番外編 原作綾小路がこの世界に! 前編
オレは、少し夢を見ていた。生まれてこの方そう夢を見たことはなかったがこの夢はいままでと比べると意識がはっきりしている。これが明晰夢か。
そんなことを考えていると目の前に白い羽衣を着た老人が立っていた。まるでみんながイメージするような神様という言葉が似合う存在だ。神様なんて宗教や神話などを学んだだけで、存在したかどうかなんて興味もなかったし、オレ自身もあまり信じていないものだった。
だが、目の前にいる存在は、神様と言われたらそのまま信じてしまいそうなナニかがある。
≪聞こえるか若者よ。≫
目の前の存在はただ佇んでいるだけなのに、どこからか声が聞こえる。耳に入って来たというよりは直接脳内に響いているという感じだ。これが外村や池が言っている『こいつ、直接脳内に!?』というやつなのだろうか。
≪聞こえておるな。話を進めるぞ。≫
オレは何も言ってないのに勝手に話が進んでしまった。オレの周りには、どうもオレの意志を無視して話を進める奴しかいないのか。
≪お主には申し訳ないが、少しばかり違和感を感じる世界に行ってもらうことになった。≫
どういうことだ違和感を感じる世界とはいったい…
≪まあ有り体に言ってしまえば、平行世界、あるいはパラレルワールドということだ。≫
どうしてこうなったのか理解できないが、平行世界か…少しばかり興味がわいてきた。
≪ふむ…やる気になってくれたようでよかったわい。お主が目が覚めたらお主にとって違う世界が広がっておるからな。じゃがその世界もちゃんとこの学校に通っておるからな。≫
オレ自身は何もしなくていいんだな。いったいどのような変化があるのだろうか。少しばかり楽しみである。人間関係か、学校の仕組か。
≪そうじゃ、一つ伝えておこう。もしその世界で自分がどういうことがあったか聞きたいなら『黒凪絢都』という男を対話せよ。奴ならお主の話を理解し信じてくれるだろう。≫
黒凪絢都…聞き覚えのない名前だ。平行世界には入学している人間も変化しているんだな。
≪よし、これでさらばだ。もう目を覚ます時間だ。≫
目の前の存在が消えてこの空間も光に包まれる。夢が終わるというのはこういう感じなんだななんてオレは考えていた……
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目を覚ますといつもと変わらない部屋であった。先程の夢のことが本当ならオレはすでに本来いた世界とは違う平行世界にいるということだが、どう確かめるかと考えまずやったのは端末の確認だ。
もし、あの存在がいっていた『黒凪絢都』というやつの連絡先を持っているのならここは平行世界であるという証明になるだろう。そう思い連絡先を見ると確かに黒凪絢都という名前があった。
ここが平行世界であるという証明ができたな。ここで連絡したいが、オレと黒凪がどういった仲なのかわからないそしてこの世界でのオレの過ごし方、人間関係がわからない以上うかつに誰かと行動するわけにもいかない。今日だけは一人で登校しよう。
そういえばオレはここでもDクラスなのだろうか…いや今はCクラスのはずだが…というわけで端末に載っていた各クラスのcptを確認する。
「ほう。」
始めて声が出た。オレのクラスは昇格はできてないものの、クラスポイントは、オレたちの本来のポイント以上であった。ここまでどうやったのだろうと少しばかり考える。やはり最初の4月の行動が良かったのだろうか。そこである程度残せてここまでやってきたのだろう。
時間は余裕があるがもう学校に行こう、そしてなるべく早めに黒凪にコンタクトをとろう。それでこの世界のオレを理解しないとな。
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冬の肌寒い今日この頃、本来の世界では、合同合宿が終わったばかりであるがここでも行われていたのだろうか。
歩きながらも考える、まず何を聞くか。今日に至るまでの出来事はそうだが、クラスポイントについても聞いてみたいし、同じ試験が起こったのかも聞くべきだろうし、人間関係も重要だな。こっちのオレがオレ以上に友達とかできていたら少しばかりへこむな。そういやそもそもの話、オレと黒凪は仲がいいのだろうか…
