特級呪詛師天内理子   作:宝生永夢ゥ

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早く描ける人羨ましい


最強に至った青年と最凶に堕ちた少女

ティンダロスの猟犬

それはこの世の不浄を体現する存在

「曲線」を祖先としている地球上の生き物とは異なり、「角度」を祖先とするもの

いずれすべての人間を狩り尽くすもの

 

 

 

 

「殺せ」

 

天内理子の命令を受けた猟犬達が自身の世界に触れた男に襲いかかる。

正面からくる噛みつきを避け、背後から飛んでくる鉤爪の不意打ちを天逆鉾で受け流す。

猟犬の速度より加速し、呪具と拳銃を入れ替え猟犬の隙間を縫って天内理子に向かって発砲する。

その一撃は虚空から現れた猟犬によって防がれる。

猟犬に触れた銃弾はドロドロに溶け地面へと落ちていく。

 

「飛び道具は無意味か…」

 

そう呟きながら背後に回し蹴りを放ち、後ろから追いかけてきた猟犬を一蹴する。

蹴りを喰らった猟犬は怯むことなく反撃を放つ。

反撃を紙一重で回避し猟犬の前足を自身の前足で踏みつけ地面に固定する。

天逆鉾と釈魂刀を入れ替え動きを封じられた猟犬を斬り伏せる。

釈魂刀で斬り付けられた猟犬は傷つけられた自身の体を霧散させその場から消えていく、

 

 

見たことのない異形の怪物、それを分析するために伏黒甚爾は攻めすぎず防戦に徹していた。

敵の数は三匹。

とてつもない腐敗臭がするが自身がダウンするほどではない。

その速度は人間基準では確かに速いがただそれだけだ。

天逆鉾で切り裂いて消えなかったことからこの化け物は式神ではなく呪霊操術の呪霊と似た扱いである。

呪力の纏ったものなら問題なくダメージを入れられる。

見えないはずの自身の存在を感知しているがそれも問題ない。

 

「問題ない」

 

釈魂刀は、あらゆるモノの硬度を無視して魂を切り裂く呪具

魂を切り裂くことで、基本的に不死の存在である猟犬を殺せる可能性がある

 

甚爾の視界にまた映像が流れる。

次に流れたのは自身が一撃をくらいその場を飛び退く姿。

 

全力で地面を蹴りあげ、初速からフルスロットルで駆け抜ける。

建物の外壁を利用し縦横無尽に移動して猟犬に位置を掴ませない。

天内理子を守るため虚空から姿を表した猟犬を釈魂刀で斬り伏せ、その勢いのまま天内の首に刀を振るう。

 

「これで終わりだ」

 

その刀は彼女の首に直撃しそのまま首を刎ね飛ばす。

 

「手間かけさせやがって…」

 

首が宙をまいその首を回収しようと視線を向けた瞬間、生首と目が合った。

斬り飛ばされた天内の口が言葉を紡ぐ。

 

「逆行再編」

 

時間が巻き戻るかのように飛ばされた首が体へと繋がる。

首が飛ばされたという過去が時間の逆行により再編され無かったことになる。

 

「…は?」

 

呪術師殺しでも想像していなかった。

反転術式なんてレベルじゃない文字通り時間が逆行したのだ。

 

その驚きでできた一瞬の隙を猟犬達がのがすわけもなく伸ばされた舌が体に触れる。

ダメージは無い、ただものすごい不快感が体を襲う。

まるで自身の精神力を抜き取られている感覚。

これをくらい続けるのはまずいと本能が警鐘を鳴らし、後ろに飛び退く。

 

距離を取り体勢を整える。

 

天内理子が口を開いた。

 

「私の術式はとがった時間(ティンダロス)。その術式効果は自身を含む、すべての対象に対する時間操作」

 

「術式の開示か…」

 

「そうだよ、さっきまでは自分の術式について少ししか理解できなかったけど…今なら説明できるくらいには理解できる」

 

術式を使うことで理解が深まる。自身に流れている血が教えてくれる。

 

「私は相手に確定した未来を見せる縛りを課すことで未来視の付与を必中にした。たとえ呪力がなかったとしても一回でも当たればその対象に匂いがつく。その匂いがあるかぎり私たちが貴方を見逃すことはない」

 

「じゃあ、その異形は何だ?それはお前の術式じゃないのか?」

 

「この子達はティンダロスの猟犬。こことは文字通り別の世界ティンダロスに住む人間みたいなもの。私はただ彼らの世界とこの世界を繋ぐ楔」

 

