今回は、この町のガイア教についてのお話。
彼の再現、上手く出来ているだろうか?
「やあ、“星の浄眼”。来てくれてありがとう。
ちょうど友人も来ているんだ。挨拶はいるかな?」
「……いえ、赤井さん。依頼の話をお願いします」
「ハハハ、嫌われたものだな。それとも、緊張してるのかい?
もっとリラックスして話そうぜ、なあネビロス」
「今の俺をその名で呼ぶな。アクセラレータと呼べ」
「嫌われたと言えば、我らがお姫様は一緒じゃないのか?」
「彼女は、信頼のできる配下に護衛させている。
今のお前みたいな、彼女の教育に悪い物に会わせる訳が無いだろう。ベリアル」
「ハハハ、そいつはもっともだ。ハハハハハッ!」
梅雨になり外は雨が降る夕刻に真緒がいるのは、駅前の商店街の裏通りにある歓楽街の店『クラブ失楽園』である。
そして、今彼女の前で笑っている黒いズボンと胸元を開けた黒のドレスシャツを着こなし、黒いファーストールをまとった短髪黒髪に赤眼にサングラスの青年は名を【赤井佳正】と言い、【堕天使ベリアル】の転生体である。
また、その隣のバーカウンターの席にいる白髪で高級そうな黒いスーツを着た渋面の細身の男性は、今アメリカから来日している音楽プロデューサーの【ミスタ・アクセレラレータ】であり、彼らの会話が本当なら【死神ネビロス】の転生体なのだろう。
そもそも真緒がどうしてここにいるのかと言うと、この町のガイア教の拠点であるここから依頼のご指名があったからである。
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話は、2日前に遡る。
メシア教会の経営している児童養護施設の真緒とない世の手伝いはヨランダが復帰するまで行った結果、GWの休みが終了するまで掛かる事となった。
それから5月も平穏に過ぎて、その月末。
さくらの町の八幡神社近くの屋敷では、月一で行なわれているこの町の霊能関係者が集まる定例会議という名の寄り合いが行なわれていた。
皆車座になって、ハンター協会からは実質的な代表のペペロンチーノ、メシア教会からはできない夫、ガイア教からはいつも参加している実務担当者の『ジライヤ』を名乗る茶髪の若者、一番奥の上座には側に相談役の郁夫を置いたこの話し合いの議長役である八幡神社神主の【岩崎亀吉】が座っている。
この神主の『岩崎亀吉』という老人は、伊月家と並んでこの町が山間の集落だった時代から残る古い神社の家系の当主であり、5期の間この町の町長を努めている人物でもある。
そして、現在70近い年だと言うのに若い後妻を娶って真緒と同い年の希流子をもうけて、最近ではお互いの娘自慢から昂じて郁夫と殴り合いの末に車にはねられて自宅療養していた爺いであった。
いつもなら料亭から配達されてきた料理を食べながらの懇親会のような話し合いにあるのだが、今回は先月起きたギャル夫の一件などに関連した事があり皆、お茶やドリンクのみが書類や資料などと一緒にテーブルに乗せられて話し合いは進んでいた。
「…で、ヨランダさんは復帰して施設の職員も新しく雇えたのでもう大丈夫です。
真緒ちゃんや生江さんには感謝していますよ、郁夫さん」
「そいつはよかった。生江さんもいい経験になっただろう」
「二人には本当に悪いことをしたと思っているわ。
あの馬鹿がお金に目が眩んだせいで、あんな罠の依頼を引き受けさせるような事になるなんてね。
町長、あの馬鹿をいい加減に所長からクビにするべきだと思うんだけど?」
そう問うペペロンチーノに、亀吉爺さんは答える。
「そうは言うがの、あやつのように何かあった時に責任を取らせて放り出すのにちょうどいい身内はもうおらんのだよ。
もともとお主には、裏向きで動いてもらうために来てもらっているしの」
「そう。じゃあ、続けさせるのね。
出来れば早めに辞めさせる前提じゃなく、もっとマシな人を探してちょうだい」
「もともとハンター協会は、犯罪に走りそうな人材の活用も目的としとるからなぁ。
管理職を任せられるような人物はなかなかおらんよ。
郁夫、お主やってみるか?」
「こっちに話を振らないでくれ。
やっと娘に跡目を譲る形で、楽隠居できそうだというのにわしはやらんよ」
「はあ、まあそうだろうのう。
こっちで伝手を当たって探しておくとするかのう」
半ば本気で振った話に全力で拒否されてため息を付いた亀吉爺さんは、次の話題はないかを尋ねようとした時にいつも黙って飲み食いしているジライヤが手を上げた。
「ちょっといいっすか?」
「お、珍しいな。何だね?」
「いや、うちで頼もうかと思っていた依頼をその郁夫さんのお嬢さんに頼めないか聞きたいんす」
「あら、それならハンター協会に出せばいいじゃない?」
「オレも資料を読んだんすけど、今のハンター協会に信用できる人ってどれくらいいるっすか?