「待ちなさい!」
そんな声にすぐさま後ろを振り向く。後ろには走って来たのか息を切らせて、呼吸を整えるオレの隣人である堀北鈴音の姿があった。まさか黒凪という奴よりも先に出会ってしまうとは…オレと堀北の縁というのはどの世界にもあるものなのだろうか…
「堀北か、どうかしたか?」
とりあえず当たり障りのない返事をしてみる。先程堀北は待てといった以上何か用件でもあったのか?いや先程、端末を見てもそれらしい連絡もなかったから理由がわからない。もしかしたらこの世界のオレは何かやらかしたのだろうか。例えば合同合宿で目立つような行動をとったか…
「どうかしたって…あなたそれ本当に言っているの?」
「あ、ああ…」
返事を濁してしまったが、おそらくオレは何かをやらかしたらしい。今になってあの神と思しき存在に少しでもこの世界のオレについて聞いておくべきだったな。
「ねえ今日はどうしたの清隆?」
「清、隆?オレを名前呼びしているのか?」
「えっ?それを望んだのはあなたじゃない。」
「そう、なのか…」
「そしてここ最近は毎日手をつないで登校したいなんて聞かなかったじゃないかしら。」
「そう…かぁ…」
どうも話の答えがわからない。一体なにがどうしてこんなことを要求したのか…Aクラスにあがる条件としてこんなことを言ったのか…
「何故、そんなことをしてくれるんだ?」
「なっ何故って…そう今日はそういうことがお望みなのね。」
なんだかよくわからないがオレの呈した疑問に向こうが勝手に納得してくれたらしい。これでオレと堀北に何があるのかがわかる。しかし、そう何度も深呼吸するものだろうか。
「ふー…いいかしら。何故って私はあ、あなたのか、彼女だからよ。」
「は?」
思考が、時が止まったような気がした。今堀北は何と言った?オレの彼女?オレと堀北が付き合っているというのかここでは。軽井沢とはなにもないのか本当にこの世界がわからなくなるな。
「ま、全くあなたの行動にはいつも困らせるものだわ。」
そう堀北は言うが顔を赤らめてまんざらでもないような表情をしている。本当に恋仲の関係なのかもな。
「さあ早く行くわよこんなところで櫛田さんに絡まれるのも溜まったものじゃないわ。」
「櫛田…そうだな。」
やはり平行世界でも櫛田と堀北の因縁は断ち切れるものではないのだろうな。
「じゃあいくわよ。清隆。」
「そう…だな…ほ、鈴音。」
堀北が名前で呼んでるならオレもそう呼ぶべきだろう。これ以上ボロが出ないように当たり障りのない話題で話しながら学校に向かうのであった。
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とりあえず問題なく教室についた。オレの席は一緒の場所なのは安心した。さて黒凪はどこにいる…まだいないのか…
「どうしたの?何を探しているのかしら?」
「あーいや、黒凪はまだ来てないのかなって。」
あまりに不審な挙動だったか。堀北の疑問に答える。
「黒凪君はもう少ししたら来るんじゃないかしら。」
「そうか。少し黒凪に聞きたいことがあってな。」
「また変なことを聞いて黒凪君と佐倉さんに迷惑をかけないで欲しいわ。」
「えっ?ああわかっている。」
何故そこで愛里の名前が出るのだろうかという疑問をなんとか飲み込めた。これを口に出してしまえばいよいよ堀北にも不審がられるだろう。
「やあ綾小路君、堀北さんおはよう。」
「ええおはよう平田君。」
「おはよう平田。」
「おはよー二人とも。」
なんてことだ、目的の黒凪よりも先に平田と遭遇してしまうとは…そして平田と腕を絡めて恋人つなぎをしている軽井沢…ここでは恋人関係は続いているのだな。
「最近愛が満ちあふれているね。そうは思わないかい?二人とも。」
「あー…そうだな。」
「そうね…もうすぐバレンタインだものね。」
こんなことを言う奴だったか…何かのかけ違いでこうも変わるのだろうか。
「…」
「ど、どうしたんだ?平田?」
「綾小路君、今日はどうしたんだい?」
「どうしたって何がだ。」
平田がオレを凄く見ているのだが。これはどうしたらいい?
