呪術の子 作:メインクーン
五条&クリス「デート楽しかった」
週刊記者「これを記事にすれば売れるぞ」
虎杖「2人とも大変だ!ネットで炎上してる!」
五条&クリス「炎上してて草」
五条とのデート写真が週刊誌に撮られ、それを勝手にネット記事にされたクリス。
表向きには一般人であるクリスと五条だが、モラルの欠片もない記者のせいで公の場に晒されてしまった。
この事実に、ネットでは様々なコメントが寄せられている。
『クリスちゃん彼氏とデートでめっちゃ笑顔になってて可愛い。推せる』『というか彼氏イケメンすぎてヤバすぎ』『サングラス越しでも分かる超イケメン』
『絶世の美男美女カップルすぎて誰も勝てん』『クリスが羨ましすぎる。こんなイケメン彼氏漫画でしか見た事ない』『もっと好きになりました。これからも応援してます』
『何か色々言われてるけど2人が幸せならOKです』『これに文句言うとかマジ?非モテの嫉妬マジでキモすぎ』『ファンクラブも所詮非公式だしな。勝手に出来たものを本人が気にする義理はない』
『そもそもクリスって芸能人じゃなくね?彼氏の方も完全なとばっちりだし』『むしろこれ勝手に撮った記者晒せよ。普通にプライバシーの侵害だろ』『週刊誌が普通に犯罪犯してて草。これは裁判敗訴確定』
このように、2人に対して肯定的、又は背中を押すコメントがある一方で……、
『最悪、応援してたのに裏切られた。クリスのファン止めます』『ファンの気持ち全然考えてないクズ女』『所詮イケメンに釣られて股開く淫乱女』『尻軽なとこまで母親似で草』
『クリスちゃんに手を出したこいつ絶対に許さん』『彼氏の名前と住所知ってる人いる?DMで教えてください』『こいつの住所特定して皆で凸ろうぜ』
『周りに迷惑かけて平気なんだ』『イメージぶち壊し。どうしても汚いって思うわ』『信じてたのに。ファンクラブに貢いだ金返せよ』『シンプルに2人とも死ね』
『失望しました』『頭の中にファンの存在があればこんな事にはならないだろ』『キモい、マジで無理』『売女詐欺師風俗嬢』『どうせ今頃男によしよしされてるよ』『この親にしてこの子あり』
『性欲に負けた女』『家族に迷惑かかる事考えもしてないんだろうな』『シンプルに人間性に問題あるんじゃね?』『陰で俺らの事馬鹿にしていい気になってたんでしょ、マジで最低』
2人に対する心無い発言もこれでもかと送られており、現在肯定的なコメントと否定的なコメントが半々といった状況だ。
とはいえ、誹謗中傷コメントの方がやはりどうしても目に付くので、注目度では後者に軍配が上がる。
「……酷ぇ。こいつら、何で会ったこともない他人をここまで侮辱出来んだよ。クリス先輩と五条先生に何かされたわけでもないのに」
クリスや五条に対する理不尽な暴言の数々に、虎杖は険しい顔で怒りを露わにする。
だがそれとは裏腹に、言われた当の本人達はケロッとした表情で淡々とコメント欄を眺めていた。
「いや何でやねん、おかしいやろがい」
「ちょっとクリス、あんま似非関西弁喋ると大阪の人に怒られちゃうよ」
「それは言わないお約束ですよ、五条先生」
「えっ、2人とも何でそんな冷静なの……?」
コメントを見たクリスの感想に五条がツッコんで互いに軽く笑い合うが、傍で見ていた虎杖は2人の楽観ぶりに戸惑いを隠せなかった。
「いやだって……ねぇ?確かに酷いけど、言われのない文句言われても『あっそう?』くらいにしか思わないじゃん。ぶっちゃけどうでもいいし」
「そうだよねー。別に襲われるわけでもないし、襲われたところで対処できるし。むしろ何かの間違いで、僕らがこいつらの事誤って殺しちゃわないか心配しちゃうよ」
「あー、超分かります。大丈夫かなこの人達?ってつい思っちゃう」
「えぇー……そういうもんなの?」
「うん、そういうもん」
2人が冷静でいられる理由を聞いて、虎杖は戸惑い半分、呆れ半分の溜め息を吐くしかなかった。
大勢の人から理不尽に罵声を浴びせられて酷く傷付くどころか、逆に相手の心配をするのが何とも2人らしく、それが現代最強故の余裕を感じられた。
