クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

3 / 38
ヤードラット星

 惑星ベジータを脱出した私は、急遽他の惑星にポッドの進路を変える。

 小惑星バンパに降下すれば確実に死ぬので、それよりは生き残る可能性は高くなる。

 

 当面の命の危機を脱した喜びと、ここ最近の疲れからからかアクビが出て、そのあとはすぐに眠りに落ちた。

 

 だが、そんな幸せな微睡みは、何やら尻尾にくすぐったい刺激を受けて、強制的に目が覚めてしまった。

 

「ん~……一体何が?」

 

 尻尾をこっちに引き寄せようと思っても、上手く動かない。

 しかも相変わらず、妙にくすぐったくて力が抜けていく。

 

 私は脱力感に抗いながら眠い目をこすり、何とか顔を動かして様子を伺う。

 

 するとスヤスヤ眠っていたはずの男の子が起きていて、私の尻尾の先をおしゃぶり代わりにチュウチュウ吸っていたのだ。

 

「何、してるの?」

 

「……あう?」

 

 何とか尻尾を取り戻そうと引っ張っても、ただでさえ脱力しきっているうえに、この子はやけに力が強い。

 おしゃぶり代わりなのでギュッと握ってはいないのが幸いだったが、私は彼に喋りかけるのが精一杯だった。

 

「聞きたいのはこっち……っとは言え、生まれたばかりの子供が流暢に喋れるわけないか」

 

 私は前世の経験があるので、普通に喋れている。

 しかし生まれて数年の子供に、そこまでスムーズな会話は不可能だ。

 ついでに物心もついてないし、きっと言葉も良くわからないのだろう。

 

「まあいいや。私は寝るけど、尻尾はあんまり触らないで。

 力が抜けちゃうから」

 

 サイヤ人は尻尾を握られると、力が抜けてしまう。

 先端をおしゃぶり代わりに使われるのも同じで、くすぐったくて変な気分になる。

 

 あんまり強くやられると、脱力してヘニョヘニョになるのは避けられない。

 しゃぶられてるだけならそれ程ではないが、取り返そうとしても離してくれないのだ。

 

「私はキミのモノじゃないんだけど?」

 

 彼はまるで、これは自分のモノだと主張しているようだ。

 私が引っ張ると絶対に離さないぞとギュッと握るため、取り戻そうとするたびに気怠い脱力感に襲われる。

 

 おまけに今はとても眠く、体に全然力が入らないこともあって、直ちに影響がないなら放っておいて、睡眠を取ることを優先してしまう。

 

「もう……いいや。……眠い」

 

 なので私は再び目を閉じて、尻尾を夢中で弄くり回している男の子を放置する。

 そして今度こそ深い眠りに落ちるのだった。

 

 

 

 

 

 

 次に目が覚めたのは、ヤードラットという星に到着する直前だ。

 宇宙空間で撃墜はされなかったが、やはりサイヤ人のポッドだと知られているらしく、明らかに警戒されていた。

 

 私はコンソールを操作して速度を落とし、なるべく都市から離れた平野にゆっくりと降下する。

 

(ヤードラット星を選んだけど、これから先はどうなることやら)

 

 原作では、ここで孫悟空は瞬間移動を修得していた。

 フリーザの宇宙船にサイヤ人が乗っていても大丈夫だったので、多分だが話せばわかってくれると信じている。

 

(問題はこの子供が、大人しくしてくれるかだけど)

 

 先程コンソールで調べたが、男の子の名前はブロリーと言うらしい。

 少し時間があったので自己紹介も済ませたけれど、相変わらず私の尻尾にキャッキャと夢中の彼が、果たして理解できているかは微妙である。

 

 けど本能というか空気は読めるようで、私に敵意がないことを何となくだが察したのか、いきなり襲いかかってくることはなかった。

 ヤードラット星の人も同じなら良いがと思いつつ、地上に降りたポッドのハッチを開けて、ゆっくり外に出るのだった。

 

 

 

 その後のついて簡単にまとめると、ヤードラット星人は頭に触覚のようなものを生やし、頭髪がなくて大きな目をしていた。

 さらに不思議な力を持っていて、瞬間移動だけでなく、分身や巨大化もできるようだ。

 

 戦闘力はあまり高くはなく温厚な性格をしていたおかげで、誠心誠意話せばわかってくれた。

 最終的に私たちを快く受け入れてくれて、感謝感激だ。

 

 前世のことは墓まで持っていくつもりなので、その辺りを誤魔化しながら事の経緯を説明すると、同情して面倒を見てくれることになった。

 良い人すぎるので後で恩返しをしないとなと考えつつも、今はせっかくなので修行をつけてもらうことにした。

 