「なんだか愛がなくなったような…いや愛が消えたというよりは別のものに変わった?」
「な、何を言っているのかわからないぞ。」
「綾小路君、君の愛はどこに行ったんだい?なんだか真っ白に戻ったみたいだよ。」
「なあ平田、落ち着いてくれ。真っ白に戻ったってなんだ?」
「そうだ。今から屋上に行こう。そして久しぶりに愛を語ろうではないか!!」
これはどうするべきか…というかこの世界の平田に恐ろしさを感じた。話の通じない奴というのはこれほどまでに脅威に感じるのか。
「うぃー朝から元気だな。洋介。」
「やあ絢都君。僕はいつだって元気だよ。最近は特に周りからも愛が満ち溢れているからね。」
「そうだな。じきバレンタインだもんな。」
「絢都、期待しておいてね♪」
「ああ愛里のチョコを期待しておくさ。」
どうやらこの状況を打破できたようだ。そして今入ってきた黒髪の男が黒凪絢都なのだろうな。愛里ともいっしょにいるのを見るとあそこも恋人関係なのだろうな。
そんなことを考えてると周りにいた平田や軽井沢は元の席に戻った。そしてオレの前に黒凪が座り、愛里が右斜め前に座った。とりあえずなんとかして黒凪と2人になれるようにしてこの世界について聞かないとな。
「なあ黒凪、ちょっといいか?」
「どうした?綾小路…」
「少し話があるんだが…どうした?」
黒凪が後ろを向いた瞬間何か違和感に覚えたのか少し固まりオレを見てきた。
「いや何でもない。話だったな。少しトイレに行きたいんだが、ついてこい。」
「あ、ああ。」
そう言いオレと黒凪は立ち上がり教室から出るだが、向かったのはトイレではなく屋上に通じる階段だった。
「トイレに行かなくていいのか?」
「いやあれは方便だよ。ああ云っておけば堀北やあ愛里はついて来ないからな。」
「そうか…それで話したいことなんだが…なんといえばいいのだろうか。」
このまま正直に話しても信じてもらえるのだろうか。言葉は少し選ぶとしてもなんといえばよいのか…
「なあ綾小路。」
「なんだ黒凪。」
「お前この世界の綾小路ではないな?」
「は?」
オレの話の前に気づいたのか。いったいどうやって…
「お前、気づいてないようだが、案外顔に出ているぞ。さっきなんて『誰だお前』みたいな顔していたからな。」
「そうか。」
オレの顔で気付いたのか…ここに来てからあまりにも驚き過ぎて、無表情じゃなくなったんだろうか…
「で?どうなんだ?」
「…あぁそうだ。今のオレは別世界の綾小路清隆だ。」
「そうか…改めて名乗っておこうか。黒凪絢都だ。」
「よろしく。」
「おう。」
なんとかこの世界を知れる手段を手に入れることができた。何を聞くべきか悩むな。
「そういや一つ質問だが、この世界にはどうやって来たんだ。」
「それは…」
オレは荒唐無稽な夢の話をした。信じてもらえるかはわからないが目の前にいるこいつなら理解してくれるのかもしれない。
「神みたいな存在かぁ…あの神様の夢で言っていた異分子を導けってそういうことなのか?というかこれ原作世界の綾小路だろ」ボソッ
「何か言ったか?」
「いや何も。とりあえずお前が本来の世界に戻れるのかわからない以上、しばらくはこの世界の綾小路として振る舞ってもらうしかないと思うがどうだ他に案はあるか?」
「そうだな…他にできることなんてないだろう。」
「まあ安心…できるかはわからないがこの世界の綾小路清隆がどんな奴だったかってのは俺の主観で説明はさせてもらうよ。」
「助かる。」
なんだか心強いな。しかしこう簡単に不思議な出来事を信じられるのだろうか…もしかしたら黒凪もこういう不思議な経験をしたのか…いや聞くのはやめておこう。
「もうすぐ朝のHRの時間だ。今のうちに聞いておきたいことはなんだ?」
「そうだな。」
いろいろと聞いておきたいが、まず聞くべきなのは…堀北とオレの関係性だろう。
「まず、オレと堀北は…付き合っている…いわゆる恋人関係というやつなのか?」
「その通りだ。」
「そうか…ちなみにいつからだ?」
「四月からだな。」
「早いんだな。」
「そうだな…なんなら愛里の一言がきっかけであるからな。」
「愛里…そういえば黒凪は愛里と付き合っているのか?」
「そうだ。というか俺と愛里は幼馴染というやつだ。」
「そうなのか。一言というのは何を言ったんだ?」
「詳しい説明は省くが、櫛田とのいざこざに悩む堀北に愛里が綾小路をボディーガードにしたらどうだといったらカップルになった。」
「そ、そうか…」
簡潔に説明されたが頭の中に疑問符がうかび続ける。櫛田と堀北の因縁はここにもあるみたいだし、愛里がオレをボディーガードを提案したのもよくわからないし、そこからなぜカップルになる…今は深く考えるはやめておくか。
「とりあえず今はお前が堀北の恋人であり、変態的な要求をして毎度困らせているということを覚えておいてくれ。」
「今の一言で、この世界がオレがもっと分からなくなった気がするんだが。」
