クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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盗んだポッドで走り出す

 まずは情報を集めることだ。

 両親に非戦闘員としての教育を真面目に受けながら、将来は宇宙船に関する仕事に就きたいことを伝える。

 

 戦闘力はなくても私が思った以上に賢いことに、彼らは気を良くしてくれた。

 質問すると色んなことを教えてくれるし、参考資料も用意してくれるので本当に助かる。

 

 あとは冷遇されたくないのでなるべく周りに合わせるようにして、作戦決行までは慎重に行動する。

 

 その結果、重要なことがいくつかわかった。

 まずはバーダックの息子であるカカロットが生まれて、コルド大王が引退してフリーザが後を継いだことだ。

 

 おかげで惑星ベジータがいつ破壊されるかは不明だが、原作漫画的にはもうあまり時間がないことはわかる。

 

 

 

 正直に言えば、かなりの詰め込み教育で不安要素は多い。

 だがタイムリミットが残り僅かなのは仕方なく、私は宇宙港の情報を調べて準備を整え、決行の日を待つ。

 

(辺境の星に飛ばされる子供たちに、便乗させてもらえば!)

 

 辺境の惑星飛ばしに紛れ込めば、惑星ベジータから脱出できる。

 五歳になったばかりの私は下調べ済みの発着場に潜入し。目立たない場所に隠れて周囲の様子を伺う。

 

 そして人の気配がなくなったときに、一人用のポッドに見つからないように慎重に近づき、ハッチを開けて急いで飛び込んだ。

 

 すぐに閉めて、外から見えないように体を縮こませて隠れる。

 名も知らぬ子供の宇宙船に相乗りさせてもらったが、ポッドは元々一人用だ。

 

 遠くからならともかく、近づいて覗き込まれれば、私の存在はすぐバレてしまう。

 

(どうかバレませんように!)

 

 心の中でバレないように切に願って小さく震えていると、やがて体が地面に押しつけられるような負荷を感じたので、どうやら内部を点検されることもなく打ち上げてくれたらしい。

 

 そして目の前の子供もスヤスヤ眠っているので、急に目覚めて騒がれなくてホッと息を吐く。

 

 

 

 普通に考えて、ポッドに五歳児が紛れ込むことなどあり得ない。

 発射直前に、わざわざもう一度調べる必要はないと判断したのだろう。

 

 だがまだ近くを多くの宇宙船が航行しているため、万が一中を覗かれたらバレてしまう。

 

 眠っている子供が起きて、騒がれても不味いし、惑星ベジータを離れるまでは貝のようにじっとしているべきだ。

 

 しかしただ待っているのも暇なので、この日のために用意したリュックから携帯食料を取り出し、小さな口に放り込む。

 

「味はともかく、お腹は膨れるね」

 

 星々が輝く外の景色を、こっそり眺めつつ時間を潰す。

 やがて惑星ベジータから十分に離れたことを確認し、私はモゾモゾと動き出す。

 

 そして眠っている男の子を起こさないように気をつけて、慎重にコンソールを操作する。

 

「このポッドの行き先は……っと」

 

 下級戦士の子供を捨て駒として辺境惑星に送り込み、大猿化させてその惑星の原住民を滅ぼすのが目的らしい。

 孫悟空も元は、そのようにして地球にやって来たのだ。

 

 ならば彼も、何処の星に向かっているのは間違いない。

 それを調べるために、少し緊張しながら操作を行う。

 

「ええと、確か、ここをこうして……っと」

 

 将来は宇宙飛行士か、それに関する仕事に就きたいと嘘を言って頑張って勉強した。

 だが、そう簡単に身につくものではない。

 

 コンソールの操作が初めてなのもあっておっかなびっくりだが、何とか上手くいったようだ。

 

「えっ? 小惑星バンパ?」

 

 全く聞き覚えのない惑星名に、慌てて周辺宙域の情報を表示させる。

 さらに詳しく調べた結果、人間のいない過酷なだけの星だとわかった。

 

 それ以外のことは良くわからないが、私の戦闘力では一日だって生き延びられないし、何も知らずにスヤスヤ寝ている男の子も同じだ。

 

 これでは死んでこいと言っているようなものだったが、下級サイヤ人など使い捨ての駒のようなものだし、まあそういうこともあるかと納得はできた。

 

「何にせよ、これは不味いね。

 だったら、ここを、こうして……っと」

 

 私は自動操縦の行き先を変更しようとしたが、その途中で手が止まる。

 

「地球って、何処にあるんだろう?」

 

 地球が存在する宙域がわからない。

 それに一人用のポッドの燃料は、あまり余裕がなかった。

 

 小惑星バンパへの、片道切符分しか入れられていないようだ。

 本当に死んでこいと言われているかのようである。

 

 しかしこうして迷っている間にも、燃料は減り続けているのだ。

 早めに決めなければ、選択肢は狭まる一方だった。

 

「考えるのはあとにして、今は何処か別の星を探そう」

 

 何処を選んでもサイヤ人の悪名は広く知られており、到着早々攻撃されるかも知れない。

 しかし過酷なだけで何もない、無人の惑星よりは断然マシだった。

 

 何しろ数日保たずに絶対死ぬ星から、生き残る可能性が少しはある星になるのだ。

 

 

 未来にあまり希望が持てないのは変わらないが、どうせ惑星ベジータに残っても近いうちに死ぬしと、現実逃避しつつ殆ど直感で行き先を決める。

 

 他に良い案はないし、今さら途中下車はできない。

 目的地を切り替えたら、後は野となれ山となれと大きく息を吐く。

 

「そう言えばここ数日、ろくに寝てなかったなぁ」

 

 五歳児が気づかれないように念入りに準備をしても、いつ何処でミスして不審に思われたり、バレるかわからない。

 まさに毎日が緊張の連続で、ゆっくり休む暇などなかったのだ。

 

 だが今は違い、やることはあっても一先ずの危機は脱した。

 

 おかげで落ち着いて気が緩んだのか、睡魔が一気に押し寄せてきて大きくアクビして、せっかくだしこの機会にゆっくり休ませてもらうのだった。

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