シャングリラ・フロンティア ホラゲー好きは神ゲーでも平常運転です。 作:愛憎愛華
やあ、最近ラオルがバグり散らかしているのでMOD抜こうかなと悩んでいるアリアルさんだよ。
その後、壊れたサンラク君はエムルちゃんをもふりまくってなんとか復活した。
「本当にドンマイとしか言えないね」
「気持ちはわかるけどな。俺も最適コンボ見落とした時とかあんな感じになるし」
「でもあそこまで悪化したのはオイカッツォ君が追い討ちしたからでしょ」
「逆にここで言わなかったら逆恨みされそうじゃん」
「それはまあ確かに」
〈管理人〜早くやろうよ〜〉
「はいはーい。サンラク君大丈夫?」
「ああああああああ。大丈夫だ、問題ない」
「問題しかない気がしますわ」
「こうなったら現実逃避だ、釣って釣って釣りまくるぞ!」
「頑張ろうね」
「Xさんは何でそんなに冷静なんですわ」
「こういうことは何度かあるからね私たち」
「えぇ−」
それから鮭を釣りながら鰻を捌きまくった。途中経験値の効率の為やEGOを作るために私とエムルちゃんが抜けたり、愛魔ちゃんがでっかいロブスターみたいな奴を一撃で仕留めたり、サンラク君とオイカッツォ君が死にかけたのを助けたりとわちゃわちゃしてて楽しかったね!
その後の夜、ペンちゃんと合流した。
「うーん、私の見立てではあと二日はかかると思ってたんだけど、もうレベル40かぁ………君達生き急ぎすぎじゃない?」
「違………あのバカが……現実逃避して……」
「そもそも現実逃避シャンフロしてさらに逃避ってどこに逃げてるの?」
「いや、うん……ちょっと頑張り過ぎた」
「Xちゃんはご満悦だね?」
「いや〜今回作れたEGOマジで強くてね〜速く使いたくてたまらないよ!」
サンラク君がレベル42、オイカッツォ君がレベル40。私もEGO全部作れたので相当頑張ったよね。
「動きが単純とはいえライブスタイド・レイクサーペントは平均レベル45はあったはずなんだけど、よく倒せたねぇ」
「はぁ?うちの女性陣舐めるなよ?」
「困った時の三人がマジで強いのなんの・・・」
途中から死蝶儀さんも参加させてたから安定性抜群だね!
「君達は本当、馬鹿だねぇ……いい意味でも悪い意味でも。まぁいいや、ほら立った立った、今日は満月なんだから……君達にユニークシナリオEXを受注させに行くよ」
「……一旦ログアウトしちゃダメ?」
「駄目です、そのセーブテントだって馬鹿みたいに高いのに回数制限付きとかいう畜生アイテムなんだからね!というか割と時間押してるの!」
夜であっても千紫万紅の樹海窟の壁に根付いた苔達に光を抑えるという概念はないらしい。真昼間と変わりないような明るさの樹海窟を、五人と一匹が進む。
「しかしよりにもよって俺が攻略したエリアに隠しエリアが実はありました、ってのは個人的になんか悔しい」
「時間指定タイプの隠しエリアだから運ゲーだよ、見つけられなくても仕方ないよ、うん」
「その話はやめておいたいいんじゃ・・・ほらまたオイカッツォ君の持病が」
「放置でいいだろ」
そうだけどちょっと可哀想。
「満月の夜、千紫万紅の樹海窟の壁に生えた蛍光苔の中で極一部だけ光らなくなる・・・・・苔がある。そこを調べれば……」
ペンちゃんがぺたりと触れた、周囲の苔の光で見えづらいように隠されている光を放たない苔がボロボロと崩れ落ち、その先に苔の生えていないかろうじて頭がぶつからない程度の高さは確保された暗い道が現れる。
「よく気づいたねこれ」
「見つけたのは私なんだけど、ぶっちゃけると偶然。ここで取れるアイテムを獲りに来た時に見つけたんだよネ」
「そういうことだオイカッツォ、ユニーク発見は運ゲーだから天に祈れ」
「………その目をやめろぶっ飛ばすぞこのやろー」
「ほら、喧嘩しないの」
「もー、君達はすーぐそうやって漫才を始めるんだから。ほら、武器はインベントリにしまったら行くよー」
「わぉ……これは中々に壮観な」
「ユニーク抜きにしても私はこのエリアが好きなんだよねぇ」
「これはその気持ちも分かる気がする」
「あ、綺麗なお花ですわ!」
「これは、確か彼岸花かな?」
「彼岸花って死のイメージあるんだよな」
「さ、行こうか。セッちゃんがお待ちかねだよ」
「容赦なく踏んでいくねペンちゃん…」
ペンちゃんに続いて歩いていくと一人の女性が居た。
「す、透けてますわ!」
「本当だ、バグかな?」
「何故第一候補が仕様じゃなくてバグなのかな……」
「おばけの選択肢はあると思うけど・・・」
アンジェラ、どう思う?
