仮面ライダー×ブルアカ   作:牛になる

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今回はほぼ原作ブルーアーカイブのプロローグと同じ内容です。
というか、ガチでほぼそのまんまです。ちょっと改変したぐらい…
先生と原作(ブルアカ)キャラはそのまんまだから
駄目そうだったら消します。


プロローグ

……我々は望む、七つの栄光を。

……我々は覚えている、彼らの笑顔を。

 

接続パスワード承認

 

「シッテムの箱」へようこそ、先生。

 

 

 

透き通った空、透き通りすぎて永遠の夜に包まれた、終焉を迎えた世界の、円形に配置された19体の像の中心にそびえ立つサンクトゥムタワーの頂点で、孤独な玉座にひとり、黒い髪に金色のメッシュが入った、赤眼の女性が腰掛けていた。

 

 

 

……私のミスだった。

 

愚かな私の選択、そしてそれによって招かれたこの全ての状況。

 

結局、この結果に辿り着いて初めて、貴方方の存在が必要だったと悟るとは…

 

今更図々しいかと思うが、頼む。

 

先生。

 

きっと、私の話は忘れるだろうが、それでも構わない。

 

何も思い出さなくても、貴方いや、貴方方は同じ状況で、同じ選択をするのだろうから…

 

大切なのは、 経験(過去)ではなく、“選択(未来)

 

貴方にしか出来ない選択(道標)の数々。

 

 

 

目を閉じる…

…一枚の割れたメダルを握りしめる少女。

…黄金の鎧を纏った吸血鬼の少女。

…豆腐を持って空を指差す少女。

…夜の街に、マフラーをたなびかせる黒と緑の少女。

…砂地に倒れ伏す、黒と白の少女2人。

それらが、目に浮かび上がってくる。

そして、目を開ける。

 

 

 

…責任を負う者について、話したことがあったな。

 

若き日の私には理解できなかったが……。今なら理解できる。

 

大人(力を持つ者)としての、責任と義務。そして、その延長線上にあった、貴方の選択。

 

それが意味する心延えも。

 

……。

 

ならば、先生……。

 

私が信じる、最高最善の大人であった貴方なら、

 

この最低最悪の、捻じれて歪んだ先の終着点(鏖魔の日)とは、また違った最高最善の結果(逢魔の日)を……。

 

そこへ繋がる道は……自ずと見つかるだろう……

 

……ついでだ。私の祝福を授けよう。

 

祝え!

この混沌としたキヴォトスを纏め、生徒とともに何気ない日常で、

ほんの少しの奇跡を見つける物語(ブルーアーカイブ)を紡ぐ大人

その名も先生!

キヴォトスを救う救世主の誕生の瞬間である!

 


 

「………い」

「……先…」

 

「……先生!」

 

声に驚き、飛び起きる。

 

「やっと目が覚めたか、先生。」

 

「少々待っていてくださいと言ったのに、お疲れだったみたいですね。なかなか起きないほど熟睡されるとは。」

 

ここは……どこ?私は確か……

 

「夢でも見ていたようだ。しっかりと目を覚まして、集中してくれ。」

「といっても、寝起きでそれはつらいか……一旦状況を整理しよう。」

「私は「本郷ライダー」、「ライダー学園」の生徒会長をしている。」

「今は連邦生徒会の先生の護衛依頼で来ている。」

 

黒色のロングコートを羽織い、赤いマフラーをつけた、ピンク色の目と暗い緑色の髪の少女、本郷ライダーと言うらしい。

 

「私は七神(ななかみ)リン、学園都市「キヴォトス」の連邦生徒会所属の幹部です。」

「そしてあなたはおそらく、私たちがここに呼び出した先生……のようですが。」

「……ああ。推測形でお話したのは,私たちも先生がここに来た経緯を詳しく知らないからです。」

 

本郷とは対照的に、白色のロングコートを羽織い、眼鏡をつけた、青い目と美しい黒髪に宇宙のような青色のインナーカラーが入った少女、七神リン。

ていうか、君たちも私がここに来た経緯知らないの???私も知らないんだけど???

 

「混乱されてますよね。分かります。」

「こんな状況になってしまったこと、遺憾に思います。でも今はとりあえず、私についてきてください。」

「どうしても、先生にやっていただかなくてはいけない事があります。」

 

“やらなければいけない事?”

