前回のあらすじ
テスト終わって…まあいろいろとあったんだよ。
以上
第57話 黒凪相談所IN生徒会室 その一
テストが終わりもう少しで冬休みが来るという時期になってきたが俺にはあまり関係がないような気がする。というのも生徒会長である以上仕事があるみたいで冬休みであっても学校に行くとのことを先代から聞いていた。
改めて面倒事を引き受けてしまったかなと考えながら作業をする。今日は仕事量が少なかったので俺だけである…厳密に言えば俺と愛里だけである。
「絢都、お疲れ様。」
「ありがとう愛里。」
愛里が持ってきてくれたコーヒーを受け取り飲む。この一杯の為に生きている…セリフがなんだかオッサンみたいだな。
「愛里今日は予定って何かあっただろうか。」
「そうだね…もう少ししたら一之瀬さんが相談に来てそれを対応する…それとそのあとにデートだね♪」
「うん、一之瀬の相談は覚えていたけど知らない予定が増えてきたな…その予定って明日にでも回せない?」
「うーん…まあいいよ。」
「ありがとう。」
急な予定が出来たがまあいいだろう。そんなやり取りをしていると生徒会室の扉を叩く音が聞こえてきた。どうやら一之瀬がやってきたようだ。
さてはてどのような相談事になることやら。
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「今日はありがとうね黒凪君、佐倉さんも。」
「別に気にすることはない。クラス内では相談しにくいこともあるだろうからな。」
「にゃはは~ありがとうね……」
やってきた一之瀬…いつも通りに見えるがなにやら無理しているように感じる。ペーパーシャッフルで負けたことか、他のことか……とりあえず相談を聞いてみるか。
「早速だが何を相談したいんだ?最初に言っておくが俺に相談したからと言って解決方法を提示できるわけじゃないからな。」
先にいっておくべきことを言っておいた。実際、周りはどう思っているのかわからないが俺自身は今の今まで話を聞いて自分の考えを言っただけでしかない。だから俺になんでも解決できると思われても困るからな。
「うん、そこは大丈夫。相談もそうだけど男としての意見も欲しかったから。」
「そうか…」
男としての意見か……神崎になにかプレゼントでも考えているのだろうか。
「それで相談なんだけどね……ご主人様…神崎君を元気づけたいの。」
「なるほどな…あと一之瀬、別に言い直さなくていいぞ。俺の中ではちゃんとイコール出来ているからな。」
四月の時に衝撃を受けた一之瀬の「ご主人様」発言、しかもその「ご主人様」が神崎という原作を知っている身としてはあまりにもインパクトがデカすぎたものだったが今はもうなんとも思わなくなったな。
さて彼女からもう少し話を聞こうか。
「神崎が何かしらの落ち込む出来事でもあったのか…まあ一つくらいは予想つくが。」
「うん、その予想通りだと思うよ。私たちのクラスはペーパーシャッフルで負けてしまってね……みんな頑張っていたんだけどね…それで少しばかり神崎君が落ち込んじゃってね。」
「そうか……」
俺はこれ以上の言葉が出せなかった。「格上のクラスに挑んだんだから~」とか言おうか考えたんだがよくよく考えたら俺たちもスコア上は格上のクラス(学力はどうかわからないが)の挑んでこちらは勝利しているのだからな……
「まあこれからも勝負事はあるから何とかなるんじゃないかな?」
俺がどう言葉をかければいいか悩んでいたら愛里が一つの答えを提示した。まあ確かにまだ一年生の二学期末である以上、まだまだこれからではあるからなんとでもなるという気分でいるのも大切ではあるだろう。
「そう、そうだね。まだまだこれからだからそこまで気を負うことはないよね?」
「まあそうだな。これからの試験次第だがどのクラスにも逆転のチャンスがあるのは間違いないだろうな。」
