遊戯王GX-砂の魔女-   作:あぬびすびすこ

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 感想はすべて読ませていただいてます。
 また、デュエル構成やカード効果のミスなども指摘をいただいてます。
 どちらも大変ありがたく思っています。

 ミスについては補完しつつ書き直していますので、お暇な時にもう一度読み直していただければと思っている次第です。


TURN 04-1 5重合体!VWXYZ

 定期試験。

 デュエルアカデミアがデュエリストを育成する場所であるものの、やはり学び舎。

 しっかりと定期試験が行われている。学業も含めて疎かにするなということである。

 まあテスト自体デュエルに関係している問題ばかりなので、やはりデュエリストのための学校なわけではあるが。

 

「十代どこにいるんだろう」

「私も見ていないわ」

「諦めてサボってるんじゃない?」

 

 そんな試験前。明日香たちと事前準備していた内容を確認していた時のこと。

 生徒たちが続々と現れる中、見知った顔が見当たらない。

 三日月が探していると、明日香も気づいて目を向けるがどこにもいなかった。

 

「私も見ておりませんわ」

「寝坊かなぁ? 仕方のないやつ」

 

 流石に試験当日の遅刻というか寝坊は容認できない。なにせ自分も特別講師なわけだから。

 ため息を吐きつつ入り口を見ていると、翔が現れた。しかし十代の姿はない。

 これは本当に遅刻だぞと思っていたら先生が入ってきた。

 

「えー、5分後に定期試験を行う。筆記用具の準備をしなさい」

 

 だめだこりゃあ。

 明日香と目を合わせてため息を1つ。

 さらば十代。君はよきデュエリストだったよ。

 

 そんなこんなで試験が始まり空欄を埋める作業をしていると、出入り口から見知った声が。

 チラッと目を向けるとやはり十代。遅れましたと言っているが、全員からの視線は冷たい。

 一応受けさせてくれるらしい。寛大な学校だなぁと思っていると、着席しても翔に話しかけていた。

 問題児過ぎる……!

 

 さらに時間が経過して試験終了。

 ものすごい勢いで他の生徒たちがダッシュしていく。何事……?

 大きく伸びをして十代を見てみると、まさかの爆睡!

 こ、こいつ……! 三日月は思わず慄いてしまった。あまりにも不真面目すぎる!

 

「はぁ……大丈夫なのかしら」

「ダメかもしれんね……声かけてこようか」

「三日月様、明日香様、私たちは先に食堂へ行っておりますわ」

「席とっとくからね」

「うん、ありがとう」

 

 ジュンコとももえを送り出して十代の元へ。

 ぐっすり寝ている……隣に座っている翔も呆れ顔だ。

 そして十代たちと一緒に見かけるコアラっぽい顔のオシリスレッド生も冷めた目である。

 

「おーい、ドロップアウトボーイ」

「んがっ! あ、おお! 圭!」

 

 肩を引っぱたくと、目が覚めた十代は嬉しそうに笑顔を見せる。

 その顔を見て全く……とため息を吐く。

 

「なんで遅刻してたのさ。試験だよ、今日」

「いやー、困ってるおばさんがいてさ。手伝ってたんだ」

「ふぅん?」

 

 なんとも嘘っぽいが、十代が言うならそうなのだろう。

 珍しいこともあるものだと全員が思っていた。

 

「なあ、他のみんなは?」

「他? ああ、そういえばみんな走っていったけど……なんで?」

「あら、知らないの?」

 

 明日香は不思議そうに首を傾げる。

 何かあるんだと思っていると、背後から声が。

 

「今日は新パックの発売日だからな」

「あ、三沢くん」

 

 ラーイエローの三沢大地。そういえば最近会ってなかったなと三日月は顔をまじまじと見つめる。

 しかし新パックの発売日とは。

 

「アカデミアでカードをどうやって集めるんだと思ってたけど、購買なんだね」

「ああ。基本的には早い者勝ちらしい」

「ふーん……で、三沢くんと明日香は行かないの?」

 

 三日月が目を向けると、2人とも首を横に振る。

 

「俺はデッキのバランスを崩したくないんだ」

「私もよ。それに、貴方が調整に付き合ってくれたじゃない」

「プロとの調整……羨ましいんだな」

 

 ぽつりと声を漏らしたのはコアラくん。

 思わず視線を向けるとバッチリ目が合った。

 

「初めまして……ではないけど、どうも。三日月圭です」

「あ、どうも……前田隼人なんだな」

 

