錬金術士は働きたくない!   作:天枷美春

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前後編だと言ったな? アレは嘘だ。
何故か前中後編の三本立てになったわ(白目)


6話

「流石に大都市。入り組んでるね」

 

「地下に墓地を作るとなると、地上との兼ね合いや地盤によっても影響されます。また、幾ら火葬のちに祝福を行い埋葬されているとは言っても、長年による陰の気からのアンデッド化という事も考えられますので、ソレを防止するための魔術的な循環を考えた構築をしていく内に………………と言うのは、儘ある話です」

 

 

リンクの説明を聞きながら、ボク達は地下墓地(カタコンベ)を進んでいく。

成程、確かに計画的に作ってあるみたいだ。

これだけ遺骨が散乱していると言うのに、むしろ何か清らかな気分にすらさせてくれる場所になってる。

だからこそ、問題があるとすれば。

 

 

「…………封印された先、つまり計画よく作ることが出来なかった最下層が、汚染されやすいって事、だね」

 

「じつに、いんきくさい。なあ、しょくぶつをはやしても、いいか?」

 

「良いかも知れませんわね。陰気……つまり魔素を栄養として育つ花を植えておけば…………って」

 

「気づいたね、アリア。ソレ蟹の時に無駄だって結論付けたよね」

 

「『ひつようなのは、まそ、をじょうかするしょくぶつ。というわけか』」

 

「アンタ、声真似は構わないけどもっと流暢に喋れる奴にしなさいよ。聞きづらいわ……それでティポット、そんな花は有ったりするの?」

 

「しぜんゆらい、ではそんざいしないな」

 

 

そういってボクの方を見る。

つまり、錬金術と組み合わせることで浄化作用を持つ花を作れと言う事だろう。

が、レシピが無い。

というか、仮に有ったとしても、ソレを作成するだけの機材が無い。

ボク鍋だけで可能なのは比較的簡単な錬金だけだから。

 

 

「【マナフラワー】と言う奴だナ。突然変異で生まれんこともなイ……が、突然変異組は解りやすく言うと『魔物』ダ。むしろこの先にたくさん居るかもナ」

 

「あーあ……モスが入れるなら、前回みたいに食べて貰うんだけどなー」

 

「『…………何? 魔素を食べる生物だト?』」

 

 

次は機械音声、そしてその語尾のぶれすらも声真似を再現して此方を見てくる。

そういえば、2人ともモスの偏食の事を知らないんだった。

ついでに、ナラトに関してはモスにすら会っていない。

 

 

「そうそう。ボク達のキャラバンを引いてくれる【ぞう】なんだけどね。なんか、魔素を食べて浄化してくれるんだよ」

 

「流石に引きこもっていた時間が長かったからナ。データとしては存在している【ぞう】とはまた別物であっタ。つまり進化したという事だナ」

 

「『幾ら進化しようとも、魔素を食べる動物など聞いたことが無いガ…………まあ良イ。実際に存在しているのだからナ』」

 

「でもまあ、流石にモスは此処に入れないから、別の方法を考えるしか無いんだけど」

 

 

案外長いホースをここまで持ってくれば、モスが吸い出してくれるかもしれない。

と言っても、アレ以来モスが魔素を食べる機会に出会えて居ないから、たまたまだったりするのかもしれないけど。

 

 

「リンク、そろそろですわね?」

 

「…………ええ。みなさん、各々の武器を構えてください」

 

 

そんな事を話しながら最下層を歩いていると、アリアとリンクが何かに気づく。

その何かとは、そろそろ魔素によってアンデッドモンスターとして骨が動き始める濃さになったという事。

そして、野生の勘(アリア)職業柄気配を感じ取りやすい人(リンク)の様に直ぐに気づかなくとも、カタカタと骨が打ち合わさる音が聞こえてくればボク達だって普通に戦闘の準備だと解る。

 

 