「にゃはは、ありがとうね黒凪君に佐倉さん。神崎君にもこんな風に言って励ましておくね。」
「どういたしまして。」
「俺は言うほどアドバイスしていないけどな。」
まあなんにせよ、一之瀬が元気になったのはよいことだろう。神崎君もあれでしっかりとしている奴だからそのうちいつも通りになるだろうな。
「で、こっから本題なんだけど。」
「今の相談は前菜だったのか…」
後の相談といえば……男としての意見をききたいだったはずだがいったい何を聞くつもりなのか。
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「さっきも言っていた通りご主人様は落ち込んでしまっているのです。」
「そう言ってたな。」
「そんなご主人様を元気づけるために何かしたいと思う私なのです。」
「なるほど…それで何か考えでもあるのか?」
「そこで黒凪君の出番なのです。」
「ここか。」
「ねえ、何かいい案はないかな?」
男が落ち込んでしまった時にしてほしいことというお題か……まあ今回みたいな勝負事での敗北、失敗という意味で考えるならあまり触れて欲しくないし、自分自身の心の整理がつくまで放っておいてほしいと思うものなんじゃないだろうか。
「そうだな…今回のケースで考えるなら一人でいろいろと考えたい時間も必要だろう。男には一人で泣きたい時もあるからな。」
「うーん、その案はパスでいいかな。」
「男の意見を聞きに来たんだよな?」
パスってなんだよ…放置という選択肢は元からないようだな……じゃあ俺必要なくないか?
「君のなかに答えがあるならもうそれでいいんじゃない?」
「そうかな?」
「うんイインジャナイカナー?」
パスされてしまった結果俺のやる気がなくなってしまったな…まあテキトーに相槌を打っておくとしようか。
「それで一之瀬はどんなことを考えているんだ?」
「そうだねとびっきりのプレゼントをしようと考えているの。神崎君をあっと喜んでもらえるようなものをサプライズで。」
「そうか、喜んでもらえるといいな。それでどんなものを用意したんだ?」
「これなの。」
そう言って一之瀬が出したのは長いラッピングリボンだった……これだけ…まさか!?
「これを何に巻くつもりだ?」
「それは…私に…」
「そうか…」
流石に言っていて恥ずかしくなったのか一之瀬の顔が赤くなる。いわゆる「私がプレゼント」を神崎にやるのか……神崎そろそろ胃が爆発するんじゃないかな。
「一足早いクリスマスプレゼントというやつだね。」
「クリスマスプレゼントってクーリングオフできたっけ?」
「喜んでくれるかな?あまりのことで驚いて開いた口を手で抑えたりするのかな?」
「手で押さえるとしたらお腹のほうだろうな。」
「喜びのあまり涙とか流したりするかな?」
「血涙は出るかもしれないな。」
「これで気分を上げてくれればいいんだけど…」
「マイナスにマイナスをかければまあプラスにはなるか。」
「よしこれで神崎君を元気にするぞ!」
「これで神崎の胃に穴が増えなければいいんだが…」
俺と一之瀬は会話をしているようでしていないな。もう自分の世界に入っているようだしいいかな。
「リボン…後で長さを測らないと」
「…」
愛里さんや、いったい何の長さを測り何に巻こうというのだろうか…聞かなかったことにしておこう。
「ありがとうね黒凪君、これで勝てるよ。」
「何に勝つつもりかは知らないが…まあ頑張れ。」
「うん、黒凪君が言ってくれた『プレゼントとサプライズは冷たいうちに七十度に投げろ』ってのを実践するね。」
「そんなこと言った覚えはないんだがな…何がどう混ざってできた迷言だそれ。」
なんだか頭を抱えたくなるが……あとは神崎に任せよう、うん胃薬くらいは用意してあげよう。
「じゃあね黒凪君、佐倉さん。」
「おう。」
「バイバーイ。」
そして生徒会室には俺と愛里だけが残った。