 お互いに自己紹介して握手する。

 どうやら留年している1つ上の生徒だと話された。

 オシリスレッドも大変である。クロノス先生がよく怒っている理由がわかるというものだ。

 三日月は何やら怪しい空気になりそうなのを感じで話題を変える。

 

「僕はちょっと新パックを見に行きたいんだけど、みんなはどう?」

「俺は行くぜ! 翔も行くだろ?」

「うん、僕も気になるっす」

「そうね……購買は食堂にあるし、みんなで行きましょうか」

 

 三日月と十代、翔はパックを見に行くことになった。

 他の3人は購買まで行くが、購買では食事目当てということに。

 結局6人みんなで移動となった。

 

 デッキの調整について話をしながら購買へと行くと、何やら怒りの声と共に生徒たちがちらほらと帰ってくる。

 どうしたのだろうか。思わずみんなで目を合わせて購買まで向かう。

 

「こんにちはセイコさん」

「あら、こんにちは……三日月くんたちも、新しいパック?」

「そうだぜ! で、新パックって?」

 

 購買にいたセイコさんに話しかけると、なんともいえない表情で迎えてくれた。

 何やら訳ありの様子だ。十代が新パックについて聞くと、困ったように苦笑い。

 

「実は、買い占められてしまったの」

「ええー!? 本当っすか!?」

「買占めって……お金持ちなんだな」

 

 試験当日に買占めとは……なかなかできるもんじゃないと思うけど。三日月は首を捻る。

 生徒たちは全員同じ時間に試験終了である。抜け駆けはできない。

 どういうことなのだろうと思ったが、パックがないなら仕方がない。

 

「不思議なこともあるものですね。じゃあとりあえずドローパンを……」

「あら?」

 

 お昼ご飯にとドローパンーー内容物がランダムの闇鍋パンーーを買おうと三日月が財布を手に取ったところで、購買の奥から誰かが。

 十代が視線を向けると、ああー! と声を上げた。

 

「今朝の!」

「ああ、トメさん。こんにちは」

 

 トメさんである。十代が助けたというおばさんは購買の長だった。

 2人とも今朝はどうもとにこやかに話しをしている。

 

「俺は先に食事しているよ。デッキの最終確認もしたいからな」

「私も同じよ。先に行くわね」

 

 三沢と明日香は食事に離脱。

 早めに食べておかないと確認する時間が足りないのだ。

 三日月は余裕があるため、遠目でドローパンが置いてある台を見ていると、トメさんがそうだと声を出す。

 

「いいものあげるわよ。おいで」

 

 ニッと笑うトメさん。思わず十代や翔と目を合わせる。

 購買の奥に入っていくと、なんとパックを2つ取り出してきた。

 

「これって!」

「新しいパックよ。2つだけ取っておいたのよ!」

 

 秘蔵の新パックである。

 お礼にと言うことで2ついただけることになったようだ。

 

「ありがとうトメさん!」

「ありがとうございます。でも僕と翔は何もしてないですけど」

「ちょっと悪いっすね。トメさん、アニキ、ありがとう!」

 

 悪いと思いつつも、翔はパックを見てにこやかに笑っている。

 十代は1パック。翔は僕と2人で1パック5枚の中から山分けという方針だ。

 早速開封した十代は、有用なカードが来たのかハッとした顔になっている。

 

「十代はいいカードが出たみたいだね」

「おう! そっちはどうだ?」

「いいカードあったっす! このカードもらうっすよ」

 

 仲良くなって下の名前で呼び始めた翔からカードを見せてもらう。

 《シールドクラッシュ》。守備表示のモンスターを破壊できる通常魔法である。

 汎用性が高く、守勢の相手を突破できるカードでもある。中々いいカードを引き当てたようだ。

 

「いいカードだね。じゃあ僕はそうだな……このカードだけもらうよ」

 

 残りの4枚から1枚だけ取り、後の3枚は翔へ渡す。

 

「え、いいんすか?」

「うん。他のカードは僕のデッキじゃあ使わないし。翔も使わないならトレード用に持っておくといいよ」

「わかったっす! ありがとう!」

 

 やいのやいのと話をしながら昼食を買って席に着く。

 そして、三日月は先ほどもらった1枚のカードを手に取った。

 

「……使ってみようかな?」

 

 デッキの中で替えるカードを思い起こしながら、ドローパンをかじるのだった。

 中身はいちごジャムである。甘い!