生物としての格の違いからか、この辺りの感覚は他の人よりも明らかに超然的である。
「あーでも、上は流石に黙ってないだろうね。ここまで大事になった以上、下手したら呪術の存在が公になるリスクもあるし、呪術界と政府が全力で動くと思う。これ撮った記者は恐らく今日中に消されて、それで週刊誌の方にも圧力かけて黙らせようとするかも」
「五条先生の住所とか個人情報を特定しようと動いてる人達も心配ですね。この人達も多分、明日中には消されると思いますよ。悠仁君の時みたいに事故死に見せかけて」
「全く、ほんと恐ろしいよねー」
恐らくそうするであろう上層部の行動に、怖い怖いと言いながらSNSの反応を見ていると、それについて虎杖が尋ねた。
「2人はそれでいいの……?」
「うーん、ぶっちゃけ可哀想とは思うけど、かといって助けようって気になるかというと、別にそういうわけでもないし」
「クリスと同意見。結局僕らが助けられる人の数には限りがあるんだよ。しかも呪いによる被害じゃなくて、こういう自業自得の側面が強い場合の死まで何とかしようと思うほど僕らはヒーローじゃない」
「それでも上のやり方は嫌いだけどね。でもまぁ、いい加減記者に付き纏われるのも鬱陶しく思ってたし、お灸を据えるって意味でも今回は何も言わないでおくよ」
「そっか……」
2人の冷たい反応に、虎杖は何とも言えない微妙な顔で静かに頷くことしかできなかった。
──以前、伏黒が言った言葉の中に「不平等な現実だけが平等に与えられている」というものがある。因果応報は全自動ではなく、悪人は法の下で初めて罪を裁かれると。
だからこそ、少しでも多くの善人が平等を享受できるように、自分は不平等に人を助ける。いつかの日に伏黒はそう語った。
それと同じように、クリスや五条もまた助ける人を選ぶ。救うべき命、捨てる命、そんな命の取捨選択をこの2人も自らの心情に従って行う。
伏黒が不平等に人を助けるように、クリス達も不平等に人を見捨てるのだ。
完全にダブルスタンダードだが、クリス達はそれを一切気にしない。だからどうしたと逆に胸を張って行動に移すだろう。
たとえどんなに綺麗な言葉で言い繕っても、クリス達は根っからの呪術師なのだ。
「あれ、でも待てよ……よくよく考えたら教師と生徒がデートって普通にアウトじゃね?いやまぁ、この学校色々と特殊だから分かんねぇけどさ」
「ふふ、それを聞くのは不粋というものだよ悠仁君」
「そうだよ悠仁。確かに僕らは教師と生徒だけど、それ以前に師匠と弟子だからね。付き合いも長いし、実質家族みたいなもんだよ」
「あっ、何か露骨にはぐらかされた気がする」
冷静になった虎杖のふとした疑問に、澄ました顔でしれっとお茶を濁すクリス達であった。
△▼△▼△▼△▼△▼△▼
一方その頃、苺プロの事務所では、只ならぬ張り詰めた空気が室内を支配していた。
映画『15年の嘘』の撮影も概ね順調に進み、いよいよ撮影の終盤が見え始めてきたタイミング。途中、有馬がルビーに暴言という名の本心を吐露して険悪な雰囲気になる時期があったものの、ルビーが持つ百折不撓の精神もあって無事に仲直りできたのは記憶に新しい。
とはいえ、その時の内輪揉めは映画のための演技力向上が主な理由なので、先に仕掛けた有馬にはそれなりに真っ当な理由があった。
だからこそ、真っ当な理由も正当性もない今回の騒動には、苺プロで働く面々は非常に業腹だった。
「……何が『ファンの思いを踏み躙った淫乱女』よ。そもそもクリスはアイドルでも何でもないでしょ!芸能人ですらない、ただの女子高生に寄ってたかって醜い感情ぶつけやがって!お前ら全員キモいんだよ死ね!」
「落ち着きなさいルビー。気持ちは分かるけど、これは叫んでどうにかなる問題ではないわ」
「じゃあ先輩はクリスがこんな理不尽な炎上で悪口言われて何とも思わないわけ!?」
「そんなわけないでしょ。ぶっちゃけこいつら全員殺してやろうかって考えてるわよ。割と本気で」
「そうでしょ!」
SNSのコメント欄で呟かれる、クリスに対する誹謗中傷の数々。
あまりにも理不尽すぎる炎上にルビーは激昂して叫び散らし、有馬も一見落ち着いてはいるものの、沸々と湧き出る怒りを堪えきれていない。