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「なんだか小さな嵐のようだったな。」
「絢都、嵐だったらそれはもう小さくないよ。」
「そうだな。」
相談をする必要があったのだろうかという疑問は呑み込んで愛里と片づけをしていた。俺は時計を見て予定よりも早く終わったなと感じた。これならば今からでも愛里とデートできるかと考えていたら扉をノックする音が聞こえた。
「……開いているぞ。」
「すまないここに一之瀬がやってこなかったか!?」
入ってきたのは先の相談で名前が挙がっていた神崎だった。なにやら慌てているような切羽詰まったようなそんな表情をしていた。
「よく来たな神崎。コーヒーでも飲むか?」
「そうだな……ブラックコーヒー、コーヒー豆抜きで頼む。」
「お湯なんよそれ…まあいいわ愛里、神崎にお湯あげて。」
「うんわかった。」
「すまない。」
「構わんよ。それで相談か?」
「あぁ。」
「まあゆっくりしていきな。」
これから起こるであろう胃痛案件のことを考えたら優しくしておかないとな…さて相談はどんな内容になるのか…
「ふぅ五臓六腑に染みわたるな。」
「一応言っておくがただのお湯だからなそれ。それで今日はどうしたんだ?」
「あぁ…さっき一之瀬がここに来なかったか?」
「あぁ来たな。」
「そうか…」
確認をとった後神崎は項垂れていた。なんだか先程の確認の言い回しがカリ〇ストロの城の銭〇の言い方に似ていたなという思ったが言葉にするのはぐっと抑えた。
「さっき、お前を元気にしようと張り切っていたぞ。」
「あぁ、それは知っている。ペーパーシャッフルが終わってから何かにつけて励ましてくれていたからな。」
「そうか…俺が言う事でもないとは思うけど、Aクラスに挑戦したというそういう行動は間違っていないし、いい経験になったんじゃないかと思うぞ」
「あぁ、それに関しては俺も割り切っているさ。だけど一之瀬の暴走は止められなかった。」
「暴走って…まあ暴走か。」
クラスのリーダーを励ますために自分をプレゼントにしようとしているのだから暴走と言っても間違いではないだろう。
「黒凪……一之瀬を止める方法はないか?」
「……ないだろうな。」
「……黒凪……一之瀬を止める方法はないか?」
「いや…だからないだろうって。」
「………黒凪……一之瀬を止める方法はないか?」
「無限ループに入るな。何度問われてもないものはないぞ。」
どうしよう…神崎若干壊れているんだけど…一之瀬が構い過ぎた結果か。
「ちなみにだが何をプレゼントするのか聞いているのか?」
神崎がそう聞いてきた。さてどう答えるべきか…ストレートに答えを言うのではなく、ヒントという形で導くとするか。
「そうだな…一之瀬はリボンを持ってきた。」
「…リボンだけか?」
「あぁ、そのリボンはあまりにも長かった。プレゼント箱に巻くには絶対に余るようなほどの長さだ。」
「……他には?」
「他には何も持っていなかった。これから何かを買いに行くとの話も聞いてないな。」
「……まさか。」
「おそらくだがその予想は当たっているかもしれないな。」
「ぐぅ!!」
「おい神崎!!しっかりしろ!!」
答えにたどり着いてしまった神崎がお腹を押さえて苦しみだした。どうするべきか?
「大丈夫だ…黒凪…問題ない。」
「問題しかないだろその状態。」
「もう諦めて受け取ったらいいんじゃない?」
今まで黙っていた愛里が爆弾を投下した。まあそれが手っ取り早いといえばそうなのだが…
「受け取ってそのあとどうしたらいい!?」
「え?受け取って……どうしよう?」
ふむ…俺も少し考えてみるとしようか……
問、クラスのマドンナがクリスマスプレゼントとして自分にリボンを巻いて自分の部屋にやってきました。さてどう対処するべきか?
前提として、そのマドンナに恋愛感情はあるかどうか不明とする……
難問じゃね?