 

 

 

 

 

   ◆ ◆ ◆

 

 

 

 

 

「それでーは、オベリスクブルー1年シニョール万丈目と、オシリスレッド1年遊城十代の実技試験デュエルを始めるノーネ!」

 

 どうしてこうなった。十代と交友のあるメンバーは思わず顔に手をやった。

 あまりにも作為的過ぎる。実技試験でブルー生とレッド生のデュエルだなんて。

 クロノス先生、やりすぎでは? 三日月は思わずため息を吐いた。

 

「まさかここまでやるなんて……」

「クロノス先生、入試試験から十代のこと目の敵にしていたから」

「アニキ、大丈夫かな……?」

 

 十代の入試試験、デュエルを担当したのはクロノス先生。

 しかも、試験用のデッキではなく自分のデッキを使っていたのだ。でも十代が勝って入学できたが。

 それ以来、オシリスレッドに厳しいクロノス先生は十代をとにかく目の敵にしている。

 何度でも思うだろう。やりすぎでは?

 

「まあ、十代ならなんとかするさ」

「三沢くん」

「ダメでも留年するだけなんだな」

 

 三沢は腕を組んで十代を見守る。十代の実力を信じているようだ。

 だが隼人。本当にそれは応援なのだろうか。

 

「行くぜ! 万丈目!」

「万丈目さんだ!」

「「デュエル!!」」

 

十代 LP4000

万丈目 LP4000

 

 先行は十代。さすがにオシリスレッドが先行となるようだ。

 

「俺の先行! ドロー! 俺は《E・HERO(エレメンタルヒーロー) クレイマン》を守備表示で召喚!」

 

 現れたのは守備力に定評のあるクレイマン。

 固い防御により、十代の盾となる。腕をクロスして絶対防御の構えだ。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) クレイマン》

星4/地属性/戦士族

攻800/守2000

 

「ターンエンドだ!」

「俺のターン、ドロー!」

 

 万丈目がドローすると、不敵な笑みを浮かべる。

 そして手札からモンスターが飛びだしてきた。

 

「俺は《V(ヴィ)―タイガー・ジェット》を攻撃表示で召喚!」

 

 現れたのは虎を模した戦闘機。ジェット噴射をして万丈目のフィールドに着陸。

 そのままクレイマンを睨みつける。

 

V(ヴィ)―タイガー・ジェット》

星4/光属性/機械族

攻1600/守1800

 

「えっ? 《V(ヴィ)―タイガー・ジェット》?」

 

 三日月は思わず身を乗り出す。

 三沢と隼人は不思議そうにしている。翔と明日香も同じような反応をすることになった。

 万丈目と十代のデュエルを覚えているからこそ、デッキの違いに困惑しているのだ。

 以前のデッキは《地獄戦士》などのカードを使っていた。機械族のカードなんて入っていたのだろうか。

 

「さらに永続魔法《前線基地》を発動! 1ターンに1度、俺のメインフェイズに手札からレベル4以下のユニオンモンスター1体を特殊召喚できる! 俺は《W(ダブル)―ウィング・カタパルト》を特殊召喚!」

 

 さらなるモンスターを手札から出現させる万丈目。

 続けて着陸したのは翼を模した亀の甲羅のような機体。何かに装着するための見た目である。

 

W(ダブル)―ウィング・カタパルト》

星4/光属性/機械族・ユニオン

攻1300/守1500

 

「圭くん、ユニオンモンスターって?」

「装備できるモンスターカードって感じだね。ユニオンモンスターを別のモンスターに装備出来て、装備魔法と同じように効果があるんだ」

「じゃあ、その効果でクレイマンを倒すつもりなんだな」

「いや……違うみたいだ」

 

 隼人の言葉を三沢が否定する。デュエリストの勘というやつだろう。

 三日月もそれに同意して頷く。万丈目のことだ、何か別の戦略があるのだろうと思っている。

 

「ククク……見せてやる、ドロップアウト! 俺はフィールドの《V(ヴィ)―タイガー・ジェット》《W(ダブル)―ウィング・カタパルト》の2体をゲームから除外!」

「なにっ!?」

「この効果により現れろ! 《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》!」

 

 2体のモンスターが組み合わさり、1つの機体となった。

 合体である。プレッシャーは先ほどの2体以上になっている。

 

VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》

星6/光属性/機械族・融合

攻2000/守2100

 

「うおぉー! かっけー!!!」

 

 十代は合体召喚に興奮しているようだ。

 しかし、その効果は十代をピンチにさせるものである。

 

「《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》の効果! 手札を1枚捨てることで、お前のモンスターの表示形式を変更する!」

「はっ!? クレイマン!」

 

 《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》から光線が射出されると、クレイマンは思わず立ち上がってしまう。

 万丈目はニヤリと笑って攻撃を仕掛けた。

 

「バトル! 《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》でクレイマンに攻撃!」

 

 カタパルトからミサイルが飛びだし、クレイマンに直撃!

