「とんだ災難だ」
現在俺はある車両で事情聴取が終わり、車両から出て深いため息を溢していた。
事情聴取の内容は先程の銀行強盗についてだ。
あの後、犯人グループを倒し茶髪のボブカットの女に何故か問い詰められそうになった瞬間数人の武装した人間が突入してきた。
警備員【アンチスキル】、その殆どが教員で構成されてる組織で学園都市の治安維持組織の1つ。
突入と同時に犯人達を速やかに確保、事件は無事に解決したのだが俺とあの女は事件について詳しく知りたいとのことでアンチスキルが用意した車両に別れて事情聴取という流れになった。
「…もう夕方か」
車両から出ると日は落ちかけ直に夜になりそうな感じになっていた。
こうなると、何か飯とかどうでもよくなってくる。
そう言えば、事情聴取の時話を聞いてたアンチスキルはやたら語尾に『じゃん』をつけてたなぁ。
いかんいかん、気を抜くと事情聴取の事ばかり思い出しそうだ。
「ようやく、出てきたわね」
「はい?」
背後から突然声をかけられめんどくさそうに振り返る。
最初はアンチスキルかとも思ったがそれは違った。
声をかけてきたのは先程の茶髪の女。
まだ帰ってなかったのかよ…
「アンタに聞きたいことが「嫌なこった」ある…はい?」
「聞こえなかったか?嫌だって言ったんだ」
女が何かをいう前に此方から先に牽制する。
俺の言葉が予想外だったのか目をパチクリさせながら俺を見ている女。
勘弁してくれよ…これ以上のイベントはこりごりだ。
銀行強盗には巻き込まれるし、事情聴取までオマケについてきてこれ以上はこりごりだ。
「はぁ、もう疲れた。お前もさっさと家帰って寝ろ…えっとビリビリ」
「…は?」
「んじゃ」
一方的に話を打ちきり後を向いて家に帰る事にする。
家帰って寝よう、明日また探検を…
などと考えいると後からビリビリっと音が聞こえてくる。
全身に嫌な予感が走った。
その、予感が当たるかのように俺の横顔から雷撃がスレスレで飛んできた。
え?あれ当たったら死ぬよね?
「あたしには…御坂美琴って名前があんのよ!!」
「あぶな!殺す気かお前!? 」
「人の話を…あれ?また…」
怒りMAXの声で俺を睨むビリビリ。
慌てて振り返りビリビリにツッコミを入れるが相手の周りからビリビリっと言う音は消えていた。
それと同時にビリビリはまた戸惑うような感じで両手を見ていた。
今といい、さっきといい…何なんだ!?
雷撃がきたかと思えば俺が振り返って俺が見ると何もなくなってるし。
あれ?そういえばあの時も…
「アンタ一体…!」
「撤収!」
「ちょ…待てコラァ!!」
俺はある可能性を考えついたがまずはこのビリビリから逃げる事にした。
だが、それをこのビリビリは見逃さず追いかけてきた。
なんでだよ!?
◇◇◇◇
「「ぜぇ…ぜぇ…」」
現在2人で第七学区にあるどこかの河川敷で息を切らせて立ち止まって睨みあっていた。
2人でどれだけ走ったのかわからない。
俺は俺で、このビリビリから逃げたかったのにあっちはあっちで何故か俺を追いかける。
その間雷撃が何度か俺を掠りかけたのが何度かあった。
しつこいのレベルをとうに越えてる、一体何が気にくわなかったんだよ?
暫く黙って睨みあっているとビリビリの方から声をかけてきた。
「アンタ、一体何者なのよ?」
「はぁ?」
「とぼけんじゃないわよ!今こうしてアンタと話してる時も私は能力が使えない。それに、さっきの強盗騒ぎの時もそう私は能力が使えなかったし、犯人の1人も能力が使えなかった!」
相手がキレながらも状況を綺麗に纏め上げる。
ここまで黙ってい聞いていた俺はある1つの可能性が浮上した。
それは、俺の能力に関してだ。
だがこの可能性が当たっているかどうか…
「聞いてんの?」
「…よし。こうしよう」
「は?」
「勝負をしよう、ビリビリ。お前と俺どちらかが1発攻撃を当てた方が勝ちだ」
俺がそう言い終えるとビリビリの目の色が変わった。
俺から少し距離を取るといつでも攻撃できるような体勢に入る。
結局、このビリビリは理由こじつけて俺と戦いたかっただけのように思えてきた。
なんだ、この脳筋ビリビリは。
小さくため息を吐きながら俺は目を閉じる。
「ようやくその気になったって訳ね。なら遠慮なく行かせてもらうわよ!」
ビリビリはそう言うとビリビリっと音を立て始める。
目を閉じてる俺はビリビリが何をするかはわからない。
だが、もし俺の予想が正しければ目の前のビリビリがどんな攻撃を仕掛けてきても意味をなさない筈だ。
勿論、予想が外れていれば俺は只ではすまない。
そうなったらあの強盗達と同じように真っ黒になる。
…なったらどうしよう、あーヤバい自信が…
!!!!!