えっなんだろう不安なんだけど。

 

「学園都市の命運をかけた大事なこと……ということにしておきましょう。」

 

「このキヴォトスの未来は、先生にかかっているらしい。」

「さあ、一緒に行こうか。先生。」

 

そうして目の前の少女についていく形で、私は歩き出した。

(ウィイイイイイン……)

 

「「【キヴォトス】へようこそ。先生。」」

「キヴォトスは数千の学園が集まってできている巨大な学園都市です。これから先生が働くところでもあります。」

 

「先生がいたところとは色々な事が違っているため、最初は慣れるのに苦労するかもしれないが……。」

 

「でも先生なら、それほど心配しなくてもいいでしょう。」

 

「あの連邦生徒会長が、わざわざ外から呼んだ方だからな。」

 

「……それは後でゆっくり説明することにして。」

 

エレベーターが一階へ着くとドアが開き、多くの子供が押し寄せてくる光景が見える。

 

「ちょっと待って!代行!見つけた、待ってたわよ!連邦生徒会長を呼んできて!……うん?隣の大人の方は?って、本郷さん!?どうしてここに!?」

 

青髪のツインテールの少女。今更気づいたけど、みんな頭の上に輪っかみたいなのがある……?

 

「首席行政官。お待ちしておりました。」

 

驚異的な胸囲を持つ高身長で黒髪赤眼の少女……少女でいいんだよね?

 

「連邦生徒会長に会いに来ました。風紀委員長が、今の状況について納得のいく回答を要求されています。」

 

茶髪で足の赤タイツに目が移る少女……

 

「あぁ……面倒な人たちに捕まってしまいましたね。本郷さんと先生はしばらくお待ちください。」

「こんにちは、各学園から“()()()()”ここまで訪問してくださった生徒会、風紀委員会、その他時間を持て余している皆さん。」

「こんな暇そ……大事な方々がここを訪ねてきた理由は、よく分かっています。今、学園都市に起きてる混乱の責任を問うために……でしょう?」

 

「そこまで分かってるなら何とかしなさいよ!連邦生徒会なんでしょ!数千もの学園自治区が混乱に陥ってるのよ!この前なんか、うちの学校の風力発電所がシャットダウンしたんだから!」

 

「連邦矯正局で停学中の生徒たちについて、一部が脱出したという情報もありました。」

 

「スケバンのような不良たちや怪人が、登校中のうちの生徒たちを襲う頻度も、最近急激に高くなりました。治安の維持が難しくなっています。」

 

「戦車やヘリコプター、ガイアメモリやアストロスイッチなど出所の分からない武器や違法アイテムの不法流通も2000%以上増加しました。これでは正常な学園生活に支障が生じてしまいます。」

 

待って?なかなかに物騒な話してない?2000%?ひえぇ……

 

「……ふむ。」

 

「こんな状況で連邦生徒会長は何をしているの?どうして何週間も姿を見せないの?今すぐ合わせて!」

 

「……連邦生徒会長は今、席におりません。正直に言いますと、行方不明になりました。」

 

「……。」

 

「……え!?」

 

「……!?」

 

「やはりあの噂は……。」

 

えぇ!?行方不明!?それがヤバいことだけは理解できるよ!?

 

「結論から言うと「サンクトゥムタワー」の最終管理者がいなくなったため、今の連邦生徒会は行政制御権を失った状態です。認証を迂回できる方法を探していましたが……先ほどまで、そのような方法は見つかっていませんでした。」

 

「それでは、今は方法があるということですか、首席行政官?」

 

「はい。この先生こそが、フィクサーになってくれるはずです。」

 

「!?」

「!」

「この方が?」

“私が?

いや待って。突然ここに呼ばれたと思ったら、なんか重要なこと任されそうになってる!?

 

「ちょっと待って。そういえばこの先生はいったいどなた?どうしてここにいるの?」

 

「キヴォトスではないところから来た方のようですが……先生だったのですね。」

 

「はい。こちらの先生は、これからキヴォトスの先生として働く方であり、連邦生徒会長が特別に指名した人物です。」

 

「行方不明になった連邦生徒会長が指名…?ますますこんがらがってきたじゃないの…。」

 

「ハッハッハ!まあそうなる気持ちも分かるよ。」

 

……だけど、ここにいるのは全員少女、子どもだ。なら、大人として、先生として、生徒たちを導くべきでは?

