クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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第二十ニ回天下一武道会(2)

 天下一武道会に覆面レスラーの二人が参戦した。

 ブロリーと桃白白だが、原作を壊さないようにするために組み合わせ表を操作させてもらった。

 バレなければ犯罪ではないし、気を感じ取れば誰が残るべきかはすぐにわかる。

 それができるのは極少数だが、正しく強者のみを本戦に出場させるのだ。

 

 ただ運も実力の内と言うし、それを潰してしまったので心の中で謝罪するのは忘れない。

 表向きは女神だ何だと言われてもてはやされているが、やっぱり私は普通の人間なのだ。

 

 だが本戦だけでなく予選も操作したけど、原作のタイトルは作られた対戦表だしヨシである。

 特に意味もなく現場の猫のように、隠れてこっそりビシッと指さしておくのだった。

 

 

 

 とにかく銃で威嚇するランチに観客席の最前列を確保してもらい、私たちが席につくといよいよ上位八名が出揃う。

 

 第一試合はヤムチャ対天津飯で、亀仙流と鶴仙流の弟子たちの戦いだ。

 武舞台の上で二人は挑発的な笑みを浮かべて向かい合い、両者に大勢の観客から声援が送られる。

 

「あっという間に、白目をむかせてやろう」

「それは楽しみだな」

「思い知るがいいぜ」

 

 売り言葉に買い言葉というか、この時点では彼らは敵同士だ。

 原作では最終的にヤムチャが酷い目に遭うが、幸いなことにこの場には私がいる。

 何かあってもすぐ治療できるので、病院送りになることだけはないだろう。

 

 自分が戦うのは嫌だが、試合を観戦するのには抵抗がない。

 それに天津飯も殺す気はないし、黙って二人の対決を見守る。

 

 試合開始と同時に、最初に動いたのはヤムチャだ。

 天津飯は慌てずに正面から突進した彼のラッシュをさばき、反撃の蹴りを当てる。

 

 続いて追撃に移ったところを、今度はヤムチャが空中に逃げた。

 そこでも激しい打ち合いになり、決着がつかないまま両者は地上に降りる。

 ここまでほんの一瞬の間の出来事なので、とにかく凄いとしか言いようがない。

 

 観客はあまりの速さに息を呑み、声を出すのも忘れてただ眺めていた。

 

 

 

 その間にも試合は進んでいき、続いてヤムチャは新狼牙風風拳を繰り出す。

 だが残念ながら見切られて、手痛い反撃を受けてしまう。

 さらにとっておきを見せるとか言ってかめはめ波で攻撃するものの、これも天津飯に跳ね返されてしまった。

 

「不味いっ!」

 

 原作ではそういう場面もあったが、幸い観客に被害はなかったので油断していた。

 しかしヤムチャは重い服を常に着用して修行しており、本来よりも成長していたのだ。

 

 当然、気を集めて放つかめはめ波も同じで、天津飯の気合による反射も少しだが拮抗していた。

 それでも結局跳ね返されてしまったが、威力が上がっているのは間違いない。

 

(今から元気玉を集める時間はない! ……だったら!)

 

 私にヤムチャのかめはめ波を止めるだけの気功波は出せないので、ここは先程の天津飯に倣うことにして意識を集中する。

 

「界王拳ーっ!」

 

 ほんの一瞬だけ界王拳に入って戦闘力を高めて、急加速する。

 そしてヤムチャのかめはめ波に追いつき、身勝手の極意に入った。

 

 なおこの技はブロリーが名付けたもので、その場に応じた最適な攻防を無意識で行うため、身体が勝手に動くという意味らしい。

 神龍に二回目の願いを叶えてもらった後に、いつの間にか修得していたのだが、この領域になると何故か私の気は全く感知されなくなる。

 

 あとは半透明だった輪っかと翼の色が濃くなるのだが、原因は不明だが実害ないので、別に良いだろう。

 

 

 

 とにかく私は一瞬の間に手の平に気を集中させて、かめはめ波を受け止めるのでなく、受け流して軌道を変える。

 観客席にではなく空へと逃がしたあとに、身勝手の極意を解除した。

 

 短時間なら、そこまで心身に負担はかからない。

 何とか被害を抑えられて、私はホッと息を吐く。

 

 その後は舞空術でフヨフヨと空を飛んで、のんびり元の場所に戻っていく。

 

「ふむ、少しだけなら問題はありませんね」

 

 サイヤ人なのにクソ雑魚な私では、普通は界王拳や身勝手の極意の負荷に耐えられない。

 代わりに転生チートのおかげで気の消耗はなく、常時発動でも全く問題はなかった。

 

 なので普段は心身の力を抜いてリラックスさせて、ここぞというときに発動させて即解除する運用を心がけている。

 これなら肉体への影響を最小限に抑えられて、瞬間的に戦闘力を高められる。

 

 転生チートがあるからこそ可能な荒業ではあるが、何となくもし11番目の宇宙が存在したらそこの戦士が使いそうだと思った。

 全く聞いたことないし誰だかわからないけど、何となくそんな気がしたのだった。

 

 

 

 とにかく界王拳や身勝手の極意は反動がもろに来る技なので、あまり使いたくはない。

 ついでに元気玉を吸収してパワーアップも、肉体が耐えられずに崩壊する。

 

 できるのは普通にぶん投げるか、外部に留めてスピリットの強制分離の応用で性質を変え、他の技に派生することだ。

 しかし、そっちはそっちで仕様変更の手間がかかって面倒である。

 

