クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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いでよ神龍(二回目)

 色々あって、桃白白がうちの従業員になった。

 何故か私のことを本物の女神だと勘違いして崇めているが、否定すると闇落ちしそうだし黙っておく。

 

 今はブロリーの修行相手になってくれるので、良しとしておいた。

 ただし、弟と同じように毎日の畑仕事はしてもらう。

 

 大農場の管理は亀仙人の修行に近いので、基礎訓練にはもってこいなのだ。

 

 そして桃白白も重い道着を着用させて、毎日真面目に鍛錬に励んでもらう。

 

 近所に新しく宿舎を建てて、そこに引っ越してもらった。

 私にとっては従業員が増えても、食事を作る量が少し増えるだけだ。

 サイヤ人と比べれば安上がりだし、特に問題はないのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんなある日、悟空が筋斗雲に乗って帰ってきた。

 

 なお桃白白とは殺し合った仲だし説明が面倒なので、少しだけ引っ込んでいてもらう。

 弟はまだ気を感知できないので、多分バレないはずだ。

 

 

 

 私は何食わぬ顔で洗濯物を干しつつ、いつも通りにのんびりと声をかける。

 

「おかえりなさい。悟空」

「姉ちゃん! ただいま!」

 

 千里眼で大体の事情は知っている。

 しかしプライバシーの侵害になるので、そのことは口にせずにニコニコ笑顔で対応するように心がけていた。

 

「実はドラゴンボールが全部揃ったんだけど、叶えたい願いがねえんだ!」

「……え?」

 

 弟からの相談は何とも意外であり、じゃあ何のためにドラゴンボールを集めてたのかと尋ねる。

 

「悪人に渡したら、悪いことに使われるだろ?」

「まあ、それはそうですね」

 

 レッドリボン軍がドラゴンボールを狙っていたのは、ボスの身長を伸ばすためだが、悟空はそのことを知らないし部下は世界征服を願っていた。

 何にせよろくなことにならないのは明らかだし、弟の主張は間違ってはいない。

 

 だがそれはそれとして、私の元に来た理由がさっぱりわからなかった。

 

「姉ちゃんなら、良い願いを知ってると思ってさ!」

 

 悟空は相変わらず私への信頼度が高いと言うか、お婆ちゃんの知恵袋的に便利に使ってるなと思った。

 

(一番身近で色々知ってるのが私だし、頼るのもわからなくはないかな)

 

 しかし、自分は何でも知ってるわけではない。

 ちょっと原作の知識がある以外は、至って普通なのだ。

 

 なので急にそんなことを聞かれても困るわけで、姉としては何とか弟の助けになってやりたくて、色々と考えてみる。

 

「無理に願わなくても、何か思いつくまで保管でいいんじゃないですか?」

 

 七つ揃ったら、願い事を必ず叶えなければいけないという決まりはない。

 原作でも、いつでも使えるように保管していたし、そういうのも全然アリだ。

 

 そんな感じで提案したら、悟空が大喜びする。

 

「その手があったかー! 流石は姉ちゃん!」

「あはは、どう致しまして。あー……でも」

 

 だがここで私は、さらにあることを思いついた。

 少し真面目な顔で、悟空に告げる。

 

「レッドリボン軍の被害を受けた人が、世界中に大勢居ます。

 その人たちを助けるのも、良いかも知れませんね」

 

 原作ではボラが桃白白に殺されて、彼を生き返らせるためにドラゴンボールを集めていた。

 私の発言は、それをちょっと拡大解釈した感じだ。

 

「そっかっ! 確かにレッドリボンって奴は、世界中の人たちに迷惑かけたしな!」

 

 私はそれ以上は、何も言わない。

 悟空が頑張って集めたんだし、叶えたい願いは弟が決めるべきだ。

 

(私は前に、勝手に使わせてもらったし)

 

 ギャルのパンティという名シーンと、悟空たちが頑張って集めたドラゴンボールを横から奪ってしまった。

 今はお詫びとしてうちで収穫した野菜を定期的に送ったり、それなりに友好的な関係は築けているはずだ。

 

 

 

 とにかくやがて決心したのか、悟空は七つの玉を地面に並べ始める。

 なので、私はそこで待ったをかける。

 

「悟空、ちょっと待ってください」

「何だ? 姉ちゃん」

 

 念のために確認しておきたかったので、私は真面目な表情で悟空に尋ねる。

 

「貴方は神龍を呼び、レッドリボン軍の被害を受けた人を助けるつもりですよね?」

「ああ、そうだぞ」

 

 何で止められたのかわからないようで、悟空は首を傾げている。

 しかし、これを説明するのは少し面倒だ。

 

 なので、実演しながらのほうが手間が省けるかも知れない。

 

「願いは、私が言っても良いですか? 内容は変わらないので」

「別にいいけど、姉ちゃんが言う意味があるのか?」

「念のためですよ」

 