 防御力に自信があるクレイマンだが、隙を突かれて破壊されてしまった。

 

十代 LP4000 → 2800

 

「カードを1枚伏せて、ターンエンドだ」

「やるな、万丈目! 俺のターンドロー!」

「万丈目さんだ!」

 

 恒例のやり取りをしつつ、十代はカードを1枚ドロー。

 普段ならここで融合していくのだが、少し悩むそぶりを見せる。

 

「俺は《E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》を守備表示で召喚! カードを1枚セットしてターンエンドだ!」

 

 特攻隊長たるスパークマン。現れたものの腕を交差して防御の構えだ。

 さらにカードをセットしてターンを渡す十代。珍しく守勢である。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) スパークマン》

星4/光属性/戦士族

攻1600/守1200

 

「珍しいな、十代が融合しないなんて」

「ええ。手札が悪いのかしら……?」

「アニキ……」

 

 見ているほうもこの反応である。

 十代と言えば融合からの逆転。珍しく勢いがないため、みんな不安がっていた。

 

「その程度か! 俺のターン!」

 

 カードを1枚ドローすると、万丈目は悪い笑顔を見せつける。

 

「俺は手札から《X(エックス)ーヘッド・キャノン》を召喚!」

「あれは、海馬瀬人の!」

 

 ギャラリーから声が上がる。

 バトルシティという大型大会の際、KC社長である海馬瀬人が使用したカードの1枚。

 高い攻撃性能で、ファンも多いカードだ。

 

X(エックス)―ヘッド・キャノン》

星4/光属性/機械族

攻1800/守1500

 

「さらに《前線基地》の効果で、手札から《Y(ワイ)―ドラゴン・ヘッド》を特殊召喚!」

「まさか……!」

 

 さらに呼び出されたのはドラゴンを模した機体。

 ギャオンと機械音声で咆哮を上げて登場する。

 

Y(ワイ)―ドラゴン・ヘッド》

星4/光属性/機械族・ユニオン

攻1500/守1600

 

「リバースカードオープン! 永続罠《リビングデッドの呼び声》! 墓地の《Z(ゼット)―メタル・キャタピラー》を特殊召喚!」

「いつ墓地に……そうか! あの時!」

 

 十代は《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》の効果を思い出してハッとする。

 あまりにも無駄のない滑らかなコンボ。万丈目のデュエルタクティクスが光る戦術だ。

 地面から現れたのはキャタピラがついた四足の機体。戦車のようである。

 

Z(ゼット)―メタル・キャタピラー》

星4/光属性/機械族・ユニオン

攻1500/守1300

 

 

「行くぞ! 俺は《X―ヘッド・キャノン》(|Y―ドラゴン・ヘッド)Z(ゼット)―メタル・キャタピラー》を除外! 現れろ! 《XYZ(エックスワイゼット)―ドラゴン・キャノン》!」

 

 海馬瀬人が武藤遊戯に対抗すべく、そして神の召喚のために使えるカードとして使われた合体機体。

 そのプレッシャーは相対している十代に降りかかる。

 

XYZ(エックスワイゼット)―ドラゴン・キャノン》

星8/光属性/機械族・融合

攻2800/守2600

 

「XYZ……! かっけー!」

「ククッ、ここで終わりじゃないぞ! ドロップアウト!」

「えっ!?」

 

 万丈目がそう言い放つと、《VW(ヴィダブル)―タイガー・カタパルト》と《XYZ(エックスワイゼット)―ドラゴン・キャノン》が飛び上がる。

 見ている生徒たちはざわつき、三日月は目を見開く。

 

「まさか……!」

「圭くん!? どうなっちゃうんすか!?」

「とても強力な合体モンスターがいるというのは知っている……まさかここで見るなんて!」

 

 飛び上がった2機はそれぞれが変形合体し、組み上がっていく。

 両脚、両腕、そして顔。

 全てが変形し終えて着陸すると、二足歩行の人型決戦兵器が登場した。

 

「《VWXYZ(ヴィトゥズィ)―ドラゴン・カタパルトキャノン》!」

「ヴィ、トゥズィ……!」

 

