬉し涙を流して、深々と頭を下げてお礼を言われた。

 

 しかし私は罪悪感が大きくなり、何とも申し訳なく思って頬をかく。

 そして逆に頭を下げて、心の底から謝罪の言葉を口にする。

 

「お礼は不要です。

 これも全て私が招いた過ちと言いますか、謝らないといけないのは私のほうなのです」

 

 どう説明したものかと頭を悩ませていると、そこで悟空とボラの意識が戻った。

 

「ううっ、私は……一体」

「良かった! 父上! 目が覚めたのですね!」

「……ねっ、姉ちゃん? 何でここに?」

 

 悟空もボラも、聞きたいことが色々あるだろう。

 しかし二人は傷は癒えたが、体力を大きく消耗している。

 

 なので、しばらく安静にしてもらうことに決めて、私はある提案をする。

 

「取りあえず食事にして、状況の説明は食べながらにしましょう」

 

 ホイポイカプセルを投げると、大量の食料や食器が現れた。

 

「今は安静にして、失った体力を回復させるのが先決です。

 食事の準備は私がやりますので、三人は休んでいてください」

 

 良くわからないようだが反対意見はないようで、私は食事の準備に取り掛かる。

 悟空も疑問はあっても食欲には勝てないようで頷き、何とか落ち着いた状況で話を聞いてもらえそうで、ホッと息を吐くのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。