とある転生の能力殺し   作:饅頭(こし餡)

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遅くなり申し訳ない。


5話 面倒事は最後まで続く

 

「暑い…暑すぎる」

 

クソみたいな炎天下、蝉の鳴き声が俺の体力を奪っていく感覚が嫌というほど分かる。

現在俺は第七学区をしらみ潰しに歩き回っていた。

何でこんなクソ暑い時に回っているかって?

 

理由は無能力が能力を得て、何処かで暴れていないか探している訳だ。

決して面白そうだな、何て思ってはいない。

だが夏休み入ってかれこれ数日は立つがそれといった事件は全然見ていないし、起きてもいない。

 

 

「違う学区の方も見た方がいいのか」

 

 

時刻は昼前。

俺の視界に入ってくるのは学生ばかり。

この場所はコンビニやらファミレスやらが多くほとんどの学生も何処で涼もうかとか飯食おうとか考えているんだろう。

流石に俺もちょっと何処かのコンビニで飲み物でも買うか。

足を止めて回りを見ると目の前にコンビニ【GREENMART】と言う看板を発見。

ここにしよう、そう呟いて早足で向かうと…

 

 

「げっ!」

 

早足でコンビニ前までついた瞬間変な声が出た。

コンビニから1人の女が出てきてきた。

目の前にいるのは転生初日から俺を追いかけ回してたあの時のビリビリだ。

向こうも俺に気付き『ああっ!』と声を出して俺に指を指す。

俺は後ろを向いて逃げようとしたがそれをこのビリビリが許す筈もなく俺の手を掴む。

 

 

「ようやく見つけたわよ!」

 

 

「…あー…どちら様でしょうか?」

 

 

「何惚けてんのよ!」

 

 

シラを切って逃げ出す作戦失敗。

その事が気に入らなかったのか俺の手を握る力を強くしてくるビリビリ。

だが視線だけはコイツの方を見ておかなければならない、視線外したらアウトコイツは真っ先に俺を雷撃で真っ黒焦げにする筈だ。

 

と言うかこのビリビリ気づいてないのか?

周りの道行く学生達がチラチラと俺達の方を見ている事を。

 

 

「私をあんな辱しめといてよく惚けてられるはね!」

 

 

「いや、言い方!!」

 

 

ビリビリの問題発言に道行く学生達が俺を見ながらヒソヒソと話をするのが見えた。

この野郎なんて問題発言言いやがる!

手はご丁寧にガッツリ掴んでるし、頭の中は筋肉か何かでできてんじゃねえのか!

 

…ん?なんだあれ?

 

 

「えーっと…目印とか何か覚えてないんですか?」

 

 

「目印かぁ…目の前に横断歩道があったな」

 

 

俺は一瞬だけビリビリから視線を外しある二人組を見つけて見てしまう。

俺の視線の先にはウニのようにツンツンしてる頭の学生の男とウェーブのかかった栗色のロングヘアの女。

普段なら気にも止めないのだが、このビリビリの状況に掴まれてる状況から現実逃避してたら気になってしまった。

 

そうこう考えていると俺の横でギャーギャー騒いでいたビリビリが黙って俺の視線を追っていた。

すると、突然…

 

 

「アンタ」

 

 

ウニ頭の学生に向かって声をかけていた。

 

 

「おービリビリ中学生と、そっちのボサボサの頭の方はは誰だ?」

 

 

どうやら知り合いのようでウニ頭の学生がこっちに向かって手を振りながら返事をする。

と言うかこのビリビリ俺と同じ中学生だったのかよ!

で、あっちのウニ頭の方は…彼氏?

 

この際そんなことどうでもいい。

彼氏か何かは知らんが、そこのウニ頭このビリビリを何とかしてくれ。

だがそんな願いは虚しく散り…ビリビリとウニ頭が俺そっちのけで会話し始めたので、俺はビリビリが掴んでる手を振りほどこうとするが振りほどけない。

それどころか振りほどこうとする度に力を強くし、横目で俺を強く睨むビリビリ。

 

 

勘弁して。

 

 

「いやー…それしても暑いな」

 

 

は?