「まあ細かいは気にするな俺もわからないことが多いんだからな。」
そして予鈴が鳴る。どうやら朝の時間は終わりのようだ。
「さて教室に戻ろう。」
「そうだな。」
「今日は茶柱先生どんなポンコツを発動するかな。」
「なんだポンコツを発動するって。」
「まあそれはお楽しみにってことで。」
「そうか…」
すごく気にはなるが茶柱がポンコツなのは少し見てみたいな。
「歩きながら聞いておきたいんだがいいか?」
「おうどうした?」
「オレは堀北と恋人としてどこまでやったんだ?」
「いや、知るかよ。」
流石に知らないか、あとで堀北にでも聞いた方がよいだろうか…
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「まずは、合同合宿お疲れさまと言っておく。」
茶柱の淡々とした挨拶を聞き流しながら今日の過ごし方を考える。基本的に黒凪の近くにいておいた方がボロは出ないがかと言ってずっといるのもおかしなものだろうし、それにこの世界のオレはどうも欲に忠実らしい。実感はないが堀北が彼女であるという事実を理解したうえで堀北を見ると本来の世界よりも魅力的に感じる。
なぜそう感じるかわからないが、心のどこかで堀北とどこかに出かけたいという思いがある。これが普通の人が持つ欲望というものならここのオレは少しは幸せなのかもしれないな。
「基本的な生活を疎かにしないように…」
ほとんど茶柱の話は聞いていなかったが、黒凪の言うポンコツというのが未だにわからない。ただ向こうとの違いは、スーツのボタンを閉めているという点だろう。向こうだと胸元のところが開いていたから男連中は喜びそうであったがな…
パーン
茶柱のボタンがはじけ飛んだ。顔がみるみるうちに真っ赤になっていく。これが黒凪の言ってたポンコツなのか。
「以上だ!!で、では授業の準備をしておくように////」
颯爽と教室から出ていく茶柱、みんな何も言わないことをみるとよくあることなんだろう。だが一応確認はしてみるか。
「黒凪、あれは…」
「入学初日からあんな感じだぞ。」
「そうか…」
本当にこの世界いろいろとおかしなことになっているらしい。
オレは合間を縫って本来の世界で関わっていた人たちのこと聞いていくことにした。
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・・
・・・
「櫛田と堀北の因縁ってなんだ。」
「堀北に首輪をつけたい櫛田、櫛田から逃げたい堀北という構成になっている。」
「…さっぱり意味がわからないんだが。」
「櫛田が可愛い女の子には首輪という嗜好に走った結果だ。」
「…そうか。」
なんとか理解しようとしたがわからなかった。なんというか退学を目論んでない以上向こうより安全だと思う。
・
・・
・・・
「平田の愛とはなんだ?」
「何なんだろうなぁ。答えは一生探す必要がありそうだな。」
「…軽井沢とは本物の恋人関係みたいだな。」
「なんだ偽物の恋人関係でもあったのか?」
「まあそんなところだ。」
黒凪も理解できてないようだ。平田の口ぶりで言うと黒凪の方が愛を知っているらしいが…平田が一番わからないな。
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・・
・・・
「オレがよく会話しているのは?」
「基本的には、堀北と櫛田と俺と平田くらいだろうな。次点で愛里が入るくらいか。」
「あ…三宅とか長谷部とかは?」
「お前自身には面識はないんじゃないか」
「そうか…」
ここではあのグループはできてないらしい。少しさみしさを覚えるが仕方ないことか。
・
・・
・・・
「他のクラスも聞いておきたい。龍園はどんな感じだ。」
「一言で言うなら気苦労の王様だな。」
「王は名乗っているんだな。」
「周りを制御できてるようで出来てないから名ばかりではあるがな。」
「オレたちのクラスと何か…事件とかあったか?」
「特にない……うん、ないな。」
「何か気になる間があったが…」
「気にするな問題ないから。」
「そうか。」
それとなく冬休み前のことがこちらだとどうなっているか聞こうとしたのだが…答えを濁されたような気がする。まあ放課後にでも聞けば何かわかるだろう。
・
・・
・・・
「一之瀬はどうなっている?」
「元気に神崎のメイドやっている。」
「そうか…なんだって?」
「いやだから、神崎のメイドやっている。」
「そうなった経緯がわからないが…」
「俺も知らんがここの一之瀬は神崎を補佐したほうがいいと判断したらしい。」
「なるほどな。」
「その行動が神崎を苦しめているみたいだが。」
「…」
一之瀬が迷走していると感じたのは向こうがマトモだからなのだろうか。それにしてもメイドか…堀北にもそういうのを着せたら似合うだろうか。
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・・
