コウマが討つ!   作:兜割り

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今回の話で『彼女たち』を出そうと思ったのに出せなかった。
自分の文才のなさに嫌になりそう。
こんな作者ですが読んでくれている読者様のために頑張ります。
では、どうぞ。


第六話

朝早く眠りから覚めたコウマは日課の朝練のために庭を使わせてもらおうとアサカを探していた。

その姿はブレイドホーネットを討伐したときと同じ姿であり、腰の武装が重たそうに揺れている。

そして聞きなれない奇妙な音を耳にした。

 

「ん? 何の音だ?」

 

ゴリゴリと何か硬い物をすり合わせるような、それでいて一定感覚で鳴り続ける音。

好奇心から音のする方向に足を向けてみると、向かい合うアサカとサキの姿があった。

周りには擂り鉢に擂粉木(すりこぎ)と言った薬師の道具と思わしき器具が並び、アサカの横には壺があって、二人の間には大き目の平たい石がある。

 

「はい、次にこの乾燥させた花と根っこを加える」

 

「わかりました」

 

サキは渡された材料を目で見て量を覚えているのか、真剣な面持ちで石の上のそれを見つめおもむろに手にした石で擂り潰し始めた。

 

「そうか・・・薬を調合しているか」

 

コウマの存在に気付いたのか、サキは手を止めて顔を上げた。

 

「あ、コウマさ―――」

 

「余所見をしない!」

 

コウマに挨拶をしようとしたが、次の瞬間、これまで見たことの無いすさまじい剣幕でアサカがサキの手をビシッと叩いた。

 

「コウマさんも邪魔をしない!」

 

「は、はい!すみません」

 

当初の予定ではアサカに用事が合ったコウマだが、その剣幕に反射的に謝ってしまった。

 

「なんですかこの量は!飲む相手を殺す気ですか!」

 

「す、すみません!」

 

アサカの一喝とサキの泣きの混じった声を聞いて、邪魔になると考え退散した。

 

 

 

「さ、さすが『影』の協力者。すごい迫力だったな……」

 

外へ出たコウマ、今でも家の中からアサカの声が響いている。

 

「あ、庭を使っていいか聞いてないな……まぁ、いいか」

 

コウマは森に控えさせたキバと練習することに決めて森へ行こうとする最中一つ倉の扉が開いていることに気が付いた。

 

「なんであの倉の扉が……まさか!」

 

コウマは倉の中に入ったが、そこには青年が一人倒れてるだけだった。

 

「い、いない!ブレイドホーネットの死骸がない!すみません!貴方ここでいったいなにがあったんですか!」

 

倒れてる青年を揺らすが反応がない、死んでるわけでもなく気絶しているだけのように見えた。

 

「アサカさんに知らせないと!」

 

コウマはアサカに報告するため急いで倉を出た。

 

 

 

ブレイドホーネットの死骸が消えたことを伝えるとアサカは倉の前で村の人間を集めて、死骸の行方を聞いていった。

コウマとサキも先ほどとは違いもしものために大きなリュックと武器を持っていた。

だが、死骸を見た村の人間はいなかった。

手がかりとしては、今も気絶している青年と酒場で見慣れない三人を見た、夜、馬車が帝都の方角へ走っていくのを聞いたという証言ぐらいだ。

 

「まずいわね。もし帝都に知られたらこの村は処分されるかも……」

 

「ここから帝都まで距離があります。馬車とはいえ、馬の体力にも限界があります。追いつけばなんとかなるかもしれません」

 

「けど、追いつく脚なんてあるの?」

 

「あります。……キバ!!」

 

コウマの声を聞いて森にいたキバが飛び出してきた。

食事中だったのか、口はもごもごと動いている。

キバの姿を見た村の人間は、驚きと恐怖の声をあげて下がった。

いきなり巨大なオオカミが現れたのだ、驚くのは当然だ。

例外としては、キバをコウマと一緒に育てたサキとその存在を聞いていたアサカはあらあらと口に出している。

 

「キバの鼻と脚の速さがあれば十分に追いつきます」

 

「……わかりました。コウマさんとキバにお任せします。この村の命運をよろしくお願いします」

 

