デビルサマナー 転生召喚符術師の日常   作:塵塚怪翁

27 / 28
続きです。


第26話 天使騒動決着

 

『鈍くなれ、【スクンダ】!』

 

『アイツラ全部、衝撃弱点、破魔無効だよ!

 霊活符、急々如律令! これで最後!」

 

 

 戦闘は花子さんが敵全体の動きを鈍らして命中と回避率を下げる魔法をかけ、真緒が味方全体の攻撃力を上げるタルカジャの札を使うことで始まった。それらの援護を受けて、希流子とルビーが迫りくる天使の群れに向かっていく。

 

 

「喰らいなさい、【デスバウンド】!」

 

『数を減らさないと! 【マハムド】!』

 

『『アアアッ!』』

 

『おのれ、よくも同胞を!』

 

『うふ~、そこ。【夢見針】』

 

 

 希流子の攻撃で傷を負い、さらにルビーの範囲呪殺魔法で天使の群れが数を減らしたおかげで出来た隙間から、彼女らの後ろから来ていたリリムが天使パワーを狙い撃つ。ダメージより状態異常狙いの攻撃であるが、眠らせることは出来ずに怒らせただけのようだった。

 

 

『汚らしい夜魔如きがっ! 消えよ、【マハンマ】!』

 

『うふっ!?』

 

『あ、やばっ』

 

『ちょっ、なんとぉーっ!』

 

 

 怒ったパワーが範囲破魔魔法を使った。

 

 リリムは抵抗に成功し、破魔弱点の花子さんはとっさに真緒の背中に隠れ、同じく弱点のルビーは持っていた大鎌を使い棒高跳びのように跳んで根性で避けた。しかし、そのルビーを狙って天使の群れが弾幕のように魔法を放ってきた。

 

 

『【ハマ】!』『【ハマ】!』『【アギ】!』『【ハマ】!』『【アギ】!』

『【ハマ】!』『【アギ】!』『【ハマ】!』『【ハマ】!』『【ハマ】!』

 

「ルビー!」

 

『よっ、はっ、ほっ、どっせーい!』

 

『あぎっ!』

 

 

 躱し切れないと判断したルビーは、自分の火炎耐性に任せて破魔魔法を避けつつ火炎魔法に突っ込みながら落下して行く。幸運にもダメージを受けるだけで済んだルビーは、エンジェルの一体の頭部に大鎌を叩きつけるように着地した。

 その一撃で消えるエンジェルを見ながら、真緒は札を取り出し希流子とルビーに声をかける。

 

 

「希流子、ルビー、大きいの行くから避けて!」

 

「分かりましたわ!」『オッケー!』

 

『もう一度! 【スクンダ】!」

 

「行けっ! 風神符、風神符、急々如律令!」

 

 

 希流子とルビーが左右に跳んだ間を花子さんの魔法でさらに動きが鈍くなった天使達に向けて、真緒の切り札で強化された通常の【マハザンマ】を越える威力の範囲衝撃魔法が叩きつけられた。

 

 

『『『アアアアアッ!』』』

 

『グォォォッ!』

 

「今ですわ!【デスバウンド】!」

 

『こっちも!【毒串刺し】!」

 

「リリム、そこ!」

 

『うふっ、【夢見針】」

 

 

 両腕から血が滴り落ちる真緒の前で、真緒の魔法で大ダメージを受けた天使達へ向けて続けて放たれた希流子の攻撃でエンジェルの半数以上が消えた。次いで、ルビーの大鎌はパワーを貫き斬り裂き、ない世の【アドバイス】の効果でクリティカルしたリリムの攻撃の針がパワーの左目を抉った。

 

 

『ギィアアアァッ! おのれおのれ、【ヒートウェイブ】!』

 

『【ハマ】!』『【アギ】!』『【アギ】!』『【ハマ】!』

 

「くぅっ、キツいですわ」

 

「あうっ」「きゃあっ」

 

『んっ』『うわっ』『だめっ!』

 

 

 左手で目を押さえた怒りで血走った右目で睨み、パワーは片手で範囲攻撃を放つ。そして、それに合わせるように生き残ったエンジェル達も魔法を放った。

 パワーの攻撃は希流子とルビー、リリムへと当たりダメージを与えた。ない世はよろめいた所で避けられたが、さらに希流子と真緒に火炎魔法が、破魔魔法が花子さんに当たってしまった。

 

 

『…あ。ごめん、マスター』

 

「花子さん! くっ、メリーさん、来て!」

 

『後は任せてねぇ、花子さん。行くわぁ、【暗殺拳】!』

 

『ガアアッ! 人形風情がアァッ!』

 

 

 破魔魔法でやられて消える花子さんと入れ替わるように喚び出されたメリーさんが、真緒とルビーの体を駆け上がりパワーへと斬りかかった。その一撃はパワーの右手を斬り裂いて、持っていた剣を取り落とさせた。

 うめきよろめくパワーへと3人が攻撃を集中させる。

 

 

『【毒串刺し】!』

 

『【夢見針】』

 

「手下諸共、逝きなさい!【デスバウンド】!」

 

『『アアアアッ!』』

 

『…ああ…大天使よ、お許し…』

 

 

 ルビーとリリムの攻撃がパワーに当たり、最後に希流子の範囲攻撃が取り巻きのエンジェルと一緒にパワーを切り捨てた。マグネタイトの粒子となって消えていく天使達を見て、怪我の出血から来る立ちくらみで真緒が膝をついた。

 慌てて希流子とない世たちが走り寄って来た。

 

 

「うっ」

 

「真緒!?」「真緒さん!」

 

「ちょっと無理しただけだから、大丈夫。他の天使は?」

 

『それなら……』

 

「【魔性の乱舞】!」

 

『『アアアァッ!』』

 

