ドラゴンクエストXI 二次創作外伝 ~失われし時に呼ばれて~   作:高橋ヒナタ

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イシの村での日常編。
まだ本編開始まで1年近くあります。

ま、その1年は重要イベント以外は
サクサク飛ばしていきますがね。



第4話:彼の名前は…?

 

 

 

カミュとマヤは、イシの村で生活し始めた。

 

イレブンが勇者のつるぎを取りに行く過程で

6色のオーブを手に入れる必要があるから、と

イレブンが16歳になって旅に出るまでの約1年で

マヤの戦闘スキルをさらに磨く事にしたのだ。

 

 

「イレブン…あんたメチャクチャ強いな!」

 

「しっかり鍛えてるからな」

 

イレブンが1歳年下だと知って、調子に乗っていたマヤは

ひのきのぼうでの模擬戦でいとも容易くあしらわれた。

たとえイレブンが15歳とはいえ、中身は歴戦の勇者(Lv99)

同年代で適う相手はまずいないだろう。

 

 

 

「イレブン!破けた服の修理、頼んだよ」

 

「任せといて母さん」

 

イレブンの引っ張りだこ具合は、カミュ達が来てから

さらに顕著になってきた。

 

カミュ達2人という高い能力の冒険者も"戦力"として

加わってくれたからというのもあるが

何より、カミュが持ってきた「あるお宝」の存在が

非常に大きかった。

 

せいどうのつるぎ+3が できた!

 

せいなるナイフ+3が できた!

 

イシの村人服を うちなおして

イシの村人服+3に 強化した!

 

そのお宝とは「ふしぎな鍛治セット」。

布製だろうがお構い無しにトンテンカンテン地金を打って

より優れたものへと改良してしまう、何とも不思議な

金床とハンマーのセットだ。

 

イレブン達はこれを使い、魔物を追い払える装備作りや

それを作った時に出る副産物「うちなおしの宝珠」で

ボロボロになった村人達の服を直したり出来たからだ。

 

 

「この辺はラクに魔物を倒していけるな!」

 

「ほらよイレブン!『つけものいし』だ!」

 

カミュとマヤがデルカダール地方にいる魔物から

鍛錬がてら素材を拾い集め、それをイレブンが

村人達の装備や農具へと作り替える──

そんなサイクルが成立していたのだ。

 

「マヤの『おたからさがし』には助けられたよ」

 

「"キラキラ"を見つけやすいんだって?」

 

どこに素材アイテムが落ちているか(リポップしているか)を探す事の出来る技

マヤが「おたから」スキルで覚えた「おたからさがし」は

そのサイクルをさらに加速させる。

 

さらに言えば兄共々魔物の持っているアイテムを盗む

特技「ぬすむ」が使えるため、そこらかしこから

素材となるアイテムを拾い集められる訳で。

 

 

 

イシの村の生活水準はぐっと引き上げられたのだ。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

平和なイシの村で、鍛治作業を挟みながら

鍛錬を続けていたある日のこと──

 

 

 

「なんか放牧地の方が騒がしくねぇか?」

 

イシの村は、村人たちの家が建っているエリアと

ウシやウマの放牧に使っているエリアがあるが

どうやら放牧地の方が騒がしくなりだした。

 

 

「イレブン!イレブン!大変よっ!」

 

「エマ!?急に何があった?」

 

イレブン達の住む家への坂を駆け上がってきたのは

息を切らした様子のエマ。

 

何やらかなり慌てている。

 

 

「いいから、3人とも来てっ!」

 

「わっ!?おい引っ張るなっ!」

「エマちゃん!待てってば!」

 

エマは有無を言わさずカミュとマヤを引っ張って

放牧地の方へと駆け出していく。

「お前も着いて来い」と目線で指示されたイレブンも

3人の後を追って放牧地へと急いだ。

 

 

 

「何があったんだ?」

 

イレブンは放牧地入り口に立っていたあらくれに

事のあらましを聞く。

 

その口から飛び出したのは──

 

 

「あっちに"地獄の殺し屋"が出たんだっ!」

 

「何っ!?」

 

あらくれが言った「地獄の殺し屋」とは

デルカダールの丘奥地にひっそりと生息する

凶暴なけもの系モンスター「キラーパンサー」のこと。

 

非常に獰猛な性格と鋭いキバにツメ、高い俊敏性と

襲われたらひとたまりも無い戦闘能力を誇っており

デルカダール地方でも知っている人こそ多いが

その生息域に近付こうとする人はほとんど居ない。

 

 

 

「グルルルッ…ガウッ!ガウーッ!」

 

放牧地の奥へ入っていくと、そこにいたのは

全身に爪痕のような古傷が無数に刻まれた

若いキラーパンサーだった。

 

 

「気をつけろイレブン。相当気が立ってるぜ」

 

「強いモンスターにやられたのかな」

 

キラーパンサーはイレブン達を激しく威嚇するが

どこか怯えのようなものが見え隠れしていた。

 

より強力な存在に襲われてここへ逃げてきたのだろうか

非常に気が立っていた。

 

「来るぞっ!」

 

 

キラーパンサーが あらわれた!