コウマはキバの背に乗るとサキが叫んだ。

 

「コウマ様!私も一緒に行きます!」

 

「サキは万一のために村に残ってくれ」

 

「いやです。私はタイガ様に貴方が無茶をしないようにと言われているんです」

 

「……後悔するなよ」

 

「はい!」

 

サキもキバに乗り、コウマの後についた。

 

「コウマさん、サキさんこれを……」

 

アサカはコウマたちに袋を渡した。

 

「これは?」

 

「今朝、私が調合した薬で、傷薬と疲労回復の薬です。……私にはこれぐらいのことしかできません。もし、危険になったら逃げてください……」

 

「……ありがとうございます」

 

コウマとサキを乗せたキバは風のような速さで村を出ていった。

 

「ごめんなさい、テンマ、カンナ。私は貴方たちの孫を危険な目に合わせてしまいました。都合の良い言葉だけどどうか、どうかあの子たちを守ってあげて……」

 

残されたアサカは手を合わせて今はもういない友人たちに謝罪した。

 

 

 

走る。走る。走る。

コウマを背に乗せたキバは、馬車に追いつくために近道として森の獣道や山岳地帯を駆け抜けていく。

先に、川や崖でも岩を足場として跳ぶ。

大胆に体を傾かせて、急なカーブの続く山道を抜けていく。

そんな走りにコウマとサキはキバの体毛を必死に掴んでいた。

 

(これがキバの全力!こんなに速いのか!)

 

空を飛んでいるようだ。

流れていく木の緑、迫る大地。

そして、顔に当たる風。

人間の走りとはまるで違う。

なにもかもが新鮮に感じた。

置かれた状況にあって、それは最も不似合な言葉であるが、コウマはキバに乗ること、こうして風を感じることを楽しんでいた

キバや兄弟であるコウ、トツは生まれて四年間で大きく成長した。

しっかりと鋭く伸びた牙は鉄を易々と噛み砕き、体毛も一本一本が斧で断ち切ろうとしても出来ない頑丈さだが、決してしなやかさとは無縁ではない。

むしろ柔軟でありながら強固。理想的な柔らかさと硬さを両方持ち合わせている。

身体も成人男性を超えるほど大きくなり、みんなとともに狩りにいくことで里の人間に受け入れられ、キバたちの背に乗りたいと子供たちの間で人気者になっている。

無論、コウマも乗ったことがあり、成長したキバたちに最初に乗ったのである。

カルラの里からシナモ村までもサキと共にキバに乗ってきた。

だが、今の走りは違う。恐らくこれが、キバの全力疾走だろう。

少しでも体毛を掴む力を緩めれば、コウマは一気に吹き飛ばせれてしまうだろう。

風が顔を強く叩くが、コウマは笑っていた。

 

(いいぞ、いいぞ、いいぞ!僕はお前たちの親だ!キバ、お前がここまでの成長してくれて嬉しいぞ!)

 

いざ育てる時は、試行錯誤の連続で『いい子』で立派な金剛餓狼に育てれるか不安を感じた。

だが、キバは里のみんなと共存し、確かな実力を持ってくれている。

その事実がコウマには嬉しかった。

 

 

 

草原が広がる道でコウマたちは目標を見つけた。

 

「あれか!」

 

キバの背に乗り走っていると馬車に辿りつく。

しかし、普通とは様子が違い、倒れていたのだ。

コウマたちは降りて慎重に近づき、血の匂いを感じ取った。

 

「うわ……」

 

「ひ、ひどい……」

 

馬車の中の惨状に二人は声を漏らした。

中には消えたブレイドホーネットの死骸と運んだ犯人であろう男二人の死体があった。

特に男たちの状態は酷く、腹を真っ赤にして中の臓物が散らばっているのもあれば、後から頭を剣で貫かれたようなもの、体を大きくかじられて欠けているとしか表現できないものもあった。

死んで時間が経っていないのか、血が乾いていなかった。

共通の点として体の一部が残骸として散らばっていた。

二人は四年ぶりに見る人の……しかも凄惨な死体に胃液を戻しかけた。

吐くのを我慢したコウマは千切られた腕を掴んで断面を調べた。

 

