ドラゴンクエストXI 二次創作外伝 ~失われし時に呼ばれて~ 作:高橋ヒナタ
前回イシの村に訪れた2人のエピソード。
この小説では武器種なども追加して行きます。
現状、弓・扇・ハンマー・タロットの4種を予定。
また、スキルに関しても調整を入れ
新たな特技や呪文も追加される予定ですので
活躍の場をお楽しみに。
「寒っ!」
時間遡行後、カミュが最初に放ったセリフがそれである。
(ここは…クレイモランのどこかか?)
この身を刺すような風は、カミュにとって懐かしい感覚。
彼の出身地であるクレイモラン地方特有の──
それも、谷間を吹き抜けるような凍てつく風。
「…懐かしいな」
そして辺りを覆う岩にカミュはこの場所が何処なのか
一瞬で理解する。
ここは、クレイモラン地方の一角にある
バイキングのアジト、その更に奥の小さな風穴。
カミュが盗賊家業に手をつける前に住んでいた場所だ。
(カラダが縮んでやがる…だいぶ戻ったんだな)
具体的に何年ほど戻ったのか。
そんな事を考えようとして──
「…でも、兄貴がワザワザくれたんだもんな!」
自分のすぐ隣で、
満足気に笑う妹「マヤ」の姿が目に入ったのだ。
「待ったッ!そいつはダメだッ!」
「なっ!?何すんだよ兄貴ッ!」
カミュは咄嗟にマヤの持っていた首飾りを
彼女の手元から跳ね飛ばした。
「おれにくれるって今さっき言ったじゃねぇか!」
その首飾りは、今さっき誕生日プレゼントとして
兄カミュがくれたもの。確かにマヤは「もっと良い物を」
と冗談交じりにケチをつけはしたが
それをいきなり跳ね飛ばすとは何事だ!とマヤは怒鳴る。
が、カミュにとって怒鳴られる事はどうでも良かった。
「マヤ…あの首飾りは…やばいモノだ…!」
今マヤが装備しようとしていたのは「海賊王の首飾り」。
しかも、ただの海賊王の首飾りではなく
邪悪なチカラが秘められた、呪われた状態のもの。
"当時"は何も気にせず妹へ首飾りを手渡したが
勇者と旅を続けたカミュからみたその首飾りは
おぞましい呪いのチカラを感じられたのだ。
「何なんだよ…呪いって」
その首飾りは、手にしたもの全てを黄金へと変え
装備者に巨万の富をもたらすが、最後はその代償として
装備者さえも黄金の塊に変えてしまう呪い。
その呪いは、勇者のつるぎやそれに匹敵するチカラ以外に
解く方法すらない恐ろしいものだった。
一時嫌われたとしても、大切な妹にそんな首飾りを
手渡すわけにはいかなかった。
「そしたらさ。レッドオーブ、盗りに行こうぜ?」
「えっ!レッドオーブを!?」
カミュは、代わりの誕生日プレゼントとして
2人で一緒に「レッドオーブ」を盗りに行こう、と
マヤに提案した。
「兄貴が連れて行ってくれるのか!?行こうぜ!」
マヤは先程あの首飾りなんかよりレッドオーブがいいなと
冗談交じりではあるが要求していた。
レッドオーブは代々デルカダール王国に伝わる秘宝。
自分たちのような人間が手にする事など
夢物語でしかないとマヤは思っていたのだが
カミュはそのレッドオーブを2人で取りに行こうと
提案してきたのだ。
マヤはその挑戦的な提案に嬉々として乗った。
そこまで言うのなら連れて行ってみろ、と。
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「行けぇッ!」
カミュは デュアルカッターを はなった!
「行くぜっ!」
マヤのこうげき!
まもののむれを やっつけた!
カミュ達兄妹が始めたのは、クレイモランから出る為の
旅の資金を稼ぐためのモンスター狩り。
クリオネオンやアイスコンドル、スノーベビーを狩り
落としていったアイテムも売ってゴールドを稼ぐ。
バイキングから与えられるキツイ仕事もこなしながら
モンスター狩りまでするのは相当にしんどかったが
カミュの戦闘能力がずば抜けていたのもあって
少しづつ楽になって行った。
マヤは レベル26に あがった!
「いししっ!また強くなれた気がするぜ!」
「やったなマヤ!」
更に、クレイモラン地方のモンスターが強いのもあって
マヤのレベルもどんどんと上がっていくのだ。
スキルも着実に習得していき、戦いが楽になって行く。
カミュから譲ってもらった「ほのおのブーメラン+3」を
マヤは嬉しそうに手元で遊ばせる。
「そこだッ!」
カミュは 心眼一閃を はなった!
「そらよっと!」
マヤは さみだれうちを はなった!
