「ふっ!」
吹き飛ばされたのは僕の身体だった。床に倒れ伏し、起き上がろうとするが、その前にパラサイトワスプ・オルフェノクが、その各部から小さな粒のようなものをいくつもいくつも飛び出させた。
「またそれか…。前にも見たぞ。オルフェノクには効かないんだろう!」
教師を使徒再生したときの蟲の忌避行動を思い出すが、その反応を見越していたようにパラサイトワスプは叫んだ。
『あれは仲間を攻撃しないよう命じてあっただけだ。その気さえあれば障害はない! あんたも蟲どもの宿主にしてやる!』
叫び、蟲の群れを襲い掛からせるパラサイトワスプ。
だがそのとき、僕は既に腕を突き出していた。
『うっ!』
パラサイトワスプが苦痛の声を上げ、慌てて飛び退く。だが蟲たちはすべて撃ち落とされ、その腹部からは血が流れていた。
僕の銃から放たれた銃弾がすべて瞬く間に撃ち抜いたのだ。
『馬鹿な……! なぜそんなことが!?』
傷口から狼煙のように上がる青い炎を見て、彼は確信を持ったように叫んだ。
『お前…まさかオリジナルか! なのになぜ、僕の邪魔をするんだ!』
『あんたとは主義が違うってだけだ。少なくとも僕はこの学校で騒ぎが起きてほしくはない』
言いながら、僕はゆっくりと立ち上がる。
『それに……』
『?』
『お前の能力は僕の願う生き方には邪魔だ。はっきりいってな』
殺気を感じたのか、後ずさりしながらも身構えるパラサイトワスプ。そして僕は、その引き金を引いた。
『ぐあっ! がぁ! あがあぁ!』
パラサイトワスプは苦痛の悲鳴を上げると、その身から再び子蟲の群れを放った。上下左右、四方八方。もし僕が人間だったなら例え拳銃を持っていたとしても撃ち落とすのは不可能に近いだろうが、オリジナル──それも武器を持ったオルフェノクであればそれも可能だ。僕は迫り来る蟲たちを全て撃ち落とし、パラサイトワスプへと迫る。
『ひっ!』
恐怖に顔を歪めながらも、パラサイトワスプは最後の抵抗とばかりに、残った全ての力を自らの肉体に注ぎ込んで殴りかかってくる。
『おおぉお!』
雄叫びとともに、コンクリートすら砕く拳が襲い掛かるが、それでも能力に特化しているためか容易く受け止めることができる程度のものだった。
僕はそのまま彼の懐に飛び込むと、至近距離でもう片方の手に持った銃口を向け──
『ぎゃああああああ…!!』
腹に一発、また一発と叩き込んだ。
『ふう……』
青い炎を吹き、パラサイトワスプが倒れたのを確認して一息つく。
「……」
倒したとはいえ、僕は警戒を解かずにじっと彼を見つめた。いつ動き出すか分からないからだ。だが、彼はそのまま微動だにせず、灰になっていく。
完全に絶命しているのを確認した僕は、ようやく緊張を解くことができた。
「……これで、よかったんだよな…」
急すぎる種族数変動の回避。だがこれでオルフェノク数の増加は大幅に遅れることになるだろう。
あるいは、これが運命の分岐点となるのかもしれない。