「それで、戦闘はどう進めるの神官さん?」

 

「魔素で祝福を汚された所に、奥から出てくる霊によって肉体が乗っ取られて居るわけですから、霊払いを行えば解決は出来ますね」

 

「私、そっち系の魔法は得意じゃないからリンク一人に任せることになるんだけど」

 

「どうせ骨ですわ。粉砕すれば動けないと解った霊も別の骨に乗り移るでしょうし、その折に進んでしまえばいいのですわ」

 

 

随分とアリアらしい意見が出たけれど、ボクもコレには割と賛成。

なんせ遺跡探査を考えても見れば、まだ入り口も入口な所にいるのだから。

リンクとしては遺骨を弄ぶ霊は許せないと言った気持でもあるみたいだけれど、現実問題としてここで時間を取られるわけにもいかないのでアリアの意見に従うようだ。

 

 

「まあ、でも。気持ちは解りますわ……レティ、アレは当然持っているのでしょう?」

 

「――――――くふふ。当然」

 

「それは……灰ですね?」

 

「そう。対アンデッド用の錬金アイテム、その名も【退魔灰粉】だよ」

 

 

最近はアンデッドと戦う機会が無かったから、倉庫の肥やしになっていたけれど、こんな感じの遺跡に潜るなら持ってくるのは当然の代物。

先ずは実演と言う事で、アリアの大剣に一掴み振りかける。

そしてそのまま流れるように近づいてきたスケルトンを袈裟切りにすると、中に取り付いていた霊が浄化されて消えていく姿が見えた。

 

 

「武器に振りかけるだけで浄化作用がつくお手軽アイテム! まあ、なんか剣士はアリアだけだから全然用途無いけど、切れ味を鉄製のソレと同じにする【研磨鉄粉】のお仲間さんだと思ってくれれば良いよ」

 

「使用感が同じですから、粉をかけて複数回武器を振るうと、またかけ直しですわ。普通ならばそこが隙と成りえるのですが…………」

 

「7人も居ればそれぞれカバーし合えるって寸法さ」

 

「錬金術って本当に何でも出来るわね。まあ、話を聞く限りは同じようなことが出来る付術士(エンチャンター)とは一長一短みたいだけれど」

 

「戦闘は臨機応変が基本だしね。一度呪付すると長持ちするけど、直ぐに効果を消すのに手間がかかるエンチャント、呪付する回数が多くなるけど、変えていけるコッチと……両方あるのが便利と言えば便利かな」

 

 

他にも、エンチャントではできない使用方法としてはこの粉を直接ばら撒いても多少効果はある。

勿体ないけど。

一応、魔素結晶に成程濃くないレベルの魔素ならば、弱める事ができる。

皆に数袋ずつ渡して使い方を見てみれば、それに近い使い方をしているのはティポットだった。

弾丸に粉を撒き、アンデッドを打ち抜いて浄化したのちにそのまま植物を生やしている。

確かにその方法なら汚染された植物も育たないから一石二鳥とも言える方法だ。

 

 

「しかし、奥に進むにつれてどんどん増えるわね」

 

「『それだけ当たりが近いという事ですわ。この先は大規模な地盤沈下で沈んでしまった建造物ですし、それ故に多くの方が長い間弔われずに居たのです。ですから、成仏したくて必死にこちらに来るのですわ』」

 

「つまり、再殺してやれば良いのだナ?」

 

「そ、そこは浄化と言ってあげて下さい」

 

 

軽く冗談を言い合いながら向かってくる(スケルトン)、今起き上がろうとしている(スケルトン)、そして遺骨に取り付こうとしている(スピリット)を成仏させながら突き進む。

実に戦力過多に見えるけど、そりゃここ唯の墓地だし、王族の墓とかじゃないから武器も一緒に埋葬するなんて言う事できないしね。

蘇っても素手なら脅威でもなんでもないのが実状っていう。

 

 

