クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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ブルマとの出会い

 夜が明けたので、大猿から人間に戻った悟空の傷を癒やして服を着せる。

 そして満月の夜に大猿が襲ってきてお爺さんが踏み潰されたことと、遺言で今後は私が保護者として面倒を見ることを説明した。

 

 なお唯一の家族で、育ての親が亡くなったのだ。

 悟空はまだ小さな子供なのもあり、自分が殺したという事実は隠しても、心が耐えきれるものではなく大声で泣き喚いていた。

 

 私がどう慰めたものかと考えていると、意外なことにブロリーが前に出て口を開いた。

 

「孫悟空。親を失うのは悲しい。

 だが今は、俺たちがいる」

 

 彼は自分でも、どう説明したものかと迷っているようだ。

 途中で何度か言葉を切って、少し考えてから続きを話す。

 

「俺も、ミズナ姉も、孫悟空も、家族だ」

「オラたちが、家族?」

「そうだ。その証拠に、俺たちには尻尾がある」

 

 ブロリーはそう言って、尻尾を悟空のほうに伸ばす。

 ツンツン頭の少年は静かに手で触れ、自分と同じかどうかと確かめていた。

 

 やがて少しずつ落ち着いてきたので、私もコホンと咳払いをして口を開く。

 

「私は孫悟飯のように、立派な親ではないけど。

 姉としてなら役に立てる。……と思うよ」

「……兄ちゃん。姉ちゃん」

 

 孫悟空は涙を流しながらも、にっこりと微笑む。

 きっと嬉しいのと悲しいのが、ごっちゃになった涙だ。

 

 惜しい人を亡くしたことには違いない。

 しかし私は、お爺さんから彼のことを頼まれたのだ。

 

 偶然通りかかって成り行きだが引き受けた形だが、承諾した以上は責任を持つべきだろう。

 

 何より一般常識的に考えて、小さな子供を人里離れた山奥に放置することなどできない。

 もちろんそれは、悟空と同い年っぽいブロリーも同じだ。

 

 せめて二人が独り立ちするまでは姉として面倒を見ようと、私は心の中でそう決意するのだった。

 

 

 

 

 

 

 孫悟飯が亡くなり三人が家族になってから、数年が経過する。

 

 ワンパク盛りな弟を二人も面倒を見ていると、自身の性格はともかく行動や言葉遣い、その他諸々も少しずつ変わっていく。

 容姿は幼女体型から全然変化がないが、全体的に丁寧な喋り方で落ち着きを持った女性になった。

 

 

 

 今は大農場を経営してお金を稼ぎつつ、自給自足ができるようになり、私は家事や雑用な事務処理など行っている。

 そして弟たちは、主に力仕事を担当してもらっていた。

 

 他にもブロリーと悟空は修行や体を鍛えるのが大好きなので、午後からは自由時間にしてある。

 

 一日のノルマを課して、午前中は素手で畑を耕したり野生動物を狩ってもらう。

 そして昼近くか午後からは、二人で修行をするのが最近の日常だ。

 

 ちなみにブロリーは常に超重量の服を着用し、気を抑えて悟空と戦ってもらっている。

 それでも一人で修行するより、断然楽しそうだ。

 

 姉が戦闘タイプではなく、訓練にもあまり乗り気でもない。

 なので戦いにワクワクする悟空のような弟と、殴り合えるのが嬉しいのだろう。

 

 

 

 それはそれとして、私は大農場の維持管理をしている。

 普通に考えて一人では仕事が間に合わないので、ヤードラット星で修得した分身が大いに役に立っている。

 

 他にも転生チートで多くの技を扱えるため、食費がかかるサイヤ人の家族でも割りと裕福な生活を送れていた。

 丸いハウスは少し狭いので、大きな屋敷を建ててそこで暮らせるほどだ。

 

 ただし使用人や従業員を雇う気はなく、全てを私が一人で切り盛りしているのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんな良く晴れたある日のことだ。

 分身体には別の仕事を任せて本体の私は屋敷の外に出て、いつものように洗濯物を干していた。

 

 すると遠くからエンジン音が聞こえてきて、誰かがこちらに近づいていることに気づく。

 

「はて、誰かしら?」

 

