クソ雑魚サイヤ人は原作通りに進めたい   作:DB原作無印勢

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いでよ神龍(一回目)

 私は種族固有の能力以外は、大抵使える。

 気の操作も上手なので、神になる資格はなくはないと思う。

 

 しかし、やっぱりそんな面倒なことはやりたくなかった。

 

 原作では、いつ地球や人類が滅びてもおかしくない危機的状況に陥ることが、たびたびある。

 

 しかも予想は可能でも、回避不可能という厄介事ばかりだ。

 下手に未来を変えようとすると、きっとピタゴラスイッチ的な連鎖反応で、より大きな脅威が生まれる。

 

 宇宙に目を向けると原作には登場しない未知の厄災がありそうだし、そういうのを呼びかねないのだ。

 

 

 

 例えば最終章で語られた、絶望的な強さを持つ魔人ブウ。

 彼は宇宙からやって来たらしく、他にも明らかになっていないだけで、数多の強敵が存在する可能性が非常に高い。

 

 触らぬ神に祟りなしと言うが、まさにその通りだろう。

 

 そして地球の神といえば、そういう厄介な輩に一番に絡まれるか、発見する存在だ。

 何しろ星を守るのが仕事なので、もし地上の人間にどうにもならなかったら、彼らの代わりに事件を解決しないといけない。

 

 うっかり失敗して、人類が滅亡しましたでは済まされないのだ。

 そんな面倒かつ、針のむしろのような仕事は謹んで辞退させていただきたい。

 

 

 

 しかし、地球の神は私を後継者にする気満々のようだ

 もし不在になったら、ミスターポポからも頼まれるだろう。

 

 そして自分で言うのも何だが、私は困っている人を見ると放っておけないし、あまり押されると弱いのだ。

 

 けれど神を継ぐのは断固拒否だし、かと言って見捨てるのも心苦しい。

 

 何とも悩みどころであるが、考えた末に間を取って不在時の代役なら務めても良いことに決めた。

 

 どうせ神が不在なのも少しだけだし、しばらく経てばあの世から戻ってくる。

 融合して居なくなっても、デンデが神様になれば良いのだ。

 

 ならば私が一時的に代理の神を務めても、実際の出番は殆どないと言っても過言ではない。

 そう考えれば、案外気楽かも知れないのだった。

 

 

 

 

 

 

 そんなある日、私は居間で調理作業を行っていた。

 千里眼で悟空たちの様子を観察しつつ、頃合いを見計らって修業が一区切りして帰ってきたブロリーに、おもむろに声をかける。

 

「少し出かけてきます」

「俺も同行するか?」

 

 私は少しだけ考えて、首を横に振る。

 

「悟空の様子を、ちょっと見に行ってくるだけです。

 何かあれば念話で連絡しますし、同行の必要はありませんよ」

 

 にっこりと微笑みながら告げると、ブロリーは若干不満そうではあるがわかったと言ってくれた。

 彼も弟の様子が気になるのだろう。

 

 しかし、わざわざ同行してもらうほどではない。

 

 

 

 今の悟空たちは、ピラフ一味の罠にかかって牢獄に囚われている。

 私の目的を達成するには最大の好機なので、これを逃す気はない。

 

 新しく分身体を生み出して、調理を引き継いでもらう。

 続けて瞬間移動を使い、弟の元に飛んだ。

 

「ねっ、姉ちゃん!? どうしてここに!?」

「嘘!? ミズナ!?」

「うおっ!? 急に何処から現れたんだ!?」

 

 牢獄に囚われている悟空とブルマとヤムチャたちが、大いに驚いていた。

 他にウーロンとプーアルもいるが、今は呑気に事情を説明している時間はない。

 

 私はすぐに外の様子を千里眼で確認し、彼らに簡単に事情を話しておく。

 

「申し訳ありませんが、とある事情で、今回のドラゴンボールは私が使わせてもらいます」

 

 そう言って一礼する。

 続いて悟空のほうを見て、呆れたように溜息を吐いた。

 

「貴方が本気を出せば、こんな牢屋ぐらいすぐ出られますよ」

「姉ちゃん。オラ、本気でやってるぞ?」

 

 確かに悟空は本気で壁を殴っていた。

 だが、そういう意味ではない。

 

「ブロリーとの修行を思い出してください。

 今の悟空なら、使えるはずです」

 

 その言葉を最後に、私は再び瞬間移動を行う。

 

 次はピラフ一味のすぐ前に出現すると、彼らはちょうどドラゴンボールを並べて、神龍を呼び出そうとしているところだった。

 

「なっ! なっ! 何者だっ!?」

「急に現れたぁ!?」

「まさか! 幽霊!?」

「すみませんが、しばらく眠っていてください」

 