 

 

「ガオーッ!!!」

 

キラーパンサーは おたけびをあげた!

 

襲いかかってくるなり、キラーパンサーはまず一吠え。

野太いおたけびでイレブン達を威嚇してきた。

 

「へっ!聞くかよっ!」

 

「大人しくさせようカミュ!」

 

だが、長い旅の中で幾多もの強敵と渡り合った2人に

そんなおたけびは通用しない。

後ろではエマが驚いて腰を抜かしていたようだが

イレブンとカミュは逆に気が引き締まる。

 

 

「少し落ち着けっ!」

 

カミュのこうげき!

 

「せいっ!」

 

イレブンのこうげき!

 

2人はキラーパンサーを傷付け過ぎてしまわないよう

武器を装備せずに攻撃をし、相手を弱らせる。

 

「イ、イレブン!大丈夫っ!?」

 

エマは やくそうを つかった!

 

「援護するぜ兄貴っ!」

 

マヤのこうげき!

 

1列後方に控える(NPCとして参戦した)エマからやくそうによる回復が

マヤからは支援のこうげきが飛ばされる。

 

 

「グルルルゥ………」

 

キラーパンサーは ようすをみている。

 

何故か本気で殺しにかかってこない人間達に

キラーパンサーは少し様子を見る。

 

 

「それでいいっ!」

 

イレブンのこうげき!

 

「ギャウッ!」

 

キラーパンサーを やっつけた!

 

 

 

イレブンのパンチが炸裂し、キラーパンサーはようやく

少し落ち着きを取り戻し大人しくなった。

もう戦う体力が残っていないのだろう。

 

「ごめんな。怖かっただろ」

 

イレブンはキラーパンサーに上やくそうを使ってやる。

 

ここには自分たち(強い存在)がいるという事を教えられたので

このキラーパンサーはイシの村まで深入りすることは

これ以降無くなるだろう。

 

 

 

「グルゥ…グルルッ…」

 

「なんだ?オレに何か用か?」

 

だがキラーパンサーはすぐに逃げていくのでは無く

カミュに近づいていき、彼が持っているふくろを

気にし始めた。

 

「兄貴…!ふくろが光ってるぜ?」

 

なんと、キラーパンサーが気にしていたそのふくろは

淡い青緑色の光を放ちはじめたのだ。

 

 

 

「何だ…この指輪?」

 

「僕も知らないよそれ」

 

ふくろを漁って取り出したのは、1個の指輪。

 

「確か…兄貴のお宝の中にあった気がするぜ?」

 

「あっ!確か──」

 

マヤにそう言われてカミュは思い出した。

デルカダールに向かう旅へ出る時に、集めていたお宝を

一部コレクション兼旅の資金源として持ち出した事を。

その中に入っていたうちのひとつだったのだ。

 

 

「気になるのはこれか?」

 

「ガウッ!ガウッ!」

 

その指輪を見せてやると、キラーパンサーは

カミュの手に顔をこすりつけながら指輪へと鼻を当てる。

 

ネコが飼い主に擦り寄ってくる様なその動きは

まるで「仲間になりたそうにこちらを見ている」ようで

カミュは試しにひとつ質問を投げかける──

 

 

「オレと一緒に来るか?」

 

 

 

「ガオーッ!」

 

キラーパンサーはそれに応えるように

カミュの隣に立って大きく天へ向かって吼えた。

 

なんと キラーパンサーが なかまになった!

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

「とりあえず…寝床はここでいいか」

 

「そうだね。"前にもいた"し。」

 

イレブン達はキラーパンサーを仲間にしたが

そのまま村の居住区へ連れ込む訳にいかなかったため

ひとまずは村の中にある程よい大きさの洞穴(ムンババが住み着く洞穴)

ワラの山を持ってきて寝床を作ってやり

そこへ住んでいてもらうことにした。

 

一応村の住人たちには話を通してあるが

仮にも「地獄の殺し屋」なのだ。怖がる人もいる。

 

 

 

そして、彼の仮の住処を確保した所で問題になるのは

彼の「名前」である。いつまでも「キラーパンサー」と

種族名で呼び続ける訳にもいかないだろう。

 

「さて。案を出していこうか」

 

「まずはオレから行くぜ」

 

キラーパンサーを連れた魔物使いの物語が有名で

名前にはいくつも有名どころがある。

 

イレブン達はその中から、自分が良いと思ったものを

候補として上げていくことにした。

まずは手なずけたカミュからだ。

 

「オレは…ボロンゴ、だな」

 

「えーそりゃ無いぜ兄貴!ゲレゲレが1番だろ!」

 

兄の案に妹マヤが速攻で噛み付いた。

マヤは「ゲレゲレ」派らしい。

 

 

「私はチロルが良いわ」

 

「あたしはプックルかしらねぇ」

 

エマは「チロル」、ペルラおばさんは「プックル」を

それぞれ推す。

 

その後もダン村長や村の皆も招いて案を出し合ったが

物の見事に意見がバラバラになってしまった。

 

