流れるように過ごした後半戦
以上
寝苦しいテントの中で目を覚ます。ついに最終日になったわけだが、これでこのテントからおさらばできるわけだ。
俺はいつも二番目に早く起きている。一番はあの男だ。
「フハハッハー。」
「結局それ毎日やっていたな。」
テントの外から聞こえる鶏鳴を真似るように高笑いする男、高円寺六助である。いつも誰よりも早く起きて運動して、俺が起きる前に拠点の木に登り、高笑いをする。ここまでやったら一種の儀式なんだよななんて思ってしまう。
「やあ、輝ける朝だねブラックボーイ。」
「そうだな、おはよう高円寺。」
そういやこいつ最後までリタイアすることなかったな。この世界線ではなんだかんだこの無人島生活を楽しんでいたみたいだ。
「ブラックボーイ、今回は勝てそうかい?」
「さてな、まあ今回の試験はみんなの頑張りでプラスになるとは思うけどな。」
原作みたいなギスギスとしたことはなく、みんな楽しんで過ごしていたと思う。というか基本原作ってギスギスと殺伐としている学校だからな…
「さてみんなを起こすためにまた私が鶏の真似事をしようではないか。」
「みんなそれで起きたことそうないけどな。」
そんなやり取りをして俺は、朝飯の準備をする。今日で最終日なので備蓄していた食材を解放する。色とりどりの野菜、果実そして釣った魚。焼いたり、切ったりしてみんなの準備をする。
結局みんなが起きる要因は、高円寺の鶏鳴なのか、俺の料理の匂いなのかはわからないが、まあ議論しなくてもいいだろう。
こうしてみんなが次々と目を覚まして無人島最後の食事をした。
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「これより結果発表を行う。」
時間は流れてお昼ごろ、この島に降りた場所に全クラスが集まり、真島先生が拡声器をもって前に立っている。
「いや、なんか違うな。」
すると真島先生は、拡声器を遠ざけて首を傾げながら、何かを呟いた。何をする気だろ。
「あーコホン。結果発表おおおおおおおおお。」
「いやダウ〇タウンの浜〇か!」
一度咳払いをした後、拡声器なしで、ここにいるみんなに声が響き渡るように叫んだ。俺が言った某芸人でも目指しているのだろうか…
「コホン……あーみんなのこの一週間の生活の創意工夫を見せてもらった。どれも素晴らしいものであった。たった今集計が終わったので発表していく。なお、チーム名で発表させてもらう。」
そういえばそんなルールあったな。あれ本当にいらないだろう。そんなツッコミを心で言いながら次の言葉を待つ。
「まず四位は…『龍園と愉快なリベリオンズ』0ポイントだ。」
「ちっ…やはりそうかよ。」
龍園は、悔しながらもどこか納得しているような雰囲気で悪態をついている。すまんなお前がどれだけ占有スポットで稼いだか知らんがリーダー当てでお前の名前を書かせてもらったよ。
「次いで三位は…『39人の家族』133ポイントだ。」
「すまない坂柳…すまない期待に応えられない不出来な兄で…ああああああ坂柳いいいいい。」
「葛城さん!!大丈夫です。俺たちみんなで謝れば一位になれなかったことをゆるしてくれますよ。それに…蔑まれる地獄に落ちるなら俺たちも一緒です。」
「弥彦ぉ。」
「大丈夫よ葛城。ここにいる坂柳は、笑顔で佇んでいるよ。」
「神室ぉ。そこに坂柳はいるんだなぁ…笑っているんなら…よかった……本当に良かった。」
葛城は男泣きしているし、戸塚は励ましているし、神室はまだ幻を見ているし、もうなんかいやだよこのAクラス…真島先生、あなた引いてるけどあなたのクラスなんだからあとでなんとかしなさいよ。
「つ、次いで二位は『魔境』183ポイントだ。」
「あら、俺ら二位か。」
「うーん、喜ばしいけど…愛があと一歩足らなかったかな。」
「愛ではどうにもならないこともあるぞ平田。」
これはすこし予想外かな。一位はBクラスか…いったいどれほど差が開いているのだろう。ちょっと期待してる。
「一位は『華麗なる神崎一族』275ポイントだ。」
「やったよ、ご主人様!!私たちが勝ったんだよ。」
「あぁ…そうだな。」
「じゃあご主人様。帰ったら何をして欲しい?」
「とりあえず…誰にも邪魔されない…休みが欲しいな。」
「休み…わかった、めいいっぱいご奉仕するね。」
「違う!!そうじゃない!!」
手でお腹をおさえながら、一之瀬とやり取りをしている神崎。彼の胃はもう限界なのだろう…しかしあれほどまでにポイントが残っていたとは…節約し、どれほどのスポットを回ったのだろうな。
まあ今回は勝ちを譲ることになったが次は…Bクラスと次に戦うのはなんの試験になるのだろうな。
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「さてみんな忘れてないだろうな?これから特別ルールの宝箱開封となる。」
結果に一喜一憂していたところに真島先生の一声でみんなが落ち着きを見せる。Bクラスは正統な宝箱だったがAとCクラスはどんなものなのだろうか……
ちなみに俺たちDクラスは最終的に秘密箱の方を選びました。
