クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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第二十ニ回天下一武道会(5)

 天津飯とブロリーの試合は、弟が降参したことで決着した。

 他にも桃白白が乱入してかめはめ波を弾き返し、説得したりと色々あったが、取りあえず正体がバレなかったし良しとしておく。

 

 ちなみに彼がブロリーなのは、何人かが気づいている。

 ただ説明や言い訳が面倒なので、今は微笑むだけで何も言わなかった。

 

 

 

 やがて第六試合の悟空対クリリンが始まり、観客の注意はそちらに向けられる。

 

 一方で私は気になったので、千里眼で選手控室を覗き見ていた。

 そこでは天津飯が覆面レスラーのピンクに詰め寄り、自らの正体を明かしている。

 

 桃白白は孫悟空に敗北したが後悔は一切なく、今は武道家として天下一武道会で勝負したかったらしい。

 結果は負けてしまったが、界王拳でかなり追い詰めたのだ。

 

 今はそれで良しとしておき、さらなる修行で次こそは勝つつもりだと、嬉しそうに語っている。

 

「天津飯が世界一の殺し屋である私に憧れ、鶴仙流に入門したのは知っている。

 だが、お前は悪人にはなりきれん」

「なっ、何故ですかっ!?」

 

 憧れの桃白白に強い口調は使えない。

 若干敬語が入っているが、天津飯が戸惑っているのがわかる。

 

「この私が、お前の善の心に気づかんと思ったのか?」

「そっ……そんな! 俺はっ! 貴方に!」

「話は以上だ。悪いが私には、背中を押すことぐらいしかできん」

 

 そう言って桃白白は、選手控室の奥へと歩いて行く。

 天津飯は色んな感情が混ざり合って、混乱しているようだ

 

「おっと、そうだった。このことは鶴仙人には、内緒にしておいてくれ。

 私が生きていると知れば、また良からぬことを企むからな」

 

 桃白白が振り向いて、少しだけ笑って続きを話す。

 

「兄には悪いが、もう二度と殺し屋に戻る気はない」

 

 桃白白は今度こそ完全に姿が見えなくなり、一人だけ残された天津飯はポツリと呟く。

 

「……ミズナか」

(何故そこで私!?)

 

 桃白白のことが心配だったので覗き見をしていたら、天津飯がいきなり私の名前を呟いたので驚く。

 幸い表情には出さないが、口も開かずに心の中で思っただけだ。

 

「桃白白さんの命を救い、新しい師匠となった人物か」

 

 確かに界王拳は私が教えたけれど、修行相手はブロリーである。

 基本的に自主トレーニングが多く、師匠と呼ばれるようなことは何もしていない。

 

「俺も弟子入りすれば、桃白白さんのようになれるのか?」

 

 他人の考えを読んだり覗き見は、プライバシーの侵害だ。

 バレなければ犯罪ではないという言い訳で予防線を張り、知っても黙っておく。

 

 もしここで私が話は全て聞かせてもらったと乱入したら、天津飯にドン引きされるに決まっていた。

 

(うん、私は何も聞かなかった。でもまさか、本当に来るわけないよね?)

 

 原作では天津飯とチャオズは、二人で各地を放浪して武者修行のようなことをしていた。

 なので私に弟子入りするぐらいなら大した影響はないだろうが、彼らに教えられるほど自分は立派ではない。

 

 

 

 とにかく重要な話は終わったので、千里眼を解除する。

 今は目の前の試合に目を向けると、こっちは原作通りに進んでいるらしく、見ていて安心だ。

 

 悟空は尻尾を鍛えていて、握られても平気になっていた。

 そして高速で動くことで姿を消し、手刀を八発も浴びせてクリリンを場外に吹き飛ばしたのだった。

 

 

 

 

 

 

 次は悟空対天津飯の決勝戦だ。

 これまでの試合で技はある程度知られているからなのか、最初から全力全開の勝負になった。

 

 おまけにチャオズがいきなり妨害してくるので、巻き展開である。

 私は黙って成り行きを見守りつつ、原作通りに進むようにと願う。

 

「てっ、天さん。初めて思いっきり戦っている。ぼっ、ボクも、試合終わりまで見たい」

「きっ、貴様までがーっ!」

 

 鶴仙人がチャオズの胸ぐらを掴んで吊るし上げた。

 そして怒りのあまり、大声で叫んだ。

 

「ワシに逆らう奴は! どいつもこいつもブチ殺してやるわ!」

「チャオズ!!!」

 

 天津飯が大声をあげるが、鶴仙人は止まらない。

 しかし私は何もせずに、落ち着いて状況を静観していた。

 何故なら、自分以外の急激の気の高まりを感じ取ったからだ。

 