俺の目が狂ってるのかと思った瞬間だった。

栗色のロングヘアの女が唐突にYシャツを脱ぎ始めた、しかも何の躊躇も無しに。

横にいたビリビリもさっきまでウニ頭にギャーギャー言っていたが突然脱ぎ出した女を見て一瞬黙り…

 

 

「「な、なにをしているんですか?」」

 

 

ビリビリとハモった。

 

 

「炎天下の中随分歩いたからね、汗びっしょりだ」

 

 

「そういう問題じゃ…ぬぉ!」

 

 

文句の1つを言おうとした矢先にビリビリが俺の手を掴んだままウニ頭の元に歩いていく。

いや、この手を離してくれませんかね!?

何で自ら面倒事に首を突っ込む!?見ろ周りの学生達が足止めてずっとこっちを見てるぞ!

 

 

「なによこの人!?」

 

 

「俺もさっき知り合ったばっかりだし!」

 

 

ビリビリがウニ頭に問いただす。

目の前ではウニ頭が両手で目を隠しているのだが隙間でガッツリ脱いだ女を見ていた。

横にいるビリビリは顔少し赤くしながら問いただしてるし、後ろを見ればブラ姿の女が立ってるし。

何このカオス…って言うかこいつ何で平然と脱げるの!?

あれ…どっかで聞いたな脱ぐ女って…

 

 

「と、とにかくシャツを着てください!」

 

 

俺が少し考え事をしてる間ウニ頭が脱いだ女のシャツを強引に奪いブラを隠すようにシャツを前に出す。

しかし、そこからが問題だった。

 

 

「女の人が襲われてる!」

 

 

「あの男の人が脱がしたの?」

 

 

「そういえば手を掴まれてるあの人もさっき横にいた学生を辱しめたとか」

 

 

「じゃああの人も…」

 

 

周りから疑いの声と視線が俺とウニ頭の耳に刺さる。

待て待て…脱いだのはこの女でウニ頭は無罪だ!

っていうか俺も無罪なんですが!?

そもそもこのビリビリが誤解を招く発言を大声で言ったのが原因であり…!

 

 

「誤解だぁーー!!」

 

 

「っておいぃ!!」

 

 

周りの声に我慢できなかったのかウニ頭は俺に脱いだ女のシャツを俺に押し付け全力疾走で逃げ出した。

あまりにも一瞬の出来事で俺も遅れて大声を出したが既にウニ頭の姿はなかった。

チクショウ!こうなったらこのビリビリも連れて逃げなきゃ俺まで変な噂が立つこと間違いない!

あのウニ頭次あったら蹴り倒してやる!

そう心に誓って逃げ出そうとした途端…

 

 

「君達、シャツを持っていかれるのは困るのだが」

 

 

誰のせいだこの野郎!

何て言いたかったが周りの視線がそれを言わせてはくれない。

ようやく我に帰ったビリビリが俺の手に持っていたシャツを奪い取り女に渡し早く着るように説得していた。

ようやく手を離したと思い逃げようとした瞬間今度は首根っこを掴まれた。

 

 

「アンタも手伝いなさい」

 

 

逃げたら許さない、と言わんばかりの顔でビリビリに言われてしまう。

 

 

マジで勘弁して。

 

 

 

◇◇◇◇

 

あれから周りの視線を逃げるように脱いだ女と一緒に遠くまで走らされた。

現在の場所はセブンスミストの前にあるテラス。

女はここに来ると『ここは涼しくていいな』 なんて言いながら服をようやく着て自販機まで足を運んでいた。

俺とビリビリは椅子に疲れた顔で座り込んでいる。

 

 

「何なのあの人。人前で突然服脱ぎ出して」

 

 

「俺が知るかよ…ってかナチュラルに俺を巻き込んでじゃねえ」

 

 

「私1人でどうにかしろって?」

 

 

頬杖を付きながら疲れた顔で俺を見るビリビリ。

なんか言い返しても負けそうだからここは黙るか…

しかし…どこだったかな…突然脱ぎ出す女って誰かから聞いたなような……

 

 

 

…あ、思い出した。

悠琉が言ってた『脱ぎ女』だ!

