デビルサマナー 転生召喚符術師の日常   作:塵塚怪翁

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続きです。


第15話 します乃との決着

 

「その『します乃』という子の現在地なら把握できるわよ」

 

「頼んでおいてなんですが、どうやったんですか?」

 

 

 真緒が希流子ややるめと話し合った日の翌日の午後、ハンター協会地下のBAR妙蓮寺のカウンターでペペロンチーノと真緒は昨日の件で相談していた。

 真緒の問いに、ペペロンチーノはくすっと笑って答えた。

 

 

「だってその子、自分の名義で買ったスマホをそのままCOMPにしているのよ。

 他の連中なら身バレしないように、他人の名義だとかCOMP用に別のを買うとかするのにしていないんだもの。

 いかにも、“カジュアル”臭くて笑っちゃうわ」

 

「ああ、確かに。

 ない世さんも、COMPにしたのは貰ったやつで個人用の携帯は別にあります」

 

「そうよ。

 だから、相手が誰かだいたい判ればうちの愛香ならすぐに追えるわ」

 

「それじゃあ、すぐに準備しないと」

 

「まあ、待ちなさい。

 場所はすぐにでも判るけど、出来るならこっちから奇襲してあげなさいな。

 こっちもバックアップに助っ人をつけるから」

 

「助っ人ですか?」

 

「そうよ。でも、腕の方は信用できるわ。

 それに、貴女と希流子ちゃんにない世ちゃんはうちでは貴重なチームだから失いたくないの。

 それだけは忘れずに頑張って」

 

「はい、ありがとうございます」

 

 

 真緒は彼に頭を下げると、テーブル席の方に移り希流子やない世も交えて作戦を練り始めた。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 一方その頃、日が暮れた繁華街では、します乃と今の彼氏である半グレ集団のリーダーであるタケシは、都合よく放置されていた歓楽街の外れの五階建ての廃ビルに手下たちを連れて乗り込んでいた。

 

 そのビル内は前の所有者が夜逃げでもしたのか、電化製品などの金目のものはもう無かったが机や椅子にソファといった家具類はそのまま残されており、十数人程いる彼らは思い思いに持ち込んだ酒や食料に鉄パイプや警棒などの武器類などを置くと寛ぎ始めていた。

 

 そのうちのリーダー格の二人、タケシとします乃は一番豪華なソファがそのまま残っていた三階の社長室らしい部屋にしけ込んで軽い掃除の後、さっそく一戦してから話し込んでいた。

 

 

「……おう。それでそいつらをどうやって誘き出すんだ?」

 

「うん? そんなの簡単よ。やるめの時みたいに一人になったら攫えばいいのよ」

 

「やるめって誰だよ。それに、誰を攫えば良いのか分からねぇぜ?」

 

「ああ、昔いた馬鹿な女の事よ。

 誰かなんて、手下にあの女の家を見張らしてちょうどいいのを攫えばいいのよ」

 

「そうだな。そんじゃ、明日からその見張りとこの辺を俺らの縄張りに……」

 

 

 タケシがそこまで言いかけた時、一階の入り口のドアがバタンと大きな音を立てながら開かれた。

 その音に慌てて服を直して部屋を出た二人の耳に、手下たちの悲鳴が聞こえてきた。それも、上と下からである。

 一瞬、どちらに行くかを迷った二人だったが、足元に離れた場所から転がってきた手下のチンピラを見てそちらを見てしまった。

 

 そこには、血糊の付いた忍者刀を持った黒覆面に忍者服の男が彼らに殺気を向けて立っていた。

 その男は何やら軽い調子で、二人に話しかけてきた。

 

 

「ああ、こんな所にいたんすね。

 約束なので、ここから先は行かせないっすよ。

 いや本当、まんまと俺等が訓練用に使っているここに入り込むなんてあの嬢ちゃん、オーナーの言う通り持っているっすねぇ」

 

「な、何だよあんたは!?」

 

「地元の組織の人間って奴っすよ。

 さあ、さっさと下で嬢ちゃんたちと戦うっす」

 

 

 青い顔で震えるします乃の横で、リーダーの意地で大声で彼に怒鳴るタケシだったが自分の倍近いレベルの相手の殺気にガタガタと震えていた。

 返答も移動もしない彼らにイラッとしたのか、その男は転がっていたチンピラの腕の骨を踏み折るとそいつの悲鳴を無視して怒鳴った。

 

 

「ああ、うぜぇ。さっさと行けよ!

