あの出来事から1年が経過した。
あの日守られる立場だった私が、いつの間にか守る立場になっている。
いまだにあの日行動しなかったことを後悔してる。
傑に対する甘え、得体の知れない力を使う恐怖。そんなものを振り切ってこの力を使っていれば全員生還できたかもしれない。
私の時間操作で過去改変ができたなら、私と悟、傑、硝子さん、黒井、大切なみんなと笑って過ごせる幸せな未来を作れたのに。
そう思わずにはいられない
2007年8月
「いっくよー」
その硝子さんの掛け声と同時に手に持ったペンを全力で投擲する。
ペンのみが悟の前で止まって、消しゴムはそのまま悟に当たる結果となった。
「げ、何今の?」
「いつもの無限バリアじゃない?」
悟の術式は何度も見たが今回みたいなのは初めてだ。
「僕自身を術式対象にした。自動選別だね」
「今までマニュアルでやってたのをオートマにした。呪力の強弱だけじゃなく、質量・速度・形状からも物体の危険度を選別できる」
今の説明を聞いた感じ悟に唯一付け入る隙だった。不意打ちや無限が発生するまでのタイムラグに攻撃するのが意味が亡くなった。
「毒物なんかはまだ難しいかな。まあ対応できてないやつはこれから」
「術式出しっぱなんて脳が焼き切れるよ」
「自己補完の範疇で反転術式も回し続ける。いつでも新鮮な脳をお届けだ」
「掌印の省略は完璧になった。『赫』と『蒼』のそれぞれ複数同時発動も同時に10個までは出せるようになったけど『黈』の方は複数の対象を同時には無理だし、範囲と展開速度は及第点課題が多い。『黈』と『赫』『蒼』の複合術式はアイデアだけでまだ実現は出来てないって感じだ」
「どこまで強くなる気?」
「どこまでもだ…もう助けられないなんてごめんだからな」
「だったら頑張りな」
悟はさらに強くなった。
今までも最強だと断言できていたが、無敵に近づいていっている。
悟は何かに焦っている。新しい技を完成させたりさらに強くなろうとしている。
「次は天内の方やろうか」
「了解」
体を動かして動けるように準備する。
月に一度やる実力チェック。やって何になるのかわからないが悟は私の実力を把握しておきたいらしい。
「行くよ」
最初からトップスピードで行く。悟相手に手加減をする必要なんて微塵もない。
自分の時間を限界まで加速させる。
悟の感知領域に入るより外から急加速し音速を超えた最初の一発。
時間操作により呪力の速度を調整して放たれる一撃。空間を歪ませ黒く爆ぜる必殺の一撃。
『黒閃』
一級呪霊を軽々払えるその一撃を悟の手で受け止められる。
私の拳と悟の手の間に空間が存在する。これが無限、悟に触れることができない不可侵。
五条悟が最強である所以の一つ。
「術式順転『蒼』」
「やばっ」
引き寄せの反応が起こった瞬間、術式が完成するよりも早くその場を飛び退き『蒼』の射程から抜ける。
「無限バリヤずるくない?なしでしょ」
「なしがいいならなしでもいいぞ?それでも負けないし」
「一発ぶち込んでやる」
「おー怖っ、やってみなよ」
仕切り直しの一発。
「ふっ」
黒い火花を散らし放たれた一撃が蒼い拳に相殺される。
そのまま黒い火花と蒼い閃光の撃ち合いが続く。
こちらは一撃一撃に全力の集中で放っているのに対し相手はジャブ程度。
このままやっても勝ち目がない。
悟に一泡吹かせようと完成したばかりの新技を発動させる寸前…
「時空…」
携帯に電話がかかってくる。
「はぁはぁ…一旦、中断」
「了解」
荒げた息を整え額のお汗を拭う。隣の悟は汗ひとつ書いていない。
これが今の私と悟の差。
「天内です。任務ですか?」
『今朝任務にでた一級呪術師七海から任務失敗の連絡を受けた。今から現場に迎え』
「了解」
『それと五条悟を同行することを許さぬ』
「それはなん…」
電話を切って悟の方に目線を向ける。
「何があった?」
「七海さん達が任務失敗したみたい」
「まじか。今の七海なら一級呪霊の二、三体なら楽に払えるのに…」
呪術師は基本的に同じ等級の呪霊よりも強い。
灰原くんと二人でコンビ組んでいれば、一級呪霊に遅れをとることはない。
なら可能性は致命的な相性の悪い呪霊か特級呪霊が出たかの二択だろう。
「よし俺が出る」
「それはダメだって」
「は?何でだよ」
「わからない聞く前に向こうが切っちゃったし」
悟はため息をつくと長距離瞬間移動の準備を始める。
「わかった。何かあったら連絡しろ。勝手に飛んでくから」
「うん。いい結果を持ってくる」
「待ってるよ」
そう言って悟は術式を発動させた。
目の前の景色が目まぐるしく変わる。
目標地点の麓に着地し猟犬たちを使い七海さんと灰原くんの位置を捜索させ、自分は目的の地点まで全力で移動する
目的地に向かう途中に猟犬達が小屋に人の反応を見つける。
「大丈夫ですか!?」
小屋に入って一番初めに感じたのは充満する血の匂いその発生源は灰原だ。
腹部の辺りが抉り取られたように削られて内臓が見え隠れしている。
「天内さん…灰原を助けてください。あなたならこの傷の進行を遅らせるはずです」
この傷の深さは遅延や停滞では助からない。
なら私のやるべきことは一つ。
「他言無用でお願いね」
「わかりました」
私が何をしようとしているとは知らずにも信頼して返事を返してくる。
「逆行再編」
灰原くんの傷が逆再生されるように塞がっていく。
「これは!!」
「私が上層部に秘密にしていた術式。よしこれで大丈夫」
「ありがとうございます」
「気にしなくっていいって、それよりも何があったかの説明お願い」
「わかりました…産土神信仰ただの土地神のはずでした。一級相当の呪霊私たちで事足りるはずでした。ただ突然何人もの非呪術師が現れて呪文のようなものを唱え始めたんです」
「どんな呪文だったの?」
「確か『Ia!Ia!Ia!Ia!AFORGOMON』と」
知らない呪文、知らない名前。
なのに胸がざわつく憎悪が溢れる。
「じゃあいってくる。一応、硝子さんにその傷と灰原くん見せな」
「待っ…いえ、ご武運を」
不安そうな表情が見え隠れする。
「大丈夫、私悟ほどじゃないけど強いから」
そう言って駆け出す。
彼が下を向いていてよかった。
今のわたしの表情を見せたくなかったから
少し離れた場所にそいつはいた。
呪霊にしては異質な存在感
見ているだけで不快に感じる
そして何より憎い。憎くて憎くて仕方がない。
不浄を与えられた我らとは違う清浄を与えられた存在
わたしの中に眠る血がそう叫ぶ。
無数の猟犬達が飛び回り口々に遠吠えをあげる。
自然に獰猛な笑みを浮かべる。
「ここで殺す」
本能に従い目の前の宿敵を殺すため走り出した。
次回、アフォーゴモン(呪霊憑依でスケール超ダウン)戦
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