「どけいっ!」

「えっ!?」

「どどん波ーっ!!!」

 

 覆面レスラーのピンクが選手控室からどどん波を放ち、寸分違わず鶴仙人に命中する。

 

「ぐあああああーーーっ!!!」

 

 そのまま空の彼方に吹き飛ばし、覆面レスラーは堂々と告げる。

 

「案ずることはない。兄……いや、鶴仙人はあれぐらいでは死なん。

 さあ、邪魔者は消えた! 両者とも、心置きなく試合をするといい!」

 

 原作では、亀仙人がやったはずだ。

 そして師匠を裏切ったはずの天津飯は、心なしか嬉しそうに見えた。

 

「師匠を裏切ってしまった俺だが、この試合は絶対に負けることはできん!

 あの人が! ……あの人が見ているんだ!」

 

 そして天津飯は悟空を真正面から睨みつけて、大声で叫んだ。

 

「忠告しておく! この技をまともにくらえば、流石の貴様も間違いなく死ぬ!」

 

 本来ならここで四妖拳を繰り出すのだが、ヤムチャを相手に使ってしまった。

 あれが悟空に通用するかは未知数で、これまでの気の消耗も考えると、あまり余裕がない。

 

 幸いなのは弟も桃白白とクリリンとの戦いで、相当消耗していることだ。

 

「貴様は殺したくない! だから避けろ! いいな! 避けるんだぞ!」

 

 なので次で終わらせるべく、気を限界近くまで使う気功砲で勝負を決めに来た。

 私は先の展開を知ってはいるが、ちゃんとその通りに進む保証はない。

 

 悟空が避けなかったらどうしようと、ドキドキしながら成り行きを見守る。

 

 

 

 その後の展開についてまとめると、原作通りだったので特に語ることはない。

 武舞台を吹き飛ばして場外負けを狙っていた天津飯だったが、かめはめ波を逆噴射して加速した悟空の頭突きを、まともに受けて空中から両者揃って地面に落下していく。

 

 途中までは弟がやや有利だと思われたが、不運にも走っていた自動車に先に当たってしまい、天津飯が優勝した。

 

 ここまで色々あったが、大まかな流れは私が知っている通りだ。

 現場猫並みの安全マージンを確保できて、取りあえずヨシとしておくのだった。

 

 

 

 

 

 

 天下一武道会が終わり、皆がそれぞれの故郷に帰っていく。

 そして天津飯とチャオズが、私の元に来ることになった。

 

 最初はカメハウスに来ないかと勧誘されたが、師匠を裏切ったとはいえ元々は鶴仙流だったのだ。

 気持ちはありがたいがと断り、実は最初から決めていた私の弟子になって、桃白白と一緒に修業をすることになったのだ。

 

 ちなみに、私は別に弟子は取っていない。

 正確には大農場の従業員として雇用するのだが、とにかくそういうことになった。

 

 皆が清々しい雰囲気で雑談する中で、私は一人だけ少し離れ、今後のことについてぼんやりと考える。

 

(西の都に重力室を取りに行きたいけど、そんな暇はないだろうなぁ)

 

 このあとは、怒涛の展開の連続で世界の危機になる。

 一応は自分の分身体が水面下で動いてはいるが、何処まで原作を崩壊させずに被害を抑えられるやらだ。

 

 とにかく私は位置取りに気をつけて、選手控室に近い方に少しずつ動いていく。

 すると、突然悲鳴が響き渡った。

 

「ぎゃあああっ!!!」

 

 全員が驚く中で、亀仙人と悟空が大きな声を出す。

 

「なっ、何じゃ!」

「クリリンの声だ!」

 

 そして全員が選手控室のほうに駆け出して、急いで中に入る。

 そこにはクリリンと審判の人が倒れていたので、私が前に出る。

 

「悟空は下がってください! 私が治療します!」

 

 私は動揺する悟空を下がらせて、クリリンに近づく。

 続いて集中し、治療を行うフリをする。

 

「しっ、白い髪の女が、そこにあった袋から、変な玉と……ぶっ、武道会の名簿を奪って、にっ……逃げた」

「どっ、ドラゴンボールと名簿?」

 

 亀仙人が状況を整理しようと口に出す横で、私は悲痛な顔で静かに嘆きを口にする。

 

「クリリンさんは、死んでいます。

 残念ですが、治療は間に合いませんでした」

「ななっ、何っ!?」

「クリリンさんは、殺されたのです!」

 

 私が項垂れたまま、状況説明を行う。

 この場の全員が、驚愕の表情に変わった。

 

 内心では、どうかバレませんようにと神に祈る。

 それを悟られないように静かに手を合わせつつ、クリリンの目を閉じるのだった。

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