『旅に出ますわ、一緒に行きましょう?』
そんな幼馴染の一言を拒否しなかったので、ボクは、レティシア・ソルイルナは、
たった二人でだ。
序にいうなれば、ボクが二人だけの
何でかなー。
「レティ、食糧が見えたので狩って来ますわ」
「あー、うん。お願いー」
そう言って、ボクを誘った張本人が馬車の外へと飛び降りる。
お嬢様風に話す彼女はアリア・エストレシア。
あくまでもお嬢様風、アリアの家は貴族であったらしいのだが、数代前に没落したので似非お嬢様である。
心の持ち様は貴族で有り続ける為に、彼女の家は貴族風の口調で話をするらしい。
まあ、見た目的にも似合っているのでボクは何も言わない。
話を戻すが、中々にワイルドである。
得物さえあれば、否、得物が無くても工夫を凝らし狩ってくる。
荷車を止めて出迎えの準備をしていると、この辺りに生息している割と美味しい大型草食竜の首が刎ね飛ばされていた。
「狩りましたわ!」
「ん」
剣に血を付着させながら良い笑顔でボクを呼ぶ。
流石に解体作業を住居も兼ねる荷車の中でやる訳にもいかないから外に出る。
アリアと旅をする様になってから、
「しかし、見事に首を落としたね」
「貴女が作った【研磨鉄粉】のお蔭ですわ。骨を加工しただけの剣が、鉄剣の切れ味になるんですもの」
「切れ味と技術は別だと思うけどねー」
先ずは血を瓶へと溜める。
幾ら草食で大人しく、自然界の最下層に居る存在であろうとも竜種は竜種、質が低くとも全ての部位が素材になる。
そして、材料をどこまでうまく扱えるかがボクの
まあ、大層に言った所で日常に少し役立つ程度の物しか作れないのだけど。
「肉は塩漬け、内臓はその辺の水で洗って、皮は貴女の釜に……ですわね?」
「うん。幸いにもすぐ隣は【海】だ、塩にも、塩水にも困らないから贅沢にいこう」
「はいですわ」
ボクの錬金釜に皮を放り込む。
皮をなめす技術も道具も無いので、肉や体液を綺麗にすると言った前段階の状態を作る。
なめした物に比べれば多少値が落ちるとは言えども、十分な交換材料として役にたってくれるのだ。
と言う訳で、洗う程度であるが一番初めに皮を処理しておく。
「…………偶には新鮮なお肉も食べたいですわ」
「くふふ、内臓はどうしても足が早いしね。でも、新鮮な
「解っていますわ。ですが、毎度塩漬けのお肉では、飽きてしまいますの」
「確かに。冷やす物があれば鮮度も落ちにくくなるんだろうけどね。でも、そんな物を買える程、資金が無いよ」
「…………作れませんの?」
「無理」
とても残念そうな顔をされる。
確かに、有ったら便利そうな道具であるとは思えるのだが、錬金術で作るのには知識も技術も道具も皆足りない。
大体、釜一つで何を行えと言うのか。
尤も、超が付くレベルで一流の錬金術士は、本当に釜一つで何でも作るらしいのだが、それをアリアに言うと色々と勉強させられそうなので黙っておく。
「…………そうだね。偶には好きな部位を食べれば良いんじゃないかな?」
「まあ、言ってみる物ですわ!」
取りあえず、好きな物を食べさせて機嫌を良くさせておこう。
時々野生動物並に勘が働くから、気づかれない様にしないと。
「あと少しで村の筈だからね。全速力で進めば、新鮮なお肉で、何か良い物と交換してもらえるかも知れない……1日程度なら、ボクの魔力ももつしね」
保存の道具は無いが、保存させるのに適した魔法はある。
と言っても、初級魔法の【アイス】を、魔力が続く限り使うだけなのだが。
「でも、解ってるよね?」
「ですわ。その一日は、全力で貴女を守り抜けば良いのでしょう?」
ボク達錬金術士は、錬金術の媒介として素材以外に魔力を使う。
その他にも、製作した物に魔力を込める事で効果を高めたりする事が出来る。
そんな中、一日中別の事に魔力を使うとなると、戦闘はおろか本業すら出来ない。
まあ、アリアがボクを全力で守ると宣言した以上、ボクと食料の為に本当に全力で戦うのであろう。
そうだとすれば、きっと凶暴な竜が現れようとも倒してしまうだろう。
「うん、そう言う事だね。ま、何事もない内に通り過ぎていくのが一番さ」
「ぶもー!」
そうしてボクはこのキャラバンを牽く【ぞう】のモスに合図を送る。
モスも言語を理解しているのか、力強く返事をして歩む速度を上げる。
小さな家と言っても過言でないこの荷車を、たった一匹で引っ張るのだが、ぞうとしてはまだ子供であるらしい。
角と鬣もまだ成長途中のモスだが、獣を狩るのを手伝ってくれる程度には頭がいい。
「んじゃ、次の村まで、ぜんそくぜんしーん」
「ですわ」
――――――今よりはるか昔、世界は今ほど単純では無かった。
生きて居る事が当然であった時代、人が忘れた事が多かった時代。
それらすべてに終わりが来た一日をして、人々は【黄昏】と呼んだ。
幾年が過ぎた今は、人が、否、生物が
厳しくも、美しい事では無いのだろうか。
「『――――――黄昏に沈みゆくこの世で生きる事も』」
古い、とても古い
人物紹介
レティシア・ソルイルナ
主人公
種族:人間
役割:錬金術士/キャラバンマスター
名前の響きと性格が合っていない少女その1
元々ボクっ娘が大好きなのさー!
初期コンセプトは『くふふ系ボクっ娘』
と言うか、私のテンプレキャラだから、ブレないと思う。
アリア・エストレシア
種族:人間
役割:戦士/商人
名前の響きと性格が合っていない少女2
初期コンセプトは『野生系お嬢様』
書いた感じ『ツンしないツンデレ型野生系お嬢様風バトルマスター』へとブレすぎた。
キャラ付けは、MHのプレイヤーハンター。