時系列は、未来になりますが合同合宿が終わったくらいと認識してください。
私は夢を見ていました。意識もはっきりしている…明晰夢というのは初めて見ますね。
ふと前を見るとそこに白い羽衣を着た老人が立っていました。なんでしょうか…あの方が神様だというのでしょうか…なんとも安直というような気がしますが何か人にはない力、オーラのようなものを感じます。
≪聞こえておるか、人の子よ≫
どこからか声が聞こえてきた…いえ声を感じ取ったというべきですね。まるで脳に直接届いたような、テレパシーと呼ぶべきものですね。
≪聞こえているようだな、では話を続けるとしよう。≫
何か反応を示したわけではないですが話が進みましたね。やはり心を読むなんてことも容易なのでしょうか。
≪お主には今いる世界とは別の世界に行ってもらう。≫
別の世界ですか…並行世界、あるいは異世界のどちらかという事でしょうか?
≪お主の考えとる前者、つまりパラレルワールドに行ってもらう。≫
そうですか…いったいどのような世界なのでしょうね…もしかして私の病気が治っていたりするのでしょうか。
≪いや、残念ながらその世界でもお主の病はある、違うのはお主の行動と言うべきであろうな。≫
そうですか…少し残念ですが仕方ありません。しかし行動が違うというのは私は何かしたのでしょうか…
≪それは行ってからのお楽しみということじゃ、それとその世界の自分を知りたかったら、1年Dクラスの黒凪絢都という男を訪ねるといいじゃろう。≫
黒凪絢都ですか…聞いたことがない名前ですね。こちらではいなかったような気がします。これも並行世界ならではの事象なのでしょうか。
≪さて、そろそろ目を覚ます時間じゃ。あちらの世界で違いに困るだろうし、周りから違和感をもたれるかもしれないからアドバイスじゃ。同じクラスの者達にはお兄ちゃん、お姉ちゃんと呼ぶが吉じゃぞ。≫
なんですかそのアドバイスは、何故本当の兄妹や姉妹ではないのにそのようなことを…理解はできませんが頭の片隅には入れておきましょう。
そんなことを考えていると辺りが白くなっていってますね目が覚めたら並行世界ですか…少々楽しみですね…
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ふと誰かが料理をしている音で目を覚ます。ここが並行世界でしょうか…変わってないと思いますが、誰かが私の部屋で料理をしていることはなかったことなのでやはりここは並行世界に行ったと考えた方がよさそうですね。
「あ、有栖起きたんだね。」
「真澄さん…ですか、おはようございます。」
どうやら料理を作っていたのは真澄さんだったようですね。手にはお玉を、そしてエプロンまで着けて、この世界では甲斐甲斐しく世話を焼いてくれているということでしょうか。しかしなぜ真澄さんは固まってしまったのでしょう…
「あ、有栖?」
「どうかされましたか?真澄さん?」
するといきなり、手に持っていたお玉が床に落ちて真澄さんが膝から崩れ落ちました…何があったと言うのでしょうか…
「あ、有栖が呼んでくれない…」
「真澄さん?ど、どうしたのですか?」
「うぅ、有栖がお姉ちゃんと呼んでくれない…」
「お、落ち着いてください真澄さん。な、泣いているのですか!?」
「有栖が反抗期迎えちゃったああああ、うぅうあぁぁぁぁぁ。」
「ま、真澄さん!?」
本格的に泣いてしまわれました…どうすればいいのでしょうか…
ふと考え先程の真澄さんの発言を思い出す。
「お姉ちゃんと呼んでくれない。」
そして夢で見た神様のような存在の発言も思い出した。
≪同じクラスの者達にはお兄ちゃん、お姉ちゃんと呼ぶが吉じゃぞ。≫
…この状況はお姉ちゃんと呼べばなんとかなるのでしょうか…正直それでなんとかなるとは思えませんが…やるしかなさそうですね…
「すみません、真澄お、お姉ちゃん。少々長い夢をみてすこしまどろんでいたようです。」
「うぅー…!?あ、有栖。」
「な、なんでしょうかお姉ちゃん。」
「有栖!!!」
「真澄…うっ。」
「有栖ぅぅぅぅよかった、本当に良かった。お姉ちゃんがいるから安心してね。」