『決着が着いたようねぇ』

 

 

 もう一つの天使の群れは遠坂桜の範囲攻撃で吹き飛び、それと同じくらいのタイミングで異界の奥の方からドンという爆発音と地揺れがして終わった事を察知したメリーさんが呟いた。

 そして、空間が軋むように歪むとそのまま天使達の異界は消えていった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 今回の事件のその後はこうなった。

 

 エステイベントはもれなく中止となり、ビー・シンフル号自体も大幅なメンテナンスが必要な程の損傷を受けて造船ドッグへと曳航される事となって業魔殿の方も休業となったようだ。

 

 幸いにも死者はいなかったが、重軽傷者と天使の洗脳で精神的なダメージを負った者が数十人出る事となった為に、現場にいたジプスの女性幹部と各クランの女性トップ層が協力して事態の収拾に当たる事になり、その過程で今回のイベントで雇われた女性スタッフが実行犯として今回の事件を起こしたと判明しその行方を追っていると発表された。

 

 今回の主犯と思われる外部の協力者だと思われる人物も、最初はメシア教関係者だと思われていたがそうではない事が日本の一神教関係者の執拗な調査によって明らかにされ、解明のための捜査も“キャベツ刑事”と通称される人物を中心に続行される事となっている。

 

 持ち込まれたメシア教のアイテムはジプスの方で破砕すると決定され、黄泉平坂に通ずる異界において火之迦具土神が直々に燃やし尽くして中身諸共に破壊したとメシア教に通告している。アメリカのメシア教としては、アイテムは強奪され封印施設にも多大な損害を受けて侵入者も追跡中でのこの事件の発生と結果である。

 

 この件において、アメリカのメシア教にロウヒーローの一言が添えられた日本側の厳重な抗議がなされ、代表のローラ・スチュアート主教は自身の寝室でウイスキーを痛飲した。

 

 そして数日後、事情聴取や怪我の治療などが終わると参加者たちは各々の場所へと帰る事となった。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「あーあ。お土産用の高品質の傷薬、買えなかったぁ!」

 

「何時まで買えなかったアイテムの事を嘆いているんですの?

 花子さんの蘇生用の地返し玉の代金でお小遣いが底をついたのは性がありませんわ」

 

「そうですよ、真緒さん」

 

「はーい」

 

「クスクス」

 

 

 今回の旅行は結局、1週間の行程となってしまって真緒たちはお盆の間は大阪に詰める事となってしまった。

 

 真緒としては毎年会っていたお盆に帰省してくる亡くなった母に会えず少しがっかりしていたが、友人との初めての旅行もあって大阪でも観光をして楽しむ事が出来た。ちなみに、前世では学生時代はボッチで大学卒業後はブラック企業に就職して若い時期を棒に振ったので、友人との個人的な旅行が本当に初めてであった。

 

 ジプスが用意した帰りのワンボックスの中、真緒たちともう一人一緒に来ている彼女は打ち解けて話がそれなりに弾んでいた。

 

 

「……って、アーチャーさんの接客ってまるで口説いているみたいなんですよ」

 

「アーチャーですか。

 先輩、地元にいた時は弓道部でしたからそう名乗るのは分かります。

 口説くような接客ですか、……へーー」

 

「それで、その度に岸野さんに怒られているんですよ」

 

「……“岸野さん”ですか。どなたなんです、生江さん?」

 

「普段は地元の協会で受付をしている女性の方ですよ。

 一緒に住んでいるみたいで、仲が良いみたいです。

 …私もあんな恋人が欲しいですねー」

 

「同居している女性の方がいるんですね。……ふーーん」

 

 

 ニコニコと微笑みながら遠坂桜から黒いものが出ているのに気が付かずに話すない世に、慌てて話題を変えようと試みる真緒と希流子。

 

 

「で、でも彼の店は地元では1、2を争うくらいの優良な異能者向けの店舗なんですよ。

 値段だって、ぼったくるような商売はしていませんし」

 

「……でも、可愛い娘にはサービスし過ぎている時があるって、岸野さんがこの間ぼやいていましたよ」

 

「霊刀の研ぎや調整をこなせる方はなかなかいらっしゃいませんが、あの方はそれを出来る刀匠なのですよ。

 わたくしの霊刀もあの方に見てもらっていますし」

 

「たまに刀に反射させて女性の身体を見ている時があるって、岸野さんがぼやいていましたけど?」

 

「ない世さん、煽ってどうするんです!」

 

「……え? 煽ってなんていませんけど?」

 

「うふふふふふふ」

 

 

 こうした会話をしている彼女たちを乗せて車はさくらの町に帰って行った。




後書きと設定解説


・敵対者

【天使パワー】
レベル19 耐性:衝撃弱点・破魔無効
スキル:マハンマ(敵全体・低確率で即死付与)
    グラム・カット(敵単体・小威力の物理攻撃)
    ヒートウェイブ(敵全体・小威力の物理攻撃)
詳細:
 神の掟を正しく実行にうつす働きを司る第6位の能天使
 今回喚び出されたボスの大天使ハニエル配下の天使
 美と愛の大天使の配下だけに美形が多く美女型の天使
 術式で強化されて呪殺弱点が無くなっている

【天使の群れ】
レベル12 耐性:衝撃弱点・破魔無効
スキル:ハマ(敵単体・低確率で即死付与)
    アギ(敵単体・小威力の火炎属性攻撃)
詳細:
 今回喚び出されたボスの大天使ハニエル配下の天使
 美と愛の大天使の配下だけに美形の天使が多い
 全員が美形なマネキンの様な顔と姿をしている
 術式で強化されて呪殺弱点が無くなっている


次回は、リアル次第ですが早めに。
読んで下さった方がいるならありがとうございます。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。