クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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ピッコロ大魔王(7)

<シロナ>

 世界の王が住むキングキャッスルにやって来た。

 念話で事前に避難勧告した効果はあったようで、周辺都市に人はかなり少ない。

 ただしピッコロ大魔王など何するものぞや、女神のことを信じていない人は残っていた。

 

 特にキングキャッスルは警備レベルを上げて、私たちを待ち構えている雰囲気がある。

 

「ここが俺様の城になるのか。ふふふ、悪くない」

 

 私とピアノが追従し、ピッコロ大魔王は城門に向かって堂々と歩いて行った。

 

「なっ、何だね。キミたちは。ここは関係者しか入れないんだよ」

 

 門番が不審者に警告するが、ピッコロ大魔王が動くよりも先に、私が勢い良く飛び出した。

 

「今日からピッコロ大魔王様が国王です!」

「がはっ!?」

「きっ、貴様!」

 

 首筋に手刀を当てて、片方を素早く気絶させた。

 その間に隣の門番が拳銃を撃ってきたので、素手で弾丸を全て受け止める。

 

「あっ!?」

 

 驚いて棒立ちになった彼に近づき、無言で殴って壁に叩きつけた。

 手加減したので死んではいないはずだが、その間にピッコロ大魔王が門を素手でこじ開けて侵入する。

 

 すぐに警報が鳴って、兵士が大勢集まってきた。

 彼はニヤリと不敵な笑みを浮かべる。

 

「うるさいアリどもだ。シロナ、下がっていろ」

「このぐらいなら、私だけで──」

「いいから下がっていろ」

「はいはい」

 

 いつものように、はいは一回でいいと注意される。

 私は大人しくピッコロ大魔王の後ろに下がった。

 

 内心で一緒にピアノも気遣ってあげれば良いのにと思いながら、警備員を倒していく彼を後ろから眺める。

 

 やはりどれだけ数を揃えても、普通の人間ではピッコロ大魔王の相手にはならない。

 一方的な蹂躙は終わり、すぐに動く者はいなくなった。

 

 私たちは静かになった庭園を抜けて、城の奥へと入っていく。

 

「止まれ」

「ほう、うすらでかいのが出てきたな」

 

 筋骨隆々の大男がゆっくりと近づいてくるが、ピッコロ大魔王は余裕の表情を崩さない。

 

「おかしな妖術を使うらしいな。おまけに銃も効かない。

 そこで、この俺の登場になったわけだ」

 

 大男は余程自信があるのか、余裕の表情を浮かべていた。

 

「無駄なことは止めて。ワシの家来にならんか? 靴ぐらい磨かせてやるぞ」

「ピッコロ大魔王様、靴を磨いて欲しかったんですか?」

「冗談に決まっておろうが、シロナはやらんでよろしい」

 

 ツッコミを入れられてしまったが、おかげで多少強引でも会話に入ることができた。

 

 私個人としては、やっぱりなるべく死んで欲しくはない。

 なのでピッコロ大魔王よりも先に動くべく、一歩前に出る。

 

「まあそれはそれとして、ピッコロ大魔王様が出るまでもありません。

 このぐらい私でも余裕です」

「ほう、ならば任せてみるか」

 

 そんな私を見て、大男や警備員は何やら盛大に勘違いしているようだ。

 怒りの表情を浮かべているが、今は説明できる状況ではないので無視する。

 

「子供を人質に取るとは! 卑怯な!」

 

 取りあえず怒り心頭で隙だらけの大男に向かって駆け出し、素早く距離を詰める。

 続いて、目にも留まらぬ速さで連続攻撃を叩き込む。

 

「……ぐっ! まだだっ!」

「しぶとい!」

 

 だが彼も大口を叩くだけはあって、人間にしては強い。

 殺さずに怪我も最小限に抑えて気絶させるには、かなりの数を打ち込まなければいけなかった。

 

 しばらく互いに乱打が続いたが、私は何とか被弾ゼロで終わらせる。

 

「ふう、こんなものでしょうか」

 

 大男が壁を背にして崩れ落ちる横で、私は呼吸を整えながらピッコロ大魔王に顔を向ける。

 

「うむ、シロナもなかなかやるな。

 だがワシには到底及ばん」

「ピッコロ大魔王様は別格ですし」

 

 サイヤ人ではクソ雑魚で、地球人の中では強いほうだ。

 しかしそれでも、原作キャラの中では下から数えたほうが圧倒的に早い。

 転生チートの特殊能力を使えない今の私では、実力の半分も発揮できないだろう。

 

「国王になって落ち着いたら、シロナに稽古をつけてやろう」

「私は自主トレーニングで十分ですよ」

「遠慮するな! ピッコロ大魔王様の右腕を名乗っても恥ずかしくないほど、強くしてやるからな!」

 

 そんなの別に名乗りたくないし、私は今のままでも良かった。

 しかしピッコロ大魔王は、親切心で言ってくれてくれるのだろう。

 けれどこのままだと本当にビシバシ扱かれそうなので、私は明後日の方向を向いて口を開く。

 

「そっ、そう言えば国王は何処なんでしょうか!