そうこう考えているとビリビリが雷撃を俺に向けて放つ音が聞こえた。
クソ!まだ心の準備ができてねえのに!
棒立ちのままの俺はゆっくりと目を開く。
目を開きビリビリの方を視ると、俺の目の前まで来ていた雷撃が消えた。
一方のビリビリは突如消えた雷撃を目の当たりにして目を見開いて呆然としていた。
…やっぱりか。
あの神様が俺に与えた能力についてようやく理解した。
思えばあの時も、あのビリビリが強盗に胸ぐら掴まれてた時俺は2人を『視ていた』
だからビリビリは雷撃を放つことができなかった。
そして俺に蹴り飛ばされた強盗も俺が『視ていた』から炎が出せなかったんだ。
当然、俺の視界から離れたビリビリは能力がつかえるようになって他の3人を雷撃で倒せた。
「な、なんで…」
「さーて、次はこっちの番だ。覚悟はいいよな?」
突然俺が強気に出たことに目の前のビリビリは少し後退りしていた。
そりゃ、そうだ。さっきまで逃げの一択だったやつが急に強気になったんだ。
それにあのビリビリは今能力が使えない。
俺はビリビリの方を視ながら全力で走って向かう。
ビリビリは能力がまた使えないことが分かると急いで防御に入る。
「これで終わりだ!」
「うっ…!」
ビリビリの懐に入り拳を握って攻撃をしようとした。
だが、予想外なことが起きた…
目の前のビリビリはさっきまであんな強気でいたくせに今は両手をクロスした状態で防御して目を閉じたまま若干涙目だ。
あー…何か俺が悪者に見えてきた。
でも、どうしようか…このままじゃ決着はつかないし。
そうだ、こうしよう。
俺は拳を引っ込め代わりにポケットから携帯を取り出しビリビリをカメラで撮る。
シャッター音が聞こえたビリビリはゆっくり目を開ける。
「??」
「はい、俺の勝ち」
「は、はぁ!?何言ってんのよ、まだ勝負は…!」
「ほれ」
怒り心頭なビリビリに俺はさっきまで涙目だった姿の写真を見せる。
すると、ビリビリは顔を真っ赤にしながら口をパクパクと動かすが何を言ってるのかサッパリわからん。
まあ、1発とは言ったけど精神的に与えるのは無しとは言ってないし。
「これに懲りたら、なにふり構わず喧嘩吹っ掛けることはやめるこったな。ビリビリ」
俺はそれだけ言い残すと携帯をポケットにしまい後を向き帰る事にする。
これ以上めんどうごとになるのはごめんだ。
さっさと帰って…
「ふ、ふざけんなぁぁぁぁ!!」
大爆発が起きたかのような雷撃の音と声が河川敷に響き渡る。
あれ?もしかして滅茶苦茶キレてない!?
そう考えた矢先俺の右足後に雷撃が落ちる、それに続いて左足後にも落ちてくる。
ギリギリのとこで回避すると地面は真っ黒に焦げていた。
「殺す気か!?このビリビリ!!」
「うっさい!どうせ効かないんでしょうが!!後今すぐ写真も消しなさいよ!」
「やなこった!あれは俺が勝った記念写真に…ひっ」
振り返ってビリビリを視ながら反論するがビリビリの顔を真っ赤にした状態の怒りの顔が恐ろしくて俺は後退りしていた。
うん、こうなればやることは1つだけ。
「さらば!!」
「逃げんなぁ!!」
後を向き全力で走って逃げる俺。
そして俺に雷撃を放ちながらを追いかけるビリビリ。
本日二度目の追いかけっこが始まったのであった。
結局この日は、夜遅くまで追いかけられたが無事に逃げきった俺は死んだように家でねむるのであった。
能力説明
【能力殺し】
神が不動仁に与えた能力。
視界に映る全ての能力者の能力を無効化することができる。
だが、対象が視界から離れたり視界不良(煙など)の場合は相手の能力を無効化することはできない。
まあ、砕いて言えばヒロアカの相澤先生の個性みたいなものです。