デビルサマナー 転生召喚符術師の日常   作:塵塚怪翁

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続きです。
今回は、下ネタ注意。


第5話 友人と依頼と変態と

 

「さて、今日からはない世さんには単独で動いてもらうよ」

 

「……ええ?」

 

「ない世さんは昼間はうちで住み込みの家政婦と電話番をして下さい。

 やっぱり生きている人が留守番でいないと、色々と問題がね?

 それで時間が出来たら、先日みたいにまた山に行って悪魔を倒しに行きます。

 火炎魔法のアギを使うカソも仲魔にできたし、あの山は火に弱いのが多いから楽になるね。

 あ、決して夜の山には一人では行かないでね。

 何か解らない時は、ボクか有定さんかもしくは父に電話して聞いて下さいね」

 

「……ええ?」

 

「ボクはない世さんと会った時みたいに、これから外回りに出るんだ。

 今までは父がしていた仕事もボクがやらないといけないからね。

 外泊が必要なくらい遠くに行く時もあるから、頑張って」

 

「……はい!?」

 

 

 ない世が魔獣カソを仲魔に加えてから、数日後。

 真緒はポツポツと来ている個人指定の依頼を片付けることにした。

 

 この場合の“個人指定”とはない世と知り合った時のように父の郁夫向けに出されたもので、ハンター協会で塩漬けになりそうなものや地元の八幡神社のお祓いでは対処し切れない物が多い。

 その多くは俗にオカルト話などでもよく聞く幽鬼や悪霊による障りに関係するものが多いため、異界攻略やカルト退治を主としているハンター達は“幽霊退治”と馬鹿にして受ける事が少なく今までは父の郁夫に出番が回って来ていた。

 

『それがね、聞いてくださいよ宮司さん。

 ウチの娘と来たらね、わしが出かけるたびに昼の弁当を作ってくれるんですよ。

 それも、亡くなった妻に負けないくらいに美味くてねぇ。

 霊能の素質もわしよりあるし、おまけに器量良しで家事も得意とどこに嫁に出しても恥ずかしくないんですよ。

 ……はぁ? ウチの娘の方が器量も気立てもいい?

 酒の席の話だし冗談で……おう、そこまで言うなら表に出ろ!』

 

 今回は仕事先で知り合いと娘自慢をしているのが原因で飲み屋の駐車場で殴り合いになり、そこへアクセルとブレーキを踏み間違えたプリ◯スが突っ込んできて入院する事になった父の代わりに向かう事になったのだ。

 

 真緒本人としては、前世では禄に出来なかったシングルファーザーで自分を育ててくれた今の父に出来る限り親孝行しただけなのだが。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

『……そういう訳なのであいつを追い払って欲しいんです』

 

「まさか、依頼人が母校の七不思議だとは思わなかったよ」

 

 

 真緒が今いるのは、彼女もかつて通っていた地元の『町立さくらの小学校』の旧校舎である。

 新校舎としてコンクリート製の校舎は真緒が通っていた頃には既にあり、木造の旧校舎はそのまま残されていた。

 と、言うのも、そこは関西の都市圏から避難したり移住してきた低レベルの学校の怪談でおなじみの連中の棲家用として地元で管理されている異界であるからである。

 ちなみに、星見山は初級から中級者向けの修行用とされている。

 

 最近の大都市圏ではジプスが建てた高層ビル型の周囲のMAGを大量に取り込んで悪魔除けの結界を張る装置をあちこちに建造しているので、GPが極端に下がったそれらのまともな異界も減った場所では生きられない都市圏の悪魔たちが地方や山林に疎開している世情もあってこうした場所が増えているらしいのだ。

 

 そして、夕方になったその場所で真緒が話しているのは旧校舎の住人の一人【トイレの花子さん】ともう一人。

 

 

「真緒さん、そんなに心配なさらなくても大丈夫ですわ。

 わたくしも付いているではありませんか?」

 

「いや、希流子が一緒に居てくれるのは確かに心強いのだけどね」

 

『ワフ』

 

「……何か?」

 

『この巫女さん、なんか怖いのだけど』

 

 

 いつも通り男装してこの場に立っている真緒と仲魔のティコの隣で、巫女服の上に千早を纏い片手に霊刀を持ったその少女は首を傾げていた。

 

