ブジン・アーカイブ   作:あば茶

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転移Ⅲ:やるべき事は

 

 

 

「………ゲマトリアドライバー?」

 

設計図に書いてある名称の様な部分を読み上げると、ある一つの物が思い浮かんでくる

 

「まさか……」

 

服の内側からデザイアドライバーを取り出し、設計図の機械と見比べてみる

 

……似ている

 

僅かな違いはあるものの、大体の形状は同じだ

 

それにゲマトリアという名前は確かベアトリーチェが所属していた組織のはず、もしかしたら俺のデザイアドライバーを見て構想されたのかもしれない

 

もしこんな物が量産されでもしたら、誰でも簡単にライダーの力を振れるようになってしまう

 

……善人も悪人も関係無く

 

「俺が……この世界に来たせいで……?」

 

フラッシュバックされるのは前の世界の出来事

 

何も知らないまま姉ちゃんがライダーに殺され、その時の悲鳴を電話越しに聞くことしか出来なかった無力な自分の後ろ姿

 

「………させるか」

 

もう、あんな思いはしたくない

 

「絶対に止めてやる……!」

 

そう固く決意し、この建物を出ようとした瞬間───

 

 

 

 

 

 

 

《防衛システムを作動します》

 

 

 

 

 

 

 

───突如、部屋に機械的な音声が鳴り響いた

 

 

 

「っ!?なんだ!?」

 

俺の周りに青白い光が地面から柱の様に複数出現する、その中からマスクを付けた幽霊の様な少女達が大量に出現した

 

あれは確か……

 

「ユスティナ聖徒会……だったっけ」

 

かつてバシリカで戦った亡霊達………まさかまだ残っていたなんて

 

姿を確認すると同時に、すぐデザイアドライバーを取り付けてブジンソードバックルをセットする

 

「………それならもう一度全滅させればいいだけだ」

 

 

《SET AVENGE》

 

指をパキリと鳴らし、奴等が武器を向けてくるより先にドライバーに手を伸ばす

 

「───変身」

 

 

《BLACK GENERAL BUJIN SWORD》

 

 

二つの手が俺の身体を漆黒で包み込む

 

 

《READY FIGHT》

 

 

「…………全員始末する」

 

そのまま俺はブジンソードバックルの拡張武装〝武刃〟を抜いて奴等の方へと歩き出した

 

立ち塞がる亡霊共は正面から弾丸を浴びせて来るが、それらを腕と刀で防ぎながら接近する

 

そしてそのまま一度刀を振り下ろし────

 

 

「まずは1体」

 

 

────目の前の亡霊を真っ二つに切り裂いた

 

 

後ろから二つの気配が接近して来るのを確認すると、今度は後ろから伸ばされる腕を掴み、俺の横にいた敵に投げ飛ばす

 

そしてもう一つの気配に対しては脇の間から刀を後ろに向け、そのまま振り向かずに敵の身体に突き刺す

 

後ろを向くと、腹に刀の突き刺さった亡霊が消滅していくのが見えた

 

『────っ!』

 

『…………』

 

今度は横に視線を向けると、先程投げ飛ばした奴とそれに激突した奴が銃口を向けてきていた

 

それらを軽く刀の一振で防ぎ、片割れの一人のアサルトライフルを奪い取る

 

そして奪ったアサルトライフルでもう片方を撃ち抜き、アサルトライフルを奪われて無防備になった方にも刀を振るう

 

『─────』

 

「………終わらせる」

 

 

《BUJIN SWORD STRIKE》

 

 

ブジンソードバックルのトリガーを1回引き、月を描く様に刀を回してから斬撃を放つ

 

まとめて切り払われた亡霊共は悲鳴をあげることもなく消滅していく

 

 

「っ、まだ出てくるのか……」

 

 

しかし消滅した分を補充するかの様に再び奴等が現れる

 

襲いかかる敵を適当にいなしながらブジンソードバックルの左側を外し、半回転させる

 

 

《REVOLVE ON》

 

 

そしてレイズバックルホルダーからモンスターバックルを取り出し、空いている部分に装着する

 

 

《SET》

 

《DUAL ON》

《GREAT》《MONSTER》

 

 

今度は黒いブジンの鎧とは合わないような青と黄色の鎧が俺を包み込む

 

 

《READY FIGHT》

 

刀を投げ捨て、拳に纏ったアーマーで近くの敵を殴り飛ばして無理矢理距離を取らせる

 

敵が全員俺を囲んでいるのを確認するとモンスターバックルの帽子部分、ラウトクラップメットを叩く

 

《GREAT MONSTER VICTORY》

 

その瞬間、拳のアーマーがエネルギーを纏い始める

 

そのまま地面に拳を叩きつけ、周囲の敵を全て吹き飛ばす

 

『─────!』

 

沢山の青白い光が天に昇るように消えていく

 

………流石にもう出ないか

 

バックルとドライバーを外して変身解除し、戦闘中に落としてしまった設計図を拾い上げる

 

「手掛かりはこれぐらいしか見つからなかったけど………何も成果が無いよりはマシかな」

 

幸いにも戦闘の余波で吹き飛んだりビリビリになったりはしなかったようだ

 

「………家に帰って色々と調べてみるか」

 

持ってきていた荷物を拾って今度こそ帰る準備をする

 

………そういえば

 

「この設計図に書いてあるドライバー、大型バックルが差せそうな箇所が3つあるな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

「黒服よ、会議の前に一つ聞きたいことがある」

 

とある建物のとある一室、そこに異形の者達が集まっていた

 

ある者は頭部が無いのにも関わらず生きていて、ある者は写真の中から声を発し、ある者は頭が二つ存在し、ある者は人とは思えない程に顔が黒くひび割れていた

 