「遺跡入り口、見えましたわ!」

 

「難なく突破、だね」

 

「皆さんが通り次第、早急に地下墓地と繋がっている部分を封印します。最悪、私たちがこの遺跡を踏破出来なくとも、流れ込みによるアンデッド増加は防げますから」

 

 

そう言って、リンクがエクレシアの魔術を使って霊や魔素が流れていかないように封をする。

後は飛び出した先を適当に片づければ、ベースキャンプの完成となるんだけど…………

 

 

「何コレ、水場?」

 

「違うぞ主。コレはプールダ。水泳を目的とした人間の娯楽施設ダ」

 

「あー、プールか。いやエクレール、流石にボクもプールは知ってるよ。アリアの実家にある持ち運び可能な小さい奴だよね? 流石に騙されないって」

 

「レティ、ウチが貧乏貴族であることを知っていて、なぜ其処まで酷いことを言いますの…………つまり、コレが本物の個人所有のプールなのでしょう?」

 

「『少し違うわ。この規模からすると、高層建造物(ビルディング)の施設の一つ、所謂室内プールって奴で、観光客向けの物よ』」

 

 

観光者向けにそう言う施設が作られていたとかナラトから説明が入る。

嘗ての『海』は水に満ち溢れていたとよく言われているけれど、そしてこの街はその海沿いに建てられた街だというのに。

それでもプールなんていう人工の施設で遊んでいたと聞いてしまうと、やっぱり昔の海に水なんて本当にあったのかって思えてしまう。

 

 

「にしても、此処は中層なのか。ナラトが言うには高層建築らしいから、遺跡踏破も大変だね」

 

「『流石に全エリア踏破は無理よ。土砂が流れ込んでフロア全体が埋め立てられてる可能性があるわ。加えて下層は水が張ってる可能性だってあるし』」

 

「意外と行動できる範囲は狭いって訳だね。まあ、だったら当初の予定通り此処をベースキャンプとしようか。水もあるし」

 

「――――――――なッ、『ま、まテ。此処の水を飲むのカ!?』」

 

「今、少し素がでましたわ」

 

「くふふ。旅人の癖に、汚い水飲み慣れてないってのは中々に珍しいよね……まあ、ボク達も慣れてないと言えば慣れてないんだけどさ」

 

 

流石にそのまま水を飲むつもりは無いから消毒する。

汚れた水の不純物を取り除いて真水にする事くらい、錬金術師にはお手の物だし。

だから早速ライラと一緒に魔方陣を書いて、宿に設置してある大釜をこっちに転送(アポート)してもらった。

ベースキャンプが作れるなら、そこで錬金術を行使してしまえば良い。

ライラが居なければ此処までの規模ではできないけれど、別に小さな鍋でも錬金術は出来るし、実際にも前はそうしてた。

まあ、飲み水だけならボクが魔法で出しても良いんだけど。

 

 

「うん。あとは水大量に作っておくから、ライラとティポット以外のみんなは2人以上でチーム作ってベースキャンプ作成のための安全確保。余裕が出来たら上下階に深く踏み込まない程度に見てきても良いよ」

 

「わたしは、のこるのか?」

 

「うん。ちょっとやって貰いたいことあるし」

 

 

残っている退魔灰粉を回収し、哨戒に出向く4人に均等に分配する。

多分無くなったら帰ってくるだろうから、それまでにこっちも終わらせておかないとね。

 

 

「さて、始めようか」

 

「いいのか? あのはいは、これからさきも、いせきこうりゃくにひつようだとおもうのだが?」

 

「うん、そうだね。だから今から作るのさ。幸いにも材料はたっぷりあったし」

 

「…………確かに、アンタがさっきからスケルトンの欠片を拾ってたのは見てたけど、まさか本当に材料にするつもりだったなんて」

 

「いや、だって都合よく材料が揃うからさ。あとは適当に木があれば良いんだけど、コレもティポットのおかげで解決するし」

 