そんな2人をMEMちょは静かに見守っているが、普段優しい彼女からでは想像もできないほど険しい表情をしており、その気持ちは2人と同じである。
「ルビー、有馬……こいつら殺すか?」
「うん、ヤろうお兄ちゃん」
「私も手伝うわ。後方支援は任せなさい」
「駄目ぇぇぇぇぇーっ!!それだけは駄目だって!私もめちゃくちゃ腹立ってるけど、ここはぐっと我慢して!本当にヤったらこっちが悪者になっちゃうから!」
ただし、同じくコメントを見ていたアクアの殺害宣言とそれに連なる2人の同意の言葉に、MEMちょは必死になって止めに入った。
「失礼だなMEMちょ、俺達が本当にそんな事すると思ってるのか?」
「思ってるよ!だって目がマジなんだもん!特にアクたんとルビー!2人とも超怖い顔になってるって!」
アクアとルビーは、それはもう怒っていた。
ルビーは言わずもがな、アクアも自分の大切な妹が理不尽に虐げられている現状に激怒し、一周回って冷静になっている程だ。
余分な感情は削ぎ落され、冷静に静かに、純粋な殺意だけが残っている状態。それが今のアクアである。
その証拠にアクアとルビーの両目には、いつかの時みたいにドス黒い星が宿っており、2人の怒り具合がよく分かる。
それでも仲の良い友人達が犯罪者になる可能性をMEMちょは見過ごせない。
「とにかく、今社長達が週刊誌の方に連絡してるから、それまではここで大人しく待ってること!いいね!?」
「……分かった、それまでは大人しくしてる」
「MEMちょがそこまで言うなら……」
「まぁ、それもそうね」
MEMちょの必死の説得が伝わったお陰か、3人ともこの場は矛を収めてくれた。
しかし、今回の騒動の原因となった週刊誌側の返答次第では、今度こそ全員が暴走しかねない。
頼むからこれ以上状況が悪化しないでくれと願うMEMちょだった。
──それからしばらくして、週刊芸能実話に抗議の連絡を送った壱護とミヤコが戻ってきた。
だが、抗議を終えた2人は何やら神妙そうな面持ちをしており、怒りよりも困惑しているといった雰囲気を纏っている。
「ねぇ、どうだった?あいつらは何て言ってた?」
「あー、その事なんだが……」
「ルビー、それがね……」
ルビーに詰められ、2人はとても言いにくそうな困り顔で語気を弱くしていく。
それでも意を決して抗議の結果を伝えたが、その内容は全員の予想の斜め上を行くものだった。
「えっ、写真撮った記者とその責任者が今日付けで辞職したぁ!?」
「えぇーっ!?何でぇーっ!?」
「それだけじゃない。騒動を引き起こしてクリスに迷惑かけた謝罪つって、かなり多額の示談金を支払ってくれるそうだ」
「具体的にはおいくらで……?」
「ほいこれ、示談金に関する資料」
びっくりして思わず叫んだ有馬とMEMちょの前に出された資料。
それを手に取り、皆で読み進めていく。
「どれどれ……は、はぁああああああーっ!?何なのこの額!?とんでもない桁数なんだけど!?」
「十万、百万、千万、億……あれ、これひょっとして映画の製作費の倍以上行ってない?」
「余裕で行っちゃってるねぇ……」
クリスと五条のデート写真を隠し撮りした記者と、今回の記事を公表した責任者の退職。加えて明らかに法外な額の示談金。
何かがおかしいとアクアが疑うのも無理はなかった。
「どういう事だ?確かにこいつらは100回死んでも許されない所業を犯したが、一回の抗議でここまで素直になるものか?2人が突然退職になっているのも気になる」
「ああ、俺達も不思議に思って何回も聞いたが、向こうはそれ以上答えてくれなかったよ。頼むからこれで勘弁してくださいって。ただ、妙に声が震えていたのが気になったな」
「何だろう、物凄く気になるけど下手に触れるといけない気がする……」
壱護から伝えられた情報は『聞いても分からなかった』という結果のみ。
色々と気になるが、絶対何か裏で大きな力が働いているに違いないと薄々感じ取ったアクア達。その原因を考えた結果、1人の人間に注目が集まった。