「ええ、構いませんよ、マエストロ……どのような内容でしょうか?」

 

黒服と呼ばれた男が応じると、マエストロと呼ばれた男が不快そうに問いかける

 

「貴方の所で開発していた〝例の玩具〟……あれを彼女に渡したというのは本当か?」

 

「ええ、本当ですよ」

 

「……何故渡した?」

 

「元よりそういう契約でしたので……桜井景和の持つデザイアドライバーのデータと引き換えに、完成したゲマトリアドライバーを渡すという契約をね」

 

くつくつと笑いながら答える黒服、そんな彼に写真の中から声を発する男が話しかける

 

「では、何故バックルまで渡したのですか?完成したドライバーを渡すことが条件ならバックルまで譲渡する必要はないと思いますが……」

 

「そういうこった!」

 

「……データが欲しかったのですよ」

 

「……データ?」

何やら不敵な笑みを浮かべながら空中にディスプレイを表示させる

 

「このドライバーはまだ実用テストを殆ど行っていません、その理由は並大抵の者では変身した瞬間に身体が崩壊する程のダメージを負うからです」

 

「彼女はそれを了承したと?」

 

「ええ、何やら先生と景和さんのことを酷く恨んでいましたからねぇ……どんな手を使ってでも復讐を成し遂げたいのでしょう」

 

「……彼女がゲマトリアドライバーを使いこなしたらどうする?私達に牙を剥くかもしれないぞ?」

 

「それは有り得ません」

 

「……何?」

 

ハッキリと断言する黒服にマエストロは疑問を抱く

 

「私が彼女に渡したバックルは〝ユスティナ〟〝ヒエロニムス〟そして彼女自身の力を込めた〝ルージュ〟の3つです、それらでは決してゲマトリアドライバー本来の力を発揮する事は出来ません」

 

「……では、何なら使いこなせるんだ?」

 

「……此方をご覧下さい」

 

そう言って黒服は空中のディスプレイをスライドさせる

 

そこには様々なデータを数値化させた情報が乗っていた

 

「これは………」

 

CHESED・OK

 

HOD・OK

 

BINAH・32%

 

 

「ええ、ご想像通りです。これが私の目的………そして─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「─────色彩に対抗する為の力です」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 

ボロアパートに着いた俺は今日の出来事を整理しながは蕎麦を茹でていた

 

「ゲマトリアドライバー……か」

 

最初はただ元の世界に帰る方法を探していただけだが、俺が原因でこの世界に争いの火種を残すとなると話が別だ

 

……そういえばギャングライダーズはどうなったのだろうか

 

あの後英寿は世界を作り変える事が出来たのか、誰もが幸せになれる世界を作れたのか

 

もしそうだとしたら………俺の姉ちゃんは生き返ることが出来たのか

 

英寿との決戦の後、俺は前の世界から消えたいと願ってしまった

 

でも……こうして時間が経つと改めて心残りが浮かび上がってくる

 

もし姉ちゃんが生き返っていたとしたらまたあの男にジャマトに寄生させられていないか、またあの男に殺されていないか

 

そもそも生き返れていないのではないか、それを確かめる為にも……

 

「………絶対に帰ってやる」

 

改めて心に誓い、そして────

 

 

 

 

 

ジュッ!!!

 

「えっ……うわあ!?」

 

 

 

 

 

────沸騰しすぎたお湯が火に溢れた

 

 

「危ない危ない………気づいて良かったぁ……」

 

一旦火を止めてから軽く台所周りを拭き、急いで器を用意する

 

考え事に集中しすぎて盛り付けの用意もしてなかった……

 

とりあえず器に蕎麦を移そうとし───

 

「あっづぅ!?」

 

───今度は熱湯が手に掛かった

 

 

そして熱さのあまり器を落としてしまい───

 

 

「あっ……」

 

 

───ベチャッという音と共にボロアパートの汚い床に無惨にも落下した

 

 

「やっちゃった……」

 

どうしようか……流石に食べられないよね……

 

「仕方ない、今日は外食で────」

 

 

 

 

 

 

ピンポ~ン

 

 

 

 

 

 

「……ん?誰だろ……?」

 

今日は来客は無かったはず……

 

警戒しながら足音を立てないようにゆっくりと玄関に向かい、覗き穴から来訪者の正体を確認する

 

「……はっ!?」

 

思わず声を大きくしてしまう

 

しまった!と思い咄嗟に口を塞ぐが時既に遅く……

 

「あっ、景和!中に居るんだ!」

 

玄関の前には此方の声を聞くと嬉しそうに声を出す女の人が居た

 

「……何で来たの、先生」

 

「何でって……景和がここに住んでるって情報が入ったから?」

 

「そうじゃなくて……ここブラックマーケットだよ!?護衛も無しに何してんのさ!?」

 

「とりあえず中に入れてくれない?色々買ってきたからさ!」

 

そう言って買い物袋を掲げる先生

 

……正直、あまりこの人と関わりたくない

 

だって彼女の純粋な姿を見ていると、まるで───

 

 

「お~い?聞いてる~?」

 

「………っ、はぁ……今開けるから」

 

 

ずっと外に居座られても面倒だから中に入ってもらおうと鍵を開けてチェーンを外す

 

ドアを開けた瞬間、買い物袋をずいっと押し付けてくる

 

「……これは?」

 

「景和って確か料理出来るんでしょ?それじゃあ今日は鍋作ってよ!」

「はい?………まあ、せっかく持ってきてくれたのにそのまま持って帰らせるのも悪いし、別にいいけどさ……」

 

「じゃ、よろしくね!牛鍋!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「牛かー………」

 

「あれ?牛肉嫌いだった?」

 

「いや、牛肉は普通に好きだけど……うん……」

 

 

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