「これは切ったあとじゃないな。もの凄い力でねじりとられたんだろう」

 

「他の体の部分も大きな顎でかじられたあとがあります。一体なにが……」

 

「まず、ブレイドホーネットを調べよう。キバ、運んでくれ」

 

コウマの頼みにキバは頷いて死骸を引きずり出す。

調べるとブレイドホーネットはやはり死んでおり、コウマが手甲の爪『鋼爪』で頭を貫いた後があった。

 

「死んだふりってわけじゃない……じゃあだれが?」

 

「コウマ様!ここ!」

 

考え始めたコウマにサキの声が聞こえ、指を指した場所を見る。

そこはブレイドホーネットの腹の部分であり、なにかが腹の部分から飛び出したみたいだ。

 

「腹の中からなにが出てきて……そいつがこの人たちを殺したんだ」

 

「でも、一体なにが……まさかブレイドホーネットが?そんな生態彼らにはありませんよ?」

 

「ウォン!」

 

コウマとサキが犯人に悩んでいるとキバの声が聞こえた。

 

「どうしたキバ?……あ!」

 

キバの視線の先には三人組の一人だろう男が血まみれで倒れている。

 

息があるのかまだ動いていた。

 

「大丈夫ですか!あの馬車で一体なにが!」

 

コウマが男に声をかけた時、男の体が激しく震えだし、身体を痙攣させた。

 

「アァァァァァァァァァァッ!!」

 

男が絶叫すると、痙攣で跳ね踊る身体がふと静止したその時、腹が血をふいて破裂した。

その穴から蜂の頭部が三つほど現れたのを見た瞬間、コウマはすかさずに『鋼爪』を出して、三つの首を一閃し、跳ねた。

 

「最悪の状況だ。……まさか女王の体から新しい女王が孵化するなんて」

 

男の見開いた目を閉ざしながらコウマは呟く。

 

(……ならば女王はどこへ行った?)

 

そう考えると草の中になにかの物体を見つけ、そこに脚を進めるとブレイドホーネットが脱皮したと思われる抜け殻があり、その大きさはコウマが討伐した親と同じ大きさだった。

 

「まだ大きくなるのか……女王のやるべきこととして巣を探しているな」

 

「コウマ様ここから先には……」

 

「ああ、分かってる。この先にあるのは……」

 

コウマは視線の先にはブレイドホーネットが隠れたと思われる樹海がある。

 

「―――ジフノラ樹海だ」

 

 

 

ジフノラ樹海。

帝都の外れにある樹海であり、危険種が多数生息する危険地帯である。

主なのは、三級危険種の花弁で標的を捉える肉食植物型危険種メランザーナ、群れで行動する犬型危険種ジフノラドッグ、人間の数倍もある巨体を誇り、東部に生えた角が武器の

特級危険種のトリケプスがいる。

そんなジフノラ樹海にイレギュラーな危険種が入り込んでいた。

死んだ『女王』の体内から生まれたブレイドホーネットだ。

昆虫の女王蜂や女王アリは、生まれた時から女王になるべき特異な遺伝子を持っていたわけではない。

ひとつのコロニーで発生した幾多の個体は、どれもが女王になり得る体質を備えている。

だが、何らかの基準で選ばれた一個体のみが、ロイヤルゼリーを特別に与えられ、あるいは育成を抑えられる特殊なフェロモンから解放され、他とは異なる体質に育って女王に成長する。