「しょくぶつのかいしゅうは、していなかったな。つまり、はやすのか? だが、なえどこはどうするのだ?」

 

「それで、今水を錬金してるのさ」

 

 

大量に真水を生成しているわけだけど、出てくる不純物っていうのは別にゴミだけじゃない。

蟹の時みたいにひどく汚染されている訳ではないけど、多少この水も魔素に汚染されているんだから、大量に分離させていけば、【魔素結晶】だってちゃんと作れる。

後は前回同様ブラックポーションを振りかければ【無色の魔力結晶】へと早変わり。

コレを苗床にして木を生やして貰えば、材料の完成。

 

 

「ってか、唯の木と骨であんなモノが出来るわけ? やっぱり錬金術って訳解らないわ」

 

「ううん。退魔灰粉の原料が出来るだけだよ。ライラは聞いたことない? 霊木って」

 

「霊験あらたかとか言われる割と貴重な樹木よね? 確か、高品質な道具の素材として使われるとか聞くし、その所為で原木自体は全然市場に出ないって話の」

 

「そうそう。実は、アレを加工すると【退魔灰粉】になるのさ。もっと簡単に作りたいなら焼くだけで作れるけど。壊れた霊木制の道具とかあれば、焼いて灰にするのも一つかもね」

 

「で、その原料を…………作る!?」

 

「まあ、流石に霊木と全く同じものを作るって訳じゃないんだけどね。此処にある木材を霊木レベルにまでランクアップさせるってだけの話」

 

 

物質の本質に作用するのが錬金術の神髄。

材料さえ揃えてしまえば【黄金】すら作れると言われるからこその錬金術。

そしてそれが、前にリンクが言っていたように神が定めた形を壊す事に繋がるんだと思う。

 

 

「ま、やることはいつもの錬金術と変わらないんだけどねー」

 

 

今作った真水。

スケルトンの欠片、つまりは骨。

ティポットが生やしてくれた木。

そしてローゼル、今の呼ばれ方でブラックハーブと呼ばれる植物から属性の力を抽出して作った【ブルーポーション】を入れ、魔力を込めてかき混ぜる。

水溶性でもない物もあるというのに全てが水に溶け、混ざり合った頃、ついに霊木が出来上がった。

 

 

「できた。後はコレを複数回繰り返すだけさ。それで数を揃えてしまえば良い」

 

「スケルトン……アンデッドは土に属する存在、だったら木の力を高めるにはちょっと相性が…………水も追加で加えたことが何か関係あるのかしら……?」

 

「ライラ?」

 

「何でもないわ。詳しく調べてみたいものね、錬金術ってどんな仕組みなのか。属性魔法に似ているから、たぶんそこに解明の切っ掛けが……だったらエクレシアの教えを考えると――――――」

 

「くふふ。まあ、そう言った研究はもっと安全な時にお願いしたいね。次行こう、次」

 

 

何かライラが魔法使いとして錬金術に興味を持ったみたいだけれど、今はそんな事をやっている場合じゃないからボクも協力してあげることはできない。

と言うか錬金回数が多い、つまり割と魔力消費するからあまり長い時間をかけたくないのがボクの本音である。

 

 

「あ、最後に一つ良い? 焼いただけって言ったけど、それって何か特殊な方法で焼いたりするわけ?」

 

「いや、そんな事は無いよ。火種の材料にしたり、暖を取るための薪にしたりするその残りの灰が退魔の効果を持ってるから。もちろん、もっと純粋な代物を作るために更にコレを【レッドポーション】を使って錬金したのを【退魔灰粉】って呼んでるだけだし」

 

 

ちなみに、レッドポーションの材料はレシピ集にはセンブリと書かれた、今はイエローハーブと呼ばれる代物の事。

見た目全然黄色じゃないんだけど、根っこが黄色で、材料としてはその部分を使う事が多いからボクも名前には納得している。

 