「では各クラス、一名が代表として前に出てきてくれ。」
その言葉に宝箱を持った人たちが担任のもとに集う。Aクラスは葛城、Bクラスは神崎、Cクラスは龍園、Dクラスは俺だ。
ちらっと横を見たが三クラスとも色味や大きさ違えど正統な宝箱と言っていいものだ。変わり種は俺だけか…
「はい、茶柱先生。」
「秘密箱か…お前はよりによって一番面倒なものを選んだのだな。」
「小さい箱のほうが当たりが入ってそうな気がしたので…」
「そうか…」
こんなやり取りをしているなか、他クラスは先生がだした鍵で宝箱を開けていた。
「む!!」
「これは!!」
「はっマジかよ!!」
三人とも似たり寄ったりの反応だが、宝箱に入ってあった紙を見てそんな反応になっているのを見るとあれにプラス何ポイントとか書いてあるのだろう。
「いったい何が書かれているのか……ところで茶柱先生、まだですか?というか何をしているんです?」
「待ってろ今これを開ける為の手順書を探しているところだ。」
そうは言っているが、先ほどからいろんな場所のポケットに手を入れて探しているがその手順書とやらは一向に出てこない。挙句の果てには、自分の胸部に手を入れて探し始めた。後ろから男子どもの色めきたつ声が聞こえるが俺は視線を逸らしたそして海を眺めていた。
「………ない……もしかして、船に置いてきた?」
どうやら忘れてきた模様、予想通りの展開ではある。というか茶柱先生のポンコツっぷりを久しぶりに見たな。だんだんと顔が青色になっている茶柱先生に助け舟を出すことにした。
「はぁ…茶柱先生…貸してください。俺が開けます。」
「何、開けられるのか黒凪。」
「中学の時、興味本位で買ったことがありますからね。とはいえどこまでできるかわかりませんが。」
そう言って秘密箱を返してもらい開ける作業に取り掛かる。手探りだがカチッと音がして動いたことがわかる。俺自身、必死こいて開けるの作業をやっているから周りの状況がわからないが俺が開け始めてから静寂が訪れている。みんなして見守っているのか?
「あー、しばしご歓談しておいてください。」
「「「いや結婚式か!?」」」
俺の言葉に何名かのツッコミが入る。俺以外にもツッコミ役は、ちゃんといるんだなと少し安心したよ。
そんなことを考えながらも手を動かし続ける。今で何工程開けれたかはわからないが、感覚的にあと半分くらいだろうなんて考えている。
「……」カチッカチッ
「………」
「………」カチッカチッ
「…………」
しかし、誰も喋らないのな。なんかこうも沈黙が続くと俺が待たせているみたいな感じがして嫌なんだがな…
「おい、黒凪。いつになったら終わるんだ?俺たちは暑くて干からびそうなんだぜ?」
「目の前に海があるだろ?入ってくればいいじゃないかな。」
龍園の物言いに反射で出来そうな解決策を提示した。俺の回答が予測不能だったのか何人か吹き出したようなリアクションが聞こえた。
「ククッそうかよ…おい黒凪。」
「なんだ龍園?俺じゃなくて他の奴らに話しかけな。」
「いいじゃねえか。俺とお前の仲なんだ。」
「言葉にするのなら『親友』というより『悪友』という感じだと思うけどな。」
こんなやり取りをしながらも手は止めない。あともう少しで開けられるだろう。
「おい黒凪。」
「今度はなんだ?」
「女とはどれほどヤッたんだ?」
「そうだな……ん?」
手も思考も止まる。こいつ今とんでもないことを暴露させようとしやがった。
「てめえなんてものを聞きやがる!!」
「クククッ、おい手が止めっているぜ。俺たちを干からびさせるつもりか?」
思わず振り返って龍園に抗議するが奴はニヤニヤと笑ってやがる。くそっめっちゃ腹立つ。
その時にちらっと愛里を見たら。顔を真っ赤にして俯いていた。だが、今ここで何か言ってもどうしようもないので後で愛里はなんとかしよう。今は秘密箱の開封だということで再開する。
「……あー、男女のあれこれは、ほどほどにな。」
「うるせぇよ。」
真島先生に軽く注意喚起されたが反射で噛みついてしまった。まあ気にしないでおこう。
「というかふと思ったんですけど。この秘密箱の取り扱い書とか誰も持ってなかったんですか?」
俺はふと思った疑問をぶつけた。こんだけ一人で開けているが、スムーズに終わらせるなら誰か説明書でも持って来てくれたらいいのに誰も動きやしない。こんなところも自主性に任せているということか。
「あー…すまない、秘密箱を選ぶとは思っていなかった。」
「私も考えてなかったなあ。」
「申し訳ありません。これを宝箱と思わないだろうと勝手に推測してしまいましたね。」
「……そっちを選ぶとは思わなかったな。」
「このポンコツティーチャーズが!!」
想定はしておけよと毒づく。俺のポンコツティーチャー発言に真島先生は、申し訳なさそうにしているし、星之宮先生は軽い感じで謝っているし、坂上先生はポンコツ発言にショックを受けている。茶柱先生も落ち込んでいるが、あんたのポンコツは前からだから今気にしても仕方ないと思う。
「これで…おっ開いた…おや?」