 

 

「聞いてるの?」

 

 

「はい?」

 

 

「名前よ、アンタの名前。」

 

 

思い出せてスッキリしていた所にビリビリが横槍を入れてくる。

名前を教えろって?

いやいや、どう考えたって本名教えたらこの先ずっと面倒な事になるだろ。

名前教えたくはねえし…だからと言って答えないとさらにしつこく聞いてきそうだし。

ここは適当に…

 

 

「田中太郎」

 

 

「田中太郎ねぇ…ってんな訳あるか!」

 

 

机をバン!と叩きながら拳を握るビリビリ。

疲れたり怒ったりと忙しいやつだ、まあ怒ってるのは俺のせいなんだが。

しかし流石に騙されないか…

 

 

「じゃあ、フランシスコ・ザビエル」

 

 

「よーし、アンタが真面目に答える気がないというのはよーく…ん?」

 

 

拳骨の態勢にまで来た途端カエルの鳴き声が聞こえる。

た、助かった。

けどカエルなんてどこに…

そう考えているとビリビリのポケットから携帯を取り出し誰かと通話をし始める。

お前の着信音独特すぎないか?携帯もカエルだし。

 

 

(逃げるか…いや無理か)

 

 

逃げようにも即座に俺を掴める位置にいるビリビリ。

諦めて俺も携帯を取り出し悠琉にメールを送ることにした。

『脱ぎ女見つけた』これだけ送って携帯を閉じた瞬間メールが届いた。

 

いや、早いな。

『またまた冗談を』、うんまあそう返すよな普通。

 

 

「ちょっと変わってるけど普通の人間なんだから…」

 

 

どうやらビリビリの方も俺と同じような事を電話で言っているようだ。

そうなんだよな一応普通の人間なんだよな…服脱ぐ以外は。

 

 

「変わっているというのは私の事かな?」

 

 

「どわっ!」

 

 

突然後ろから声をかけられ携帯を上に放り投げ勢いそのまま頭に携帯が直撃する。

ビリビリの方も慌てて携帯の通話を止めて作り笑顔で応対していた。

マジで勘弁してくれよ、気を緩めてる最中後ろから声とかかけるの。

携帯を拾い上げると脱ぎ女は椅子に腰かけていた。

 

 

「大丈夫かい?」

 

 

「まあ、なんとか」

 

 

頭を抑えて正面を向くとビリビリは少しだけ笑ったような顔で俺を見ていた。

何笑ってんだこの野郎、そんなに俺の顔が面白かったかよチクショウ。

などと顔で表現していると脱ぎ女が俺とビリビリに飲み物を渡してくる。

 

何でスープカレー?

よりにもよって自販機で買うか?自販機の一番右端あたりにあるこの飲み物を。

しかもホット…

 

 

「暑いときには温かい飲み物の方がいいのだよ。それにカレーのスパイスには疲労回復を促すものが含まれている」

 

 

「理屈はわかる気がしますが気分的には冷たいものの方がいいなぁ、なんて」

 

 

「俺は気分云々より素直に冷たいものがいいけどな。何が悲しくて熱い飲み物なんか…ぐぇ!」

 

 

俺が文句を言っている最中横にいたビリビリに頭を捕まれ下を向けられる。

この野郎…どこまで俺の邪魔をすれば気が済むんだ。

あれか?お前はこのクソ暑い中でもスープカレーが飲めるって言いたいのか。

というか手を離せ、お前が下向けるから俺の鼻先に熱いスープカレーの飲み口部分が鼻に当たって熱いんだよ!

 

 

「気分か、若い学生さん達はそういう選択の仕方をするんだったな…買い直そう」

 

 

「いいですいいです!お気持ちだけで充分です」

 

 

こっちは全然よろしくない!

寧ろ変えてくれたほうが俺としては全然ありがたいのだが!?

