良い感じの能力を貰い転移したが 現地民の方が強い……   作:勇気の遊技

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転移した 村人がマジで 強かった

 

 光が体を覆って……そしてオレは。

 

 異世界へと転移したのだ。

 周りを見渡せば広がるは森林、その奥から小鳥の鳴き声が聞こえる……。

 そしてもう一つ、気になることがあるのだ。

 

「どこだよ、ここ」

 

 それに答える者はいない……。

 そう考えていたその時、草むらがガサガサと音を立てたのだ。

 オレはロリ神から教えられた、魔物への対処法その1──下がって、どのような魔物か確認するということをした。

 

「出ろ、【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)出番だぜ!」

『ギィッ!』

 気のせいかは分からないけどもなんだか張り切っている、まぁ、いいことだ。

 

【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)も召喚して警戒を更に強めた……どんな奴でもかかって来い!

 いややっぱオレと【守護虫】(ガード・バグ)だけで倒せる魔物だけ出てください……。

 その間にも、草むらはもっと音を立てて揺れる。

 【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)も、その二つの腕を上げ、威嚇しながら更に強く、警戒する。

 

 出てこないなと思っていたが──その時は来た。

 ついに草むらから、何かが出てきたのだ!

 

 それは、深緑の色をした小さくはあるがその身に似合わぬ鋭い牙を持つ『グルル』と唸る、見るのも恐ろしい生物……【子悪鬼】(ゴブリン)と称される魔物が出てきた。

 それも、10体も。

 野蛮な深緑色の野蛮な生物は、こちらを見て、『ギヒィ』と笑う……恐らく、虫一匹と弱そうな人間一人がいるとだけ考えているのだろうな。

 

「初めての実戦か、いけるな? 【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)

『ギィッ』

 

子悪鬼(ゴブリン)らは武器を持っているため倒せば武器をやっと入手できる……ならば遠慮なく殺してやろう。

 子悪鬼(ゴブリン)は……突っ込んできた!

 二匹はオレに、後は【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)に。

 あまり理性的ではないし、どちらを先に倒すべきかは大きさで判断していると見た。

 

 「その選択を後悔しとけよ?」

 

 【即行呪文詠唱】(インスタント・スペル)【螺旋の風】(スパイラル・ウィンド)をオレは詠唱し、真っ直ぐこちらに突っ込んでくる子悪鬼(ゴブリン)【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)の方へと吹っ飛ばす。

 回る風が子悪鬼(ゴブリン)を吹っ飛ばすのを見るのは、心底気持ち良い!

 【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)の二つのハサミによって、吹き飛ばされた二匹の子悪鬼(ゴブリン)達は挟まれ……上と下が泣き別れすることとなった。

そして、他の子悪鬼(ゴブリン)らは脅威と見なすものを間違えたと、オレに急いで目標を変えたが──もう遅い。

 直ぐそこに迫るは、【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)

 そしてそのまま、両腕を振り下ろして二匹を潰す。

 

 子悪鬼(ゴブリン)達に恐怖が襲った……一匹を除いて。

 

 肉壁がいなくなった事に腹を立てたのか、頭を激しく掻くこの中のボスであろう両手剣を持った、少し体格の良い子悪鬼(ゴブリン)は肉壁を殺した【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)に対し、肉壁を三匹出させた後に自らも参加した。

 余った二匹は先程の子悪鬼(ゴブリン)達の反省を活かして右側に一匹左側に一匹と別れ、その後一斉にオレに襲いかかってきた。

 オレは、右側の子悪鬼(ゴブリン)の槍での刺突を避けて。

 飛び上がってそのナイフを刺さんとする左側の子悪鬼(ゴブリン)の顔を掴み。

 右側の子悪鬼(ゴブリン)に投げつけてやった。

 

 『グゲェ……』

 

 気色悪い声をした後、二匹の子悪鬼(ゴブリン)は気絶した。

 【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)の方を見ると、もうとっくに勝負は着いていたらしい……血に濡れた両腕がそれを物語る。

 二匹の気絶した子悪鬼(ゴブリン)をもしもの事があってはと思い、【即行呪文詠唱】(インスタント・スペル)で詠唱した【火炎ねじれ】で燃やした後に、戦利品を漁った。

 

「……殆ど使い物にならないな。【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)の体を斬った時にその硬さに耐えれなくて、全部壊れてやがる。まともに使えるのは、これだけか」

 

 唯一使えるのは鉄製の使い古された、まともに整備のされていない真っ直ぐな剣。

 