私がお姉ちゃんと呼んだのがそれほどうれしかったのか私を抱きしめてきました。少々きつくなってきたのでそろそろ離してほしいのですが…
「あ、あの、真澄お姉…ちゃん、少々きつくなってきたのですが…」
「あっごめんね有栖。嬉しくてつい、痛くなかった?」
「え、えぇ…ですがあまり強く抱きつかないようにお願い致します。」
「わかった、本当にごめんね、もうすぐ朝ごはんが出来るからもう少し待っててね♪」
「ええ、ありがとうございます。」
いったいいつから今日のように朝ごはんを作りに来ているのかという疑問もわきましたが、やめておきましょう。とりあえず今は真澄さんの作った朝ごはんを食べて学校に行きましょう。
食事の時に何度もあーんをされたのですがこれも毎日やっていることなのでしょうか……
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「有栖、体調の方は大丈夫か?」
「えぇ、大丈夫です…葛城お兄ちゃん。」
食事も終わり登校の時間になり、遭遇したのは葛城君でありました。どうやら今日の一緒に登校する当番が葛城君だそうで…この当番制を作ったのは…いえ深く考えるのはやめておきましょう。私の心の平穏を保つために…
「有栖、体調が悪いのか?」
「いえ、少し考え事をしていただけです…ありがとうございます葛城k…お兄ちゃん。」
「そうかそれならいいんだ。」
なんというか…毎回お兄ちゃんやお姉ちゃんと呼ばないといけないのはどうも心地悪いですね…
「有栖にとっては合同合宿は大変なものではなかったか?」
「そうですね…新鮮な気持ちになれましたのでいい経験だったと思いますよ。」
この世界の私がどう思っていたかは知りませんが、いろんなクラスの方と同じ部屋で寝泊まりしたのはいい経験だったと私は思っています。
「そうか…次の試験はどのような……」
さて今のうちに考えないといけませんね。この世界での私を私自身が理解しなければいけませんね…夢で言っていた『黒凪絢都』という生徒に会わないといけません。
…私と黒凪絢都という方に何か接点があるのでしょうか…?
「…やはり黒凪が厄介な敵になるだろうな……」
「っ黒凪君ですか!?」
「むっ!?どうした有栖。」
何の話をしていたのかわかりませんが黒凪の名前が出たことに驚いてしまいました。ですが名前が出た以上この話題をものにしてみせます。
「お兄ちゃんは黒凪君のことをよく知っているのですか?」
「あぁ…とは言ってもそれほど縁があるわけじゃない。夏休みの船上試験、体育祭での同じ赤組そのくらいでしかないが…あいつはDクラスの中で一番実力があると思っている…」
「それほどですか…」
ここで綾小路君の名前が上がらないのは彼はこの世界でも実力を隠しているからでしょうね…黒凪君とやらに会った暁には彼にも綾小路君のこと聞いてみるべきでしょうね…
「奴は自身を平凡だと言っているが俺にはそうは思えない…船上試験で最初の話し合いには優待者の法則を見抜いていた以上、かなり頭の切れる奴であることは間違いない。」
「なるほど…」
それが自力で解いたのであるならば確かに切れ者ではあるでしょうね…他になにかあるのでしょうか…
「それに、あれほど癖のある連中を率いているのだから、リーダーの資質や胆力も備わっているな。」
「そう…ですか…」
もしかしてそれ…ギャグで言ってますか?こんな兄妹、姉妹プレイをクラスでやっている私たちもなかなかの癖があると思うのですが…まあいいでしょうそこは今考えることではないでしょう…
「そうなのですね…」
「あぁ、それに黒凪は大きな愛を持っているからな…すごいものだと思うな。」
「そうですか……はい?」
何故そこで愛が出てくるのでしょうか………
愛っていったい………なんなんでしょうか………
「有栖、有栖、大丈夫か?」
「えっ? えぇ…なんとか……」
私の中で宇宙空間が広がっていたようなそんな思考停止状態になっていましたね…愛については考えるのを止めましょう。
「お兄ちゃん、私黒凪君と会って話してみたいです。」
「何?……まさか有栖は黒凪のことが気になっているのか?」