 彼女の名は【岩崎希流子】。

 ここの地元の八幡神社の宮司の娘で、真緒の子供の頃からの友人で霊能関係者でもある。

 今回は宮司の方も怪我をして自宅療養中のために、代わりに彼女が出張って来ていた。

 普段の彼女は日本人形のような着物の似合うお嬢様だが、とある悪魔の転生者の影響で霊刀を振るって戦う戦闘スタイルでもある。

 

 ちらりと真緒が見ると、着物でも分かるくらい盛り上がっていて相変わらず大きい。去年の夏のプールの授業の時ですら、既に10cm近く真緒のものを上回っていた記憶が甦る。

 

 

「それでわたくしはどなたを斬ればよろしいので?」

 

「希流子、ステイねステイ。

 いえ、ボクもてっきりここの管理検査と思っていたんだけど」

 

『ワフ』

 

『ある意味、間違いではありませんよ。

 最近、どこからかここの異界に紛れ込んだ悪霊がみんなに襲いかかって来ているんです。

 どうも異界の外から侵入してくるみたいで、日が暮れると来るんです』

 

「そいつはどんな奴で、主にどんな事をしてくるの?」

 

『……です』

 

「何?」

 

『だから、……です』

 

「聞こえないんだけど?」

 

『だから!

 私みたいな女子の悪魔を捕まえて、【ピーー】な事とか【アッハン】な事をしようとして前の汚いのを元気にさせて走り寄る中年の男の悪霊です!』

 

「「…うわぁ…」」

 

『ワウゥン』

 

 

 ハナコさんの説明だと、数ヶ月くらい前からそいつは現れたとの事である。

 現れた当初からそいつは、少女の姿の悪魔を追いかけ回していたらしい。

 一度、逃げ損なった浮遊霊の娘が一体捕まって連れ去られてから、味を占めたのか今度は花子さんを狙い出したらしく校舎内の女子トイレを執拗に探し回っているので身の危険を感じて依頼を出したのだそうだ。

 

 それらの事を聞き、彼女らは作戦を練って対処する事にした。

 

 

「とりあえず、隠れて不意をついて囲んで叩こう。

 ハナコさんも悪いけど協力してね?」

 

『もちろん。変態はお断りだし』

 

「大丈夫。わたくしの刃でそんな女性の敵は一刀両断ですわ!」

 

『ワン!』

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 2階の女子トイレの中で待つこと、2時間後。

 そいつは廊下の方から現れた。

 

 

『ハ・ナ・コ・ちゃ~ん、おじさんといい事しようねぇ~』

 

『うひぃ』

 

 

 ペタペタと歩く音が聞こえ、ハナコさんが隠れている一番奥の鍵のかかった扉をガチャガチャと揺らし出した所で入り口手前の扉から真緒たちは飛び出した。

 それを見た男の悪霊は、かえって興奮し出した。

 

 

『おほっ、美少女が増えたぞぉ!

 そのたわわな物を揉ませてくれぇ!【突撃】ぃ!』

 

「「いやぁぁぁ!」」

 

 

 スプラッタな物には耐性のある二人であったが、ヨレヨレのシャツにステテコを履き前を膨らませて両手をワキワキと動かしながらだらしない顔で迫る中年の男は生理的に耐えられなかった。

 そのままこっちに突っ込んで来るそれを、背筋に走る悪寒のまま二人は避けて入り口までの隙間を開けてしまった。二人の横を駆け抜けて廊下まで飛び出した男の悪霊は、振り向くと右手をワキワキと動かしてにぃっと笑った。

 

 

「ふわっ!」

 

「んんっ!」

 

『へっへっへ。

 今日は多人数プレイをするのは準備が足りないからねぇ~。

 また今度、相手してあげるからねぇ~♡』

 

「お待ちなさい、この変態! 通り抜きざまに触りましたわね!」

 

「ぶっ殺そう! ティコ!」

 

『ワン!』

 

 

 すり抜けた隙に胸を触られた二人は、怒り心頭で脱兎のごとく逃げ出した悪霊をティコを先頭に追いかけ始めた。走り慣れた様子で階段を飛び降り下駄箱のある入り口から逃げ出そうとした悪霊に、【俊足の構え】のスキルで速度が増している希流子が追いついたその時、入り口で待ち構えていた別の悪魔がそれを妨害した。

 

 

『オレの目を見ろぉ!【パララアイ】!』

 

「うくっ、しまっ……」

 

『クゥーン』

 