 やっぱり悟空は良い子だ。

 私のことを全面的に信頼しているようだ。

 

 もし悪人だったら騙して別のことを願うが、もちろんそんなことはしない。

 

 だがまあ自分も、そんなに大した人間じゃないのだ。

 そう内心で苦笑しつつ、静かに息を吐いて呼吸を整えて、地面に並べられたボールを見ながら大きな声を出す。

 

「いでよ神龍! そして願いを叶えたまえ!」

 

 これで二回目ではある。

 さっきまで日が出ていたのに、いきなり夜になった。

 続いて七つのドラゴンボールが光り輝き、そこから巨大な龍が現れて天へと登っていく。

 

「これが神龍かーっ! 凄えな~!」

 

 そう言えば、原作の流れが少しだけ変わってしまっていた。

 悟空は神龍を見るのは初めてのようで、驚いて口を半開きにしている。

 

「さあ、願いを言え。どんな願いも一つだけ叶えてやろう」

 

 本来なら、このあと願いを口にするところだ。

 しかしその前に、私は意識を集中させて地球の人々に語りかける。

 

『……聞こえますか? 今、貴方たちの心に直接語りかけています』

「姉ちゃん、急にどうしたんだ?」

 

 もちろん隣の悟空も効果範囲内だ。

 急に変なことを言いだした私に、すぐにツッコミを入れてきた。

 

「今大事なところなので、少しだけ静かにしていてください」

「おう、わかったぞ」

 

 取りあえず事が終わるまでは、少しだけ静かにするようにとお願いする。

 素直で良い子の悟空が言う通りにしてくれたので、コホンと咳払いをして仕切り直しだ。

 

『私はミズナ。貴方たちが女神と呼ぶ者です』

 

 自分から名乗ったことはないと思うが、この際なので女神のネームバリューを使わせてもらう。

 

 噂されるのも今だけで、街頭インタビューを受けたり事件解決を偶然テレビで撮影されることもあるが、そういうのは滅多にないし多分大丈夫だろう。

 

 とにかく念話を続けて、世界中の人にメッセージを送る。

 

『突然ですが、今からレッドリボン軍の被害を受けた人を助けます。

 ただし、全員ではありません。

 何らかの条件により、対象にならない人もいることをご了承ください』

 

 苦情は受け付けない。

 いちいち対応していたらキリがないし、救済の機会を得られるだけでも良かったと思って欲しい。

 地球の神が頼りにされたら困ると愚痴るナメック星人の気持ちが、今は少しだけわかる気がした。

 

『おお、わかってくれるか! やはりミズナは次の神に──』

『今、忙しいので、あとにしてください』

 

 突然、何処からともかく念話に割り込まれた。

 付き合ってられないので遮断したが、マジで後継者は勘弁してもらいたい。

 

 とにかく伝えるべきことは伝え終わったので、他の念話の接続も全て切る。

 

 そして大きく息を吐いて、願いを待っている神龍に顔を向ける。

 

「レッドリボン軍に被害を受けた人たちを助けてあげてください!

 ただし、悪人や特殊な事情がある人は除くように!」

 

 一見すると願いが二つも三つもあるように思えるが、実際その通りだ。

 しかし、サービス精神旺盛な神龍なら上手くやってくれるはずだ。

 

 悪人や輪廻転生などで生き返れない人などは除外したり、どのぐらいの被害規模なら救済が入るのかは、実際のところは良くわからない。

 

 なのでその辺りは全部、前にもやったようにイメージ映像を神龍に送っておいた。

 彼に丸投げするが、叶うかどうかは少し不安であった。

 

「容易いことだ」

 

 どうやら簡単なことらしい。

 神龍は私を神っぽくして欲しいという願いよりも、ずっと早く片付けてくれた。

 

 念のために千里眼で確認すると、確かに生き返ったり怪我が治ったりしている。

 

「願いは叶えてやった。では、さらばだ」

 

 やがて神龍は消えて、七つのドラゴンボールが空高く上がっていく。

 

「四星球は、……あれか!」

 

 ボールが世界中に飛び散る直前に、悟空は空に向かってジャンプした。

 孫悟飯の形見である四星球を、無事にゲットするのだった。

 

 

 

 

 

 

 その後についてまとめると、悟空は筋斗雲に乗って仲間たちの元に戻った。

 今後どうするかは、皆で話し合って決めるらしい。

 

 お別れの挨拶なんかもあるだろうし、次の天下一武道会で今度こそ優勝するんだと、嬉しそうに教えてくれた。

 

 ちなみに出発前に、重い服をいくつか頼まれる。

 ついでにしばらく帰って来そうにないので、ホイポイカプセルに食料や日用品などをたくさん持たせて、笑顔で送り出すのだった。

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