「そういう恋愛的な意味はありませんよ、いずれクラス対抗で戦うことになるのなら、早いうちに彼を知るべきだと考えました。それにこう言うじゃないですか。『敵を知り己を知れば百戦危うからず』と。」
「う、うむ、しかし…」
葛城君としては理解はできても納得は出来てないというべき状態ですね…仕方ありません。
「ねえ、お兄ちゃん…ダメ?」
「!?いやお兄ちゃんに任せろ黒凪がダメだと言ってもとっ捕まえてやるからな!!」
「ふふっ、頼もしいです。」
私の猫撫で声でノックアウトしてくれましたね、これで黒凪君に会うことは確実にできたはずです。
あんな声は二度と出したくないですね…
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「それで…朝から何用でしょうか?坂柳さん。」
「ふふっ、お久しぶりですね黒凪さん。」
「…」
学校に着いてからの葛城君の行動は早かったです。教室に着いてからすぐにDクラスの教室に向かい黒凪さんを本当に捕まえてきて、「クラスリーダーとしての在り方を語り合いましょう」と誘って屋上に向かいました。
屋上に行くことにAクラスの皆さんは反対していましたが甘えるようにお願いしたら皆さん了承してくれました。皆さんチョロいですね。
ですが屋上の入り口に唯一の見張りとして鬼頭君がついてきたのは誤算ではありますが致し方無いですね。
さて、なるべく入り口から遠のいて黒凪さんから、この世界の私について聞き出しましょう…ですがどう切り出せばよいのでしょうか…並行世界から来ましたと言っても信じられるわけがありませんし、かと言って私自身の客観的な評価と聞いたとしても望む答えが返ってくるとは思いません…
そういえば何故黒凪さんは、先ほどから何かを考えるように黙っているのでしょうか…
「……」
「あ、あの…黒凪…さん、どうしましたか?」
「いや…今のあなたとなら初めまして、でいいんじゃないかなと思って。」
「!?」
もしかして何かしらの違和感に気づいたのでしょうか…話してみてもいいかもしれませんね。
「実は…私この世界の坂柳有栖ではありません。と言ったら信じますか?」
「うん…まあ納得は出来るかな…何か目覚める前に神様と呼べそうな爺に出会わなかったか?」
「はい…ってあなたもですか!?」
私は思わず大声を出してしまいました。はしたなかったですね。落ち着きましょう…鬼頭君も少しこちらに近づこうという素振りを見せていますが屋上には入らないようにしていますね。やはりこういう時の鬼頭君は弁えている行動が出来ますね。
それはさておき、黒凪さんの話を聞きましょうか。
「黒凪さんは、その存在からどのような話を聞きましたか?」
「そうだな…簡潔に言うと『他世界の子を導いてあげなさい』ということを言われたな。そして今日学校に着くなり、葛城が俺を捕まえて「坂柳の話をきいてくれ」なんて言うんだからな…それで俺は気づけたわけだ。」
「なるほど、そうですか…」
Dクラスにしては頭が回るように感じますね。この人はどんな問題を起こしたのでしょうね…今はこれを考える時ではありませんね。彼からこの世界の『坂柳有栖』を聞き出しませんと。
「聞きたいことはおおよそ見当ついている。この世界の坂柳有栖についてだろ?」
「はい、その通りです。他クラスである以上詳細なことまでわからないしても知っていることを話してください。」
「そうだな…ざっくり言うとこの世界の坂柳有栖はAクラスの妹ということだな。」
「ざっくりし過ぎです!!その経緯や原因を知りたいんです!!」
いけません、またもやはしたなく叫んでしまいました。これから要因を語ってくれることでしょう。
「何故妹になったのか?誰が私を妹という位置に落とし込んだのか知っていますか?」
「……まあ、知ってはいるけども……言ってしまって大丈夫かな…」
「問題ありません、もったいぶらずに教えてください。」
「じゃあ言うけど…妹になったのはこの世界の坂柳自身が決めたことだぞ。」
「はい???????」
私が、自分自身の判断で妹にした…???どうして????何故?????