「伝説剣とでも名付けるか」

『……ギィ?」

 

 なんか、【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)に憐れむような目で見られたのだが、何故だろうか。

 

 さて、森林の中は危険がいっぱいだし、遠くも見え……そういや【梟の目:壱】(ハンター・アイ)あったな。

 【梟の目:壱】(ハンター・アイ)を起動してみると……凄い。

 遠くが本当に見える、どんなものも見える。奥で鹿らしきものが動いたのも、村が見えたの……も。 

 そして村の近くに……魔物の群れが来ているのも。

 

「村があった……けどこれは不味いな、行かねぇと!」

 【守護蟹虫】(ガード・カニムシ)を待っていては、村が襲撃されるのを防げない……すまないな。

 召喚を解除して、走る。【梟の目:壱】(ハンター・アイ)も目が疲れてしまって戦えないのでは本末転倒なので、切った。

 足に、力を入れて……前に駆け出す。

 

 走り続ける。

 

 そうして、長いこと森林が続いたが──ついに森林を抜けた。

 

 が、村にもう魔物が押し寄せている……このまま走っていても間に合わない。なので……高く、飛ぶ。そして、一瞬で体を地面と平行に傾けた後に【即行呪文詠唱】(インスタント・スペル)で、【ウィンド】をオレの胸の前、両足の後ろ、腰の下に放ち【滑空】する! 

 

 下向きの【ウィンド】で一瞬だけでも体を浮かせ、【滑空】を詠唱する時間を作り、詠唱が完了し、そして両足の【ウィンド】で前への勢いがついた【滑空】を行う。

 だから直ぐに駆けつける事が出来る!

 

 いや不味いもう、魔物と村人達戦いかけてる……!

 

 魔物の鋭い牙が、青年を襲う。

 オレはその時やっと現場に到着して、上から勢いよく着地し、青年を突き飛ばして、庇った。

 ライオンのような魔物の牙がオレの右肩に深く刺さる。

 

 「痛っっっつてぇぇぇ!」

 

 さすがに元一般人なので痛いですよ……痛覚はそのまんま。 

 だから、叫んでも、仕方ないだろう。

 オレが突き飛ばした青年を見ると、心底驚いてそうだった。他の村人もそうだった。

 村人は、我に帰ると、オレに噛み付いている魔物を……複数人で引き千切って、その頭を放り投げた。

 そして村人らは、魔物の群れに逆に襲いかかった。

 

 逃げる魔物、追いかける村人。

 オレが想像している、異世界の村人と全く違う、強すぎる。

 ロリ神は、想像以上の世界に送ってくれたようだな!

 はっはっ……はぁ。

 

 「……へ」

 「転移者か転生者さんですか? 治療させていただきます、中へお入りください」

 「あっ、はい、ありがとうございます」

 

 女の村人に連れて行かれて、村の中に入る。

 外では、掃討戦が繰り広げられているようだった。

 はぁ。

 

 

 「村人……強すぎ、後オレは転移者です」

「……転移者様、治療させていただきます」

 

そういうと杖を持った女の村人は『癒しの精霊よ、彼に導きを』と唱えて回復の魔法をかけてくれた。

 深穴が広がっている右肩が、みるみるうちに直り……そして、完全に塞がった。

 

 「……色々と、聞きたい事があるのですが、いいですか?」

 「はい、転移者様、私が答えられる範囲ならお答えしましょう」

 

 そうして、色々なことを聞いた。

 この村の名前とか、何でそんなに強いのかとか、まぁ、色々と。

 この村の名は【ハカノ村】村人の数は全員で45名と、かなり小規模な村となっている。

 強さの理由はもう二度と、奪われないようにするため、特訓したという……何かありそうだ。

 そして、誰に何を奪われたかを聞くと苦虫を噛み潰したような顔で渋々と答えた……その手は強く握りしめられていて、爪が皮膚に食い込んでいる。

 

 ……そして、分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 前この村に来た、転移者はクソだと言うことに。

 




今回使った魔法の説明。

【螺旋の風】《スパイラル・ウィンド》
前方に捩れながら進む風を発生させる、殺傷能力はあまり無い。
第二階位の風魔法。

【ウィンド】
風を発生させる、魔力をどのくらいの量込めたかどうかで風の強弱が決まる。第一階位の風魔法。

【火炎ねじれ】
炎を捩れさせることで複数の敵を攻撃する事ができ、魔力の総量によって、色が変わる。佐藤健二の場合は、赤。
第二階位の炎魔法。
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