VWXYZ(ヴィトゥズィ)―ドラゴン・カタパルトキャノン》

星8/光属性/機械族・融合

攻3000/守2800

 

 巨大な合体ロボット。

 5体のモンスターを使った切り札だ。

 その効果は極めて強力である。

 

VWXYZ(ヴィトゥズィ)の恐ろしい効果を教えてやる! 1ターンに1度、相手フィールドのカード1枚を除外できる!」

「なんだって!?」

「ドロップアウト! 貴様のヒーローを除外!」

 

 VWXYZ(ヴィトゥズィ)からビームが放たれるとスパークマンに直撃。

 爆発と共にヒーローは異次元へと消え去った。

 

「スパークマン!」

「フハハハハハ! これで終わりだ! VWXYZ(ヴィトゥズィ)でダイレクトアタック! VWXYZ(ヴィトゥズィ)―アルティメット・デストラクション!」

 

 胸の砲台に強烈な光が集まり、十代に向かって放たれる。

 この攻撃が決まれば万丈目の勝ちである。

 

「アニキ!?」

「いや、まだ伏せカードがある!」

 

 翔たちの焦りを他所に、十代は余裕そうにリバースカードを発動した。

 

「罠発動! 《ヒーロー見参》! 相手モンスターの攻撃宣言時に発動できるぜ! 俺の手札からランダムに1枚選んでもらって、選ばれたカードがモンスターなら特殊召喚できる! 違ったら墓地に送るぜ!」

「ハッ! その場しのぎだ!」

「だったらモンスター以外を当ててみろ!」

 

 十代が4枚の手札を万丈目に掲げる。

 チッと舌打ちした彼は一番右のカードを指さす。

 

「一番右だ!」

「これか? こいつはモンスターだ! 現れろ、《E・HERO バーストレディ》!」

 

 手札から飛びだしてきたのは赤と白が似合うヒーローの紅一点。

 着地するとともに守備表示で十代を守る。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) バースト・レディ》

星3/火属性/戦士族

攻1200/守800

 

「クク、守備表示で出しても関係はない! VWXYZ(ヴィトゥズィ)が攻撃したモンスターは表示形式を変更することができる! 貴様のヒーローは攻撃表示だ!」

「なんだって!?」

 

 VWXYZ(ヴィトゥズィ)から電撃が放たれると、バーストレディに直撃する。

 感電した彼女は苦しみながら立ち上がってしまう。

 そのまま放たれていたレーザーに打ち抜かれ、その衝撃は十代にも降りかかった。

 

十代 LP2800 → 1000

 

「うわあああーーっ!」

「ハハハハハ! これが俺の実力だ、ドロップアウト! 潔くサレンダーするんだな!」

 

 自信たっぷりに宣言するが、十代は姿勢を直すとニヤリ。挑戦的な笑みを浮かべる。

 それを見た万丈目は忌々しそうに眉間に皺を寄せた。

 

「こんなにワクワクするってのに、やめられるか! 俺のターン、ドロー!」

 

 十代がカードを1枚ドローすると、キラリと光ったように見えた。

 三日月は思わず目を擦ってまじまじと見つめる。

 

「まさか……」

 

 顎に手を当て、十代のプレイングを目に焼き付けようと身を乗り出す三日月。

 周囲はそんな彼のことなど気にしない程、このデュエルに夢中だった。

 

「へへっ、来てくれたか! 相棒! よし、俺は《ハネクリボー》を守備表示で召喚!」

 

 クリクリ~!

 気合の入った声で登場したのはかの有名なクリボーに羽が生えた《ハネクリボー》。

 周りの女子生徒たちから「かわいい~!!」と絶賛で、照れたようにハネをパタパタ動かしている。

 

《ハネクリボー》

星1/光属性/天使族

攻300/守200

 

「ここで《ハネクリボー》!」

「破壊された時に、ターン中に受ける戦闘ダメージを0にできる効果を持っているが……VWXYZは除外効果だ。それは十代もわかっているはず」

 

 三沢が解説した通り、《ハネクリボー》はフィールドで破壊されると、そのターンに戦闘でダメージを受けなくなる効果をもつ。

 しかし、あくまで破壊。現状は除外で対処されるため、効果的ではない。

 

「カードを1枚セットして、ターンエンドだ!」

「クク……それでしのいだつもりか?」

「そう思うなら攻撃してみろ! 万丈目!」

「万丈目さんだ! 俺のターンドロー! VWXYZの効果で毛むくじゃらを除外してダイレクトアタックだ!」

 

