クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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ピッコロ大魔王(5)

 分身体と本体はネットワークが構築されているので、向こうの様子は大体分かる。

 悟空が負けてしばらくすると、ドラゴンレーダーに新たな反応があった。

 

 残り二個のボールが、真っ直ぐこっちに向かってきたのだ。

 飛行機を天津飯が操縦し、後部座席の亀仙人が作戦を練る。

 

「良いな! 戦っても勝ち目はないぞよ!

 隙を突いて向こうの二個を奪い、こっちの五個と合わせて神龍を呼び出すのじゃぞ!」

 

 この辺りは原作通りの流れなので、私は黙って聞いておく。

 

「ピッコロ大魔王たちを、この世から消し去ってください! ……とな」

「……わかりました」

 

 天津飯は、まだ納得していないようだ。

 そして後ろに座っているブロリーと桃白白は沈黙している。

 ……と言うか、私の意見を待っていた。

 

 無言で座っている弟がどれだけ強いか知ってるので、いざとなったらピッコロ大魔王をぶん殴って倒せば良くねと思っているのだろう。

 しかし、そんな原作ブレイカーをさせるわけにはいかない。

 

 私は何食わぬ顔で、手を上げて意見を口にする。

 

「残念ですが、その作戦は確実に失敗します」

「どういうことだ?」

 

 天津飯が運転を続けながら尋ねてきた。

 私は頭の中で思考を整理しながら、現時点で明かしても問題ない範囲で答えていく。

 

「ええと、正直何から説明したものやらですが、私とブロリーは神様と会ったことがあります」

「なっ、何とっ!?」

 

 亀仙人や他の人が信じられないと驚く。

 神が実在していることを知る者は少なく、会ったことがある者はさらに希少である。

 

 それがピッコロ大魔王と何の関係があるのかと言うことを、順番に伝えていく。

 

「そして神様とピッコロ大魔王は、善悪こそ違えど同一の存在です」

「……何が言いたいんだ?」

「ピッコロ大魔王を倒せば神様も消えて、逆もまたあり得るでしょう。

 そして神龍に願っても、自らの創造主を消すことはできません」

 

 さらに神龍を作り出したのは神様のため、彼が消えればドラゴンボールも一緒に消滅してしまう。

 原作でも、何かそんなことを言っていた気がする。

 

 現時点でわかっている情報と照らし合わせて、所々推測も入れつつ、疑問を持たれないように気をつけて説明していった。

 

「だったらピッコロ大魔王は、どうやっても倒せないじゃないか!」

 

 天津飯が悔しそうに大声を出すが、原作でも一歩間違えればピッコロ大魔王が殺され、ドラゴンボールが永遠に失われていたのだ。

 本当にマジュニアを生んでくれて、首の皮一枚繋がって良かった。

 

 まあ何度か使用不能になる時期があったり、その最たるものの絶望の未来ではもう滅茶苦茶なのだが、それはそれである。

 

 悟空のドラゴンボールで何とかなるという発言も、逆に言えばドラゴンボールがなかったら、もうどうにもならないという裏返しでもあった。

 

 本当にこの世界は色んな意味でハードモードだが、それでも解決策がないわけではない。

 私は、そのことを説明していく。

 

「ですが、手はあります」

「本当か!?」

 

 天津飯が驚きながら尋ねてくるので、私は真面目な顔で続きを話す。

 

「ええ、魔封波を使うのです」

「魔封波じゃと!? 馬鹿な!

 あの技の使い手は、もうこの世には──」

 

 亀仙人が驚愕の表情で私を見てくるので、にっこりと微笑みながら返事をした。

 

「ここにいるではありませんか。……貴方ですよ。亀仙人さん」

 

 彼は一瞬口ごもったが、やがて覚悟を決めたような表情を浮かべて苦笑する。

 

「やれやれ、女神様にはお見通しじゃったか」

 

 私は女神ではない。

 しかし武術の神と呼ばれる武天老師に、そうまで言われるのは何だかとても複雑だった。

 だが立場が上だと勘違いさせておいたほうが、危険な提案も受け入れられやすいので、そのままにしておく。

 

「そういうわけで、私から新しい作戦の提案をさせてもらいます」

 

 内心では戦々恐々としていたが表情には出さない。

 そして私は皆に、新しい作戦を伝えるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<シロナ>

 残りのボール五つの付近に、飛行船が到着した。

 ピッコロ大魔王は二個を飲み込み、今度こそ私は飛行船でお留守番だと思ったのだが、また呼び出される。

 

 何でやねんと思いはする。

 けれど普通に考えれば、ここに残るよりも彼と一緒のほうが安全だろう。

 

 ただし向こうにはブロリーや桃白白がいるので、その限りではない。

 彼らは常日頃から気を抑えているし、ピッコロ大魔王は近距離でないと感知できないのが幸いだった。

 

「降りて来い! ピッコロ! ドラゴンボールはここじゃ!」

 

 亀仙人が堂々と姿を見せて、大声で叫んでいる。

 そして飛行船に乗っているピッコロ大魔王を挑発する。

 

「ほう、ワシだと言うことを知っておったか。良くわかったな」

 

 ピッコロ大魔王のことは殆どが失伝しているが、なかには覚えている者もいるのだ。

 

「しかし、ピッコロ大魔王だと知っておりながら戦いを挑んでくるとは、頭がいいとは言えんな」

 

 ニヤリと嫌らしい笑みを浮かべ、ピッコロ大魔王は私を抱える。

 

