キシリア様の犬になりたい   作:ゲーター

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 ス ト ッ ク が 尽 き た 

 今週中に投稿したいな……(白い目)


開戦

 

 1月3日午前7時20分

 ジオン公国、地球連邦に宣戦布告。キシリア・ザビ中将麾下の部隊は月都市グラナダへ侵攻を開始する。

 

 

 

 とうとう始まった。これから私達は、初の実戦に臨むことになる。いくら此方が強力だとしても、流れ弾一発で死ぬのが戦場だ。油断はできない。

 

 「いい?皆。私達の任務はあくまで鹵獲。連邦の現役艦なんて技術の面じゃもう無価値だけど、キシリア様は今回の働きを試金石として見ておられる。課せられたノルマは艦一隻。だけどノルマこなすだけじゃ駄目、ノルマ以上の働きをしてこそ一流なの。総員、奮起しなさい!それでは、ウネビ出撃!」

 

 キシリア様の艦隊から、ウネビ一隻だけで離れていく。鹵獲するには敵が群れていては難しいから、私たちは、突然の開戦に驚いて散発的にやってくる連邦艦を迎え撃つことにしたのだ。

 

 単独行動を始めてから、およそ十分。ウネビのレーダーが、遂に敵を察知した。

 

 「前方に複数の小反応!おそらくは敵艦の放った偵察と思われます」

 

 レーダー員の声に、ブリッジにいる面々が表情を引き締める。

 

 「さあ、いよいよ実戦よ。ミノフスキー粒子を撒きなさい!敵のレーダーにかかる訳にはいかないわ。それじゃミロリー姐さん、あとは任せたからね」

 

 「任せなさい。ウネビには指一本触れさせないわ。安心していってらっしゃい」

 

 頼もしい声を背に受けながらブリッジを飛び出し、格納庫へ。そしてザクに乗り込むとすぐさま僚機と通信を繋ぐ。

 

 「お待たせ。艦内放送は聞いてたよね?もう敵が近いから早速出撃するよ。準備はいい?」

 

 「二番機、バッチリッス!」

 

 「三番機、いつでも行けます」

 

 おし、二人とも大丈夫か。それじゃあ行きます!

 

 格納庫から次々とザクが飛び出す。無重力の宇宙空間で、バーニアと手足を器用に使い、全機が体制を整える。

 

 「全機、行くよ!」

 

 バーニアを吹かし、敵の方向へ突き進む。するとすぐに相手が見えてきた。

 

 「トリアーエズ三機ぃ?そんなんじゃ相手にもならないッスよ!」

 

 イドゥンの言う通り、トリアーエズなんてセイバーフイッシュ以下のほんとに「とりあえず」作ったようなものでザクは落とせない。こういう雑魚相手には、へたに時間をかけるより真っ正面から突っ込んで力で潰すのが良策よ!

 

 三機で一斉にザクマシンガンを放つ。それだけで、トリアーエズは避ける間もなく爆発して無数の破片へと変わった。

 

 「よし!全員いい調子。でも次は艦相手よ。気を抜かないで!」

 

 艦の攻撃は、その大抵が一撃喰らったらアウト。だから攻撃を喰らう前に勝負を着けないといけない。見つけたら速攻で決めないと。

 

 「見えた!」

 

 ザクのモノアイに映る、二つの大きな影。灰色の船体は宇宙でよく目立ち、その長い躯と四角い躯がはっきりと見て取れた。

 

 「うわわ、マゼランとコロンブスですか!?これはちょっと難しいかも……」

 

 マゼラン級戦艦とコロンブス級輸送船。かたやサラミス級巡洋艦と並ぶ連邦の主力艦と、ただの輸送船。普通なら当然マゼランの方が厄介と思うだろうけど、実際は違う。何故ならコロンブスは、その腹の中に五十機ものジムを積めるほどの積載能力がある。つまり、今奴の中には何十機もの戦闘機が入っていることになる。いくらなんでもそんな数相手は厳しい物があると言わざるを得ない。

 

 「二人はマゼランを無力化して!コロンブスは私がやるわ!」

 

 「了解!聞いたッスかマリン!艦橋を抑えて無傷で捕まえるッスよ!」

 

 「わかった!全速力で行くよー!」

 

 バーニアを噴かして、敵に正面から突っ込んでいく。ミノフスキーの濃い所じゃレーダーにはかからないから、相手は慣れない目視での射撃を余儀なくされる。でもそんな錬度の低い射撃で落とされるほど、ザクと私達はノロマじゃない。

 

 「おらおらー!数も撃てないそんな下手弾なんかに当たらねえッスよー!」

 

 マゼランのめくら撃ちを危なげなくかわし、二人はマゼランに向かっていく。私はその後ろ、マゼランの陰に隠れるようにして追従するコロンブスへ。

 コロンブスが一機で向かってくる私に気づき、慌てて露天繋止していたセイバーフィッシュとトリアーエズを発艦させる。その数合計7。

 

 「いっけええぇぇ!」

 

 奴らはあの7機で、格納庫内の機体を出撃させる時間稼ぎをするつもりだろう。だったらその前に倒すまで!