暫くするとビリビリが俺の頭から手を離し脱ぎ女と話し始める。

俺は話に混ざることはしなかったがどうやらこの脱ぎ女、大脳生理学でAIM拡散力場の研究をしてるとの事。

確かあの神様がその辺の解説もしてたと思うのだが…

 

 

「それって能力者が無自覚に周囲に発してしまう微弱な力の事ですよね」

 

 

そうそれだ、ナイスビリビリ今思い出した。

決して今の今まで忘れてたとかそんな事はない。

難しい話は俺ついていけないし…

 

暫くスープカレーとにらめっこした後諦めて飲む。

だが熱い、このクソ炎天下と合間って余計熱く感じる。

ちびちび飲むか…

 

 

「どんな能力も無効化できる能力なんてあるんでしょうか?」

 

 

「!げほっ!」

 

 

ビリビリの発言に思わずスープカレーを吹き出しそうになる。

何?俺が話に混ざらないだけでなんでこんな話になってんだ?

つか、よく見れば横目でビリビリが俺の方を見ながら脱ぎ女と話してるし。

 

 

「能力と言っても色々あるからな。どんな力が無効化されるんだい?」

 

 

「高レベルの電撃を放とうとしてもそれが出なかったり、視られたらそれまで出せてた電撃か突然出なくなったり…とか」

 

 

「出ないか…それは興味深いな」

 

 

こいつサラリととんでもないこと言いやがった!

人様に向けて高レベルの雷撃ぶっ放してやがったのかよ!?

しかも、ちゃっかり俺の能力の事まで当ててきやがった。

…とりあえずバレないようにスープカレーをちびちび飲みながら顔を逸らす。

横目でずっと見てくるビリビリは無視。

 

 

「1つ聞きたいのだが…それは隣にいる彼の事か?」

 

 

「!!」

 

 

早速バレたことにスープカレーを一気に飲み干して思いっきりむせた。

バレるの早くねえか!?いや、そもそもビリビリが俺の事横目で見てたのがわかってたのかこの脱ぎ女!?

俺が胸をドンドンと叩いてる中ビリビリは慌てて都市伝説という理由で否定していた。

その都市伝説という取ってつけたような理由に脱ぎ女も納得している。

 

いや、納得するかい。

そうこうしていると俺の隣から子供がアイスを持ってこちらに走ってくる。

すると、1人の子供が足を滑らせ俺の目の前で転倒…そして倒れた拍子で持っていたアイスを脱ぎ女のスカートにぶつけていた。

子供は立ち上がり脱ぎ女に謝るがその後が問題だ。

 

 

「「だから脱ぐなって!」」

 

 

目の前でスカートを脱ぎ始めそれを俺とビリビリが同時に叫ぶ。

このままじゃマズイと思ったビリビリは脱ぎ女の手を取って店の中に入っていく。

多分トイレかどこかに連れていったのだろう…一先呆気に取られている子供に気にするな、と声をかけると2人の子供は何故か俺に謝りその場を去った。

 

 

「ヤバいを通り越してるぞあれ…学園都市の研究者ってみんなあんなのばっかりなのか?」

 

 

飲み干したスープカレーの缶をゴミ箱に捨てため息を溢して座る。

…あれ、今なら逃げられるんじゃね?

そうだよな、別に俺が付き合う義理なんてないんだし。

よし!逃げるか!

 

 

〜♪♪♪〜

 

 

突然携帯から着信がなりポケットから取り出す。

携帯を開くと電話の相手は悠琉。

多分脱ぎ女についてか、そう思いながら電話に出る。

 

 

「どした悠琉?」

 

 

『いやーメールの返信が返って来ないから心配になってね』

 

 

「は?どういうことだよ?」

 

 

『それより、脱ぎ女って一体誰だったんだい?』

 

 

「それよりって…名前は知らんが」

 

 

一先脱ぎ女の容姿について軽く説明していく。

その間悠琉は黙って聞いたままだった。

 

 

『成る程。大脳生理学の研究者かぁ。うん取りあえず情報提供感謝するよ』

 

 

「で?お前が言ってた心配ってのは何だよ?」

 

 

『あー忘れるとこだったよ。どうも脱ぎ女って言うのは伝染するらしくてね、脱ぎ女に会った人はその呪いで自らも脱ぎ女になる!って感じ』

 

 

「だアホ、俺は男だ。お前半分話盛って…」

 

 

『…どうしたんだい仁?』

 

 

あれ?ちょっと待てよ…俺はそんな呪い云々信じてはいないがもしその話が本当なら…

今2人っきりでいるあのビリビリヤバいんじゃね?