・・・
「黒凪は、Aクラスの坂柳を知っているか?」
「ああ、理事長の娘であり、Aクラスの妹やっているやつだな。」
「そう…なんて?」
「少し前にお前の姉を名乗るようにもなったな。」
「なんて?」
「まあ…強く生きろよ。」
「えぇ…」
一番理解できないものである。なぜ坂柳はオレの姉を名乗ったのか、この世界では天才の証明とかそういうのはないのか…それならば安心…できるだろうか…
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合間に聞き続けて気がつけば昼休みになっていた。どうも違い過ぎるせいで未だに理解できていないものがある状況だ。
「どうだ。こちらの世界は?」
「ありとあらゆるものが違い過ぎて驚きしかないというのが感想だ。」
「だろうな。二つの世界で自身が知る人物たちの在り方があまりにも違えば、驚きしかないだろし、理解に苦しむだろうな。」
「…そういう黒凪は別の世界を知っているのか?」
食事を取りながら雑談をしているわけだが、今の黒凪の口ぶりが何か知っていそうな感じだったので手を止め聞いてみた。数秒の間オレたちのところに静寂が訪れる。
「そんなわけないだろう。そういうオカルトなもの信じているだけさ。」
「そうか…」
何か秘密を持っていそうな気がしたが追求はやめておく。今日一日不審がられることなく過ごせたのは間違いなく目の前にいる黒凪のおかげなのだから。
「それで、他に誰か聞いておくことはあるか?お前自身に誰と関わりがあったか知らないが、わかる範囲なら答えられるが。」
「そうだな…」
同じ学年の関わって来た人たちのことは聞けたといって問題ないだろう。ともするとあとは…生徒会くらいなものか。
「生徒会についてなんだが…」
「生徒会か、何から話すべきか…」
「ここにいましたか、生徒会長。」
そんな声が聞こえオレたちのもとにやってきたのは二年生の桐山生叶であった。というか今なんといった?
「あ、桐山先輩お疲れ様です。どうかされましたか?」
「次の試験についての連絡させていただいたのですが…」
「ああ気づいてなかったな。すみません。これは急ぎですか?」
「いえ、まだ余裕はあります。」
「なるほど、では資料は読み込んでおきますので、明日話し合いをしましょうか。」
「わかりました…あの綾小路が何かやらかしましたか?」
「いやまだ何も。」
「そうですか…では俺はこれで。」
「お疲れ様です。」
簡単なやり取りが終わり桐山先輩は離れていく。黙って聞いていたが黒凪のことを生徒会長と呼んでいた。南雲ではないのだな。というか桐山先輩のあの物言い的にオレは何かやらかしているのだな。黒凪も「まだ」と言っていたがこれからやらかすことを予想しているのか…
「言い忘れてたな。お前も堀北も生徒会に所属しているぞ。」
「そうか…あんたが生徒会長なのか?」
「まあ…そうだな。」
「南雲雅という二年生が生徒会長じゃないのか。」
「まあ本来ならそうなっていたのかもしれないが…消去法で俺になった。」
「さっぱり意味が分からないぞ。」
「詳しいことは、放課後にでも行事の振り返りで話させてもらうよ。」
「頼む。」
こいつと話すたびに聞きたいことが増えていくな。この世界のオレは、ここで楽しめていたのだろうか…そうなら少しばかり羨ましく思ってしまうな。
「黒凪。」
「なんだ?」
「あんたが知る限りのオレのやらかしって何かあるか?」
「…」
これだけは最後に聞いておこうと思う。黒凪は沈黙し、天を仰いでいる。そんなに考えることがあるのか…
「………定期的に女子を口説いていることじゃないかな。彼女の目の前で。」
「……この世界のオレはここを楽しんでいるのか?」
「楽しんでいるんじゃない?」
「そうか…」
これは羨ましく思えるだろうか。まあ楽しそうならいいのか?
「もうすぐ昼休みがおわるな。続きというかこれまでの振り返りは放課後に。」
「わかった。」
昼休みが終わってからオレは黒凪のいう欲望に忠実な綾小路清隆として過ごした。教室は平田の愛だの、高円寺の美しいなど、あちらこちらで恋人同士のやり取りがあっただの、向こうと比べ、混沌としていたが、殺伐とした空気感はなくこの空気ならオレも青春とやらと楽しめていたんだろうなと思う。
そして放課後になった。
こんな感じになりました。
あまりにも文字が多くなりそうだったから二つに分けることにしました。
次回もお楽しみに。
この世界線での人気キャラ投票 Dクラス編
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ツッコミ役系の主人公 黒凪絢都
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この作品のメインヒロイン 佐倉愛里
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