『どうでしょう。幽霊の類では無さそうですが・・・情報が少なすぎます。』
そっかぁ。名前は「遠き日のセツナ」お目当ての人みたいで安心だね。
「やぁやぁセッちゃん、一ヶ月ぶり」
「あら……アーサー、久し振りね」
「紹介するよセッちゃん。この三人があいつ……ウェザエモンに引導を渡すための切り札だよ」
「あー……どうも、ペンシルゴンの愉快な仲間達技の一号サンラクだ、こっちはエムル」
「ヴァイスアッシュの娘のエムルですわ!」
「ペンシルゴンの愉快な仲間達力の二号オイカッツォ、宜しく」
「どうもですセツナ=サン!ペンちゃんの愉快な仲間たち最強の三号Unknown Xです!ヨロシク!」
『今はXについています。アンジェラです』
「馬鹿ワンツーと常識人とマスコットにAIだよ」
言い方!その通りだけど言い方!
「なんというか……凄いのを集めたわね、アーサー」
「まぁね、今でこそ雑魚だけど決戦までには仕上げるつもりだよ」
「そうじゃないわ」
セツナ=サンはサンラク君の胸辺り・・・サンラク君が言ってた「呪い」の部分とエムルちゃん。そしてアンジェラを指差した。
「クロちゃんの強い気配を二つもつけてる人なんて初めて見たわ、それに灰被りちゃんの子供と一緒なんて……ふふ、懐かしい人を思い出しちゃった。それと、」
『・・・お久しぶりですね。こうして会ったことはありませんでしたが。』
「そうね。……あの子達はどうしたの?」
『襲撃の際に行方不明に。もしかしたらもう』
「…やばい何の話かわからないんだけど」
「俺だってわかんねえよ」
「ああ気にしないで、ただの郷愁……ずっとずっと、昔のね……」
アンジェラが来たから別のフラグが?・・・考察は後にしようっと。
「もう彼女はとっくに死んでいるのでしょうけど、あなたのお陰で懐かしい記憶を思い出したわ、ありがとう」
「え?あー、どういたしまして?」
「えっと、はいどういたしまして」
・・・気まずい。ペンちゃん速く話進めてお願い!
「セッちゃん、二人にもあいつの事を話してあげて欲しいかな」
「……分かった」
『ユニークシナリオEX「此岸より彼岸へ愛を込めて」を開始しますか?』
来た。私とオイカッツォ君、サンラク君はは迷う事なく「はい」を押すと、セツナ=サンは一つ頷き、言葉を紡ぐ。
「彼は……ウェザエモンは私の恋人。ちょっとしたすれ違いで私が死んで……それからずっと、彼は私のお墓をずっと……そう、ずっと守り続けているの」
「なるほど、それで墓守か」
「生きていた頃の私が死んで、どれだけ経ったのかは分からないけれど、気づいた時には私はこうなっていた……別に私は死んだ事を未練に思っているわけじゃないの」
セツナ=サンの見上げた先には、枯れ果て葉の一つもつけていない、生命力の塊のような千紫万紅の樹海窟の抜け道から彼岸花が咲き誇るこの場所に至るまでで異彩を放つ枯れ木。
「死とは終わり。終わってしまったものは過去であって、誰かの今を……未来を縛るものではないわ。だから、私はあの人が今も私の墓過去に縛られ続けていることが耐えられない……」
だからこそ、とセツナ=サンは枯れ木からそのまま夜空を照らす満月へと視線を動かす。
「彼は私が構築したプログラ……ええと、魔法を使ってここに結界を構築した。月光の魔力を利用し、座標を次元の裏側に「反転」させることで誰にも干渉させないように」
・・・・・・ちょっと待って、今の一言で情報量がすっごい増えたんだけだど。
「でも月がその光を失う時……新月の夜だけは結界に綻びが出来る。彼のいる裏座標へと通じる綻びが生まれるの」
「そこに飛び込んで戦う……ってことだね」
オイカッツォ君の言葉にセツナ=サンは頷くと、居住まいを正して私を、オイカッツォを、サンラク君を、そしてペンちゃんを見据える。
「どうか、ウェザエモンを……あの人を、眠らせてあげてください」
セツナはそう言って頭を下げた。返答に困っているとペンちゃんが笑みを浮かべた。
「任せてよセッちゃん、あのへたれ共とは違う。この三人でセッちゃんを悩ませるあんにゃろーを張り倒してくるからさ」
いつもの口調、いつもの仕草、されどペンシルゴンの言葉に込められた真摯な感情に私たち三人は目を丸くして顔を見合わせた。
よかった。ペンちゃんにもまともな感性が存在していたのね。