…いやいや、そんな胡散臭い話がホントにあるわけじゃ…

 

 

ないよな?

戻って来たら突然2人揃って脱ぎだすなんてこと?

 

 

ーーー!!!

 

 

「は?」

 

 

突然ビリビリと脱ぎ女が入っていったビルの方から火災報知器の音が鳴り響く。

なんかあったのか…?

嫌な予感しかしない、でも無視することもできない。

 

 

「悪い悠琉、ちと急用ができた。また後で」

 

 

『急用って?そっちで何が…』

 

 

通話を切りビリビリ達がいるビルに向う。

しかし、向かおうとした矢先にビリビリと脱ぎ女が出てくる。

何故かビリビリは顔を少し赤くしながら何故か怒った表情。

何があった、あのビルの中に入って何があったんだ?

少し呆けていると『行くわよ』、と言い俺はため息を溢しながら後をついていくのであった。

 

 

◇◇◇◇

 

 

あれから数時間、脱ぎ女の証言を頼りに俺とビリビリは携帯の地図で確認しあいながらようやく車を見つけることができた。

現在夕方、何で俺がここまで付き合わなきゃならんのだ。

 

 

「色々とありがとう。それじゃ」

 

 

「お気をつけて〜」

 

 

脱ぎ女は俺達に礼を一言述べ車を出しその場からいなくなる。

大脳生理学の研究者ってのはスポーツカーに乗るのが普通なのか?

しかも、停めた場所すら忘れるって…

 

 

「んじゃ、俺はこれで」

 

 

「はいはい…って待てコラ」

 

 

自然な流れでこの場を立ち去ろうとしたがそれを許さんとばかりに肩を掴んでくるビリビリ。

もう勘弁してくれませんかね…これ以上俺を振り回して何が楽しいんだよ。

 

 

「今すぐ勝負しなさいよ!そんでもってあの写真も消せ!」

 

 

「ぎゃーーー!!」

 

 

突然俺達の目の前で大きな悲鳴を出す1人の男がいた。

俺とビリビリはその悲鳴を出す男を見る…あれあの頭どっかで。

よく見ると先程俺とビリビリを置いて一目散に逃げ出したあのウニ頭であった。

更によく見ると割れた卵の入ったパックを持って何やらブツブツ言っている。

 

 

「さっきはよくも私を置いて逃げてくれたわね!人に厄介事押し付けておいて自分はお買い物か!」

 

 

「貧乏学生にとって特売品を手に入れられるかどうかは死活問題なんだ!常盤台のお嬢様にはわかるまい!」

 

 

ウニ頭に怒りの言葉を並べるビリビリ。

ウニ頭も負けじと反論するが、聞いてる俺はなんとなく分かる気がする。

前の世界でも特売品手に入れるのは苦労はしたし。

つうかこのビリビリ、お嬢様だったのかよ…うわ恐ろしく似合わない。

 

と言うか俺を間に挟んで痴話喧嘩すんのやめてくれねえかな。

逃げようにもビリビリに肩がっちり掴まれてるし。

 

 

「こっちだって大変だったんだから。汚れたスカート脱ぎだすわ、しょうがないから洗ってあげるは挙げ句の果てにはどっちが彼…」

 

 

「かれ?」

 

 

「お前まだカレーの事言うのかよ。どんだけ好きなんだよこのカレーマニア」

 

 

「んな訳あるか!!」

 

 

「いったぁ!!」

 

 

俺の言葉が気に食わなかったのか俺の足を思いっきり踏みつけるビリビリ。

この野郎!何が気に食わなかった!?

