クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい 作:DB原作無印勢
<ピッコロ大魔王>
巨大な飛行船が空を飛び、ワシはその玉座に座る。
そして部下のピアノを横に控えさせて、独り言を呟く。
「七つ全てを集めれば、どんな願いも叶うか。……ふふふ」
すると通信機の向こうから、女性の声が聞こえてきた。
「大魔王様の願いは、世界征服でしたか?」
その質問にワシはニヤリと笑い、得意気に返事をする。
「ふぁっふぁっふぁ! 世界征服ごときは、そんなボールの力を借りんでも雑作もないことだ!」
全盛期から大きく衰えたとは言え、今でも本気を出せば自分が世界で一番強い。
そう思っているからこそ、世界征服などを叶えようとは思わなかった。
「このワシが欲しいのは、永遠の若さだ!
それさえ手に入れることができれば、この世は永久にワシの支配下に置くことができる!」
それこそワシの半身である神だろうと、圧倒的な実力でねじ伏せることができる。
ただし両者のどちらかが死ぬともう片方も消滅してしまうため、実際に戦うことはないだろう。
だがそれはそれとして、ワシの願いが叶ったあとのことだ。
「もし願いが叶ったあかつきには、お前に世界の半分を任せよう。シロナよ」
ワシがシロナと呼んでる少女は、通信機の向こうで大きく溜息を吐いた。
「確かにピッコロ大魔王様は、経営や管理が苦手ですからね」
「こらっ! シロナ! 毎度毎度、大魔王様に何という口の聞き方を!」
ピアノが口を挟んでくるがワシは全く怒らずに、むしろ笑いながら許可を出す。
「構わん。許す」
部下はシロナの歯に衣着せぬ率直な意見に、たびたび目くじらを立てる。
しかし彼女はいつも本音で語ってくれるため、ワシは個人的に気に入っていた。
ピアノは自分の子供も同然で、ワシを親のように見ている。
タマゴから生まれたので仕方ないし、そういうものだと受け入れていた。
それに人間たちもピッコロを恐れるか敵意を向けるのだが、彼女だけは違う。
シロナは尻尾を生やした白髪の、一風変わった人間の少女だ。
そして電子ジャーに封印されていたワシを見つけて、外へと解き放った。
その際に浜辺に数人ほど倒れていたが、彼女は知らない人だと言っていた。
本当は知っているのか、それとも顔も見たことのない他人なのは知らない。
だが人間にさほど興味もなく、彼女はワシを自由にしたがそれだけで、用が済んだら処分するつもりだった。
「私はシロナと申します。
ピッコロ大魔王様、どうか部下にしていただけないでしょうか?」
過去にも、命惜しさにワシに頭を下げて、命乞いや部下にと懇願する者は大勢いた。
だが彼女は、ピッコロ大魔王を恐れていない。
真っ直ぐにこっちを見つめていて、尊敬も恐怖といったワシに平伏したり拒絶するような感情は、全く読み取れなかった。
「何故、ワシの部下になりたがる」
なので純粋に興味が出て、彼女に率直に尋ねた。
「貴方を、すぐ近くで見たいからです」
ワシは彼女が何を言っているのか、全くわからなかった。
しかし少しだけ思案すると、何となくだがシロナのことが理解できた気がする。
つまりコイツはワシに惚れ込み、部下になりたいというのだ。
その割には畏怖や尊敬は微塵も感じず、どうにも腑に落ちない。
「他に望みはないのか?」
「ありません。……けど、一つだけ」
「何だ?」
やはり隠してはいたが、本当の望みがあったようだ。
ワシは静かに頷き、シロナの次の言葉を待つ。
「私は本音で意見することが多いので、怒らないでくれると助かります」
「……他には?」
「それだけです」
ワシはシロナのことが、ますますわからなくなった。
しかし封印されてから長い時が経っているし、今の世界の情報が不足している。
大魔王を前にしても怖がらずに、にっこりと微笑む変わった少女だが、色々聞けば今後の計画も立てやすい。
どうせ人間など魔族と比べれば、短命で弱い種族だ。
もし気に入らなければ、いつでも処分できる。
封印が解かれたばかりの頃は、そんな心境だったのだ。
しかし部下にしてみると、シロナの働きぶりは非の打ち所がないほど見事なものだった。
今現在もとても役に立っていて、巨大な飛行船やドラゴンレーダーも彼女が用意したものだ。
さらに敬語であっても歯に衣着せぬ物言いばかりで、ワシを大魔王ではなくただのピッコロとして見ているのは、シロナぐらいだろう。
自分は、世界中の人間たちに恐れられる大魔王だ。