 私はクソ雑魚でもサイヤ人で、地球の一般人よりは強い。

 働きながらお金を稼いで数年ほど滞在し、格安だが中古の宇宙船を購入した。

 

 

 

 そして瞬間移動と巨大化と分身、さらにはスピリットの強制分離を修得して、ヤードラット星で学ぶべきことは大体終わったので、今度は地球に向かうことに決める。

 

 理由は、せっかくドラゴンボールの世界に転生したので、どうせなら主人公や仲間たちの活躍をこの目で見てみたい。

 それと前世でも地球で暮らしていたし、こっちでは食事がとても美味なのだ。

 

 サイヤ人は毎日たくさん食べるので食欲旺盛であり、多分三大欲求で一番高いのではないかと思っている。

 戦闘民族でありながら、戦っても全然ワクワクしない私は特にその傾向が強い。

 

 なので今後一生付き合うことになる食事には、こだわりたいのだ。

 

 

 

 それはそれとして数年に渡るヤードラット星でのスピリットの修行で、原作に登場した技の殆どは覚えられた。

 ただし種族固有のモノは駄目で、例えばドラゴンボールの創造や時止めなどのチートスキルの修得はできないようだ。

 

 けれど非常に便利なことには違いなく、これもきっと自分が転生者だからだろう。

 知らない間に神様に授かったのでなければ到底納得できないので、そういうことにしておいた。

 

 代わりに、戦闘力は全然上がらない。

 スカウターがないので詳しくはわからないが、気は感知できるので自分の状態ぐらいわかるのだ。

 何ともピーキーすぎる性能に、思わず溜息を吐きたくなる。

 

 

 

 気落ちする理由は、ドラゴンボールの世界では最終的に気のデカいほうが勝つからだ。

 特殊能力の使用者が弱ければ、格上には通用しないことが多々ある。

 

 戦闘力が高ければまだ活躍できるが、結局最後は殴り合いのガチンコ勝負になるのだ。

 そういうのに全く自信のない私では、正直生き残れる気がしないのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんなある日、お金を節約するためにいつものように私が料理して、完成したら所狭しとテーブルに広げていく。

 そして準備が終わったので自分も席に座り、私が教えたいただきますをして手をつけ始めるブロリーに、今後の予定を相談する。

 

「そろそろ地球に行こうと思うんだけど、ブロリーはどうする?」

「ミズナ姉と一緒に行く」

 

 私は目の前のマンガ肉を小さな手で掴んで口に運ぶ。

 モグモグと咀嚼しながら相談すると、ブロリーもスープのお皿を両手で持って豪快に飲み干していた。

 

「ブロリーがいいなら良いけど。

 別に悪いことしなければ、好きに生きていいんだよ?」

 

 数年の付き合いでわかったのだが、ブロリーはサイヤ人にしては珍しく、破壊や殺人を好まない温厚な性格をしている。

 それでも気を高めると闘争本能が刺激されるのか、凶暴になるので戦うのは好きなようだ。

 

 けれど原作に出てくるサイヤ人とは、何かが違うなと思った。

 私の場合は前世の影響をモロに受けているので、例外だが彼には良くわからない凄みがある。

 

「それに地球は辺境のど田舎だし、強者もいないよ。

 ヤードラット星より文明も発達してないから、色々不便だろうし」

 

 ヤードラット星もブロリー以上の強者はいないが、こっちはSFチックな町並みや、特殊能力使いのバーゲンセール状態だ。

 地球とは利便性が段違いである。

 

 そんなことを話しながら目の前の料理をムシャムシャと食べていると、ブロリーが少しだけ暗い顔になって口を開く。

 

「ミズナ姉は、俺と一緒は嫌か?」

 

 別に彼を否定しているわけではなく、行き先の情報も伝えずに同行させるのはブロリーに失礼かと思っただけだ。

 今後の人生を左右する重要な決断なので、良く考えて決めて欲しかった。

 

「ううん、ブロリーが一緒だと心強いよ。

 私は非力だから、同行はありがたい限りだからね」

 

 サイヤ人にしてはクソ雑魚の私は、戦いに関しては戦力外と言っても過言ではない。

 逆にブロリーは大得意だ。

 

 まあそんな彼も、ここに来た当初は闘争本能を抑えるのに苦労していたが、スピリットの修行を数年ほど積むことで、今では気を全開にしても落ち着いて戦えるようになった。

 

 

 