なんとマヤは弓との相性が非常に良かったようで
覚えたてのさみだれうちでカミュが撃ち漏らした
ふらふらと飛ぶアイスコンドルを撃ち落とす。
「すげー額が集まったモンだな」
「これならデルカダールへ行けそうだ」
しばらくレベルアップがてら稼ぎを続けたカミュ達。
マヤが16歳になる頃には、内海へ船で渡る為の乗船費と
そこからデルカダールへと旅を続けるのに必要な
アイテムの購入資金を十分に賄える量の所持金
クレイモラン地方の魔物をサクサクと蹴散らしていける
十分な戦闘スキルが手に入っていた。
「おいカミュ…本当に行っちまうのか?」
「ああ。今まで世話になったなキャプテン」
そして、最初の頃は散々要領が悪いと文句を言われた
バイキング達との関係も完全に対等になっていた。
彼ら兄妹はメキメキと身体能力を伸ばしていく過程で
力仕事も難なくこなす様になり、バイキング達が
商売のために海へ出る際にはその戦闘経験を買われ
用心棒として連れ出される程になっていたのだ。
カミュは、何だかんだ色々と世話になったキャプテンと
別れの挨拶を交わす。
「──ほらよ、餞別だ。持っていけ」
キャプテンは、今までこき使ってきた詫びか
カミュへ高級なラム酒を2本投げ渡した。
「じゃあな、カミュ、マヤ」
「ありがとな!キャプテン!」
「…あばよっ!」
カミュとマヤは、バイキングの船員達に見送られ
クレイモランの港へと向かっていった。
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そして始まるのは、デルカダール地方へ向けた
長い長い旅。
「まずはどこへ行くんだ?」
「ダーハルーネだ。まずは内海へ入る」
マヤの問い掛けに、カミュが海図を広げて答える。
ロトゼタシアには大きくわけて外海と内海があり
今はダーハルーネと呼ばれる内海の街へ向かっている。
本来ならそこの北側にあるソルティコに降りたい所だが
クレイモランとを結ぶ定期便が無いため
仕方なくダーハルーネの方へと向かっている。
「デルカダールはこっちだろ?」
「ああ…なんとかしてソルティコへ渡る必要があるな」
ダーハルーネからソルティコへ渡る時は
何とかして民間船でも商業船でも適当に声を掛けて
乗せていってもらうしかない。
とにかく、ダーハルーネに着くまでは気ままな船旅。
「ゆっくり行こうぜ」
「だな!」
カミュとマヤは、バイキングのキャプテンから貰った
ラム酒を1本開けて船旅を満喫することにした。
船旅の最中には魔物が甲板上に乗り込んでくる事も
特別珍しい事では無いのだが、カミュとマヤにとって
片手でひねれる旅の途中の暇つぶしに過ぎなかった。
「そらっ!」
カミュは スライムブロウを はなった!
マリンスライムたちを やっつけた!
群れを成して飛び込んでくるマリンスライム達には
カミュがスライムブロウをぶっぱなし
ほとんどノータイムで海へと投げ返していく。
「あたしが撃ち落としてやるよっ!」
マヤは バードシュートを はなった!
まもののむれを やっつけた!
上空から襲いかかってくるアイスコンドルや
エビルホークには、マヤのバードシュートが
効果バツグンで、船に近付けないまま撃墜されていく。
珍しく遭遇した"悪魔の10本足"だいおうイカも──
「マヤッ!」
「任せな兄貴っ!」
マヤは アサシンアタックを はなった!
だいおうイカの いきのねをとめた!
新品の「こおりのやいば」がだいおうイカの急所に
見事直撃。バイキングとの航海で慣れ親しんだ相手だ
だいおうイカは
船は何事も無くダーハルーネに着いたのだった。
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─ダーハルーネの街─
ロトゼタシア随一の商業都市であり、大陸中の様々な
アイテムや人々が訪れる街である。
だが、カミュ達がここでする事は少ない。
長い船旅の疲れを癒すために宿に一泊し
ソルティコの街へ向かうだけだ。
「──ええ、構いませんよ。私もソルティコへ行くので」
「すまねぇなおっさん」
カミュはタイミング良くソルティコへ渡るという
1人の男を見つけ、小さな民間船に乗せてもらえた。
ダーハルーネからソルティコまでは短く
それなりの船であればあっという間に到着する。
一応、渡し船的なサービスもあったらしいが
上手いこと渡れればそれで問題は無い。
「ようやくソルティコだな」
「あたしらだいぶ来たね」
小さな桟橋から、ソルティコの街近くの浜辺へと
降り立ったカミュとマヤ。
ここからは一旦ソルティアナ海岸を北上し
霊峰ドゥーランダ山の方角へと向かう。
そして、ドゥーランダ山へ向かう関所前で脇道へと逸れ
ナプガーナ密林と呼ばれるジャングルを抜ければ
デルカダール地方はもうすぐそこである。
「はんっ!あたしらには勝てないぜっ!」
マヤのこうげき!
ひぐらしそうたちを やっつけた!
「そらっ邪魔だっ!」
カミュのこうげき!
どくやずきんたちを やっつけた!