「…おーい、大丈夫か?」
「はっ!?……えぇすみません少しボーっとしてしまったようですね。」
「そうだな、猫が宇宙を感じ取った表情していたぞ。」
「なんですかそれ…」
その表現はよくわかりませんが、思考停止していたのは確かです。彼がどこまで知っているのか全て聞き出しましょう。
「黒凪さんは、どこまでこの世界の私の事情を知っていますか?」
「まあそうだな…大まかな経緯は本人から聞いたわけだし…」
「ではそれを語ってください。」
この世界の私はどれほど私自身とかけ離れた発想をしたのでしょうか…
「まず、ここの君自身が語ったのだが…まず自分は天才で、病弱で、美少女であるということ。」
「はい…はい?」
「だから天才で病弱で美少女で…」
「いえすみません聞き逃したわけではありません。事実を受け入れ辛かったものでして…」
「まあ、仕方ないかと」
こんなこと他人で他クラスの彼に話したのですか…少々自意識過剰気味なのでしょうか?いえ私が天才で病弱で美少女なのはその通りなのですが…続きを聞きましょう。
「それでそのあとは何を語りましたか?」
「そうだな、自分がリーダーになろうとはしたけど運動は出来ないから足を引っ張る可能性
があるということは言ってたな。」
「なるほど。」
ちゃんと自分が出来ることできないことは判断できていたのですね、それはよかったです。
「そこでこの世界のあなたはこう考えました。クラスのマスコットキャラクターになろうと。」
「なる…ほど?」
どうしてそうなるのでしょうか?実力があるのですから蹴落として王の座につくこともできたはずですが…これが分岐した世界ということですか…
「俺がであったのが4月の下旬くらいだったがもうその時には葛城のことをお兄ちゃんと呼んでいたから、マスコット計画は成功したみたいだな。」
「そうですか…」
これがこの世界の私、自分の弱さを受け入れてそれを周りの庇護欲を掻き立てる手段に用いたということでしょうか…理解は出来ましたが私はそんなことをしようとは考えませんね。
「まあ俺が知っているのはこのくらいだな。」
「ありがとうございます。この世界の私を理解できました。」
「それは良かったよ。」
「……それで、私はいつ本来の世界に戻れるのでしょうか?」
「それは……俺も分からないな…2 3日くらいここで過ごせばそのうち神様が迎えに来るんじゃないかな。」
「それまでここで妹になっていろと?」
「うん…ご愁傷様です。」
私のメンタルが持つことがでいるのでしょうか……
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ある程度のことは聞けたのですが…私は妹になるしかなさそうですね…夢で見たあのおじいさんはいつまでここにいるとか何日後に迎えにきて元の世界に戻すとか何も言ってないので下手をすればこのままこの世界で過ごす可能性がありそうですね…
妹でいろと?この私に?
「坂柳、身体は冷えてないか?」
「えぇ大丈夫です。ありがとうございます葛城お兄ちゃん。」
いろいろと考え込んでいたら葛城君に心配させてしまったみたいですね…葛城君が私のことを心配するなんて新鮮ですね…ですが妹として振る舞わなければならないのは少しばかり屈辱ですね。
「あったかい飲み物でも買ってこよう。コーヒーか?紅茶の方がいいか?」
「え、いやお気遣いなどいりませんよ。」
「むぅ、しかし……」
「有栖、ほら、あなたがいつも飲んでいる紅茶よ。」
私と葛城君のやり取りに真澄さんが割り込んできましたね。その手には魔法瓶を持ってその蓋にもう注ぎ始めてますね…飲むしかないようです。
「ありがとうございます真澄お姉ちゃん…いただきます。」
一口飲む…程よい温度で飲みやすく、味も本当に私好みの味で美味しいですね。
「美味しいです。」
「それはそうよ、今も有栖にとっての最適なお茶を研究しているのだから。」
「そこまでのことをしていただかなくても…」
「それほどまでに坂柳のことを!?俺はいつも神室の数歩後ろにいるんだな…」
「あの…そこまで落胆しますか?」
「大丈夫よ葛城。あなたが進みゆく道の先で私は待ってるわ。」
「神室…」
「……あの、なんなんでしょうかこれは。」
葛城君は必要以上に自分を追い詰めますし、真澄さんは想像以上に過保護ですし…この先はどうなるのでしょうか…
「さあ有栖もう少し紅茶をどうぞ。」
「いえ、あの量で充分ですよ。」
「……有栖。」
「な、なんでしょうか?」
「お茶飲みんさい。」
真澄さんに関しては姉というか母なのでは?
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あれから3日経ちました…その間も皆さんが凄くお世話をしてくださいました。
外にいる妹の代わりではなく本当の妹のように接した葛城君、常に私のことを第一に考え、気を配ってくれる真澄さん、無口ながらにも私をそばで守ろうとしてくれる不器用なやさしさの鬼頭君、本来の世界ではただ反発しかしていなかったがここでは従順な兵士になっていた戸塚君、いざという時にお姉ちゃん力を発揮する山村さん……
そんな皆さんにいろんなお世話をされ続けた結果……
「ありがとうございます。お兄ちゃん。お姉ちゃん。」
妹であることを受け入れました。最初は困惑もありましたし、私自身がその自分の弱さを認めたくなかった、そしてその弱さに同情されることがこの上なく屈辱に感じていました。