突発的な事故により女王蜂を失ったコロニーで、一体の働き蜂が新しい女王蜂に変異することがあるのは、よく知られた事実だ。

……この孵化したブレイドホーネットにも同じことが起こった。

もとは兵隊に成長するはずの個体が、『女王』の臓物というロイヤルゼリーを与えられたことで、さらに女王のいない環境で自らの身体を進化させた。

本能的に暗闇や物陰に身を潜めるのを好む彼女は自分が隠れることができる場所を探していた。

『女王』としての能力なのか感じたのだ、我が子の産声を。

しかし、その声もすぐに消え、子供たちがなにものかに殺されたことを理解した。

相手はすぐに自分を追ってくるだろう。

ならば、迎え撃つためにテリトリーを作り、ここの生物を喰って強くならなければならない。

そう考えたブレイドホーネットだが、ある存在を見てその思考も吹き飛んだ。

自分の視線の先に子供たちの寄生ホストになる人間が多くいる。

さっき『種』を植え付けた人間より小さいが、我が子たちを育てるには十分な大きさ。

獲物を確認すると先ほどの受胎を思い出す。

自分が女王の責務を果たした時の感動と興奮、満足感を。

女王となったブレイドホーネットは自らの本能に従って、口から液体を垂らしながら、獲物に襲い掛かった。

 

 

 

「まさかこんな事態になるなんて……武器多めに持ってきてよかった……」

 

「ブレイドホーネットだけでなく、樹海の危険種とも戦うことになるかもしれませんからんね……」

 

三人の死体を地面に埋めて、ブレイドホーネットの死骸を燃やしたコウマたちは逃げたブレイドホーネット、いや女王ホーネットを討伐するために、背負っているリュックを下ろして準備する。

背や腰にかけた武器を念入りに確認し、最後にコウマは手甲から出る『鋼爪』の機能を確認して頷く。

 

「ところでサキ、武器はどうしたんだ? まさか手ぶらじゃないだろ?」

 

「ああ、それならマイ様が、これを持っていきなさいって」

 

問いかけるコウマにサキは着物と帯の間に差し込まれたモノを取り出す。

 

「それは……扇子?」

 

「はい。それもただの扇子じゃありませんよ。どうぞ」

 

サキに渡された扇子を受け取るコウマだが、その重さは予想より重く地面にぶつけそうになる。

 

「重い? コイツは鉄扇か?」

 

扇子の一番外側にある親骨に内側の中骨、そして広げた部分の扇面。それら全てが鉄製。

縁の部分は刃として使えるように切れ味を持っており、その鋭さはコウマの爪と同じ威力だろう。

更にサキはコウマから鉄扇を返してもらうと、おもむろにそれを広げ始める。

 

「それに、こうしますと―――」

 

ガチャガチャガチャと鉄特有の硬い音が鳴り響いて完全に広げ終わると、サキは力強くそれを振るった。

すると鉄扇の外側部分から両刃の細い紫の刃が何本も姿を見せる。

 

「はぁ~なるほど。……仕込みか。うわ、よく見たらこの仕込み刃、毒針じゃないか」

 

姿を見せた刃は、鉄で作られておらず生き物の部位を使っているようで、飛び出した今、先端から液体をじわじわと出している。

親骨と中骨を合わせた全ての扇骨から伸びる刃は強く外側に力が働いた時にだけ出現するらしく、上に向けると引っ込んでしまう。

だが一瞬で現れるそれは知らない相手には絶大な効果を発揮する隠し武器である。

 

「母さん、こんな物騒な武器使ってたのか?」

 

「はい、元々はタイガ様が作ったものを譲ってもらったそうです」

 

「へぇ~面白い話を聞いたな」

 

両親の仲は円満だが、馴れ初めは聞いたことがないので帰ったら経緯を聞いてみようと思ったコウマである。

 

「それじゃ、キバ。女王を追跡するにはお前の鼻が頼りだ、頼んだぞ」

 

「ウォフ!!」

 

キバの力強い返事を聞いたコウマたちは樹海に入った。

だが、今この樹海の反対側ではある『選定』が行われており、その結果、標的が予想を超える戦いになるのをコウマたちはすぐ知ることになる。

 

 

 

キバを先頭、サキを中心、コウマを最後にして、樹海の木々を足場にして進むコウマは首を傾げていた。

樹海の殺気だっており、虫の声が聞こえないのに獣の声が騒がしく聞こえている。

虫は例外があるが、自分より巨大な相手が現れると擬態して隠れるか逃げるかの二択を選択する。

その状況で自分の居場所を教える『音』を出す存在はいない。

獣も同じように強大な存在が現れると身を潜めてやり過ごそうとする。

それが自然をうまく生きていくやり方だ。

里を囲む樹海でサバイバルをさせられたコウマは身を持って知っている。

ブレイドホーネットという異物が侵入したことで、虫や獣が静かになることは理解できるが、獣たちは逆に興奮状態になっている。

コウマは今の樹海の状態から、ブレイドホーネットとは別の何かがこの樹海に入り、何かが起こっていると確信した。

すると、遠く、何かを打つような音が聞こえた。

 

