五条悟は頂点へと至った。
殺されかけたことをきっかけに呪力の核心に触れた。
それにより自身の存在が一段階昇華されたのを実感する
まさに天上天下唯我独尊
呪術界で唯一の存在になった
自身に宿るかつてないほどの力。
とめどなく溢れるアドレナリンが幼い子供が抱くような全能感を産んでいる。
ただただこの世界に足を踏み入れた心地良さに浸っていたい。
だから盤星教の本部に向かう時、あの男と出会ったのは運命を感じた。
俺を殺しかけた男がいた。
相手は片腕を失っていた。
きっと傑だろう。あの場にいたのでできるのはあいつしかいない。
目の前の男は禪院家の人間だ。なら呪霊操術のことについても知っているだろう。
なら傑は殺されずに放置されてるはずだ。
盤星教の本部から戻ってきたと言うことは天内は死んでしまったのだろう。
薄情なことに天内の仇を取ろうという気持ちが湧いてこない。
『ごめん天内』
脳裏に一瞬、彼女の笑顔が浮かんでくる。
しかし、それ以上に
新しいおもちゃを与えられた子供のように、この高揚感が抑えられない
今はただこの全能感に身を任せて
五条悟は戦闘を開始し、伏黒甚爾は逃亡を開始した
逃亡を始めた伏黒甚爾とのチェイスも終わりを迎えようとしている。
伏黒甚爾が呪力を消して逃亡しても勘頼りの術式順展『蒼』の瞬間移動によって追いつかれ、唯一の対抗策である天逆鉾は何度も受けた術式反転『赫』の衝撃によって先ほどへし折られた。
いくら住宅地を利用して大技を制限しても逃げ切ることが叶わない。
「術式反転『赫』」
ついに五条の術式が直撃する。
直撃した右足はメチャクチャな折り曲がり方をしており、先程までの高軌道を維持することは不可能だ。
対して相手は傷ひとつない無傷な状態だ。
「くそ…ここまで差があるのか」
「ああ…そうだ」
空中から五条悟が男の目の前に降りてくる。
「今の俺は最強だからな」
不意打ちで呪霊から取り出した呪具を全力で投擲する。
それは彼の目の前に張られた無限によって遮られる。
打つ手なし完全な詰みの状態だ。
「最期に言い残す事はあるか?」
「……ねぇよ」
もう何も出来ない甚爾は諦めていた。
最後にチラついたのは寂しそうに自分を待つ自分の子供の姿だった。
「……2、3年したら俺の子供が禪院家に売られる。好きにしろ」
今際の際、最後にこぼれ出たのは親としての心だった。
「そうか」
そう言葉を返し、五条悟は男にとどめを刺した。
天内の死体を回収しないといけない
術式順展『蒼』を利用した瞬間移動で盤星教の本部に戻ってくる。
盤星教の本部の前に血まみれの天内理子が立ち尽くしていた。
死んでいると思っていたが
「…悟?」
彼女は幽霊でも見たかのような反応をする。
彼女は恐る恐る俺の手を掴む。
本物であるかを確かめるように、命のぬくもりを確かめるように。
彼女が安堵の表情を浮かべたのを見て声をかける。
「生きてたんだな天内」
「悟も生きててよかった。少し変わった?」
「お前のほうこそ変わったな。その血は何だよ」
天内に血がベッタリと付着している。
それを指摘された彼女はきょとんとした表情を見せた。どうやら自身に血がついていることに気がついていなかったようだ。
「ほんとだ。返り血だらけだ。これは盤星教にいた人たちの血だから怪我とかしてないよ」
「盤星教の奴らを殺したってのか?」
「そう。殺したくって殺したくって仕方なかったから。終わったら虚しいだけだったけどね」
今の話が本当なら彼女の呪詛師認定は避けられない。
「傑…どうすれば…」
いつものようにどうすればいいかの基準である傑に声をかけようとして違和感に気づく。
その言葉を口にした悟はハッと周囲を見回し疑問を投げかける。
「傑はどこだ?」
「死んだよ」
「……は?…嘘…だろ?」
「黒井も傑もあの男に殺された」
虚空から異形の存在が現れる。
だがそれが気にならなくなるほどの衝撃が襲う。その背に乗せられていたのは二つの遺体。
黒井美里と夏油傑のものだった。
脳が理解を拒む。
現実を認識するなと悲鳴を上げている。
だが彼の六眼が紛れもない本物だとつげている。
彼に触れようとするが体が動かない。
強ければ何でもできると思ってた。
でも現実はそんなに単純で優しいものではなかった。
どんなにピンチになろうともジャンプの主人公のように何とかなると思っていた。
その驕りがこの現実を招いた。
もっと早くこのレベルに辿り着けば誰も死なないハッピーエンドに行けたかもしれない。
最強になるのが遅すぎた自分を恨んだ
あの時全能感に浸っていた自分自身に怒りを抱く。
最強になっただけで誰も救えなかったことに
あの時感じた全能感が反転する。
絶望という名の鎖によって天上の存在は地へと堕とされる。
どうすればいいのかわからない。今まで傑が死ぬなんて想像もしていなかった。
無意識のうちに善悪や行動の指針を彼に委ねていたことでどうすれば良いのかがわからなくなっている。
かなりの時間が経っただろう。
「二人の遺体を弔う。さっきみたいに持ってきてくれ」
やっとのこと口を開いて出た言葉はそんな淡白な一言。それが今の俺にとっての精一杯の強がり。
「わかった」
彼女は俺の強がりを理解したのか最低限の反応ですまし、遺体を先ほどのように霞消えさせる。
「二人の遺体を弔うのは良いけど、人殺しの私はどうすればいい?」
悩む…悩む…悩む
いくら思考を巡らせても解決策が思いつかない。
「高専に行くぞ。先生が何とかしてくれる」
自身が信用できる権力を持った人間が彼しかいない。
上層部に手を打たれる前に何とかしないといけない。
天内の腕をとり先生の元まで瞬間移動した。
五条の全能勘と絶望描くの楽しいけどむずい
パパ黒が盤星教の本部に戻ったのは現金とプライベートジェット機の強奪のためで、術式開示で追いかけ続けることがわかってたので一旦海外に逃げようとしてました。そのせいで五条とエンカウントして死ぬことになりました
五条がパパ黒殺したことで理子ちゃんの復讐相手がいなくなりました。
やったね理子ちゃん
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