デビルサマナー 転生召喚符術師の日常   作:塵塚怪翁

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続きです。
引き続いて、下ネタ注意。


第6話 純潔守護騎士団

 

『でも、あの男も悪いのよ! 私のことは遊びだとヘラヘラと笑いながら!』

 

「それで首を吊ったのは判るよ。それなら、何でその男に復讐に行かないの?」

 

『あいつは引っ越していてどこにいるか判らないのよ!

 それなら、この部屋で騒ぎを起こして待っていれば彼が現れるはず!』

 

「どっちにしろ、ここの部屋が幽霊が出るって言われてみんな迷惑しているんだけど。

 それに、そんな男が来るはずが無いでしょ?」

 

『じゃあ、あたしはどうすれば!?』

 

「悪いけど、成仏してね。禁狐魅符、急々如律令」

 

『小娘が若いからってぇ! まだ消えたくないぃぃ!!』

 

  

 依頼で訪れた事故物件に巣食っていたぶつぶつと際限なく愚痴を言う悪霊を、真緒はハマの札で強制的に成仏させた。

 

 

「ああ、退治してくれたんだね。ありがとう、拝み屋のお嬢ちゃん」

 

「大家さんも運が悪いですね。また、持ち物件でこんな事になるなんて」

 

「いや、そうなってもこうして迅速に解決してくれるからね。本当に助かるよ」

 

「変なものは憑いていないんですけどね。

 悪いことは言いませんから、八幡神社で一度お祓いしてもらってはどうです?」

 

「そうだね。そうしてみるよ」

 

 

 旧校舎の一件から、数日が経った。

 

 あの日、ボコボコにして捕まえた変態悪魔の使役者の男二人は拘束してハンター協会に引き渡していた。正確には、ペペロンチーノに尋問とCOMPの解析を沙条愛香に頼むという形になっている。

 それからは、こうして真緒は除霊の仕事や夜にない世との星見山での修練を続けていた。

 

 そして、依頼の除霊を完了させて自宅に戻った真緒の元に旧校舎の件で話したいことがあると報せが入った。

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「こんにちは、ペペさん。ボクだけですか?」

 

「あら、よく来たわね。そうなの、真緒ちゃんに話しておきたいのよ。

 こっちも、久々の尋問なんで楽しませてもらったわ」

 

「ああ、来たのね真緒。こっちも終わっているわ。

 それにしても、このCOMPの仕様を考えたやつは頭がおかしいと思うわ」

 

 

 除霊の終わった日の翌日、真緒は地下のBAR妙蓮寺でペペロンチーノと沙条愛香の二人と会っていた。

 ニコニコ顔のペペロンチーノとドン引きした顔の愛香が、BOX席の方で待っていた。

 カウンターから来たやけに目の鋭い男性店員が、彼らの向かいに座った真緒の前にリンゴジュースを置くと去っていくのを合図にペペロンチーノが話し出した。

 

 

「それじゃあ、まず私の方からね。

 あの二人組は、ここ最近増えてきたカジュアルサマナーの犯罪集団の構成員みたいね。

 ほら、貴女のところのない世ちゃんみたいに廉価品COMPを手に入れてイキっている馬鹿よ」

 

「ない世さんの場合は、自分の家賃を安くするためにわざとアパートを事故物件にしていましたけど」

 

「まあそれは、真緒ちゃんの所で働かせて償うみたいな形になったからいいとして。

 この二人は別方向に頭の痛い連中だったのよ。

 こいつらのグループって、『純潔守護騎士団』とか言うらしいわよ?」

 

「『ゔぁーじん・がーでぃあん・ないつ』ですか?」

 

「そ。一言で言うなら、女性の敵ね」

 

「これを見て」

 

 

 そう言うと、ペペロンチーノはカードの束を取り出した。

 そのカード群は、様々な少女の姿の悪魔の絵柄と名前にレベルが記載されたものだった。

 

 

「あの二人組のリーダー格の方が、【カードハント】って倒した悪魔をカードにするスキルを持っていたのよ。

 真緒ちゃんも似たような術は使えるでしょう?」

 

「はい。……それじゃあもしかして?」

 

「そ。カードにした悪魔をデビオクで売ってグループの資金を稼いでいたみたい。

 真緒ちゃんも時々、ガキとか悪霊なんかを売っているでしょ?

