クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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ピッコロ大魔王(6)

<シロナ>

 神龍を呼び出して、ピッコロ大魔王が若返った。

 ここまでは原作通りではあるが、そこでおかしなことが起きる。

 願いを叶えたあとに神龍を始末せずに、ドラゴンボールが世界中に飛び去るのをそのまま見逃したのだ。

 

 どうしてこんなことになっているのかと困惑する私は、若返った彼に率直に尋ねてみる。

 

「あの、ピッコロ大魔王様」

「何だ?」

「神龍を殺さなくて良かったんですか?

 もしピッコロ大魔王様を、この世から消し去ってくれとか願われたら──」

 

 実際にはその願いは叶わないが、ピッコロ大魔王は知らないので神龍を殺そうとした。

 他にも自分に不利なことを願われる可能性がある以上、念のために始末しておこうと考えるのは、ある意味では正しいと言える。

 

「確かに、そのような危険もある。

 だが、もう一つ叶えたい願いがあるのでな」

「そうなんですか?」

 

 他に何かあったかなと首を傾げていると、ピッコロ大魔王が不敵な笑みを浮かべる。

 そして私を見下ろして口を開く。

 

「人間の寿命は短いが、シロナがワシよりも早く死ぬのは許さん」

「……ええと」

「たかだが数十年で死ぬのは、つまらんからな。

 シロナの長寿でも願うとするか」

 

 がっはっはっと笑いながら言い放つピッコロ大魔王である。

 いつの間にそんなに気に入らたんだろうと困惑するが、きっと彼にとっては猫や犬のような愛玩動物のようなものだろう。

 

 嫌われているよりはマシかと前向きに考えていると、彼は勝ち誇った笑みを浮かべて話しかける。

 

「シロナよ! ワシの活躍をとくと見ているといい!」

「ピッコロ大魔王様はそうやってすぐ調子に乗るので、少しは慎重に行動してください」

 

 そうやって相手を舐め腐って足元をすくわれるので、本当に近くで見ている私は気が休まらない。

 

「がっはっはっ! それでこそシロナよ!」

「若返っても、その性格は変わらないようですね」

 

 私が率直な感想を告げると、何が嬉しいのかますます大笑いされる。

 本当にピッコロ大魔王が考えていることは、良くわからない。

 

 だが今が絶頂期というか、最高の気分なのは十分に理解できたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<ミズナ>

 カメハウスではなく、もっと広々としている我が家に全員を連れて瞬間移動した。

 魔封波で気を消耗しすぎた亀仙人をベッドに寝かせて、すぐさま私の気を注ぎ込むが自分は総量が少ない。

 

 おまけに怪我の治療ではなく、死の淵から蘇る程の生命力が必要なのだ。

 元気玉の要領で自然エネルギーを吸収し、体内で変換して亀仙人に与えるという面倒くさい手順が必要になった。

 

 例えるなら食べて消化した物を、逆流させて口から吐き出す行為をやらされるようなものだ。

 しかもこの苦行は、かなりの長時間続いた。

 

 ブロリーも自分の気を与えるぐらいはできるが、それは小さな紙風船に肺活量が滅茶苦茶凄い人が息を吹き込むようなものだ。

 ぶっちゃけ亀仙人にトドメを刺しかねないため、調整が上手い私がやったほうが確実だった。

 

 

 

 しかし無事に峠を越したあとに、もう二度とこんなことはやりたくないと心の底からそう思った。

 

 居間のソファーで横になって、ぐったりした私にクリリンが深々と頭を下げる。

 

「武天老師様を助けてくださり、ありがとうございます」

 

 他にもカメハウスからこっちに連れて来て、一時的な避難所としてしばらく過ごしてもらっていた。

 大農場を運営していて大きな屋敷に住んでいるので、こういう場合にはピッタリである。

 

 

 だがまあ、それはそれとして私は鈍い体をゆっくり動かす。

 そしてクリリンに顔を向けて、申し訳なさそうな表情を浮かべる。

 

「私はクリリンさんを傷つけたのですよ?

 感謝ではなく、叱責や罵倒をするべきでは?」

 

 彼は結果的には傷一つなく死んでもいないが、酷いことをした事実は決して消えない。

 なので申し訳なさを感じている私としては、罵倒してくれたほうが気が楽と言えた。

 

「そりゃ凄く痛かったですけど、死んでません。

 それに女神様も、何か考えあってのことでしょう?」

 

 私は色々考えて動いているのは、原作通りに進めつつ被害を減らすためだ。

 それにクリリンの言う通りで、今のところは彼だけでなく誰も死んでない。

 

 だがここで私はあることを思い出して、少しだけ失礼しますと伝えて念話を行う。

 

(今は正直気分が最悪だし、念話なんて使いたくないけど仕方ないか)

 

 対象はキングキャッスルと、その周辺の人々だ。

 内容はいつもように女神ミズナの告知であり、もうすぐピッコロ大魔王が来るので、今すぐ逃げるようにというシンプルなものである。

 

 

 現在は嘔吐しそうなほどグロッキーで、あまり気の利いたような言葉をかけられる状態ではない。

 それでも必要最低限の情報は伝えた。

 

 これで逃げなければもう処置なしで、次のドラゴンボールを待ってもらうしかない。

 

「ああー……すみません。ブロリー、水をお願いします」

 

 私は弟のブロリーに冷たい水をコップに注いでもらい、何とか半身を起こして口を近づける。

 

「ミズナ姉、大丈夫か?」

「あまり大丈夫じゃないですね」

 

 とにかく気分が悪く、今はソファーから動きたくない。

 

「それでミズナ。この作戦は?」

 

 ブルマは私のことを女神様と呼ばないので好感が持てる。

 できれば末永く、お友達でいたいものだ。

 

「もちろん、成功するまで魔封波を使ってもらいます」

「まさに下手な鉄砲も数撃ちゃ当たるね」

 

 まさにその通りで、何も言い返せない。

 私はブルマに顔を向けるのも億劫なため、ブロリーに水を返して天井を見ながら、今この場にいない亀仙人と天津飯について簡単に説明しておく。

 

「二人には魔封波の成功率を上げるために、修行してもらっています」

「ええ、次こそは成功するといいわね」

 

 天津飯は若く、才能がある。

 魔封波の練習をすれば、きっと亀仙人によりも上手く扱えるはずだ。

 

 まあ原作通りに進めば使う必要はないが、次のチャンスに備える姿勢を見せるのは大切である。

 

 そしてブルマはあることが気になったのか、それに関して尋ねてきた。

 

「ピッコロ大魔王に、ドラゴンボール使わせちゃって良かったの?」

「隠したり逃げ回れば、地球への被害が増えますので」

 

 老いたとはいえピッコロ大魔王は強大で、普通の人間では逆立ちしても勝ち目がない。

 ドラゴンボールを探す途中で障害になる者は、情け容赦なく殺されてしまう。

 いくらあとで生き返れるとはいえ、死んでいい理由にはならない。できるだけ被害を抑えたり助けたかった。

 

(ブロリーが出れば一発解決だけど、それはちょっとなぁ)

 

 ブロリーが原作を破壊し尽くせば、主人公である孫悟空の成長の機会や、仲間の加入フラグまで消滅してしまう。

 いずれ戦う未知の強敵のことを考えると、やはり伝家の宝刀を抜くのは避けたいのだった。

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