この仕事、うちの嬢が絡むんで出来れば信用のできる女性のハンターに頼みたいんすけど?」
「あんな事が起きたばかりだから、その意見には言い返しにくいわね。
信用のできる女性ハンターって、今は県外に出張している子を除けば真緒ちゃんたちくらいしかいないわね」
困った顔のペペロンチーノに、助け船を出すように郁夫が答える。
「そういう事なら真緒に聞いてもいいが、どんな仕事なんだね?」
「うちが事務所にしているの高級クラブじゃないですか。
で、支部長はそこのオーナーなんすけど、店の嬢に関連した事らしいです」
「とりあえず聞いてみるが、請けるならどうしたらいいのかな?」
「午後の店の開店前に来てもらえれば、オーナーが待っているそうです。
それじゃ、なるべく早めによろしくっす」
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そして、時間は現在に戻る。
高笑いを止めたベリアルは、ネビロスと座っていた奥のボックス席から立ち上がると入口近くにいる真緒へと近づいてきた。
そして、店に入ってきた真緒を舐めるように全身を見て笑みを浮かべながら話しかけてきた。
「へぇ。いつもの男装も素敵だけど、今日の装いはおめかしに気合を入れてきてくれたのかな?
それがオレのためなら、すこぶる嬉しくて達しそうになるんだが」
「これは正装ですので、ご容赦下さい。
ガイア教の支部へのご招待でしたので、この姿で来ました」
「ふ~ん。…お友だちは呼ばなかったのかい?
複数人でプレイするのも楽しいと思っていたんだけどね」
「お話を伺うだけと、ジライヤさんにお聞きしていましたので連れてきていません」
(なんでこんな所に、グラブルのそのまんまのベリアルがいるの!?
なんで赤伯爵じゃないの? ネビロスまで、何で??)
依頼の話を伺うだけという話だったが、ただその場所がこの町のガイア教の拠点となっている繁華街のクラブという事もあり、わざわざ寄り合いで持ちかけたのだから『騙して悪いが』まではしないにしても警戒していた。
そのため、真緒は道士袍服も着込んで完全武装した上で店のすぐ近くにわざわざアーチャーに待機をしてもらい、ない世と希流子には言わずに一人で乗り込んだのだった。
そして、そこにいた店のオーナーとその友人にはかなり驚いたが、かろうじて表には出さないで済んでいた。
しばらく試すように眺めていたベリアルだったが、くるりと振り向くと興味を無くしたようにネビロスの元に戻っていった。
「あぁ、そうだ。参考までに聞きたいんだがキミって、ヴァージン?」
「……答える必要がありますか?」
「そうか。まあ、オレの方はこれでおしまい。
ジライヤ、そういう事だから後はやっておいてくれ。じゃあ」
「……はっ、はいっす。じゃ、じゃあ伊月の嬢ちゃん、こっちの席でお願いするっす」
(TSして女になったオレとオリジナルのオレが致したら、両方の性感を得られて倍気持ちいいのかな?)
などと、ボーッと店の隅で考えていたボーイ姿のジライヤは、ベリアルに呼ばれて慌てて真緒の元に行って案内を始めていた。
その様子を横目に、席に戻ってきたベリアルを一瞥してネビロスは彼に尋ねた。
「あの娘、わざわざたまたま来日したから顔を見に来た俺にも見せるような何かがあるのか?」
「今はまだ、特に何も。
ファーさんから『大人しくしていろ』とは言われたが、別に眺めるのを止めろとまでは言われていないだろう?」
「それで、お前はあの娘で何かする気なのか?」
「いや、【オレは何も企まない】さ。ちょっとからかって遊ぶだけさ。良心的だろう?」
「お前の良心など信用できるものか。だから、アリスには会わせられんのだよ」
「ハハハッ、それは残念だ!
彼女のあの完全なる黄金比のプロポーションは、もう一度実際に見たかった!