実はその魔物使いの物語、キラーパンサーの名前は

語り継がれていくうちにどんどん増えていったらしく

今ではその名前が10種類ほどもあるのだ。

魔物使いの名前もかなりバリエーション豊富だとか。

 

 

 

──で。

 

「…なら本人に決めさせようよ」

 

どの名前にするかで散々大揉めしたのちに

イレブンのその提案によって、名前を付けられる

キラーパンサー本人に決めさせる事となったのだった。

 

これには、頑なに譲らなかったマヤとエマも

それならまぁ仕方ないな…、と引き下がった。

 

 

 

目の前にずらりと並んだ命名案(カミュ達)を前にして

キラーパンサーも少しばかり悩むかのように

グルグルと右往左往する。

 

そして、彼の頭の中でしっくり来る名前が決まったのか

スッとその案を出した者へ近寄っていく──

 

 

「な?だから言ったろ?」

 

「ゴロゴロゴロ…グルゥ!」

 

彼が選んだのは、カミュが提案した「ボロンゴ」だった。

自分を手なずけた者に名付けてもらうのが良いらしい。

 

カミュとマヤの目の前でだいぶ悩んでいたあたり

「ゲレゲレ」も捨て難い様子ではあったが。

 

 

 

のちに村長ダンが「近年一の村崩壊の危機」と語った

キラーパンサー名付け騒動は無事幕を閉じたのだった。

 

 

 

┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄┄

 

 

 

──数日後。

 

 

「イレブン…気を付けていくんだよ?」

 

「大丈夫だって母さん!」

 

 

イレブンは、カミュとマヤ、ボロンゴと共に

少し遠出をする事にしていた。

 

「アイテム良し、装備良し!」

 

「オッケー、行こうぜ!」

 

彼らが遠出するキッカケになったのは、近くを通った

行商から聞いた「とあるウワサ」。

 

『最近デルカダールの丘に強い魔物が増えてるそうだ。

国の兵士達がだいぶ手こずってるらしいぞ』

 

デルカダールの丘は、奥地まで踏み込めば

ボロンゴの同族たち(キラーパンサー&ベビーパンサー)が縄張りを張っているが

大滝のふもと程度であれば精々出てくるのは

「マンドラ」や「ランタンこぞう」など

戦いに慣れていれば苦戦しないヤツらばかり。

 

だが、軍事力にも秀でたデルカダール王国の

兵士達が苦戦しているとなると中々の強さだ。

 

 

「──良い練習相手になるしな」

 

「いししっ!燃えてきたぜっ!」

 

マヤの戦闘スキルもさらに磨きが掛かってきて

ボロンゴも仲間になったということで

更なるトレーニングを積みに行こうと相成ったのだ。

 

 

 

「丘へは…どっちで行く?」

 

デルカダールの丘へ向かうルートとしては

村を出てすぐナプガーナ密林へ入り、カミュ達が来た

ソルティアナ海岸方面とは逆の方向へ抜けるルートと

デルカダール地方を北上して城下町へと入り

城下町の下層から丘へと降りるルートがある。

 

デルカダール王国は現在、国王モーゼフ王の指令で

ユグノア王国を滅ぼした「悪魔の子(勇者)」を探しているため

その悪魔の子当人でもあるイレブンがいる以上

デルカダール城を経由するのは少々危険。

 

 

「──城下町を経由しよう。少し寄りたい」

 

「あぁ。オレも街を覗いていきたいからな」

 

だがそれでもイレブン達はデルカダール城を経由する

ルートを敢えて選択した。

 

「下見に行くんだな兄貴」

 

「ま、そんな所だ」

 

それはレッドオーブを手に入れる為の下見──だが

イレブン達はオーブが城に無い事を知っているので

それはマヤへ説明する"理由"。

 

イレブン達の本命は他にあり、自分達と同じく遡行した

グレイグと可能であれば接触を図ることと

前回カミュの盗賊仲間だった「デク」という人物を

デルカダール城下町・下層で見つけ、縁を作ること。

 

それが、敢えてそのルートを選んだ理由だった。

 

 

 

(何なら人助けでもして来たらどうだイレブン)

 

(ま、程々にやっておくよ)

 

悪魔の子の"善行"を示してやることで

デルカダール軍のしつこさを軽減できれば、というのも

サブ目的として加えられていた。

 

 

 

「よしっ!行くぞっ!」

 

「行こうぜ相棒!」

「おうっ!」

「ガルルゥーッ!!」

 

イレブン達一行は、デルカダールの丘を目指して

ちいさな旅に出たのだった。

 

 

 

 

 





カミュ君がキラーパンサーを仲間にしました。

カミュが持っていたのは「スカウトリング」です。
けど配合まで出すと滅茶苦茶キャラ管理が
メンドクサイ事になる(配合チャートetc...)ので
とりあえず現状は仲間モンスター要素だけ。

名前はボロンゴにしました。最初の選択肢であり
投稿主もボロンゴ派なもんで…

次回もまたイレブン&カミュ視点!
他のキャラが出るのはまだ少し先です…
気長にお待ちください。
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