 そんなに長く店を空けられねぇんだよ! 殺すぞっ!?」

 

「ひ、ひぃっ」

 

「ま、待ってよぉ」

 

 

 短い悲鳴を出して慌てて下の階に降りていく二人を見送ると、その男は床でまだ騒いでいるチンピラの服で刀の血を拭うと鞘にしまってゆっくりと歩き出した。

 

 

「さ~て、あの男もそれなりにやるみたいっすね。嬢ちゃん達のお手並みを拝見と洒落込むっす」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 その頃、一階の受付前の広い空間では、奥から次々と湧いてくるチンピラたちを真緒たちが片付けていた。

 

 

「禁呪符、急々如律令! 今だよ!」

 

「覚悟なさい! 【デスバウンド】!」

 

「「ぎゃああ!」」

 

「リリム、やっちゃって」

 

『うふ、【夢見針】』

 

「痛て、何だ……眠い……zzz」

 

『ワン!』

 

 

 真緒が複数人を金縛りにする札を放ち、希流子が手加減した攻撃で薙ぎ払い、ない世のリリムが攻撃で眠らせる。そして、片付けている時に階上からタケシとします乃が降りて来た。

 警戒していたティコの声に、真緒たちも気が付いた。

 

 

「あんたらのせいかぁ、伊月に岩崎ぃ!

 よくも私をこんな目に合わせてくれたわね!

 這いつくばって、ボロボロになって死になさいよ! 出てきなさい、私の悪魔!」

 

「てめぇらか、こいつの目的ってのは!

 なら、お前らを倒してから逃げりゃいいな! 出てこい!」

 

『…………』

 

『おう、この娘っ子どもを潰せば良いのか?

 一人ぐらい遊んで喰っていいだろ、マスター?』

 

 

 します乃が呼び出したのは、黒いバレーボール大の球体に大きな人の口がついたものが3つ無言で宙に浮かんでいる【怪異カミオトコ】。

 タケシが呼び出したのは、身長2mを越える大きさの赤い肌の角の生えた大男の【妖鬼オニ】であった。出てきたオニの問いにタケシは答えた。

 

 

「そうだ。好きにしろ!」

 

『へへっ、じゃあ暴れるか』

 

「ティコ、交代! ルビー、あいつを抑えて!」

 

『クーン』『OK、任せて!』

 

「わたくしも行きますわ!」

 

「リリム、あの丸い口のやつをお願い!」

 

『うふっ、【夢見針】』

 

『…………』

 

 

 オニの前にルビーと希流子が、カミツキオトコの前にリリムが立ちはだかり希流子とリリムが放った攻撃で悪魔同士の戦闘が開始した。

 

 

「せいっ!」

 

『げへっ。ナマクラかよ、それはよぉ』

 

「ちっ、物理耐性持ちで硬いとか」

 

 

 希流子の鋭い刀の攻撃がオニの肌と筋肉で弾かれた。

 舌打ちする希流子と大鎌を構えたルビーに、オニは持っていた金棒を振り回す。

 

 

『はっはぁ、【暴れまくり】だぁ!』

 

「くぅ」

 

『わっ、わわ』

 

『………がぶ』

 

『うふ、う、うふ? し、痺れるる』

 

 

 オニの振り回す金棒にダメージを受ける希流子とルビーの横で、カミオトコに噛まれて体が麻痺したように倒れ動けなくなるリリム。

 そのカミオトコの口からは、離れた場所からでも臭う青灰色の唾液が垂れている。その唾液に相手を麻痺させる効果があるのだろう。

 それを見て慌て始めるない世に声を掛けつつ、真緒はそいつをまず排除しないとと考えた。

 

 

「ない世さん、リリムを交代して! 破魔弱点なら禁狐魅符、急々如律令!」

 

『………無念。噛み足りんかったぞ』

 

「わわわ。はいぃ、来てカハク!」

 

『チュウ、……じゃなくて来ました』

 

 

 真緒の放ったハマの札により弱点を突かれて消えていくカミオトコ。

 それと入れ替わるように、リリムが消えてカハクが現れた。

 自分の悪魔が消えて叫ぶします乃を押しのけて、今度はバタフライナイフを抜いたタケシが前に躍り出てきた。

 

 

「あああっ! 何で、何で消えるのよ! 姿が不気味なだけで役立たずじゃない!」

 

「ちっ、おいオニ。俺と合わせろよ! 死ねや、悪魔が!」

 

『かかっ。お前が上手く避けろよ、マスター』

 

「させません、【デスバウンド】!」

 

『物理に強いなら、【アギ】!』

 

 

 タケシの一撃を躱し、返す刀でオニとタケシの両方をスキルで薙ぎ払う希流子。

 それに合わせて、オニに火炎魔法で攻撃するルビー。

 

 

「クソが! 後で、その胸を揉みしだいて犯してやる! オラァ!」

 

『言った通り、勝手に避けろよ。【暴れまくり】!』

 

「きゃあ!」

 