「あのラスボスよりラスボスしてたペンシルゴンが、NPCと談笑……!?人の心を取り戻したというのかっ!?」
「サンラク君流石にそれは失礼ってやつじゃないかなー?」
「コノキモチ……コレガ、ココロ……?」
「おいプロゲーマー」
「良かった。ペンちゃんは悪魔に魂を売って魔王に成り果てたわけではなかったのね」
「Xちゃん⁉︎」
数秒の沈黙の後、極めて普段通りの笑顔を浮かべたペンちゃんが耳を真っ赤にしながら、明らかに何かしらのユニークでなければデザインされないような神々しい剣……いや、槍? を握る。
「よっしゃ貴様ら三人ともウェザエモン戦前の練習だ、レベル上限の暴力を脳髄に刻み込んであげよう」
「おまっ!明らかにやばそうな武器を雑魚二人に出すんじゃねぇよ大人気ないぞ!」
「まずいサンラク目がマジだよあれ!PKする気だ!」
「ぴゃあああああなんでアタシまでぇぇぇぇ!?」
「久々に喧嘩しよっか!」
サンラク君とオイカッツォ君はHP九割で許してもらってエムルちゃんはもふられていた。私は無傷だった。そしてその様子を、セツナ=サンは楽しげに……本当に楽しげに目を細めて見つめていた。
「全くもう、墓守のウェザエモン挑戦前じゃなかったら五回はリスキルしなきゃ気が済まなかったところだよ」
「聞いたかオイカッツォ、これでこそペンシルゴンよ」
「ああ、馬鹿正直に侵攻してくる分ラスボスの方が有情とまで言われたペンシルゴンが帰ってきたね」
「これがないと日常って感じがしないよね」
「十割いっとく?」
みんなで両手を上げて降参のポーズを取れば、ペンちゃんはため息をついて武器をしまう。
「そりゃライオンが家庭菜園作ってりゃ笑……おっと、我々は同じ志を持つ同志だ、話せばわかるそうだろう?」
「サンラク君、拳で伝わる青春もあるとは思わない?」
「全力で煽ってくサンラクのスタイル嫌いじゃないよ」
「アタシにもとばっちりくるからやめて欲しいですわ……」
「これが日常になるから覚悟した方がいいよ」
「え…」
エムルちゃんが絶望した顔でこちらを見ているとぽつりとペンちゃんが呟く。
「あー…………その、ね。たまにはNPC相手にカッコつけたいっていうかさー……こう、なんというかセツナって名前とか背景的にこう、他人事に思えないというか……えぇそうですぅー、私だってゲームに本気で感情移入することくらいあるわけでぇーっ!」
ペンちゃんが顔を赤くして白状した。三人で顔を合わせてペンちゃんに言った。
「ゲームに本気になる?大いに結構だろ。何事も本気で取り組めるなら本気で取り組んだ方が楽しいに決まってる」
「何事も全力全開!物語に自分を入れて動かせてからが本番って古事記にも書かれているからね!」
「そうそう……本気で遊ぶからゲームは楽しいのさ、というか俺それがお仕事なんですけど?」
「え、プロかつ本気で取り組んでユニークの一つも自発できていないんですか……? やめっ!指で目を狙うのはやめろ目は!」
二人は綺麗に締めることができない病気にでもかかっているのかな?ほら喧嘩は辞めなさい!
「ふ、ふふ……ああ、そうだったね……君達も大概だったね、ふふふふ……あははは!」
笑みを浮かべたペンちゃんがいつもの表情になって宣言した。
「相手は畜生ストーリーボスもビックリなレベル差150を強制するユニークモンスター! それでも私達ならできる、本気でやって勝ちに行こう!」
その言葉に私もサンラク君もオイカッツォ君も・・・そしてエムルちゃんも無言でサムズアップした。
「馬車馬の如く扱き使って死んでも休ませないから覚悟してもらうよ!」
決戦まで後二週間!頑張ろう!
「まぁ二人ともレベル50になるまでは魚釣り続行だけどね」
知 っ て た
作者の後書きコーナー
今回は新しいアンケート!
ズバリ、セフィラ達は入れる?入れない?
ここは分岐点です。これにより物語が大きく変わる可能性があります。
ま、気楽に入れてくれれば嬉しいです。
セフィラ入れる?
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入れる
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入れない