なのに唯一対等に会話できる存在が、無力で弱い少女である。
何とも変わった組み合わせではあるけれど、別に不快ではない。
個人的には封印される前も含めて、今が一番楽しくて充実しているかも知れなかった。
思えば神と分離してから、ワシは好き放題に振る舞ってきたが常に孤独だった。
恐れず対等に向き合う者は一人もおらず、表向きは友好的でも裏ではどう思われているのかわかったものではない。
だがもし歯向かうようなら殺すだけだし、ワシもそのような輩は羽虫を潰すようなもので全く抵抗はなく、処理するのも慣れたものだ。
しかしシロナは、そんな有象無象とは違う。
今も通信機の向こうで相変わらず口やかましく喋っているが、ワシを対等な友として見ていて気遣っているのがわかる。
「そう言えば大魔王様、水はちゃんと飲んでますか?」
「飲んでいる」
ワシは水を飲めば生きていけるが、たまに喉が渇いていないので飲まないことがあるのだ。
そのたびにシロナに注意されるので、最近は定期的に水分補給するように気をつけている。
「それなら良いですけど、もういい歳なんですから。
あまり無理しないでくださいね」
本当にシロナは、ワシのことをすぐに年寄り扱いする。
だが実際はその通りで、全盛期の頃の力は見る影もなくなっていた。
それでも人間など一捻りなのだが、彼女は口を酸っぱくして待ったをかけるのだ。
「戦闘中にぎっくり腰になって、その隙に魔封波で封印されたら嫌ですからね」
「ワシはまだ、そんな歳ではないわ!」
彼女の心配のし過ぎが、たまに鬱陶しく感じる。
しかしそれは全てワシのことを思っての気遣いなため、別に不快ではなかった。
「でもこの間、ピアノが言ってましたよ?
大魔王様は、最近お体の調子が今ひとつだと」
「ピアノ、お前はそんなこと言っておったのか?」
「いっいえ、はっ……はい! ですが私は、大魔王様のお体を気遣ってですね!」
はいかいいえかどっちだと言いたかった。
しかし今の肉体は老化により、あちこち不調なのは確かだ。
シロナのおかげで、唯一の部下がワシをどう思っているのかがわかる。
そのことを知り、大きく溜息を吐いてしまう。
(日頃からワシの身を案じておるシロナはともかく、ピアノもとはな)
シロナからも、老化が一気に進むからタマゴを生むなと言われている。
しかし肝心のワシは、部下に心配される有様だ。
早く願いを叶えて、永遠の若さを手に入れたいものである。
なので彼女を向かわせた目的について、おもむろに話題を振った。
「ところでシロナよ。ドラゴンボールと名簿のほうはどうだ?」
「それでしたら無事に回収して、もうすぐ帰還します。
ただ途中で妨害されたので、その人はやっつけました」
シロナは武道家らしく、試しに何度か試しに手合わせした。
しかしワシの足元には到底及ばず、人間にしてはなかなかという評価だ。
なので彼女を打ち破る者は大勢いるだろうから、本当は行かせたくはなかった。
だが当人の強い希望で、ドラゴンボールの回収を任せたのだ。
(帰還中なのは良いが、やはりシロナは弱い。妨害されたと言うなら、護衛が必要か)
寿命が削られるから止めるように言われているが、世界征服を成し遂げる前に彼女が死ぬのは困る。
シロナには特等席で、全人類がワシの前に平伏すのを見せてやりたい。
そして全盛期の力を取り戻しさえすれば、一年かからずに達成できるはずだ。
ならばやはりドラゴンボールを七つ集めるまでが、もっとも危険な時期だろう。
(シロナの言う通り、世界中の武道家たちを殺すのは、若返ってからにしたほうが良さそうだな)
老化した状態で魔封波を受けたら、防ぐことも避けることもできない。
せめて全盛期ならば、前兆を感じ取った時点で即死させられるのだが、年老いたワシでは万が一にも不覚を取る可能性があった。
(ならば生むのは、戦士が良いか。
やれやれ、またシロナに心配されるな)
これも弱いシロナを守るためだ。
だが己の命よりもワシの身の安全を一番に考える彼女が、納得するとは思えなかった。
しかしシロナにはピッコロ大魔王の活躍を、特等席で見届けてもらわないと困る。
封印から解き放ったときの契約はまだ果たされてはおらず、世界征服も成し遂げる前に殺されるのは、断じて許されないのだった。
各キャラの最大戦闘力
ミズナ 80
ブロリー 7億
悟空 280
ピッコロ大魔王 220
キャラが多すぎるッピ!
今後は主要人物だけにします。
こればかりやっているわけにはいきませんし、ぶっちゃけ戦闘力は表示しないほうが楽……いえ、何でもありません。