それが天内理子が彼らを使役できている理由であり、彼らの世界に踏み込んでも許される理由である。

本来とがった世界の存在はこちらの世界に干渉するためには自身の領域に干渉してきた存在を辿っていかなければならない。

しかし天内理子が存在すれば自発的に世界の行き来が可能になる。

 

 

男は先ほどと同じように飛びかかり今度は天逆鉾で斬り掛かる。

それを自身に未来視を付与した天内理子は自身を加速させ紙一重で回避する。

その勢いのまま放たれた蹴りを呪霊の時間を逆行させて距離を引き離す。

 

「加速して猟犬達」

 

猟犬達の動きが天内理子の術式により加速する。

先ほどまで追いつくことのなかった男の速度に猟犬達が並んだ。

 

速度で追いついても数が多くても殺しきれない。

それは圧倒的な経験の差が原因だろう。

猟犬達は捕食者であり狩る側だっただから自身の敵となる人間は始めてだ。

 

 

お互いに決定打が与えられない状態が続く。

その均衡を天内理子が崩した

 

「来て、ミゼーア

 

それは天を覆うほどに巨大な、異形の狼だった。

否、正しく認識できないが、人の目では狼に似た姿として捉えられた。

全身を覆う銀色の毛皮。

象を思わせる無数の脚。

体躯はこの地下空洞の彼方まで延び、その端は霞んで見えない。

ところどころ露出した鰐のような肌は、深い群青色の膿に覆われている。

頭部の両側にずらりと並んだ目が彼の姿をとらえる。

開いた口の中には牙が何重にも列を成し、枝分かれする舌が飛び出しては、ぼたぼたと絶え間なく群青色の膿を落とす。

息もできないほどの強烈な腐乱臭が周囲を満たし、わずかに吸い込むだけで、肺に青い膿がたまり、身体を内側から穢されるような不快感が胸の奥に膨らんでゆく。

 

 

神でもないただの一生物でありながら外なる神すら殺しうる圧倒的な強さを持つことで外なる神と分類される例外中の例外

ヨグソトースと対をなす存在であり、アザトースでさえ干渉できない領域にいる存在

ティンダロス最強の王

 

ミゼーアの周囲の空間が湾曲し崩壊する。

バリンと甲高い音をならし天元によって張られた結界が破壊される。

 

「…嘘…だろ」

 

伏黒甚爾は自身の視力が上がってることをここまで恨んだことはなかった。

彼の目がとらえたのはこの存在が本体から映し出された影であり一欠片しかないこと、たかが一欠片でさえ日本にはりめぐらされた結界を破壊し、その存在は生物の持つ根源的な恐怖を呼び起こし自身の死を連想させる。

 

「これは割に合わないどころじゃねぇぞ…」

 

伏黒甚爾は即座に撤退を決めその場から逃走する。

天内理子は逃げていく男の背中をじっと見つめ続けた。

 

 

 

 

男に付けた匂いが遠かったのを感じる。

 

「…なんとかなった」

 

男が撤退したことを確認するとその場に座り込む。

 

「戻って」

 

そう告げるとミゼーアの影が霧散する。

 

 

天内理子の体がひび割れていく、

外なる神を自身の身を依代にして招来した反動が現れたのだ。

 

「今の私じゃ無理か」

 

崩壊していく自身の体を術式で崩壊前の状態に戻す。

 

 

最後の手段を使って撤退するかどうかは賭けだった。

あのまま戦闘を続けていたら確実に負けていた。

呪力的に限界が来ていたのもそうだが、初めての戦闘、大切な人たちの死、自身が使役した異形な存在。

つい最近まで普通の感性を持っていた少女の精神的は限界を超えていた。

 

 

 

 

「まだやらなきゃいけないことがある」

 

あの男はいつでも見つけ出すことができる。だから殺すのは強くなってからでいい。

まずやらなきゃいけないのはこの悲劇の発端となった盤星教へのお礼参りだ。

 

 

夏油傑の遺体を探していると虚空から一匹の猟犬が現れる。

その背中には夏油傑の遺体がのっている。

どうやら戦闘で傷つかないようにしてくれたみたいだ。

 

「守ってくれてたの?」

 

猟犬は頷くような仕草をする。

 

「ありがとう」

 

猟犬の頭を撫でると喜ぶ犬のような仕草をとる。

 

「逆行再編」

 