初めて見た時は達してしまったからなぁ。ハハハハッ!」
そう言って再び笑い始めたベリアルを、ネビロスは渋面のまま眺めグラスの酒を飲み干した。
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真緒がジライヤから頼まれた仕事は、いつもの除霊依頼の事だった。
ジライヤによると、なんでも真緒が今いる店は『クラブ失楽園』という飲み屋の中で最も格式と女性・サービスの質が高いとされる高級クラブであり、その辺のキャバクラとは一線を画す嬢たちがいる店なのだそうだ。
そして、嬢たちは駅前のエントランス・オートロック式の高級マンションを寮として住んでいて、そこに幽霊が出るのだそうだ。
ここまでの説明で何か質問はないかというジライヤに、真緒は思ったことを聞いてみた。
「そちらの身内になら、幽霊くらい簡単に倒せる人はいないんですか?」
「ああ、いるっちゃいるんすけどねぇ。
うちの構成員て、基本的にヒャッハーなモヒカンやチンピラの男が大部分な訳っす。
そんな連中をあそこに入れる訳にはいかないっすし、武器を振り回して部屋を壊されでもしたら堪らないっす。
それにうちには破魔魔法が使える坊主はいませんし、少数の女も基本脳筋スタイルっす」
「なるほど。破魔魔法と言えば教会ですけど、メシアの人は無理ですね」
「うちにも面子がありますから、メシアンに頼むよりはフリーに外注する方が角が立たないっす」
「わかりました。それじゃ、準備をして明日の日曜日の夜に伺いますね」
そう答えると、こちらには視線だけ飛ばすベリアルとジライヤに挨拶をすると真緒は店を後にした。
そして、次の日の夜。
真緒はいつもの男装姿でマンションの入り口に来て、言われた番号のボタンを押した。
すると、数分経って年増の女性の声がインターホンから帰ってきた。
『どなたかしら?』
「ジライヤさんから頼まれてきた伊月真緒です」
『ああ、ミツキ君の言っていた子ね。
はいはい、それじゃ開けるからエレベーターで5階まで来て』
入り口のロックが外れて真緒は中に入り、エレベーターで5階まで行った。
5階に行くと、年増の女性と若い女性の二人がいた。
二人は真緒の格好に驚き、年上の方が恐る恐る切り出してきた。
「随分と若い子みたいだけど、本当に除霊師さん?」
「本当ですよ、ほら」
真緒が腰のホルダーから御札を取り出して見せると、それが本物だと判ったようで安堵のため息をつくと真緒を案内しながら話し始めた。
「疑ってごめんなさいね。
私はここの嬢達の世話役をやっている『マサコ』って言うの。
幽霊はこっちのモブ子ちゃんの部屋に出るのよ」
「どんな幽霊なんですか?」
「制服を着た女子中学生か高校生の子だと思うのよね。
私たちも見える事は見えるけど、何か伝えようとしているのよねぇ。
こっちよ」
エレベーターのホールから離れ角の部屋に行くと、マサコは扉を指差した。
「昼間は見えないけど、暗くなると見えるようになるの。お願いね」
「それじゃ、ここでお待ち下さいね。ティコ」
『ワン』
真緒は念のためにティコを呼び出すと、扉を開けて部屋の中に入った。
そして、居間に着くと確かに半透明の学校の制服を着た少女がいた。
その見覚えのある少女に、真緒は思わず話しかけた。
「……え、やるめちゃん?」
後書きと設定解説
・関係者
名前:岩崎亀吉(いわさきかめきち)
性別:男性
識別:異能者・67歳
職業:八幡神社神主/さくらの町町長
ステータス:レベル12
詳細:
この町の八幡神社神主で町の町長
町のハンター協会の経済的協力者でもある
5期に渡って町長を続けているスケベな老人
この町と神社はわしが守るのだとの執念がある
実はペペロンチーノの日本の実家の縁戚
容姿はドラゴンボールの「亀仙人」
名前:赤井佳正(あかいよしまさ)
性別:男性
識別:転生者(堕天使ベリアル)・28歳?
職業:クラブ失楽園オーナー/ガイア教支部長
ステータス:レベル30
耐性:火炎無効・氷結弱点・呪殺無効
詳細:
「赤伯爵」でも有名なあのベリアルの転生者
記憶を完全に取り戻し、ベリアルの意識が上書きしている
ここのガイア教の実質的代表だが、仕事は放置気味
この彼は「アリス」に思いっきり避けられている模様
容姿や性格はグラブルの彼にそっくり
名前:ジライヤ
本名:四股利沢満樹(しこりざわみつき)
性別:男性
識別:異能者・25歳
職業:クラブ失楽園店長/ガイア教実務担当
ステータス:レベル20
耐性:破魔無効・呪殺耐性・神経耐性
スキル:回転斬り(敵全体・小威力の物理攻撃)
飛び蹴り(敵単体・小威力の物理攻撃)
菩薩掌(敵単体・小威力の物理攻撃。
低確率で緊縛付与)
詳細:
ガイア教徒の忍び集団「児雷也」の若手
普段はBAR失楽園店員でガイア教の実務担当
ベリアルの監視役のはずだが既に舎弟と化している
性欲過多の女好きで趣味が風俗とゲーム
容姿は2chやる夫オリジナルの同名キャラ
名前:ミスタ・アクセレラレータ
性別:男性
識別:転生者(死神ネビロス)・30代
職業:アメリカ音楽プロデューサー
ステータス:レベル30
詳細:
「黒男爵」でも有名なあのネビロスの転生者
記憶を完全に取り戻し、ネビロスの意識のままである
アリスの我が儘から今の活動をしている
ここのベリアルとは気が合わずに距離を置いている
容姿はとある魔術の禁書目録の同名の彼
店内のBGMは、もちろん『Parade's Lust』。
なお、真緒は中学生でしたので、今まで繁華街に来るのを父親に止められていました。
本当は今でも年齢的にアウトなんですが。
次は早い内に。
読んでくださった方がいるならありがとうございます。