受け取ってそのあとどうするべきかわからないし、受け取らないにしても相手からおして来たら逃げられないし……なんだか詰みだねこれ。
「神崎……」
「なんだ黒凪?」
「……流れに身を任せることも大切だぞ。」
「諦めろということか……」
「…暖かい飲み物は用意しておくぞ。」
「あぁ、水にぬるま湯に白湯に熱湯を用意しておいてくれ。」
「全部一緒だぞそれ。」
結局神崎の悩みは解決することはなくこのままお開きとなった。神崎は愛里が用意したお湯を飲み、また「五臓六腑に染みわたる」なんて言っていたが……お湯ってそんなに染みわたるものだろうか…
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「Bクラスって大丈夫なのかな。」
「それはどういう意味で?」
神崎の相談?が終わった後、二人で寮まで帰っていた。帰る道すがらの話題は先程相談してきた二人のことそしてその所属するクラスのことだ。
「強烈なキャラなひとがいると影響がすごいと思うんだけど他のみんなはどんなこと思って過ごしているのかなって。」
「それさぁ、魔境と呼ばれているクラスで過ごしていながらその感想が出るのはすごいと思うよ。」
愛里にとって、一之瀬は誰よりも個性が凄いということになるのだろうな……綾小路よりも櫛田よりも一之瀬かぁ……まあ考えは人それぞれだな。
「Bクラスにとっては一之瀬のあのキャラももはや見慣れているのだろうさ。」
「なるほど…でも神崎君だけはなれてないんだよね。」
「慣れてないというべきなのか……彼は普通、対等な関係を望んでいるのだろうな。」
「対等?」
「あぁ、時に意見を交え、時に知恵を出し合い、時に適材適所で動いて…そんなリーダーとサブリーダーみたいなものを望んでいたんじゃないだろうか。」
「なるほど。」
今の関係をみるにリーダーと従者って形だしな。一之瀬はそれでいいと思っているけど、神崎はそれをどうにかしたい…という思いはもうないかもしれないな。
そういえば…この世界線の白波千尋ってどんな性格しているのだろうな…原作では一之瀬に告白した女子であるがここでも一之瀬ラブだったりするのだろうか…
「一之瀬さんって神崎君のメイドなんだよね?」
「本人はそう言っているな。」
「じゃあさ主人の命令で対等に接することって命令でもすればよかったんじゃないかな。」
「……俺も思いつかなかった簡単な答えだな。」
後で聞いてみるとしよう。もしかしたらこういうのを実践しているかもしれないが……
「ねえ絢都。」
「どうした愛里?」
「もうすぐ冬休みで、クリスマスだね。」
「そうだな。」
「ねえ、プレゼントはなにが欲しい?」
横に並んで歩いていた愛里が少し小悪魔気味に笑みを浮かべて聞いてきた。
「なんだ?プレゼントを望めばサンタさんが贈ってくれるのか?」
「ううん、私が贈るの。」
「そこ言っちゃうんだな。」
クリスマス云々ならそういうのはサンタさんにするとかそういうノリではないのだな。
「それでプレゼントは何が欲しいの?」
「そうだな…愛里と一日何事もなく平和に過ごせたらそれでいいかな…それが一番の幸せかな…なんてのは流石にダメかな?」
「……/////」
混沌としたこの学校で平和とは何も問題が起きないことだと俺は思う。そんな日を愛里と過ごせたらとても心落ち着くものだろう。というか冬休みくらいそんなやすみが欲しい。
俺の答えに愛里の顔がみるみると赤くなっていく。俺そんなに変なこと言っただろうか。
「う、うんわかった。それじゃあプレゼントはとびきりすごいものを用意しておくからね。楽しみにしておいてね////」
「愛里?」
「いろいろ準備するから先に帰るからね/////」
「えっ愛里?」
そうして愛里は俺を置いて帰っていった。
「準備って…まだ冬休みにすらなってないんだがな…」
そんな一言をこぼし、愛里が走った道を歩いて帰った。
ちなみに神崎に対等に接する云々のことを聞いてみたら「それは禁則事項なんだ。」とだけ帰ってきた。
どういうことだよ…
福は内、あとがきも内
というわけでほぼオリジナル回でしかない第7巻に突入です。暫くは黒凪相談所の回しかないと思います。
次回もお楽しみに。
他ヒロインというIFルート…見たいのは?
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