ブジン・アーカイブ   作:あば茶

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転移F:道具だった君と俺

 

 

「クソッ!どうなってるんだ!」

「話が違うぞ!」

 

ライズカイザーを装着しながら必死に走るカイザー兵達

 

戦闘能力を増強させる装甲を纏っているにも関わらず、彼等は後ろを振り返らずに〝何か〟から逃げる様に走り続ける

 

「っおい!あれ!」

「援軍か!助かった!」

 

彼等の走る先には、ライズカイザーを構えた十数人の兵士達がいた

 

安堵した彼等は走る速度を緩める──────

 

 

 

 

 

 

 

 

《BUJIN SWORD VICTORY》

 

 

 

 

 

 

 

 

───────瞬間、二人の間を斬撃が走る

 

その斬撃はそのまま前の援軍の方へ飛んでいき、激しい衝撃音と共に全員を吹き飛ばした

 

 

 

「………は?」

 

 

信じられない光景に思わず唖然としてしまう二人

 

その時、背後からジャリッと足音が聞こえる

 

 

「ヒッ!」

 

 

そこには漆黒の鎧を纏いながら近づいてくる戦士の姿があった

 

「く、来るな!来るなぁ!」

「くたばれえええ!」

 

二人は半狂乱になりながら銃を放つが、漆黒の戦士は防御態勢すらとらずに近づいてくる

 

二人の前に立つと、刀をゆっくりと振り上げ────

 

 

 

「っぁ……!」

「や、やめっ……!」

 

 

 

────二人のライズカイザーを真っ二つに切断した

 

 

「別に命を取る気はないけど………手加減するつもりもない」

 

そう言うと、その戦士は二人の首を掴み上げる

 

「このふざけた兵器の……ライズカイザーの量産工場は何処だ、開発者は何処にいる」

 

そのまま少しずつ手に力を入れると、カイザー兵達が苦しみ出す

 

「ぐっ……お、俺達だって知らないんだ!」

「我々はただ……命令に……がはっ!」

 

「……そうか」

 

このまま必要以上に苦しめても何も得られるものは無いと判断したのか、戦士が両手の力を緩めるとそのままドサッと音を立ててカイザー兵達が倒れた

 

「今回も収穫は無し、か」

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「日に日にカイザーの襲撃の頻度が多くなってる……」

 

買い物袋を片手に面倒な事態になってしまったことをぼやく

 

まあ、どの道こっちから仕掛けるつもりだったし情報源が向こうからやって来てくれる分には鴨葱だ

 

それに彼等もブラックマーケットの住人には不必要に喧嘩を売りたくないのか、護衛等の仕事中に襲われたことは今のところ一度も無い

 

「………でも、このままじゃ駄目だよなぁ」

 

大元を叩かないとずっと雑兵相手に戦い続けることになる

 

ただそれだけなら単純な戦闘能力で言えば此方の方が上な為、問題無いんだけど……

 

「……早く止めないと、大量生産される前に」

 

彼等は……カイザーコーポレーションは自社の兵士達だけじゃなく、キヴォトスの生徒達にまでライズカイザーとやらを配っていた

 

もしブラックマーケットの不良生徒達だけじゃなく、普通に学校に通っている生徒達にまで渡り出したら……

 

「……絶対にそんなことはさせない、これ以上被害者を出さない為にも────」

 

 

 

 

 

「兄貴!お久しぶりです!」

「お疲れ様です!」

 

「────うわあっ!?」

 

 

突然耳元で大声がして咄嗟に振り向くと、そこには何故か自分を慕ってくれるヘルメット団の子達がいた

 

……いや、本当に慕われる理由がよく分かんないんだよね

 

 

「うん、久しぶり……早速で悪いんだけどその〝兄貴〟っていうのやめない?」

 

「アタシ等にとって兄貴は兄貴なんで!」

「カイザーに騙されていたアタシ等を助けてくれたこと、忘れてません!」

「兄貴のことを襲ったのにも関わらず、そんなアタシ等のことを助けてくれたあの背中………」

「ピンチの隊長を救い、カイザーに使い捨てられそうになったアタシ等を救ってくれたあの力……」

「あのたぬきそば、また食べたいなぁ……」

 