 城にはいませんでしたし、もしかして逃げるつもりなのでは!」

 

 ピッコロ大魔王は微妙な顔をしたが、過酷な修行はマジ勘弁なのだ。

 

「露骨な話題そらしを……まあいい。逃げるとしたら小型艇か」

「そうなると西の塔が怪しいですね。ここに来る途中で、発着場が見えましたし」

 

 話題を変えることに成功して、城の外に出て小型艇を探す。

 するとちょうど出発したばかりのようで、ピッコロ大魔王は空を飛べるのですぐに後を追う。

 私とピアノは、その場に残って留守番だ。

 

 

 

 彼は小型艇に乗ってガラス窓を蹴り飛ばし、反抗した護衛を掴んで地面に落とした。次に強力な気功波を放ち、街の一部を消し飛ばす。

 大魔王の脅しに最初は逆らっていた国王も、最後には屈する。

 そして全世界は彼の支配下に入ったと、テレビで発表することになったのだった。

 

 

 

 

 

 

 少し時間が経ち、国王の重大発表が行われることになる。

 いよいよ世界中に向けて、大規模な放送が始まった。

 

「……と言うわけで、わ……私は国王の座を追われ、こ……この世界の国王は、ピッコロ大魔王となってしまいました。……無念です」

 

 国王は脅しに屈して従順なように見えて、まだ逆らう気力が残っていたようだ。

 残された勇気をかき集めたのか、突然マイクを手に持って大声を出す。

 

「こっ、こんな奴が王になっては世の破滅だーっ! だっ、誰か! この無法者をやっつけてくれいっ!」

 

 だが彼に喋れたのはそこまでだった。

 私が乱入して、国王の首を絞めあげたからだ。

 

「余計なことは言わないでと、いったはずですよ?

 まだ死にたくはないでしょう?」

 

 ジタバタ暴れる犬の王様には、怪我をさせないように丁寧に退場してもらう。

 そして、代わりに私が話し始める。

 

「さて、私がピッコロ大魔王……と言うのは冗談で、自分はただの部下です」

「部下ではなく、私の右腕だ」

「今は私が喋っているので、ピッコロ大魔王は黙っていてください」

 

 横槍を入れられると番組の進行が滅茶苦茶になる。

 取りあえず黙っていてもらい、コホンと咳払いをして続きを話していく。

 

「私はもっぱら雑用担当ですし、あとピッコロ大魔王様は顔が怖いのでカメラ映りがあまり──」

「見る者を恐怖させる良い顔であろうが」

「一部以外は人気が出なさそうなので、駄目です。

 お茶の間が凍りつきますよ」

 

 人に好かれなさそうな強面なのは自覚しているのか、納得はできなくても取りあえず黙ってくれた。

 今は一人でも多くの国民に聞いてもらうことが重要なので、ピッコロ大魔王の登場はそのあとで良い。

 

 まあ原作通りに進めば次などないのだが、そっちのほうが私にはありがたかった。

 

「ピッコロ大魔王様の力は、先ほど見せた破壊された町並みの様子で十分に理解できたと思います」

 

 台本をめくって次の内容を口に出そうとすると、本体から天津飯たちが出発したことが伝えられる。

 どうやら魔封波を、百発百中で命中させられるようになったらしい。

 

「新国王の嫌いな言葉は、正義と平和です。

 しかし別に、国民を縛りつけているわけではありません」

 

 次に悪や恐怖に満ちた素晴らしい世界にしましょうと説明していき、それもやがて一区切り付いたので、別の話題に移る。

 

「新国王の政策は、それだけではありません。

 全世界には四十三地区がありますが、1から43までの数字を書いた地図を用意しました。……私が手作りで」

「だから最初から、人間共に任せれば良かったのだ」

「いいんですよ。私がやりたくて、やったのですから」

 

 ピアノはそんな面倒なことやりたがらないし、人間たちに自らの都市を壊滅させる手伝いをしろなんて言い出せない。

 なので私が用意したのだが、クジを作るのは簡単なのですぐに完成した。

 

「とにかく今日、五月九日はピッコロ大魔王様が王座についた記念すべき日です。

 そこで毎年、五月九日のピッコロ記念日にクジをひくことにします」

 

 台本を読んでる間にも超神水を飲んで潜在能力を解放した悟空が、筋斗雲に乗ってこちらに向かっていると報告が入る。

 

 なので実際には、都市が吹き飛ぶことはないはずだ。

 

 その後にピッコロ大魔王は誰の挑戦でも受けることや、二十九番地区の西の都が破壊対象に選ばれたことが、世界中に報道されるのだった。

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