お前さっきあの熱いスープカレーを一気に飲み干してたじゃねえか!

 

ウニ頭はウニ頭で何が何だかわかんない顔してこっち見てんじゃねえよ!

 

 

「と、とにかく勝負しなさい勝負!」

 

 

顔を真っ赤にしながら勝負を懇願してくるビリビリ。

俺とウニ頭は『どうする』とアイコンタクトを取るが何も解決はしない。

それを理解したのかウニ頭が俺の隣に立ち耳元で話しかける。

 

 

「どうするよ?」

 

 

「こっちが聞きたい、つうか俺は巻き込まれた感じだし」

 

 

「だよな」

 

 

「「はぁー」」

 

 

「そこ、2人して大きいため息つかない!」

 

 

ウニ頭と2人で大きなため息を溢すとビリビリがキレ気味で言葉をぶつけられる。

他にどうしろってんだ…もう俺は帰りたいし。

 

…あ、いや待てよ。

にっ、と一瞬俺は笑いウニ頭にはなしかける。

 

 

「この状況を打開できる方法が1つだけ手はある」

 

 

「ホントか?」

 

 

「おう。今から俺の言う通りにしてくれ」

 

 

「わかった、その作戦に乗らせてもらうぜ」

 

 

「よし、作戦は簡単だ。俺の前に立ってくれ」

 

 

俺の指示にすんなり従いウニ頭が俺の前に立つ。

必然的にウニ頭はビリビリと対面する。

ビリビリの方は状況を上手く飲み込めていないが…

 

 

「まずはあんたからってわけね」

 

 

「お、おいこの後どうすんだ?」

 

 

「後は…こうすんだよ!」

 

 

俺はそう叫ぶとウニ頭の背中を思いっきり蹴り飛ばす。

蹴られた本人は勿論、突然倒れてきたウニ頭に驚くビリビリも変な声を出して倒れる。

すると完成、見事に押し倒されたビリビリとその上に倒れ込んだウニ頭。

…なんか面白い絵面だし、写真に収めとこ。

 

ポケットから携帯を取り出し写真を撮る。

 

 

「いてて…おいこれはどういう?っか何撮ってんだ!?」

 

 

「後は2人で仲良くやっててくれ、俺は帰る!」

 

 

「おい待て!この状況で逃げるのかよ!おーーい!!」

 

 

携帯をポケットにしまい一目散に逃げ出す俺。

その数秒後に背後から爆発したかのような雷撃の音が聞こえたが俺は知らん。

例えあのウニ頭が真っ黒焦げにされたとしてもだ。

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

仁が逃げた後急いで立ち上がり引きつった笑顔で後退りする上条。

目の前で怒りMAXの御坂を見れば誰でもこうはなる。

あの後御坂が雷撃を上条目掛けて放つがそれを右手の幻想殺しで防ぐ。

だが御坂の怒りがそれだけで収まることはなく…

 

 

「あのボサボサ頭…!」

 

 

御坂は自分の周りに雷を纏わせながら拳を握る。

それを見ながらゆっくりと後退りしながらこう考える上条。

今逃げれば確実に逃げ切れる、と。

そう確信を持ち逃げ出そうとした矢先自分の足元に何かが落ちているのに気づきそれを手に取る。

 

 

「生徒手帳?アイツのか?」

 

 

「!貸して」

 

 

上条から半場無理矢理生徒手帳を奪う御坂。

暫く中を確認すると住所と名前が書かれてる場所を見つけると悪役顔負けな笑顔になる。

その様子を見てまた少し引き気味の上条。

 

 

「不動仁。覚えたわよ」

 

 

「えっと…ビリビリ?」

 

 

「これ本人に返しおくわ。アイツが終わったら次はアンタよ!」

 

 

そう言い残し生徒手帳をポケットに入れて帰る御坂。

1人取り残された上条は暫く呆気にとられたままボソッと…

 

 

「あのボサボサ…大丈夫かな」

 

 

仁の心配をするのであった。

 

 

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