傑の遺体に術式をかける。

額にあった弾痕はなくなり綺麗な状態に戻る。

しかし意識を取り戻すことはなく、心臓の鼓動も聞こえない。

 

「………」

 

一縷の望みは砕かれた。

 

「…ダメか」

 

時間を戻しただけで死んだ人間は助からない。

これで悟も蘇らないことが確定した。

今は黒井の元へと急がなければならない。

死んでさえいなければどんな重傷でも何とかなる。

そう思い薨星宮への出口を通り廊下を駆け抜けた。

 

 

 

 

廊下を進むとそこには黒井が倒れていた。

 

「黒井…」

 

亡骸を抱きしめる。その体はすでに冷たく冷え切っていて温もりを感じない。

結局助けられなかった。

間に合わなかった。

黒井との思い出がフラッシュバックする。

涙が溢れてくる。

 

「ごめんね…」

 

結局私だけ生き残ってしまった。

 

「黒井だったら生き残ってくれてありがとうございますとか言うのかな?」

 

自身の身よりも私の身を優先する黒井なら言いかねない

 

「…黒井をお願い」

 

猟犬を呼び出しその背に黒井を乗せる。

猟犬の姿が霞、存在があやふやになる。

 

 

これで二人の遺体が傷つくことも汚れることもない。

涙を拭い歩き出す。

 

『■■■■■■■■■■』

 

私を止めようとする大切な人の声が聞こえる。

これはきっと幻聴だ。

こんな幻聴を聞く時点できっと本心ではやりたくないと思ってるのだろう。

 

それでも抑えきれない感情のままに盤星教本部に歩みを進めた。

 

 

 

 

 

次の日、盤星教本部にいた全ての人間がまるで動物に噛み殺され引き裂かれたかのようにして死んでいるのが発見された。

 

 

 

 

 

 

盤星教本部にいる人間を皆殺しにし建物の外に出る。

復讐は終わった。ただただ虚しかった。

彼らは言った。

 

「我らは正しいことをしただけだ」と「教典の禁忌に触れたのが悪い」と

 

何を言っても無駄だった。

これなら怨嗟の言葉を投げつけられていた方がまだマシだった。

 

「…これからどうしよう」

 

こんなことをした私は確実に呪詛師認定される。

そしたら私を呪術師は殺しにくる。

私が殺されるのは構わないが私につく彼らはそれを許さないだろう。

 

「海外にでも逃げようかな…」

 

そんなことを考えているととてつもない呪力を感じる

何かが高速で接近する。

飛来した何かは目の前に着陸する。

その正体を見て自身の目を疑う。

 

それは五条悟だ。

死んだと言われた人物がそこに立っていた

 

「…悟?」

 

いまだに自身の目が信じられない。

恐る恐るその手を掴む。

温かい。その体温が五条悟が生きていることを認識させてくれる

 

「生きてたんだな天内」

 

「悟も生きててよかった。少し変わった?」

 

「お前のほうこそ変わったな。その血は何だよ」

 

悟に指摘されて初めて自分が返り血に塗れていることを理解した。

 

「ほんとだ。返り血だらけだ。これは盤星教にいた人たちの血だから怪我とかしてないよ」

 

「盤星教の奴らを殺したってのか?」

 

「そう。殺したくって殺したくって仕方なかったから。終わったら虚しいだけだったけどね」

 

「傑…どうすれば…」

 

いつものようにどうすればいいかの基準である傑に声をかけようとして違和感に気づく。

その言葉を口にした悟はハッと周囲を見回し疑問を投げかける、

 

「傑はどこだ?」

 

「死んだよ」

 

「……は?…嘘…だろ?」

 

「黒井も傑もあの男に殺された」

 

思考を読んだかのように遺体を乗せてた猟犬が現れた。

傑が死ぬなんて想像もしていなかったようだ。

傑の遺体から目を離せないでいる。

 

かなりの時間がたった頃、悟が口を開く。

 

「二人の遺体を弔う。さっきみたいに持ってきてくれ」

 

「わかった」

 

猟犬に先ほどと同じように遺体を運んでもらう。

 

「それで人殺しの私はどうすればいい?」

 

悟は悩んだ末に口を開く。

 

「高専に行くぞ。先生が何とかしてくれる」

 

 

 

 




この世界の理子ちゃんは先祖がティンダロスの住民の血を取り込んでます。


次回はぐちゃぐちゃになった五条の内面を描きたい






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