 いくら大農場でも、ここは人里からかなり離れている。

 山奥に来る人は限られているため、何となく気を感知して身元を明らかにしようとする。

 

「ううん、全く知らない人ですね」

 

 これまで関わりを持った人ではないが、気はかなり小さく悪意も感じないので脅威ではないだろう。

 取りあえず焦ることはないので、気にせずに洗濯物を干していく。

 

 やがて接近する何者かは、こちらに気づいてスピードを落とす。

 そして山奥に豪邸が建っていることに驚きながら、バイクらしき乗り物を完全に停車させて、ひょっこり顔を覗かせて話しかけてくる。

 

「あのー、すみませーん」

「はい、何でしょう?」

 

 ちょうど洗濯物を干し終わったので、私は何気なく振り向いて確認する。

 

(てっ!? ブルマじゃん!?)

 

 いつか来るとは思っていたが、時期まではわからなかった。

 なので私にとっては予想外の人物であり、驚いて一瞬固まってしまう。

 

「……あの、どうかしましたか?」

「ああ、いえ、何でもないです。

 山奥に来る人は珍しいので、少し驚いたんです」

 

 人里には定期的に野菜を卸しに行くが、基本的に業務や買い出し以外では人と関わらない生活を送ってきた。

 なので言っていることに、間違いはない。

 

(原作では、悟空が魚を捕まえた帰り道でブルマと出会うんだっけ)

 

 こうなった原因を想像すると、食事は私が毎度自炊してるし、食材は大型の業務用冷蔵庫に保存されている。

 そして悟空は今、ブロリーと修行中だ。

 

(ううん、原作から外れる要素が揃いすぎてる)

 

 何となく頭が痛くなってくるが、今は目の前の来客に対応するのが重要だ。

 私がブルマに微笑みかけると、彼女は曖昧に笑う。

 

「確かに、ここってかなりの山奥だしね。

 私もまさか、人が住んでるとは思わなかったわ」

「そうですよね。アハハ」

 

 誤魔化すための笑いだが、不審には思われずに済んだ。

 やがてブルマは少し待ってと声をかけて、懐からレーダーらしき物を取り出し、スイッチを押して確認する。

 

「うん、やっぱりここにあるわね」

 

 現物を見るのは初めてだが、あれは多分ドラゴンレーダーだ。

 私は黙って彼女の次の言葉を待つ。

 

「最近、この辺りで光る玉を見なかったかしら?」

 

 彼女はカバンに手を入れて、こういう感じのだと見本を取り出した。

 それはどう見ても、ドラゴンボールだ。

 

(そっか、とうとう原作が始まったんだ)

 

 ブルマがドラゴンボール探しをしていることが、今ここではっきりしたのだ。

 これから悟空を中心にして、摩訶不思議アドベンチャーが始まるのは確実だった。

 

 

 

 そして、孫悟飯の形見のドラゴンボールは確かにこの家にある。

 向こうはレーダーを持っているので、所在がわかっているのは間違いない。

 

 私は誤魔化すつもりはないが、どう答えたものかと少し迷う。

 

 悟空がブルマと一緒に旅立たなければ物語は始まらないが、今はブロリーとの修行に熱が入っている。

 私が言えば四星球は彼女に貸してはくれるけど、きっと彼は外には行きたがらない。

 

(あー……本当に、頭が痛い)

 

 毎日が充実していると言えば聞こえが良いが、悟空にとっては今の日常を変えたくないのだ。

 私はこれから彼が外の世界に旅立つように、何とか上手いこと説得しなければいけない。

 

 しかしいつまでも目の前のブルマを待たせておくわけにはいかず、コホンと咳払いをして口を開く。

 

「その光る玉なら、家で保管していますよ」

「本当!? そのボールが欲しいの! お願い! 私に譲って!」

 

 両手を合わせて頼み込んでくる。

 しかしこっちにも思惑があるし、タダというわけにはいかない。

 

 私は少し待つようにと手で制して、続きを話していく。

 

「譲ってあげても良いですが、一つ条件があります」

「じょっ、条件!?」

 

 お金で売るのではなく、条件を出してくるとは思わなかったようだ。

 少し緊張していたが、大したことではありませんと微笑む。

 