 いくらチートスキルの恩恵があるとはいえ、こういうことはあまりやりたくないなと思ったのだった。

 

 

 

 

 

 

 取りあえず危機は去ったので、私は観客席に戻って舞空術を解除する。

 水色の気と輪っかと翼も、宙に溶けるようにふっと消え去った。

 

 なお、その間にも武舞台では試合は続いている。

 

 ヤムチャは攻撃を避けるために空中に飛び上がって、マジかよという顔でこっちを見て驚いていた。

 そんな隙だらけの彼に、相手の選手しか見ていない天津飯が地面を蹴って、追撃に移る。

 

「ヤムチャ! あぶねえーっ!」

 

 冷静に状況を見ていた悟空が警告したが、一歩遅かった。

 天津飯の蹴りがヤムチャに直撃し、武舞台に落下していく。

 残念ながら受け身を取れずに、勢い良く地面に叩きつけられてしまう。

 

「やっ、やめろーっ!」

 

 悟空が止めさせようと叫ぶが、天津飯は聞く耳を持たない。

 彼はさらに追撃しようと勢い良く落下し、仰向けのヤムチャの足を狙う。

 どうやら膝蹴りを叩き込むつもりのようで、彼は不敵な笑みを浮かべて地上まであと少しまで迫る。

 

「ちいっ! まだだっ!」

 

 しかし、ここで奇跡が起こった。

 地面に叩きつけられたヤムチャは原作と違い、白目をむいて気絶していなかったのだ。

 

「何いっ!?」

 

 ヤムチャは慌てて飛び起きて、天津飯の膝蹴りを危ういところで避けた。

 

(ええーっ!? 原作と違うんだけど!?)

 

 私は困惑しつつ予想外の試合を眺めて、表向きは平静を装い内心では大いに頭を抱える。

 かめはめ波の威力もおかしかったし、どうやら少しずつ原作とズレが出ているようだ。

 

「ふう、危うく負けるところだったぜ」

「運のいいやつめ。

 あのままおねんねしていれば、病院のベッドまで送ってやったものを」

 

 それでも天津飯は、大して悔しそうではない。

 相変わらず余裕の笑みを崩しておらず、もはやヤムチャの実力の底は見えたといった感じだ。

 

「本当に参ったぜ。

 できれば決勝戦まで、隠しておきたかったんだがな」

「ほう、切り札があるのか? だったら、早く見せたほうがいいぞ?

 オレに殺されんうちにな」

 

 ヤムチャが切り札を持っていたとは知らなかった。

 一体何が出てくるんだろうと、ドキドキしながら成り行きを見守る。

 

 天津飯も妨害するつもりはないようで、今さら何をしても無駄だと思っている。

 もしくは武道家として、相手の実力を全て引き出したうえで倒すつもりなのだろう。

 

「ふっ、後悔するなよ。……っと!」

 

 そう言ってヤムチャは、何故か突然上着を脱ぎ始めた。

 会場内の人々は唖然とした様子で、彼の奇行を眺めることになる。

 

 だが私を含めた何人かは、その行動が何を意味するかを良く知っていた。

 

「服を脱いで少しでも身軽になるつもりか」

「ああ、その通りだ」

 

 ヤムチャは肯定して上着をよっこらしょと持ち上げていると、天津飯は呆れたような顔をする。

 

「これが切り札とは、呆れてものがいえんな。

 だが最後の足掻きだ。黙って待ってやろう」

「そいつはありがたいな」

 

 天津飯は余裕を崩さない。

 しかし私は、とても平静ではいられなかった。

 何故なら内心では、原作という歯車がガラガラと崩れ落ちる音が聞こえていたからだ。

 

(まっ、不味い! このままだと天津飯が負けかねない!)

 

 気の大きさを感じ取ると、ヤムチャは天津飯より少し小さいぐらいだ。

 しかしその程度は誤差であり、状況や機転でどうとでもひっくり返る。

 

(どうか天津飯が勝ちますように!)

 

 私は原作が崩壊しないようにと、心の底から神に祈った。

 でもあのナメック星人が聞き届けてくれるかは、正直微妙だ。

 基本的に見守るだけだし、聞くだけ聞いてやる止まりだろう。

 

 

 

 とにかくその後、大きくスピードがアップしたヤムチャと天津飯が互角に打ち合い。

 いくつか大技も使ったあとに、最終的に鶴仙流が勝利した。

 

 足は折れなかったが、ボコボコにされてかなり痛そうだ。

 私が勝手に武舞台に上がって治療していると、怪我人を放っておいて一足先に奥の控室に向かった、天津飯の声が聞こえてきた。

 

「亀仙流は思った以上にできるぞ。油断はせんほうがいい。

 だが今のヤムチャという奴が、多分亀仙人の三人の弟子では一番の達人だったはず」

 

 自らの勝利を確信して、弟弟子に自慢気に話しているようだ。

 

「……と言うことは、俺が優勝でもう勝負は見えたな」

 

 チャオズが準優勝とは言わなかった。

 一応はヤムチャを物差しとして、冷静な戦力分析ができているようだ。

 

 しかし残念ながら、基準にした人物は亀仙流の弟子では一番の格下である。

 このまま原作通りに天津飯が優勝できるのかと、私は早くも不安になってきたのだった。




ドラゴンボール映画、スーパーヒーローは見ました。
そこでのベジータの台詞を参考にして、彼に関して少しだけ調べました。
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