 それに、少女型の方が高く売れるからハナコさんを狙ったんじゃないかって思うの」

 

「だからって、使役した悪魔もとても変でしたよ?」

 

「私が言うのもなんだけど、そんな希少なスキルが有るならまともにハンターをしてくれればいいのに。

 まあ、こいつらは協会本部の方で呪術で逃げ出さないようにして強制労働させるはずよ」

 

「そう言えば、行先って刑務所みたいなものですか?」

 

「COMPを支給して異界での湧き潰しと資源の回収が主な作業ね。

 それに、こういう思想犯は思想そのものを考えるのを禁じられるとすごい素直になるの」

 

「……思想犯」

 

「それがこのCOMPの仕掛けよ。貴女も見られたんじゃない?」

 

 

 愛香が解析していた彼らのCOMPを取り出しテーブルに置いた。

 

 

「このCOMPには、改造したアナライズプログラムが入っているの。

 他の物は入れられない位、メモリをバカ食いするけどね。

 その効果は女性が対象の場合、男性経験のある無しが判るのよ」

 

「だから、連中の自称が『純潔守護騎士団』て言うの」

 

「……あ! あああああ!!」

 

 

 真っ赤になった真緒に、気の毒そうな顔を向けるペペロンチーノと愛香。

 

 10分後。

 やっと落ち着いた真緒は、まだ赤い顔のままギロリと二人を見た。

 

 

「……それで、連中はどこにいるんですか?

 捕まえないと! この世に居てはいけない存在ですよ!」

 

「神戸市内の港の廃倉庫のここよ。

 神戸付近のSNSでね、中高生の娘達の間で体が経験前の状態に戻るって噂になっていたの。

 それで、証言とその噂の出処を調査したら判ったのよ。

 何でとか、どうやってとかは解らないけど」

 

「じゃあ、早速……」

 

「まあ、待ちなさい。

 相手は大勢いるはずよ、こっちも人数を揃えなさい」

 

「でも……」

 

「大丈夫。

 八幡神社の希流子ちゃんもあの校舎のハナコさんも、話したら貴女と同じようにしていたわ。

 それと、あの男が一番大事にしていたらしいこの悪魔の娘、貴女が契約して連れて行ってあげたら?

 COMPとの契約はしていないみたいだし、たぶん、この娘も被害者のはずよ?」

 

 

 真緒は渡されたその悪魔の娘のカードを手に取り問いかけた。

 

 

「あの変態連中をしばきに行くけど、ボクと契約する?」

 

 

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 夜の神戸市内の廃倉庫。

 人の気配もない夜の港の一角に、灯りがついている使われなくなったはずの倉庫があった。

 そこでは十数人の男達が、リーダーらしい男を中心に何事か話し合っていた。

 

 

「まずいぞ。調達役の『ハーレムマスター』の野郎、倒されて捕まったみたいだぞ」

 

「ホントか? じゃあ、あいつが持っていたオレの嫁になる予定の少女たちは?」

 

「誰がお前の嫁だ! あいつが金を稼ぐ役割だったのがおじゃんだ!」

 

「俺も、もうブサイクな奴なんかじゃなく美少女悪魔を期待してたのに」

 

「そうだそうだ。俺だって、美少女悪魔を侍らしたかった」

 

「静まれ」

 

「「おお、団長」」

 

 

 その中の背広を着たリーダーらしい眼鏡の男が立ち上がり、演説をし出した。

 

 

「いいか、同士よ。

 『清純な乙女は皆、純潔であるべき』という大義を忘れるな。

 そう思うからこそ、“自分の彼女や好きなあの娘を純潔の状態に戻してくれ”という願いを叶えて回っていたではないか。

 NTRはダメ絶対。そう願った彼らの純粋な願いの尊さを思い出せ。

 だからこそ、犠牲となった彼らの想いも忘れずに邁進していこう」

 

「「はい、団長!」」

 

「そこまで! お縄に付きなさい、変態共!」

 

 

 酒もないのに盛り上がっていた男達に、女性の掛け声が掛けられるとアルミ製のドアが蹴破られた。

 中のダークサマナー達が臨戦態勢になる中、ドアの向こうから真緒と希流子にハナコさんがにっこりと笑いながら現れた。

 彼女らの登場に動揺していた連中だったが、リーダーらしい男がスマホを見て親指を立てた。

 

 

「君らが何者かと問うべきだろうが、それよりもあの美少女達は純潔だ!」

 

「「「おおおおお!」」」

 

「「キモい」」

 

 

 真緒たち3人は、思わず口を揃えて言ってしまった。

 家伝の霊刀を構えた希流子は、こう言って駆け出した。

 

 

「話しかけようと言ったわたくしが馬鹿でしたわ。もはや、問答無用!」

 

「そうだね、ハナコさん!」

 

『まかせて、【パニックボイス】! キィアアアアアッ!』

 

「「あああ!」」

 

 

 ハナコさんの相手を混乱にするスキルにより数人が動けなくなったが、リーダーの男は素早く自分のCOMPを操作した。

 それに合わせて、その場にいた男達のCOMPが動き出した。

 

 

「ここで捕まって大義を果たせなくなる訳にはいかん!