「しかし、私だけで話を進めるわけにもいきません。

 家族を呼びますので、少しだけ待ってください」

 

 彼女から何をしているかわからないが、私は修行中の弟二人に念話を送る。

 

『少し話したいことができたので、今すぐ家に帰ってきてください』

 

 念話は一方通行だが、弟二人にはこれで十分内容は伝わったはずだ。

 その間に私はブルマに優しく笑いかける。

 

「山道を走ってお疲れでしょうし、

 家のなかでお茶でも飲んで、少しだけ待っていてください」

「えっ? あっ、どうもありがとう。

 じゃあ、お言葉に甘えてお邪魔するわね」

 

 そのままブルマを屋敷に入れた私は、食器を洗っている分身体の横を通り過ぎる。

 

 そして舞空術で少しだけ浮いて、幼女では届かない位置にあるコップや茶葉を取り出していく。

 

 彼女は全く同じ容姿の少女が二人いる光景を目撃し、玄関を抜けた辺りで完全に固まっていた。

 舞空術に関しては、思考が止まっていて気づかなかったようだ。

 

「しっ、姉妹かしら?」

「私の分身体ですよ。

 弟たちはもうすぐ帰ってくるので、椅子にかけてお待ち下さい」

 

 噂をすればで、二人の気が近づいてきた。

 

 ちなみに悟空はまだ気のコントロールができずに、飛ぶことができない。

 なので普通に走って移動していて、気功波も教えていなかった。

 

 兄との修行は地上で行うのだが、ことあるごとにオラにも教えてくれよーとせっつかれて困っている。

 

 しかし、気に関して教えないのは理由があった。

 

 ドラゴンボールの代名詞と言えば、個々人によって違うが色々ある。

 そして私は、かめはめ波がその一つだと思っていた。

 

 亀仙人が孫悟空に直接教えたわけではないが、原作では使用頻度が多く切り札的な技になっている。

 

 さらにかめはめ波を修得したことで、気に関しての基礎が身につき、様々な派生技に繋がっていく重要な鍵と言えた。

 

 そんな原作で重要なキーパーソンを私がやったら、絶対に本来の流れから外れて、明後日の方向にかっ飛んでいくに決まっている。

 

 あとは自分は、あまり修行や指導に積極的ではない。

 なのでやはり、悟空の師匠は亀仙人にお任せしたかった。

 

 

 

 そんなことを考えながら、私はお茶の準備を行う。

 すると玄関の扉が開いて、弟二人が帰宅した。

 

「ただいま」

「姉ちゃん、帰ったぞ」

「おかえりなさい。二人共」

 

 彼らは常に重い道着を着用し、組手をしたあとに全力で走ってきた。

 これも修行ということで、揃って汗だくである。

 

 デザインは亀仙流のアレを参考にしていて、亀の代わりに水を入れていた。

 私のお手製だからで、他に深い意味はない。

 

 なお、ダメージ軽減効果はつけていなかった。

 気だけでなくパワーやスピードを抑えて戦ってるので、これで攻撃が効かないと痛みに耐性がつかないからだ。

 

 

 

 とにかく帰ってきた二人には、本当はシャワーを浴びるように言いたかった。

 しかしせっかく人里離れた山奥に遥々来たブルマに、さらに待たせるのも何だか悪い気がする。

 

 なので私は呼吸を整えて、弟たちに人差し指を向けた。

 神様がやっていたように、物体を創造する。

 

「濡れタオルで体を拭いたら、椅子に座ってください。

 大切な話があります」

 

 神様が使っていた特技のアレンジだ。

 服ではなく温かい濡れタオルが、二人の目の前に実体化して普段通りに礼を言って受け取る。

 

 ブルマは大いに驚いたが、弟たちは慣れたものなのだった。




現時点での各キャラの最大戦闘力

ミズナ 60
少しだけ強くなった。でも本当に少しだけ

ブロリー 4億~6億
基礎能力を上げるより、戦闘力のコントロールに重点を置いて修行し、出力調整がかなり上手くなっている。今なら気を全開放しても理性を保てる

悟空 80
重い服を着用してブロリーと修行をしつつ、栄養満点の食事や家族の愛情ですくすく育った。
おかげで出会った頃より格段に強くなり、姉を追い越す(無慈悲
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