 

「だったら、焼くのは私がやるわ。アンタの工程が多すぎて魔力消費も大きいだろうし」

 

 

それに関しては事実であって、霊木が十分すぎる量が出来上がるころには、全員の残り魔力もかなり少ない量になってしまった。

 

 

 

 

・・・・・・

「あら、いい匂い。鹿肉ですわね?」

 

「…………ほんとアンタって料理人殺しね。何で臭み取りして更に香草練りこむまでやった肉を嗅ぎ別けるのよ」

 

「解る物は解るのだから仕方ありませんわ。所で、かなり新鮮な香りですけど、矢張り現地調達ですの?」

 

 

下層方面に向かったアリアとナラトが戻ってきて全員集合となった。

それより前に戻ってきたリンク・エクレール達は鹿を狩猟してきたので、ライラが解体して調理を始めていた。

同じような感じで何かを狩猟してきたかアリアを見たけれど、まさか熊を担いでくるとは思いもしなかった。

 

 

「鹿はまだわかるガ……いや、仕留めたのは私だから当然としテ。何で人の身で熊を仕留めることが出来ル?」

 

「まあ、ほら。アリアって普段からあんな娘だから」

 

「違いますわ! 仕留めたのは私ではなくナラトですわ!」

 

「『一応ものまね士ですわ。嘗ての経験から、魔力で強化した一撃を急所に叩き込めば大抵の生物は屠れますの』」

 

「あー、うんうん。熊殺しすごいねー」

 

 

魔力で強化しようが普通は熊とかには挑んだりしないと思う。

まあでも、魔物じゃないんだし何とかなる物なのかな…………?

 

 

「まあ良いわ。何時もの事じゃない……で、この熊は保存食にするわ。もしくは食べたい部分があったら言いなさい」

 

「……………………熊の手を使った料理は、できますか?」

 

「リンク?」

 

「あ、あの! その昔、エクレシアでのお祝い事の時に出された料理なのですが、とても美味しくて!」

 

 

普段は清貧を心掛けているリンクでも、食欲には勝てなかったみたい。

本人もそれが解っているのか、かなり恥ずかしそうな顔をしている。

 

 

「無理よ、下ごしらえに無茶苦茶時間がかかるわ。それこそ、この遺跡踏破と同じくらいの手間ね」

 

「そう、ですか…………」

 

「んー、だったらこの遺跡攻略してから食べれば良いだけじゃない? 熊って確か、冷凍に近い温度なら保存出来たよね?」

 

「それもそうね。と言うかよく知ってるわねアンタも。常に冷気の魔法ともなると魔力の関係上難しいけど……凍らせておけば楽よね」

 

 

結果、ベースキャンプに氷漬けの熊のオブジェが誕生することになった。

リンクがその後の事を考えてとても嬉しそうにしているのが印象的に見えた。

 

 

「だったらさっさと食べて先に進むべきね。上に行く? それとも下に行く?」

 

「上層は殆ど埋まっていタ。2人で探索しきれるほどにナ。だから下層を重点的に探索するべきだろウ」

 

「あれ、でも鹿が居たんだよね?」

 

「不自然に一匹だけナ。罠かとも思ったが、暫く観察した後に何も無かった為に狩猟しタ」

 

「運悪く下層から来てしまったのでしょう。下層には色々と動物が住み着いていましたわ」

 

 

その中で何で態々熊を狩ってきたのかは疑問だけれど、それとは別の方向で新たに疑問がわいてくる。

 

 

「色々と居たって、この遺跡はどこかに繋がってるのかな。黄昏からずっと地中なんでしょ、ここ?」

 

「『埋没した建造物だし、たぶんそれは無いと思うよ。魔素が充満している関係上、何かが下層に居るって考えた方が良い…………もしくは、下層がビオトープになっているかだね』」

 

「ビオ……何?」

 