カミュとマヤは利き手に「はてんの月輪+3」を持ち
均等にダメージを与えるその武器の特性を活かして
襲いかかってくるモンスター達を返り討ちにしていく。
雑草のように沢山現れるひぐらしそうを伐採しまくり
毒矢が厄介などくやずきんも手早く片付ける。
カミュ達はキズの回復手段が上やくそうなどの
アイテムに頼るしかないため、それらを節約する目的でも
魔物たちを手早く蹴散らしていく必要があった。
2人はすぐにナプガーナ密林へ到着し
ジャングルをデルカダール城方面へと駆け抜ける。
「──いててっ…ちとドジったな」
「ほんと手のかかる兄貴だよな!ほい『キアリー』!」
密林でわらわら出てくるバブルスライムに
「どくこうげき」される事が何度かあったが
マヤが「サバイバル」スキルを磨く過程で覚えた
キアリーがぶっ刺さり、魔境とも言われるこの密林を
難なく突破する事に成功したのだ。
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─デルカダール地方─
「やーーーっとデルカダールだな!」
マヤが達成感あふれる表情を浮かべる。
ここまで来れば、あとは穏やかな平原を超えるだけで
秘宝レッドオーブが眠るデルカダール城にたどり着く。
そんな秘宝をどう盗み出してやろうか、と
マヤはワクワクした表情へ変わっていく。
と、ここでカミュが寄り道を提案する。
「近くの村へ寄っていこうぜ」
「こんな所にあんのか?」
確かにダーハルーネからナプガーナ密林踏破まで
かなり長い時間と距離を歩いてきたため
少し休憩したいとマヤも思っていた所だったが
この近辺はまだかなり険しい山奥だ。
だが、兄カミュは既に知っているかのように
デルカダール城とは逆の方向、さらに山奥へと
歩みを進めていく。
「待てよ兄貴ーっ!」
「いいから着いてこいって!」
何もなさそうな山道をカミュとマヤは駆け上がる。
果たしてこんな山道の先に、休むことの出来るほどの
村や街などあるのだろうか──マヤは疑問を抱えたまま
兄の背中を追いかけた。
「ほらな」
「…ホントにあったよ」
そして、なんと本当に人が住んでいそうな村が
山奥に現れたのだ。
「ここはイシの村だ。この村に一体なんの用だ?」
こここそ、カミュが目指していた場所。
ほとんど知る者のいない秘境の村「イシの村」である。
「イレブンってヤツがいるだろ?連れてきてくれよ」
「ん…?イレブン?いるにはいるが…」
カミュは村の門番をしていた小太りの男に
イレブンという人物の所在を尋ねた。
「なぁ兄貴…その…イレブンって誰なんだ?」
「そいつはな、勇者なんだ」
「ユ、ユーシャ…?」
マヤは余りにも訳が分からなくなって
その「イレブン」という人物が一体誰なのかと
兄に尋ねると、その人物は「勇者」という存在で
世界を救う存在なのだと説明してきた。
そして、自分は夢に出てきた預言者という人物に
「イシの村に住む勇者にチカラを貸せ」と言われて
夢の通りにここを目指していた、とそう続ける。
「ふーん…ユーシャか」
中々に現実味の無い発言だったが、2人揃って幼い頃から
クレイモランを出た事が全く無かったのに
兄カミュが難なくここへたどり着いてみせた事に
その「預言」とやらは確かなものなのだろう、と
マヤは自身の中で結論付けた。
「なぁ兄貴。おれ達が勇者と一緒に世界を救ったら
贅沢な暮らしとか…出来るかな?」
「あぁ。しっかりと名を売れればな」
──マヤは、兄と共に勇者について行く事を決意した。
旅の中で絶対に有名になって、沢山お金を稼いで
悠々自適な生活を送ってやるんだ!と。
ダーハルーネの街でスイーツを買い漁ったり
ソルティコのリゾートとやらで豪遊したりするんだ、と。
「イレブンを呼んできたぞ」
程なくして、村の門番の男に村の中へと案内される。
村の中はぱっと眺めるだけでわかるくらい
とても質素なつくり。生活の質は下手をすると
バイキング時代とそう変わらないのでは?と
思ってしまうほど。
そんな村の中から、綺麗なサラサラヘアーをした
優しい顔つきの少年が歩いてくる──
「…えっ!?何で"今"ここにっ?!」
「よぉ。…ここがイシの村だ」
「へー…ユーシャの住む村にしちゃ質素だな」
信じられないタイミングでのカミュの来訪と
もっと信じられないマヤの存在に
目を点にして驚いた勇者イレブンなのであった。
はい、少々ご都合主義な気もしますが
マヤちゃんが仲間になりました。
使用武器種や習得スキルは以下の通り。
【マヤ】
武器スキル:短剣、ブーメラン、弓、ツメ
その他スキル:かくとう、おたから、サバイバル
次回は他のメンバーのエピソード…ではなく
勇者&カミュ達の村でのエピソードを
少しばかり展開したいと思っとります。