 強制起動、モコイ召喚!」

 

『ダメダメだね、チミ達』『まあ、任せなさい』『これだけいれば負けないね』

 

 

 男達の前にぞろぞろと大勢の悪魔が召喚された。

 白い腰布を巻いた黒い肌の人型の姿の【夜魔モコイ】が10体ほどそこにいた。

 

 

「こんな連中など! 【デスバウンド】!」

 

『やられたね』『今度はこっちだね』『『『【ジオ】』』』

 

「あっ」「くぅ」『きゃあ』

 

 

 希流子の放った剣閃が数体のモコイにダメージを与えるが、今度は複数の電撃魔法が真緒たちを襲う。真緒と希流子の懐に事前に入れてあった数枚の神符の内の【天命神符】が、電撃ダメージを半減させて燃え尽きた。

 今度はこちらと真緒は見鬼で見定めながら、腰から符を引き抜いた。

 

 

「電撃無効、衝撃弱点! なら、風神符、急々如律令!」

 

『こっちだって、【ラクンダ】!』

 

「もう一度ですわ、【デスバウンド】!」

 

『また、やられたね』『こっちはもうダメダメだね』『『【ジオ】』』

 

 

 ハナコさんの敵全体の防御力を低下させる術と同時に、モコイの弱点のマハザンの札と再び希流子の放った剣閃がモコイたちを2体になるまで打ち倒した。

 また放たれたモコイの電撃魔法も、護符の効果で軽症で済んでいる。

 後ろの慌てる男達のまでの隙間が出来たのを見た真緒は、新しい札を取り出し叫んだ。

 

 

「よし! ハナコさん、交代! 行って、ルビー!」

 

『まかせる!』『まかせて!』

 

「残りの悪魔はわたくしが倒します!【デスバウンド】!」

 

 

 残っていたモコイたちを希流子が切り倒す横を、ルビーと呼ばれた赤いマントを翻し黒い服を来た短い黒髪の少女はリーダーの男へと走り寄って行く。

 その姿を見たリーダーの男は思わず叫んだ。

 

 

「お前はあいつの嫁だった紅薔薇じゃないかっ! どうして!?」

 

『私は! あいつの! 嫁に! なった! 憶えはない!』

 

「ぐへあぁ!」

 

 

 ルビーの走ったまま突き出された拳を喰らい、リーダーの男が吹っ飛んで床に転がった。

 動かないリーダーと全滅したモコイを見て、男達は逃げ出した。

 しかし、ことレベルが同じくらいでも速度に関しては希流子は頭一つ抜き出る素早さだった。

 入り口に先回りし、刀を彼らに向けて微笑んで希流子は声を掛ける。

 

 

「どちらに行こうというのかしら、変態の皆さん?」

 

『わたしだってまだ殴り足りないんだけど?』

 

「そうそう。もうすぐ頼んだ回収班の人が来てくれるから安心してね」

 

 

 微笑みながら拳を鳴らして後ろから近づく真緒とルビーを見て、男達は自らの夢が砕けるさまを思い浮かべ彼女らにタコ殴りにされて捕らえられる結末となるのだった。




後書きと設定解説


・仲魔

名前:花子さん
性別:女性
識別:怪異ハナコ
ステータス:レベル7
耐性:破魔弱点・呪殺耐性・精神耐性
スキル:ラクンダ(敵全体・防御力を1段階低下する)
    スクンダ(敵全体・命中、回避率を1段階低下する)
    パニックボイス(敵全体・低確率で混乱付与)
詳細:
 学校の怪談「トイレの花子さん」で有名な怪異
 主人公が依頼の仕事先で契約した
 しっかり者だがいたずら好きな子どものような性格
 子供らしく今風の甘いお菓子や洋食が好き
 前にロリコンに襲われてから大柄の男は苦手

・敵対者

【教祖ダークサマナー】
レベル11 耐性:破魔無効
スキル:COMP使い
    アムリタ(味方単体・状態異常回復)
    コンピューター操作(プログラム作成技術)
    交渉術(信者相手によく効く詐欺の技術)
装備:COMP(特製アナライズ) 
詳細:
 カルト「純潔守護騎士団」を率いる団長で医師
 「少女は純潔であるべき」などと主張するカルト教祖
 女性の男性経験を状態異常として“治療”する術を会得した

【ダークサマナー】
レベル7 耐性:破魔無効
スキル:COMP使い
    一分の活泉(最大HPが少し上昇する)
装備:COMP(特製アナライズ) 
詳細:
 カルト「純潔守護騎士団」の団員
 処女厨の変態の一人
 契約悪魔はモコイのみ

【夜魔モコイの群れ】
レベル7 耐性;電撃無効・衝撃弱点
スキル:ジオ(敵単体・小威力の電撃属性攻撃)
    突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
詳細:
 アボリジニに伝えられる、人間に良く似た姿の妖怪
 白い腰布を巻いた黒い人型の生物の様な姿をしている
 ダークサマナーたちが護身のために契約していた
 全部でサマナーの数と同じ10体ほどいた


次回も早目に。
読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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