『くう、きっつい』

 

 

 スキルの乗ったタケシの一撃が希流子を捕らえ、そこにオニの金棒の範囲攻撃がルビーと彼女に襲いかかる。

 かなりのダメージを負った二人の横から符を腰のホルダーから抜いた真緒が、カハクに声をかける。

 

 

「カハク、オニとあの男を燃やして!」

 

「カハク、お願い!」

 

『はーい、【マハラギ】!』

 

「ここで合わせる。火神符、火神符、急々如律令!」

 

 

 カハクの放つ範囲火炎魔法に、真緒は同じマハラギの札をニ枚重ねて合わせるように放つ。

 オニとタケシを、瞬間的に中威力の火炎全体魔法のマハラギオンを越える火力の火炎が襲った。

 

 

「ぎゃああああああ!!」

 

『ぐぉがああああ!!』

 

「今です、覚悟!」

 

『あたしも、【アギ】!』

 

『ぐふっ。クソがぁ、これで終わりかよぉ! ガアァァ!』

 

 

 オニの喉に突き刺さる希流子の一撃とルビーの火炎魔法の追撃がオニに叩き込まれる。

 この追撃がとどめとなって、オニは消えていった。

 

 

「ちょっと、タケシ! さんざんヤらしてあげたのに立ちなさいよ!」

 

「…熱い……痛てぇ……くそぉ…」

 

「やるめちゃん、決着を付けて」

 

『うん、ありがとう』

 

 

 倒れた彼氏に叫ぶします乃を見ながら、術の反動で火傷を負った手で真緒はやるめを喚び出した。

 それに答えて、やるめはします乃に向けて走っていった。

 

 

『あああああっ!』

 

「ヒッ、死んだあんたが何で……ごぼぉ!」

 

 

 何かを言いかけたします乃の顔に、スキルの乗ったやるめの拳が突き刺さった。

 そして、そのまま後ろ向きに倒れ滑るように床を動くと、します乃はピクピクと震えながら白目を剥き動かなくなっていた。

 

 

『やったのかな?』

 

「やりましたわね、やるめさん」

 

「うん。これでこっちの勝ちだよ」

 

『あっ、マスター!』

 

「真緒さん、希流子さん!」

 

 

 怪我と疲れに勝利により緊張感が薄れ、しゃがみ込む真緒と希流子。

 それに慌てて駆け寄るルビーとない世。

 

 こうして、します乃と半グレグループとの戦闘は決着したのだった。




後書きと設定解説


・敵対者

名前:花村します乃(はなむらしますの)
性別:女性
種別:一般人・17歳
職業:高校生
ステータス:レベル4
耐性:破魔無効
スキル:説得・根回し・財力
装備:COMP(廉価品)
詳細:
 派手目の容姿の少女で離婚後に母について出ていった
 主人公が中学在学中に見たいじめの主犯の女性
 地元でも大きな会社の社長の娘であった
 クラスの中心にいるタイプで我が儘で高慢な性格
 花村は母親の姓で元の姓は長谷川
 容姿はやる夫派生の「します乃」

【怪異カミオトコ】
レベル4 耐性:破魔弱点・呪殺反射
スキル:痺れ噛みつき
        (敵単体・小威力の物理攻撃。
         中確率で麻痺付与)
    バステ成功率UP
        (状態異常付着の成功率が上昇する)
詳細:
 姿がなく人間に噛みついて襲ってくる都市伝説の怪異
 口の付いたバレーボール大の球体が3つ浮かんでいる姿
 相手を麻痺させる異臭を放つ青灰色の唾液を口から出す
 麻痺は行動不能にさせる肉体依存の状態異常

【外道悪魔使い】
レベル13 耐性:銃耐性・破魔無効・呪殺耐性
スキル:COMP使い
    怒りの一撃(敵単体・小威力の物理攻撃。
          命中率は低いが必ずクリティカル) 
詳細:
 COMPを手に入れて暴れる犯罪者の男
 十数人規模の半グレ集団のリーダー
 通称、タケシ

【半グレの群れ】
レベル0(5) 耐性:銃耐性・破魔無効
スキル:突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
詳細:
 外道悪魔使い配下の半グレ集団の群れ
 十数人規模のチンピラが雑多に集まっている
 未覚醒なので悪魔への命中・回避率が低い

【妖鬼オニ】
レベル13 耐性:物理耐性・電撃弱点
スキル:暴れまくり(敵複数・2~4回の小威力物理攻撃)
    突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
    牙折り(敵単体・小威力物理攻撃。
        攻撃力を1段階低下させる)
詳細:
 タケシと契約したCOMPの悪魔
 喰って犯して暴れればそれでいい性格


次は早い内に。
読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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