 しかし彼は、ヤードラット星での精神修行は苦手なようだ。

 それよりは体を動かす過酷な訓練のほうを、好んでいる。

 

 その辺りは他のサイヤ人と同じだなと思っていると、ブロリーは得意気に胸を張って答えた。

 

「ミズナ姉は、俺が守る」

「ありがとう。ブロリー。頼りにさせてもらうね」

 

 彼は感情が顔に出にくいが、私に頼りにされて嬉しいのか、少しだけ笑ってくれた。

 そんな弟分の様子を眺めつつ、あることを考える。

 

(何だか日に日にブロリーの依存度が上がってる気がする)

 

 私とブロリーの戦闘力は、天と地ほどの開きがある。

 自分がクソ雑魚なので同行が嬉しいのは本当だが、彼は年齢的に姉であり家族でもある私に、かなり依存しているように思えた。

 

 別に悪いことではないが、ブロリーは私がお願いすれば疑問も持たずに、二つ返事で何でもしてくれそうなのだ。

 

(まあ私からブロリーに頼むのは稀だし、酷いことをお願いしたりはしないけどさ)

 

 だが凄く懐かれていることには違いなく、ブロリーは幼い頃からずっと私の料理を食べて育ってきたので、多分だが胃袋をガッチリ掴んでしまったのだろう。

 

 おまけにブロリーが目覚めてからずっと一緒に過ごし、私はそんな彼を弟のように思っている。

 そして向こうも姉のように接しているが、雛鳥の刷り込みのように初めて見た存在を親だと思い込んでもおかしくない。

 

 何しろ彼は本当の親の顔は見たことがなく、名前も知らないのだ。

 流石に放ってはおけないし、ブロリーは大切な家族ということで、姉らしく愛情かけて育児や世話をしてきた。

 

 だからなのか、ブロリーの私への好感度はかなり高い。

 年齢的にまだ子供で無自覚ではあるが、スキンシップも激しかった。

 

(今のところは距離が近かったり、抱きまくら扱いで済んでるけど)

 

 お互いに血は繋がってないし、ブロリーのことは嫌いではない。

 なので、いよいよとなれば観念するが、彼は大切な弟だしそんなことはあり得ないだろう。

 

(ブロリーは口数が少なくて、感情がちょっと読み辛いけど。

 優しくて強くて格好良い。そんな彼は私にとっての大切な弟で、

 そもそも姉を好きになるのはあり得ないでしょ)

 

 前世の私は一人っ子だったので弟に関しては良くわからないが、現時点でそんな感情はこれっぽっちもない。

 きっとブロリーも同じだろうから、深読みするだけ無駄だろう。

 

 家族ゆえにかなり近い距離感ではあるが、それも年齢が上がって親や姉離れしていくうちに、次第に適切な距離に収まるはずだ。

 

「ミズナ姉、また変なこと考えてる?」

「いやいや、別に変なことは考えてないよ?」

 

 そしてブロリーは戦闘民族だからか、時々やけに勘が鋭い。

 おかげで私に敵意や害意がない味方だと、初見ですぐに気づいてもらえた。

 もしファーストコンタクトに失敗していたら、一人用のポッドで自分は殺されていただろう。

 

 

 

 まあとにかく私の感情を正確に読み取るのはありがたいが、隠しておきたいことまで、そのものズバリと核心をついてくるのは、ちょっと困ったものだ。

 

 なので私は強制的に話題を終わらせるために、大口を開けてマンガ肉に食らいついて、美味い美味いと言いながら食事に集中するのだった。




ヤードラット星は二次を書く際に少し調べましたが、超を読んでいないので不明の箇所が多いです。

以下、現時点での最大戦闘力、やっぱり数値化はロマンがありますが、非公式サイトを参考にしていて色々ガバガバですみません。

ミズナ 50
何年も修行して初期の10倍強くなったと言えば立派だが、最近は伸び悩んでいる。代わりに技の修得は凄まじく速いため、以降の修行はイメージ及び自主トレーニングに切り替えた。

ブロリー 1億~3億。
スピリットの修行で戦闘力や理性の制御ができるようになっても、まだまだ未熟で出力の安定には程遠い。
しかし今のミズナへの好感度が既にパラガス以上なため、傷つけられるだけでもブチ切れて超化するかも知れない。

大猿化について
満月の危険性を知っているので全力回避し、現時点ではブロリーの大猿化やミズナが理性を保てるかはわかっていない。

投稿ペースについての質問です。切りの良いところまででも、必ず2000文字以上とは限りません

  • 2000文字以下で良いので毎日投稿
  • 切りの良いところまでで二日に一投稿
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。