ですが、Aクラスの皆さんは同情とかそういう感情はなく本当に可愛い妹のために頑張る兄や姉のような言動ばかりでした。なのでとても居心地がとても良いものでした。
だから少し考えてしまうのです。本来の世界でももう少しやり方を替えれば葛城君とも手を取り合うような未来があったのではないでしょうか…誰かを蹴落とすようなこともしなくて良かったのでないでしょうか…
「有栖ちゃん大丈夫?次の試験についての考え事?」
「えぇ、大丈夫です。そうですね次は何が来るのか少しばかり考えていました。」
「どんな試験がでてもお姉ちゃんたちが頑張るからね。」
「お兄ちゃんたちも忘れないでくれよ。」
「えぇ、みなさん頼りにしていますよ。」
いけませんねお兄ちゃんやお姉ちゃんたちを心配させてしまうのは…そんなたられば話を考えても意味がないことです。
「それでは皆さん、さようなら。」
「…俺が共に行こう。」
「えぇ、寮までの下校とはいえ頼りにしていますよ鬼頭お兄ちゃん。」
「あぁ…任せてくれ。」
最初も煩わしかった登下校も今では一つの楽しみです。今日はどんな話を聞けるでしょうか…明日は誰と登下校になるのでしょうか…
・
・・
・・・
≪人の子よ、帰還の時となったので迎えに来たぞ。≫
いきなり現れた夢の翁に告げられました。そうですか…この世界とはお別れですか……少し寂しいですね…
≪ほっほっほっ、存外に気にいったようじゃな。≫
指摘されて改めて認識できました。私はこのあり得ないような並行世界を気に入ってしまったのですね。この記憶も夢のように消えてしまうのでしょうか…
≪安心せえ、印象が強い夢という認識になるが記憶には残るだろう。≫
そうなのですね…というかこのお方、私の思考を呼んで答えていますね…ならば思考で問いかけましょう。本来の世界に戻った時に時間経過はどうなっているのでしょうか。
≪ふむ、ここでの出来事は現実世界にとっての一夜の夢じゃ、そこは心配せんでもよい。≫
それは安心しましたね。
≪さて、今から帰還とする。もうワシとあうこともないじゃろう。さらばじゃ人の子よ。≫
夢の翁の手から青い光が出て部屋がその光に包み込まれます。本当に不思議な出来事でしたね…オカルトはあまり信用していませんでしたが、これを機に少しは信じてみてもよさそうですね。
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目を覚ますとそこは私の部屋。本当に帰ってたのか少し疑っていますが、今ここに真澄さんがいないことを見ると本来の世界に戻ってこれたようですね…
「なにが…お兄ちゃん、お姉ちゃんですか……」
夢から覚めて改めて思うと、あの世界にいた私はどうかしていました。同じクラスの人たちを兄や姉と呼ぶのは正気の沙汰とは思えません。自分の可能性の一つにあんなのがあったと思うと少しばかりゾッとします…
もうあの世界のことは忘れましょう。さて、学校に向かうとしましょう。
・
・・
・・・
「むっ、坂柳。」
「おはようございます。葛城君。」
少々嫌な遭遇をしてしまいました。今同じクラスの人たちといるとあの夢を考えてしまいます…なるべく意識しないようにしませんと…
「……」
「……」
同じ場所に向かう以上共にあることになるのは仕方ないですが沈黙ですか…正直今はありがたいですね。そうです葛城君は私のやり方に不満を持っているような方でないですと…
「今度は何をするつもりだ?」
「何の話です?」
なぜずっと黙ってられないんですか…まあいいです。この会話をちゃんと現実に戻ったことと認識するものに使いましょうか?
「とぼけるな、前の試験で一之瀬と言い合いをしたという話を聞いたぞ。」
「いえあれは言い合いというわけではありません。一之瀬さんと同じ班はいやだと告げただけです。」
「あの試験ではどこか別のクラスと組まなければならないものだ。それなのに一之瀬との言い合いでBクラスを敵に回して…何がしたかったんだ?」
「強いて言えば布石ですよ。次の攻撃のための。」
「次の試験が来ていないのにか?」
「来ていないからですよ。ただ試験の時だけが攻撃できるというわけではないですから。」
「……まあいい、ただ不利益を被るのは勘弁だからな。」
「えぇ、承知の上です。葛城君はせいぜい私たちの足手まといにならないように過ごしてくださいね。」
「あぁ…無論そのつもりだ。」
なんとかボロは出なかったですね。危なかったですがもう大丈夫でしょう。
「しかし、今日はとことん冷えるな…坂柳寒くないか?」
「えぇ大丈夫ですよお兄ちゃん。」
「そうか………む?いまなんと言った?」
「いえ……なんでもありません。」
あとがきたちだけぇ…
というわけ原作キャラ輸入シリーズの第二弾でした。坂柳も甲斐甲斐しく世話をしてくれる兄か姉がいたらわがまま妹になったんじゃないかなと思ったり思わなかったりしている作者です。
おそらく第三弾は一之瀬帆波になると思います。
次回もお楽しみに。
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他ヒロインのIFルート
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原作キャラをこの世界線に連れてくる。
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メインヒロインとただイチャイチャする日常
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