『かかったなぁ、お嬢ちゃん! ボスっ、助かりました!』

 

 

 真緒が降りてきた先には緊縛されて金縛りのまま動けなくなった希流子とティコがおり、その向こうには4人の男がいた。

 スマホを持った目出し帽の男が二人と追いかけてきた【悪霊チカンオトコ】、それに着ている着物の裾を捲り上げて尻を突き出しているマネキンのような姿の【妖鬼シリメ】が肛門の場所にある一つ目をこちらに見せていた。

 どうやら、この目を思わず見てしまって金縛りを掛けられたようだ。

 

 真緒が慌てて札を取り出して走り寄ると、ピピッと音がしてスマホでアナライズをしていたらしい男達が視線を合わせて頷いた。

 

 

「先輩、二人とも経験無しです」

 

「うむ、二人とも未通女のようだ」

 

「…うなっ!」

 

「これは招待しないとな」

 

「ええ、見ればこっちはボーイッシュな美少女! ありですね」

 

「ぜひ、教祖様に会わせてその崇高な考えを教えてあげねば。

 やれ、チカンオトコ!」

 

『動くなよぉ~、【シバブー】!』

 

 

 突然の指摘に別の意味で顔を真っ赤にさせて動きを止めた真緒に、勝手な事を言いながらリーダーの男は捕まえるために自分の仲魔に命令を下し金縛りにさせようとした。

 しかし、ピアスのお陰でそれが効かなかった真緒は、怒りのまま札を投げつけた。

 

 

「この変態共! 明神符、急々如律令!」

 

『『あっ、あああ!』』

 

「チカンオトコが!」

 

「ああっ、シリメもやられた!」

 

 

 マハンマの札を破魔弱点の二体に投げつけ、消滅させることに成功した真緒は金縛りから開放された希流子と共にうろたえる男達の前に立った。

 

 

「よくも辱めてくれましたわね、変態共!」

 

「ま、待て。我々に着いてくれば素晴らしい事実を知れるのだぞ?」

 

「そ、そうです。清純な乙女である貴女方がそんな暴力をしてはいけない!」

 

「問答無用! 雷神符、急々如律令!」

 

「乙女の怒りを知りなさい!【デスバウンド】!」

 

「「ぎゃああぁぁ!!」」

 

 

 怒りに燃える真緒のマハジオの札と希流子の多数を斬る剣閃が唸り、男達に炸裂するのだった。




後書きと設定解説


・関係者

名前:岩崎希流子
性別:女性
識別:転生者(英傑トモエゴゼン)・15歳
職業:高校生/巫女
ステータス:レベル9
耐性:物理耐性・破魔無効
スキル:デスバウンド(敵全体・中威力の物理攻撃)
    勝利の小チャクラ(戦闘勝利時、MP小回復)
    俊足の構え(ステータス「速」を10上昇させる)
装備:霊刀(家伝の霊装)
   巫女服(霊装)
詳細:
 さくらの町内にある八幡神社の宮司の娘
 親同士が知り合いのため、主人公とは幼馴染
 黒い長髪で着物姿の美少女だが口内は牙のような歯がある
 何気に着痩せして胸が大きく学校では色々とあるらしい
 戦う時は髪を振り乱して狂戦士のようになる
 容姿は2chやる夫派生の「キル子」

・敵対者

【悪霊チカンオトコ】
レベル9 耐性:火炎弱点・破魔弱点・呪殺無効
スキル:突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
    ドルミナー(敵単体・中確率で睡眠付与)
    シバブー(敵単体・中確率で緊縛付与)
耐性:
 少女の姿をした悪魔や異能者を性的に襲う悪魔
 元は十数件の強姦わいせつ罪で獄中死した囚人
 17歳以上は「年増」として標的の範囲外らしい
 今回はトイレの花子さんが標的

【妖鬼シリメ】
レベル3 耐性:破魔弱点・睡眠耐性
スキル:パララアイ(敵単体・中確率で緊縛付与)
    逃走加速(戦闘からの逃走成功率が上昇)
    迅速の寄せ(素早さと先制率上昇)
詳細:
 主に京都や西日本で見られるのっぺらぼうの妖怪
 体毛のない灰色の肌で尻の肛門に1つ目がある
 誰かに会うと全裸になり尻の目を見せてくるのが特徴
 「尻目にする(かける)」という言葉の語源らしい


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