 

「ちょっ……分かった分かった!分かったから!」

 

ただでさえ道中で注目を集めてしまっているのに、これだと余計にややこしくなる

 

「と、とりあえずさ?呼び方だけは変えよう?桜井さんでも景和さんでも……なんなら呼び捨てでもいいからさ?ね?」

 

兄貴呼びさえ変えられれば何と呼ばれてもいいんだけど……

 

 

「ならリーダーは!」

 

「いや、それもちょっと……」

 

「副隊長!」

 

「勝手に仲間にしないで……」

 

「ボス!」

 

「何か呼び方が怖いから……」

 

「ヘッド!!!」

 

「ごめんそれだけは本当に止めてお願いだから!よし、兄貴のままでいいよ!」

 

 

これ以上変な呼ばれ方をされない為にも現状維持を選択する

 

……仕方ない、暫くはこのままでいいや

 

 

「そういえば………カイザーといえば、最近また変なことしてるって噂聞きましたけど兄貴は大丈夫でしたか?」

 

「………変なこと?」

 

「はい、何やら妙な機械を色んなはぐれ者に配ってるとか……」

 

「っ!それ本当!?」

 

「え、ええ……ウチの奴らにも接触されたって奴らがいるんで……」

 

「……それ、受け取っちゃったの?」

 

「いえ!兄貴に助けてもらったあの日からカイザーに関わることは隊長に禁止されたんで……」

 

「そっか………それなら良かったよ」

 

彼女達が争いの渦に巻き込まれなかったことを安堵する

 

……俺が持ち込んでしまった技術のせいで彼女達が危険な目に合ってしまったら悔いても悔やみきれないところだった

 

「………ちなみになんだけど、その子達に接触してきたカイザーの人間ってどんな人か分かる?」

 

「すいません、流石にそこまでは………」

 

「だよねぇ……」

 

「……あっ、でも最近他の派閥の奴らがカイザーに仕事を依頼されたとかなんとか」

 

「他の派閥?」

 

「はい、ヘルメット団にも派閥があるんですけど、ウチら〝ジャブジャブヘルメット団〟とは別の連中………〝カタカタヘルメット団〟の奴らがカイザーと怪しいことやってるっぽいですよ」

 

「……まあ、詳しい事は何も知らないっすけど」

 

そう言って顔を合わせる彼女達

 

………まさかこんな所で手がかりを掴めるなんて思わなかった

 

「そのカタカタヘルメット団って子達はどこにいるのか分かる?」

 

「前はアビドス高校辺りに集まってたらしいですけど……そのアビドスの連中に潰された後は色んな所を仮拠点にしながら渡り歩いてるらしいっすよ」

 

「そうなんだ……」

 

……ライズカイザーの開発者や量産工場の場所は分からなかったけど、その〝カタカタヘルメット団〟とやらに接触して問い詰めてみたら何か更なる手がかりが見つかるかもしれない

 

「色々教えてくれてありがとね、ラブちゃんにもよろしく伝えておいてよ」

 

「うっす!お疲れ様でした!兄貴!」

 

「「「「お疲れ様でした!」」」」

 

まるで〝そういった組織〟の長を送るかのように頭を下げる

 

………うん、もう何も言わないよ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

──────────

 

────────

 

──────

 

 

「まさか買い物に行っただけであんな収穫があるなんて………」

 

今後の方向性が決まったことで多少心が軽くなる、とりあえず闇雲に戦い続けるような事態にはならずに済んだ

 

まあ、カタカタヘルメット団に会うまでに邪魔が入る可能性もあるけど………

 

「全員倒せばいいだけだ…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

「君もそう思うだろ?」

 

「っ!?」

 

 

路地裏に入った所で、先程から跡をつけてくる者に向かって言い放つ

 

さっき表の方であれだけ注目されたんだ、カイザーに見つかっててもおかしくない

 