 マシンガンを撃ちながら急接近。トリアーエズ一機を落としつつ、敵のただ中に飛び込んだ。

 

 「せやあ!」

 

 マシンガンを撃つ手は止めず、片手でヒートホークを抜き放ちざまにセイバーフィッシュを切り捨てる。そのまま突っ込んできた一機を撃ち落とし、後ろから来ていた奴を同じ方向に飛びながらひっつかんでコクピットを握り潰す。

 

 「ッチ!」

 

 セイバーフィッシュがミサイルを撃ってきたので、コクピットの潰れた機体を盾にしながら接近し、ヒートホークで一閃。これで残り二機!

 そこで、二機のセイバーフィッシュに背中を向けてコロンブスへ直行する。二機が慌てて追ってきて、フルスピードに達した瞬間ザクを急停止させる。二機は私を追い抜き、無防備な後ろを晒した。

 

 「これで終わりよ!」

 

 体勢を立て直す暇を与えず、ザクを突っ込ませながらマシンガンを連射。爆発が二回起こった。

 

 コロンブスに近づいて、甲板に着地。マシンガンを艦橋に突きつけて回線を繋ぐ。

 

 「此方ジオン公国軍のケイ・イスルギ少佐である。コロンブスの艦長に告ぐ。降伏せよ。さもなくば直ちに艦を沈める」

 

 通信の向こうが俄かに騒がしくなるのを感じる。と、そこにイドゥンから通信がきた。

 

 「隊長!マゼランは降伏したッス!そっちは大丈夫ッスか?」

 

 「うん、もう相手の返事を待ってるとこ。……艦長、マゼランはもう降伏した。私としても無益な殺生はしたくない、潔く降伏してくれないか」

 

 少しの沈黙の後、深く息をつくのが聞こえた。

 

 『……此方地球連邦軍、コロンブス級グスタフ艦長バーガン・デイン中佐。わかった、降伏しよう』

 

 「御英断に感謝する。今後の安全は私が保障しよう」

 

 コロンブスの格納庫の電源を落とさせ、発艦できないようにした上で本国へのルートをとる。マゼランもそれに倣った。

 

 「あー、終わったぁ……」

 

 コクピットの中で少し脱力する。ずっと気を張ってたから、精神的に疲れたみたい。

 

 「やったッスね隊長!ノルマ上回ったッスよ!」

 

 「マゼラン級を一隻、コロンブス級を一隻、それとコロンブスの中の多くの戦闘機。大戦果ですよー」

 

 はしゃぐ二人の声が聞こえる。二人とも元気いっぱいだなぁ……これが若さというものか。

 

 「そうね、これならキシリア様もきっとお喜びになるでしょう。でもまだ気は抜けないわ。今度はこの二隻を無事に本国まで送り届けないと」

 

 「「はーい」」

 

 さて、と。皆心配してるだろうし、早くウネビに連絡して迎えにきてもらわないと。

 

 「こちらケイ少佐。ウネビ、聞こえる?」

 

 「こちらウネビ。ケイちゃん、大丈夫だった?」

 

 通信の先から、ミロリー姐さんの声が聞こえる。まず安否の確認をするところが姐さんらしい。

 

 「大丈夫、任務は無事達成したわ。マゼランとコロンブス一隻ずつで、艦載機もついてる。更に被弾は全員0よ」

 

 「凄いじゃない、流石ケイちゃんね。それに無事で良かったわ」

 

 「ちょっとー、アタシ等だって頑張ったッスよー」

 

 「そうだそうだー」

 

 イドゥンとマリンが通信に入ってきた。自分たちだけ褒められなかったからか不満げだ。

 

 「勿論二人もよく頑張ったわ、お疲れ様」

 

 「わかればいいッス!」

 

 「えへへー、褒められたー」

 

 素直な子達だわ、ほんと。見てて癒される……じゃない、迎えを呼ばなきゃだった。一瞬忘れてたわ。

 

 「ミロリー姐さん、悪いけど迎えにきてもらえる?ザクに補給もしたいし連邦艦しかいないと味方に撃たれかねないからさ」

 

 「了解、すぐに行くからね」

 

 ふいー、これで万事おっけーだわ。帰ったらすぐキシリア様に報告しないと。キシリア様、喜んでくれるかな……いや、こんなところで満足してちゃ駄目。こんなのはゲームのチュートリアルみたいなもので、本当のミッションはこれからよ。とりあえす、次の作戦もこなしてみせましょう!





 
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