 万丈目は勢いそのままに効果を使い、十代へとダイレクトアタックを決める。

 胸のキャノンからレーザーがハネクリボーに向けて飛んでいく中、十代はリバースカード発動した。

 

「リバースカードオープン! 速攻魔法! 《進化する翼》!」

「進化する、翼……?」

「手札を2枚とフィールドの《ハネクリボー》を墓地に送ることで、このモンスターを特殊召喚する! 来い! 《ハネクリボー LV(レベル)10》!」

 

 手札のカードが2枚《ハネクリボー》のハネに落ちると光を放つ。

 光を伴って現れたのは、荘厳で巨大な翼を携えた《ハネクリボー LV(レベル)10》だ。

 

《ハネクリボー LV(レベル)10》

星10/光属性/天使族

攻300/守200

 

「何かと思えば、そんな雑魚モンスター……粉砕してやる! やれ! VWXYZ(ヴィトゥズィ)!」

 

 万丈目は攻撃力を見て鼻で笑い、攻撃を続行。

 ハネクリボーへレーザーが到達する瞬間、その大きな翼で攻撃をガードする。

 

「なんだと!?」

「これが相棒の力だ! 《ハネクリボー LV(レベル)10》を生贄に捧げることで、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊! 攻撃力分のダメージを受けてもらうぜ!」

「なにィ……ッ!?」

 

 攻撃を受けていたハネクリボーが光を放つ。

 凄まじいパワーを受けたVWXYZ(ヴィトゥズィ)は、あちらこちらから爆発が起き、そのまま光にのまれてしまった。

 

万丈目 LP4000 → 1000

 

「なんだと……VWXYZ(ヴィトゥズィ)が……ッ!」

 

 先ほどまで圧倒的有利だった状況が、一瞬にして覆ってしまった。

 思わずギリッと強く歯を食いしばる。

 手札のカードは《打ち出の小槌》。手札の交換カードだ。どうすることもできない。

 

「ターンエンドだ……!」

「俺のターン!」

 

 十代はデッキに指を添えると、万丈目に向かってニヤリと笑う。

 

「なあ万丈目!」

「万丈目さんだッ!」

「ここでモンスターを引けたら、おもしろいよな!」

 

 十代の手札は0。万丈目のフィールドは0。

 お互いにライフポイントは1000。モンスターを引ければ勝ちだろう。

 だが。

 

「バカなことを。そう簡単に……!」

「いくぜ! ドローっ!」

 

 十代は自信満々に、勢いよくカードをドローする。

 引いたカードは――。

 

「《E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン》を召喚!」

「ば、バカな……」

 

 現れたのは、幾度も十代と戦ってきた戦士。名をフェザーマン。

 

E・HERO(エレメンタルヒーロー) フェザーマン》

星3/風属性/戦士族

攻1000/守1000

 

「いけ! フェザーマン! ダイレクトアタック!」

「うおおおおおおーーッ!?」

 

 フェザーマンの必殺技、フェザーブレイクが炸裂!

 万丈目は破れ、膝をついたのであった。

 

万丈目 LP1000 → 0

 

「ガッチャ! 楽しいデュエルだったぜ、万城目!」

 

 オシリスレッドがオベリスクブルーを破るという快挙。

 オシリスレッドとラーイエローは大盛り上がりだ。オベリスクブルーは冷え冷えであるが。

 

「アニキ凄いっす!」

「やるな、十代」

「ええ。いいデュエリストね」

 

 わいわい騒いでいる中、鮫島校長から十代にラーイエローへの昇格が言い渡された。

 ブルーを倒した実力を評価されたようだ。筆記は……? 首を傾げる三日月。

 

「オベリスクブルー1年三日月圭、準備してください」

「あ、はい」

「がんばってね」

「全力を出してこい、三日月」

「がんばるんだな」

 

 明日香たちに応援され、デュエルフィールドへと向かう三日月。

 十代も昇格か。面白くなりそうだなと思うのであった。

 

 なお、赤いほうがいいと言ってオシリスレッド残留となるのは、後日談である。




 今日の最強カードは、《ハネクリボー LV(レベル)10》!

《ハネクリボー LV(レベル)10》
星10/光属性/天使族
攻300/守200
相手の攻撃表示モンスターを全て破壊して、攻撃力分のダメージを与える

 ハネクリボーを生贄にすることで、相手の攻撃表示モンスターを全て破壊できるぜ!
 破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを与えるから、一気に逆転できるんだ!
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