多少、時間はかかったが何とか秘密箱を開けることができた。後ろからは「おー!!」と驚きの声が上がる。ただ秘密箱の中には何も入ってなかった。
「えっ?何も入ってない…」
「何…茶柱、誰かが入れ忘れたのか?」
「いや…そんなことは…あるのか?」
茶柱先生が箱の中を覗き込んで空だったことに先生は焦り、後ろの生徒たちからも動揺が見られるが、俺自身は焦りを感じていなかった。なぜならこの秘密箱にはもう一つしまえる場所があるのを思い出したのだから。
「安心してください先生方。多分ちゃんとありますよこれ。」
「黒凪、何故そう言える?」
「それは…茶柱先生この箱を持っていてください。」
「ああ。」
茶柱先生に開いた箱を渡し、俺の手には分離した秘密箱の蓋ともいえる部分だけがある。その蓋の端を掴んでスライドした。これが秘密箱のもう一つの収納場所である。そして開いた蓋から一枚の紙が出てきた。
「おっこれか…ほう。」
一枚の紙には『+50cpt』と書かれていた。なるほどこういう追加報酬が宝箱の醍醐味なのか。
「よし、全て出揃ったな…それでは各クラス、紙に書かれていることを声に出して読んでくれ。」
「えー『+50cpt』です。」
「ククッ『+150cpt』だ。」
「はい…『-40cpt』です。」
「…『占有ポイントが0になる』だ。」
各々の増減が出たわけだが、Aクラスだけちょっとヤバくね。確かに普通に増えたり減ったり、あるいは増減なしもあるだろうなとは思っていたが…これもしかしてあれ以上にヤバイやつとかあったのだろうか…
「では宝箱の報酬により、改めて結果を発表する。」
というわけで各クラスの増減によりランキングは以下の通りになった。
一位 Bクラス『華麗なる神崎一族』
235ポイント (275-40)
二位 Dクラス『魔境』
233ポイント (183+50)
三位 Cクラス『龍園と愉快なリベリオンズ』
150ポイント (0+150)
四位 Aクラス『39人の家族』
115ポイント (133-18)
まさかのDとBが僅差になりCが三位に繰り上がるという結果になった。いったい誰がこの結果を予想できただろうか。
「ハッいいな!バカンスしてこんだけ稼げたんなら文句もねえな。」
龍園は笑い。
「すまないみんな運はあまり持ち合わせていなかったようだ。」
「ううん、気にしないでご主人様。これでも一位なんだから。」
神崎は申し訳なさそうにするが一之瀬は気にすることはなく。
「うおおおおおすまない坂柳いいいいいい。不出来なお兄ちゃんですまないいいいい。」
Aクラスはこぞって大号泣である。
「ではこれにて無人島特別試験を終了する!!Dクラスから船に乗り込むように。」
真島先生の一声にようやく解散となる。長かった特別試験が終わりを迎えた。ただもう一つの試験がまたある以上、気楽に休めない気がする。
歩きながら各クラスのcptを思い出す確か…
Aクラス 1090cpt
Bクラス 888cpt
Cクラス 717cpt
Dクラス 405cpt
この試験が始まるまではこうだった。これを今回の結果を反映すると…
Aクラス 1205cpt (1090+115)
Bクラス 1123cpt (888+235)
Cクラス 867cpt (717+150)
Dクラス 638cpt (405+233)
となる。クラス変動はなしである。
「絢都。お疲れ様。」
「愛里。お疲れさまだな。」
「なんだかんだ楽しかったね。」
「そうだな…楽しかったな。」
思考を中断し、愛里との会話に花を咲かせる。いろいろと疲れはしたが、振り返ってみれば確かに今までにない経験で楽しかったのは確かである。混沌としていたが…
「ねえ絢都。」
「どうした愛里?」
「また無人島デートしたいね♪」
「……だから、特別試験だっての。」
それでもこんな混沌した学校でも愛里といれば俺は大丈夫だと思う。俺と愛里は笑いあって手をつなぎ、船へと歩いて行った。
あとがきのなく頃に…
はい作者です。
無人島試験が終わりました。
この順位を予想できた人はいるのだろうか…多分いないと思う。
というわけで次回からもう一つの試験になりますが…多分短めになりそうな気がする。こちらの試験はもう結果を決めてありますので。
ちなみに裏話というか裏設定というか
この宝箱の追加報酬として一番増える結果が龍園が引き当てた+150cptで
一番減るのが『この試験で得たポイントは0になる』というもので考えてました。マイナスに関して流石に誰も引かせませんでした。
次回もお楽しみに。
他ヒロインというIFルート…見たいのは?
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堀北鈴音
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長谷部波瑠加
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坂柳有栖
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