………でも丁度良いや、敵が一人なら増援が来る前にさっさと倒して情報を聞き出そう

 

デザイアドライバーを装着し、バックルを取り出す

 

《SET AVENGE》

 

 

指をパキリと鳴らし、そして────

 

 

「変s「待ってくれ、私だ!」………はえ?」

 

「裏から尾行していたのは謝る、だからそれをしまってくれないか?」

 

物陰から出てきた人は頭にヘルメットを被っていて、そしておへそを出していて………あれ、この明らかに寒そうな格好ってまさか……

 

 

 

 

 

「サオリ……ちゃん……?」

 

「………バシリカでは世話になったな、景和」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「……はい、たぬきそばお待ち」

 

「……いいのか?」

 

「帰り道であんなにお腹を鳴らされちゃあ……ね」

 

「す、すまない………食事前に景和を見つけてそのまま追いかけたら、つい……な」

 

 

ボロボロの床で座って待っているサオリちゃんに器を2つ持っていく、勿論サオリちゃんの分と俺の分だ

 

テーブルに器を置くと、サオリちゃんは「いただきます」と言った後にふーっふーっとそばを冷ましてから啜る

 

 

「旨いな……」

 

「なら良かったよ、たぬきそばには自信があるんだ」

 

「……そういえばアリウスに居た頃にもそんな事を言ってたな、景和は料理が得意なようだが……練習したのか?」

 

「練習っていうか、俺が作る機会が多かったから自然と慣れていったって感じかな?」

 

「作る機会?もしかして家族がいるのか?」

 

「………………うん、居たよ」

 

「……景和?」

 

「っあぁ!ごめん、気にしないで!」

 

俺の様子をおかしく思ったのか、サオリちゃんは首を傾げてこっちを見つめてくる

 

食事中にする話じゃないしね……危ない危ない

 

「……そういえばさ、サオリちゃんはどうして俺のことを追ってたの?」

 

サオリちゃんからの視線を誤魔化す様に話題を変える………まあ、そうじゃなくても実際に気になってたしね

 

「……特に理由は無いが……強いて言うなら心配だったからだ」

 

「………心配?俺を?」

 

「バシリカでの戦いから、私は一度もお前と会えていなかった。だから今はどうしているのだろうと気にしていたのだが………あの様子だと心配無さそうだな」

 

あの様子と言われて一瞬疑問を感じるが、すぐに何のことか理解できた

 

「………もしかして、さっきの見てた?」

 

「ああ……驚いたぞ、まさかあれ程のならず者達を手懐けていたとはな……確かヘッドと────」

 

「それ誤解だから!勘弁して!」

 

「むっ……?そうか?」

 

咄嗟に否定しようとし、つい大声を出してしまう………これは仕方無いと思うんだ

 

「……ふふっ、懐かしいな」

 

「ケホッケホッ……何が?」

 

軽く噎せているとサオリちゃんが何かを懐かしむような表情を浮かべる

 

「昔、ベアトリーチェに支配される前に一度だけ皆で麺を食したことがあったんだ………その頃はまだアツコと出会っていなかったがな」

 

「へぇ……ミサキちゃんやヒヨリちゃんと?」

 

「ああ、確かその時は………偶然カップヌードルが落ちていたんだ、何とか湯を沸かして1秒1秒声に出して数えていたな」

 

「サオリちゃんにもそんな時期があったんだ……」

 

「私だってまだまだ子供だからな………今度はアツコとも一緒に食事をしたいものだ」

 

そう言って微笑みながら箸を持つサオリちゃん

 

………彼女の笑顔を見ていると、かつての自分の行いが本当に正しかったのか葛藤しそうになる

 

 

 

「……ねえ、サオリちゃん」

 

「ん?なんだ?」

 

「本当に良かったの?俺なんかに会いにきて」

 

「それは………どういう意味だ?」

 

「だって俺は調印式の日─────」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「──────アリウスを裏切っただけじゃなく、君達にも斬りかかったんだよ?」

 

 




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