「勇気だけは認めてやるがな。

 ゆくぞ。シロナ」

「はいはい、お付き合い致しますよ」

 

 どうせ逃げられないので諦めて、地上へゆっくりと降下していく。

 

「はいは一回で良い」

「は~い」

「わざと伸ばすでない」

 

 そんな呑気なやり取りとしているうちに、地上に降り立った。

 亀仙人がピッコロ大魔王に抱えられている私を見て、少しだけ驚く。

 

 だが飛行機に乗っている間に、本体のミズナから分身体が潜入捜査をしていること聞いていた。

 

 できれば悪事に加担しているのは話したくなかった。

 しかし何処かのアニメで総理の息子も組織を内部から変えるとか言ってたし、今回はそういうことにしておく。

 

 そして敵を欺くには、まず味方からだ。

 何処から情報が漏れるかもわからないので、極秘作戦ということにしておく。

 

 

 

 おかげでピッコロ大魔王には、特に不審に思われることない。

 亀仙人も視線と表情を戻し、私はそのまま地面に下ろされる。

 

 そして少しだけ離れて、いつも通りに成り行きを見守ることにした。

 

「ワシが集めたドラゴンボールは、ここに埋めてある!

 ワシを倒すことができたら、遠慮なくくれてやる! 持っていけい!」

「はーっはっはっは! 面白いジジイだ!」

 

 亀仙人の挑発にピッコロ大魔王が大笑いするが、これも作戦のうちだ。

 その後、過去の因縁や武泰斗様について語られる。

 次に原作通りにホイポイカプセルを投げて、魔封じの札が張られた電子ジャーを取り出す。

 

「でっ、電子ジャー! ま……ままっ、まさかっ!」

 

 ピッコロ大魔王のトラウマが蘇ったようで、明らかに動揺している。

 

「むろん、覚えておるじゃろ! その昔、武泰斗様が貴様を電子ジャーに封じ込め!

 魔の手から世界を救った術!」

 

 亀仙人の気が高まっていき、逆にピッコロ大魔王は後退る。

 やがては彼は悲鳴をあげて、空へと逃げようとした。

 

「魔封波じゃ!!!」

 

 魔封波はかなり高度な技だ。亀仙人といえど、そう簡単には扱いきれない。

 維持するのに精一杯なようで、滝のような汗が止めどなく流れ出ていた。

 

「ぐぬぬぬっ!」

 

 ピッコロ大魔王を魔封波の奔流で押し流して、電子ジャーに狙いを定める。

 

「つおお! はああーっ!!!」

 

 タイミングを見計らって、ピッコロ大魔王を電子ジャーに落とした。

 

「はっ、外れた……!」

 

 だが残念ながら、狙いは外れてしまう。

 電子ジャーは衝撃を受けて吹き飛び、横に転がった。

 

 魔封波は解除されて、肝を冷やしたピッコロ大魔王が実体化する。

 彼は尻餅をつき、命拾いしたことで冷や汗をかいていた。

 

「しっ、……しまった。とっ……とんだドジを、おっ……おしい……のう」

 

 原作だと、このあと天津飯に望みを託して力尽き倒れる。

 しかし私は、そこまで待つつもりはない。

 あらかじめ打ち合わせしておいた通りに、本体が念話で合図を送った。

 

『皆さん、打ち合わせ通りにお願いします』

 

 それぞれが心の中で別々に返事をして、一斉に動き出す。

 ただし天津飯とブロリーだけは決して姿を見せないように、その場から動かずに本体と一緒に待機だ。

 

「ほうっ! まだハエがおったか!」

 

 物陰から何人もの武道家が飛び出した。

 ピッコロ大魔王は飛び起きて臨戦態勢を取が、彼らは戦いを挑むわけではない。

 亀仙人と電子ジャーを回収すると、すぐに逃走を開始した。

 

「逃さん! まとめて吹き飛ばしてくれるわ!」

 

 両腕に気を集中させて、彼らが隠れた大岩に狙いを定める。

 一箇所に集まり、その後の動きがないのだ。止まった的など外しようがない。

 

 すぐに強力な気功波が放たれて、周囲の岩諸共まとめて吹き飛ばす。

 あとには塵一つ残らず、彼らが存在していた痕跡も綺麗さっぱり消えてしまう。

 

「はーっはっはっ! 死におった! 死におったぞ! 馬鹿めーっ!」

 

 勝ち誇っているピッコロ大魔王を眺めながら、私は先程大岩の裏にいた本体の気を探る。

 

「それにしても危ういところだった! まさか魔封波を使えるやつがおったとはな!

 シロナの言う通りだったわ!」

 

 本体と仲間たちは、今は実家に瞬間移動したようだ。

 そして死にかけの亀仙人に、気を分け与えて治療している。

 

「だが、そいつも死んだ! これでワシはもう、怖いものなしだ! わーっはっは!」

 

 完全に調子に乗っているが、ドラゴンボールが七つ全て揃ったのだ。

 嬉しいのもわかるし、私も一応は原作通りに進んでいて心の中でガッツポーズしたいぐらいだ。

 

「やりましたね。ピッコロ大魔王様」

「ああ! シロナには随分助けられたな!

 いよいよ若き日の素晴らしい力が蘇るのだ!

 もう年寄り扱いはさせんから、そのつもりでいるのだな!」

 

 いよいよピッコロ大魔王の願いが叶う。

 そのために私も、裏方として頑張ってきたのだ。お互いに感無量なのは間違いない。

 なので嬉し泣きしながら、素直に祝福の言葉をかけるのだった。

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