 殆どノーモーションで、手加減した気功波を発射する。

 直撃は避けて彼らの目の前に器用に当てると、三人は吹き飛ばされて地面を転がり、目を回して気絶した。

 

 

 

 暴力はあまり好きではないので、無駄に傷つけずに済んでホッと息を吐く。

 

「……さてと」

 

 念のために邪魔が入らないように、周囲を良く観察して気を探る。

 さらにバリアーを張り、誰も近づけないようにしておく。

 

 準備が整ったので、地面に置かれているボールをじっと見つめた。

 そして大きく息を吸い、緊張しながら大きな声で叫んだ。

 

「いでよ! 神龍! そして願いを叶えたまえ!」

 

 するとドラゴンボールが眩いばかりに光り輝いた。

 今がちょうど夜なのもあって、とても目立つ。

 

 そして七つの玉から巨大な神龍が現れて、天へと昇っていく。

 やがて完全に実体化し、私を見下ろしてくる。

 

「さあ、願いを言え。どんな願いも一つだけ叶えてやろう」

 

 願い事は決まっている。

 この日のために足りない頭を捻って考えてきたので、堂々と口に出す。

 

「私を神様っぽくしてください!」

「……えっ? 神様ではなく、……ぽくって、……何?」

 

 かなり大雑把な願いだからか、神龍が一瞬固まってしまう。

 このままだと話が進まずに、下手をすれば変な解釈をされてしまいそうだ。

 

 なので心を読んで叶えてくれるにしても、なるべく簡潔に説明していく。

 

「地球の神様に、後を継ぐようにお願いされました!

 しかし、私にその気はありません!

 ですが万が一に備えて、代理は必要でしょう!

 ゆえに、神っぽいのをお願いします!」

 

 こういう感じでお願いしますと、強くイメージして神龍に直接念を送る。

 彼は少しだけ戸惑いつつも、厳かに返事をする。

 

「そっ……そうか」

 

 私は真面目に神をやる気はない。

 不在時に、一時的に代理を務めるだけだ。

 なのでそれっぽく取り繕ろえて、ボロが出なければ十分だった。

 

 別に神に近づきたいわけではなく、それっぽい立ち振舞ができれば良いのだ。

 なのでサービス精神旺盛な神龍に、上手いこと調整してもらいたい。

 

 ちゃんとイメージ映像も送信したので、ほぼ一方的ではあるが意見の摺合せもバッチリである。

 

「容易いことだ。叶えられん願いはない」

 

 本当に神龍は頼りになるなと思いつつ、ホッと息を吐いてお礼を言う。

 

「ありがとうございます。

 それではお願いしますね」

 

 私は何が起きるのかとドキドキしながら、少し待つ。

 けれど、一向に何か起きる気配がない。

 

 はてと首を傾げるが、神龍は空中にじっと佇んだままだ。

 

 ここまで時間がかかるのは、原作ではなかった気がする。

 だが何も動きがないのは不安だし、もしかして願いが叶わないかも知れない。

 

 私が不安に思い、もう一度尋ねようと口を開きかけたとき、目の前の神龍が動いた。

 

「願いは叶えてやった。では、さらばだ」

「……あっ、はい、ありがとうございます」

 

 どうやら終わったようだ。

 一体何に手間取ったのかは、まだわからない。

 しかし、ふと気づいたことがあるので口に出す。

 

「やっぱり曖昧な表現だと、汲み取るのも大変なんでしょうね」

 

 それでも私の願いは叶ったので良しとしつつ、役目を終えたドラゴンボールが世界中に飛び散るのをのんびり眺める。

 

(原作ではギャルのパンティだったけど、それを変えるぐらいなら大した影響はないはず)

 

 私がそんなことを考えていると、やがて輝きがすっかり消えて、再び夜の闇が周囲を覆う。

 私は取りあえず柔軟体操のように、自分の体を軽く動かしてみた。

 

「ふむ、特にこれといって、変化はなさそうですね」

 

 体の何処にも違和感はなく、しばらく体操をしても良くわからなかった。

 ならば、これ以上はこの場に留まっても仕方ない。

 一旦家に戻って、改めて調べればいいだろう。

 

「悟空は、……まあ、自分で何とかするでしょう。

 これも修行のうちです」

 

 原作でも何とかなってたし、きっと大丈夫だ。

 悟空たちが本当に危ういときだけ助けることにして、今回は放置して自宅に帰ろうと舞空術を使う。

 

「久しぶりの外出ですし、途中の街で色々買っていきましょうか」

 

 ちょうど業務用冷蔵庫の中身も、少し減ってきていた。

 そろそろ買い出しに行く頃だし、せっかくの遠出だ。

 

 帰宅途中に何処かの大きな街に立ち寄って、そこで購入していくことに決めるのだった。

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