「ひょっとしてこの男じゃないか?クリスと手を繋いでるこの白髪男」
クリスと一緒に映っている五条悟に全員の注目が集まる。
「クリスの彼氏か……いやまぁ、推定彼氏なだけで確定した訳じゃねーけどな」
「でも付き合ってなかったらこの距離感にはならないのでは?」
曖昧な情報だけで断言はしない壱護だが、MEMちょの言う通り、交際していない者同士の距離感ではない。
「というかこのイケメン、どこかで見たことある気が……あっ!」
「かなちゃん、もしかして心当たりが?」
「思い出した!確かこの人、クリスの担任の先生じゃなかったっけ?ほら、2年前にSNSでまぁまぁバズってた……ほらこれ!この写真!」
「あぁーっ!?本当だぁーっ!!」
「確かに……言われてみれば同じ顔ね」
突然何かを思い出した有馬が皆に見せたのは、クリスと五条がカフェテラスでパフェを食べている写真。
そう、今から2年前にSNSでバズったツーショット写真の存在を、有馬は偶然にも思い出していた。五条がクリスに、アフリカのサハラ砂漠に封印された天逆鉾の回収依頼を出している時の写真を。
その写真を見た瞬間、共に見た事があるMEMちょもミヤコも目を見開いて驚いた。
「クリスが言ってたわね、この人は学校の担任で彼氏じゃないって。確か学校の課外活動で一緒に行動した帰り……だったかしら?」
「でも3年間全く同じ担任の可能性は考えられないから、この2人はプライベートでも相当深い仲ってことになる。つまり……」
「本当に2人は付き合ってる可能性が極めて高い。教師と生徒という関係を飛び越えてね」
「わーお、背徳感えっぐぅ……」
推定で明らかになった衝撃の事実に、室内が一気に静まり返った。それだけ教師と生徒の恋というものは禁断物だからである。
なお、近い内に映画の撮影で仕方がないとはいえ、兄妹同士での濡れ場を控えているアクアとルビーに比べればよっぽど背徳感は薄い。
「……とにかく、クリスに詳しい事情を聞いた方がよさそうだな。あいつのメンタルケアもやっておきたいし。まだクリスへの誹謗中傷が止まったわけじゃない」
「そうね、まずはそれが先ね」
「それと今後は、クリスを1人にさせないようにする必要がある。今回の事でキレたクリスのファンが、いきなりあいつを襲う可能性もあるからな。絶対にアイと同じ轍は踏ませたくない」
「じゃあ一旦家に戻って来れるか連絡してみるわ」
最終的に、アクアとミヤコの判断でクリスを一旦家に呼び戻すことが決まった。
ちなみに、クリスや五条の正体に呪術界の存在まで知っているルビーは、皆が喋っている間ずっと黙っていた。
(多分……いや、十中八九五条悟だ。もしくは呪術の存在がバレると恐れた呪術界の上層部が動いたか。退職した週刊誌の2人も、今頃は文字通り地獄に行ってるかもね。でもまぁ、クリスをあんな目に遭わせたんだから当然の末路だけど)
裏の事情を知っているからこそ、この場にいる誰よりも早く真実に辿り着いていた。
(にしても、やっぱりクリスに手を出していたか五条悟!今度会ったら絶対にぶん殴ってやる!僕に攻撃は当たらないとか抜かしてたけど、そんなの関係ないんだから!)
そして、五条悟に対する怒りを静かに燃やすのであった。
Q.退職した記者と責任者はその後どうなったの?
A.どちらも行方不明になっています。一体何故なんでしょう?不思議ですねー。ついでに言うと、五条の住所を特定しようとしたネット民達も軒並み行方不明になっています。これまた不思議ですねー。
Q.クリスは高専の寮で生活してるから、わざわざ家に呼び戻さない方が安全じゃないの?しかも呪術高専は天元の結界で守られてるし。
Aそんな余裕がトラウマスイッチ発動中のアクア達にあるわけないじゃん。事情を知ってるルビーもあまり下手な事は言えないし。
Q.そもそもアイの時みたいに逆上してクリスを殺そうと考えてる不届き者は存在するの?
A.何人か居るけど、仮に凶器持って急襲したところで結果は分かりきってます。漏瑚ですらあの様だったんだから。
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