「『人間を除いた自然生物のちっちゃな世界と考えればいいよ。一応、このビルも巨大だからそう言った設備を作ろうと思えば作れるんじゃないかな。逆に、自然に出来たとは考えにくいけど』」

 

 

なんにせよ、何かの意思が関わっているって言う事かな。

魔素が広がっている件も含めて、さっさと魔素の出本を何とかしに行く方がよさそうな気がする。

 

 

「とりあえず、体力回復したい娘は肉、魔力回復したい娘はスープを食べなさい。レティシアはスープをさっさと飲んで下層への準備をする事」

 

「はいはい」

 

 

一応、飲みながらでも作業は出来る。

やる事なんて使った灰をかき集めるだけ、それで退魔灰粉の劣化品の完成(?)

所で、このスープ錬金術で作ったポーションと効果がほとんど同じなんだけど、この先にそれぞれのポーションを作る必要はあるんだろうか。

こっちは食事にも使えるし。

 

 

「さって、魔力回復。とりあえず、下に向かうのは良いとして。アリアたちはマッピングとかはどこまでしたの?」

 

「マッピングも何も、そこにある階段は、居り続ければ最下層まで行けますわ」

 

「『そもそもですわ。人が使う事を念頭に設計されている以上、此処は腐っても遺跡(住居跡)なのであって、迷宮(ダンジョン)ではありませんわ』」

 

「…………ソレもそうだね。じゃあ、重要拠点以外は後回しで行こうか」

 

 

話しながらその階段を下りていく。

統一規格の建物であるらしく、同じような階段が四角を描くかのように地下に伸びている。

こんな灯りがランプや松明だけの状況では、感覚も狂いそうになるけれど、書かれている数字が今いる階を解りやすく伝えてくれる。

 

 

「随分と下りて来たねえ。やっとここが1階……元地上階か」

 

「不気味なまでに動物も霊も来ませんわ。そして、まだ地下に続く階段すらあるみたいですわね」

 

「…………この階層までよく降りてこられたと言うべきですね。地下3階以降は、完全に水没しています」

 

「こんな海辺近くの都市だと言うのに、此処まできてやっと水カ。随分と貴重になったものだナ」

 

「まあ、今なら水くらい魔法で出せるしね」

 

 

今の時代であれば別に貴重でもなんでもない。

確かに魔法を使える人間こそ限られてはいるけれど、その技術を独占して門外不出としている所なんて無い。

信じられないレベルでお金になる、とかならまだそう言った話もあるのかもしれないけれど、魔法としては初歩の初歩の水生成。

相互協力がこの時代で生きていくのに大切な事なんだし、態々敵を作る行為なんて誰も行わない。

 

 

「――――――まあ、置いといて。どうする? これ以上地下にはいけないけど、地下2階を先に見て回る?」

 

「ほかに、ほうほうもないしな。それに…………このさき、だろう?」

 

「ええ。魔素を感知してみれば、この水の先ではなく地下2階のエリアから強く感じます。魔素を垂れ流している存在は、この先です」

 

「じゃあ、行こうか。この扉を開けたらすぐにでも戦闘が出来るように」

 

 

ボクの言葉に言われるまでもなく、皆が武器に退魔灰粉を振りかける。

加えてライラが魔物の数を調べようと魔法をかけてみるけれど、計測不能。

多分すさまじい数が居るんだろうと、全員が嫌そうな顔をしながらも扉を開ける。

そして、目に飛び込んできたのは驚きの光景だった。

 




作中でナラトが言ってるように、ダンジョンじゃねーです!
あくまでも、あくまでも遺跡とは住居跡なのです!
だから大勢が利用していたようなところは機能的であってしかるべきで、あっちこっちに階段があったり複雑に絡み合った通路があるのはおかしいと思うのですよ。
ええ、別にダンジョン描写書くのが面倒だからボス直行ルートを考えたとか、そんなわけではございませんからね、決して! 決して!!
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