クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

36 / 38
第二十三回天下一武道会(3)

<シロナ>

 第三試合はマジュニア対クリリンだ。

 私は本体から少し離れた場所から観戦して、これからどうなるのか緊張しながら様子を見守る。

 

 やがて二人が武舞台に姿を見せて、便宜上は息子である若いナメック星人が不敵に笑った。

 

「いつでもいいぜ。かかってこい。ザコ」

「マジュニア。あまり人を見下すのは」

 

 いつのもの癖で、咄嗟に口から出てしまった。

 しかし声をかけてしまったのは取り消せないから、今は気にしないことにした。

 

「そうか。では言い直そう。弱虫と」

「……あまり変わってませんよ」

 

 魔族の特徴なのか、マジュニアは人間を見下している。

 身体能力が違いすぎるのでそうなるのもわかるけど、あまり舐めてかかると後悔することになる。

 

「すみません。クリリンさん。うちのマジュニアが失礼なことを」

「いえいえ、気にしてませんよ! はっはっはっ!」

 

 頭を下げて謝罪すると、クリリンは笑って許してくれた。

 しかし若干顔がひきつっていることから、実は気にしていることがわかる。

 良い人なので何も言わないため、申し訳ない気持ちになってきた。

 

「まあそんじゃ、遠慮なくいかせてもらうからな」

 

 何にせよ売り言葉に買い言葉というか、クリリンは腰と両腕を下げて気を集め始める。

 そして追尾する気功波を放ち、マジュニアの隙を見逃さずに空中でパンチを叩き込んで吹き飛ばす。

 

 このまま場外負けかと思いきや、舞空術で武舞台に戻ってきて両選手の激しい打ち合いが始まる。

 格闘戦の細かいところまでは覚えていないが、多分原作通りだろう。

 

(舞空術を使ったのは覚えてるけど、それで空中戦をしたっけ?)

 

 マジュニアもクリリンも舞空術を使って、激しい空中戦を繰り広げている。

 腕を伸ばして驚きながら捕まっても、すぐに冷静になって逆らうのではなく前方に跳躍して殴りかかってるし、何処がどうとは言えないが何かが違う気がした。

 

 だが結局最後はクリリンが武舞台に叩きつけられて、よろめきながら何とか起き上がったものの、やはり無理だったのか降参して勝負が決まる。

 

「マジュニア、良く頑張りましたね。凄いですよ」

「ああ、母よ。人間も意外とやるようだ」

 

 私が手を叩いて喜んでいると、マジュニアは不敵な笑みを浮かべて返事をする。

 

「俺様の足元にも及ばんが、そう容易くは優勝はさせてもらえんようだな」

 

 初めて人間の武道家と戦い、マジュニアがその強さを認めたようだ。

 血は繋がっていないが本物の息子のように扱っているので、彼の成長を感じて私としてはとても嬉しかった。

 

「ほんの少しだけだが、人間を見直したぞ」

「今はそれだけで十分です。次の試合も、応援していますよ」

 

 思わず嬉し涙が出そうになるが、我慢して目元少しだけ拭う。

 

「ふっ、どれだけ人間が強くても、俺様の優勝は揺るがん。

 母は、安心して見ているといい」

 

 私に対しては優しいのに、他の人間への風当たりが相変わらず強い。

 やはり早いところ悟飯と打ち解けて欲しいが、まだ結婚したばかりだし何年先になるやらだ。

 

 とにかく今は次の試合が始まるため、気持ちを切り替えて観戦するのだった。

 

 

 

 

 

 

<ミズナ>

 第四試合はヤムチャ対シェンだが、何故かこっちの彼は全く油断をしていない。

 

「悪いけど、俺は油断しませんよ。

 肉体的な強さで、勝敗が決まるわけではないですからね」

 

 そう言ってヤムチャは私をチラ見してきたので、何となく言いたいことはわかった。

 しかしそれは転生チートのおかげであり、別に自分が凄いわけではない。

 

「俺には貴方の実力はわかりませんが、一見弱そうに見える相手が強者の場合もありますからね」

 

 また彼は私をチラチラ見てくるが、クソ雑魚サイヤ人は一発殴られるだけで容易くKOできる。

 

 全力を出せば少しは戦えるけど、すぐに体が悲鳴をあげるので長くは保たない。

 まあ短期決戦や一発当てて終わりなら、十分に逆転の芽はある。

 

 そんな私の心境はともかく、ヤムチャが油断も隙もないことに気づいたシェンが、真面目な表情に変わった。

 

「貴方は私の雰囲気や仕草で、判断しませんね。

 これなら目を覚まさせる必要はなさそうです」

 

 そう言ってシェンは微笑みながら、静かに構える。

 

「やはり貴方は、素晴らしい素質を持っていますね。

 ミズナさんが気にかけるのもわかります」

 

 いきなり名前を出されたことで、観客の視線が一斉にこっちに向く。

 

「急に私の名前を、出さないでくれますかね」

「おっと、失礼。嬉しくてつい」

 

 シェンが照れくさそうに後手に頭をかいて私に謝罪するが、反省の色はなさそうだ。

 

「何なら貴方を、強制的に分離させてもいいんですよ?」

「あはは~! 試合に戻りますね!」

 

 ヤードラット星で修得したスピリットの強制分離を使えば、彼を引っ剥がすこともできる。

 原作通りに進めたいのでやりはしないが、あんまり私を表舞台に引っ張り上げないで欲しい。

 

 

 

 やがて苦笑気味に答えたシェンが、ヤムチャに向かい合う。

 再び戦いが始まり、おかげで観客の話題もそちらに向けられる。

 先程の発言で、互いの関係を気にする人はいなくなった。

 

 それにしても両者とも本気の激しい打ち合いだ。

 やはり戦闘経験に、差がありすぎる。

 

「シェンさんは、動きが洗練されていますね。

 この差を試合中に覆すのは難しいでしょう」

「そっ、そんなになの!?」

「そんなにです」

 

 ブルマが驚きながら尋ねてくるが、これがサイヤ人なら別だがヤムチャは地球人だ。

 いくら武道の才能があったとしても、戦いの中で急激に成長して相手を追い越すなんて、頭のおかしいことはできない。

 

 やがて繰気弾を使ってシェンを追い詰めたものの、最後の最後で油断してしまって場外負けになってしまう。

 勝ったと思った瞬間にもっとも大きな隙ができるのは、有名な話だ。

 

 だが試合の後に互いに認め合って、清々しい顔で選手控室に戻っていく。

 シェンが繰気弾で大ダメージを受けてダウンしかけたなどの変化はあったが、原作通りに進んでいるのでヨシとするのだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。