「木が倒れる……」

 

見れば、木々の群れの奥、遠くの一本が傾き出している。緑の葉に包まれた尖塔のようなシルエットが付近の木々に寄り掛かり、倒れていく。

木を倒す存在に興味を持ったコウマだが、そちらを見てから、視線を元に戻して器用に枝の上を飛ぶキバとサキを追おうとした。

だがそのときだった。今度は、木の揺れとは違う音が聞こえた。

人の悲鳴だ。

 

 

 

 

「―――」

 

コウマは反射的に止まっていた。

耳は確かに響く高い声を聞いた。

先に進んでいたキバたちも聞こえたのか止まっている。

 

「コウマ様、どうしますか……?」

 

「どうすると言われてもな……」

 

サキの言葉に眉を詰めて、考える。なぜ、こんな場所に人がいるのか。ブレイドホーネットの追跡とどちらが優先か。木を倒した存在、恐らくは危険種と一戦交わるかもしれないと思案する。

 

「よし」

 

目を開ける。

視線の先には倒れた一本の木がある。その木を見て頷き、サキたちに伝える。

 

「助けに行くぞ。どうしてこんな場所にいるかは知らないが、見殺しには……出来ない!」

 

「はい、コウマ様!」

 

「オン!」

 

コウマの力強い言葉を聞き、サキたちも満足の返事を受けたときには動き出していた。

一歩。

足音は軽く、木々を踏み台にして跳ぶ。

先ほどの移動よりも、腰を落としているので歩みは速い。

急ぐ。目標は先ほど折られた木だ。

コウマたちは、枝を踏む足音と共に、そちらへと一直線に走っていく。

息は荒れない。これぐらいの移動、十になる前の自分ですらできる。

早く助けないと、淡い緊張感から体温が上がるのが感じられた。

目標の地点まで残り十数メートル。急げ、とコウマは自分に言い聞かせる。

と、視界の隅にある物体を捉えた。

ボロボロの布をまとい、血だまりに沈んでいる存在を。

 

 

 

それは少年少女たちの死体だった。

逃げられないように脚を粘液で固定されており、顔には涙の跡がある。

コウマたちと同い年と思われる子もいれば、それより下と思われる子もいた。

死体を見て木の枝から降り、死体をそれぞれ注意深く眺めた。

全て胸から腹部にかけて破裂した穴がある。

サキは唇を強く噛んで悔しさを表し、コウマも手袋に包まれた手を握りしめた。

ブレイドホーネットの抜け殻はその近くですぐに見つかった。

数は全部で十六。

まだ乾いていない体液は折れた木に向かっている。

コウマたちは折れた木の方に歩こうとした時、コウマとサキは腰にある円盤の形をした手裏剣を背後の木に投げた。

投げられた手裏剣は湾曲した刃が飛び出し、標的―――成体のブレイドホーネット三体を切り裂く。

コウマの手裏剣はブレイドホーネットの顔面を、次にその後ろのブレイドホーネットの胴体を斬り、サキの手裏剣は三体目の首と身体を分けた。

手裏剣はブーメランのように二人の手に戻ってきた。

胴体を斬られたブレイドホーネットは即死できなかったようで、体液をまき散らしながら、地面でのた打ち回っている。

その頭をキバが脚で踏みつぶし、ピクリとも動かなくなった。

 

「いくぞ、サキ、キバ。こいつらは……死ななければならない存在だ」

 

コウマの氷のような言葉にサキはゾッとしたが無言で頷き、キバもコウマの怒りが伝わったのか、唸り声をあげた。

 

 




ジフノラ樹海と見てピンときた人。
想像通り、今この樹海には『彼女たち』がいます。
詳しくは『アカメが斬る!零』で!
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