何やら治安もすごく悪いみたいだし、そこで私が、大人である私が逃げてもいいのだろうか?否。ならば、この運命も受け入れよう。

覚悟はいいか?私はできてる。

“こんにちは、先生だよ。”

 

「こ、こんにちは、先生。私はミレニアムサイエンススクールの…い、いや、挨拶なんて今はどうでもよくて…!」

 

「そのうるさい方は気にしなくていいです。続けますと…」

 

「誰がうるさいって!?わ、私は早瀬ユウカ!覚えておいてください、先生!」

 

“よろしくね。”

早瀬ユウカ……うん、記憶した。

 

「…先生は元々、連邦生徒会長が立ち上げた、ある部活の担当顧問としてこちらに来ることになりました。

連邦捜査部「シャーレ」。単なる部活ではなく、一種の超法規的機関。連邦組織のため、キヴォトスに存在するすべての学園の生徒たちを、制限なく加入させることすらも可能で、各学園の自治区で、制約無しに戦闘活動を行うことも可能です。」

 

……ヤベーイ組織では?なんでこれだけの権限をその機関に持たせたのか。理解できぬ。

 

「改めて聞くと恐ろしいな……まあ、私の学園のみ対象外だが。」

 

「なぜこれだけの権限を持つ機関を、連邦生徒会長が作ったのかは分かりませんが……。シャーレの部室はここから約30km離れた外郭地区にあります。今はほとんど何もない建物ですが、連邦生徒会長の命令で、そこの地下に「とある物」を持ち込んでいます。先生を、そこにお連れしなければなりません。モモカ、シャーレの部室に直行するヘリが必要なんだけど…。」

 

(ピピッガー)

ピンク髪の少女がホログラムで投影される。

 

「シャーレの部室?…ああ、外郭地区の?そこ、今大騒ぎだけど?」

 

「大騒ぎ…?」

 

「矯正局を脱出した停学中の生徒が騒ぎを起こしたの。そこは今戦場になってるよ。」

 

うん?戦場?

 

「…うん?」

 

「連邦生徒会に恨みを抱いて、地域の不良たちを先頭に、周りを焼け野原にしてるみたいなの。巡航戦車までどっかから手に入れてきたみたいだよ?それで、どうやら連邦生徒会所有のシャーレの建物を占拠しようとしてるらしいの。まるでそこに何か大事なものでもあるみたいな動きだけど?」

 

焼け野原?巡航戦車?占拠?何?戦争でもしてんの?

 

「……。」

「あっ」

 

「まあでも、もうとっくにめちゃくちゃな場所なんだから、別に大した事な……あっ、先輩、お昼ごはんのデリバリーが来たから、また連絡するね!」(ブツッ)

 

ッスーー……リンちゃんおこだなー(現実逃避)

 

「……。(プルプル)」

「まあ、なんだ……大丈夫か?」

 

“大丈夫?”

 

「…だ、大丈夫です。…少々問題が発生しましたが、大したことではありません。(じー)」

 

「…?」

 

「な、何?どうして私たちを見つめてるの?」

 

「ちょうどここに各学園を代表する、立派で暇そうな方々に、本郷さんがいるので、私は心強いです。」

 

「…えっ?」

 

「任せたまえ。連邦生徒会長はこの状況も予測していたからこそ私に依頼してきたんだろう。」

 

「キヴォトスの正常化のために、暇を持て余した皆さんの力が今、切実に必要です。行きましょう。」

 

そしてリンは歩き出した。

 

「それでは先生、行くとしようか。」

 

本郷ライダーにエスコートされ、私も歩き出す。

 

「ちょ、ちょっと待って!?ど、どこに行くのよ!?」

 

それについていく形で、ユウカは走って行った。

 


 

(ヒュオオオオーーー!!)

(ドガアアァァァァン!)

 

「な、なに、これ!?」

 

(タタタタタタッ!!)

 

「なんで私たちが不良たちと戦わなきゃいけないの!!」

 

私だって聞きたいよそんなこと!

 

「サンクトゥムタワーの制御権を取り戻すためには、あの部室の奪還が必要ですから……。」

 

「それは聞いたけど……!私これでも、うちの学校では生徒会に所属してて、それなりの扱いなんだけど!なんで私が……!」(パパパパパッ!)

 

いっ、痛っ!!痛いってば!!あいつら違法JHP弾を使ってるじゃない!?」

 

「伏せてください、ユウカ。それに、ホローポイント弾は違法指定されてはいません。」

 

「うちの学校ではこれから違法になるの!傷跡が残るでしょ!」

 

「今は先生が一緒なので、その点に気を付けましょう。

 先生を守る事が最優先。あの建物の奪還はその次です。」

 

ほんとにそう……足手纏いだねこのままじゃ……。

 

「ハスミさんの言う通りです。先生はキヴォトスではないところから来た方ですので……。私たちとは違って、弾丸一つでも生命の危機にさらされる可能性があります。その点ご注意を!」

 

「大丈夫だ。私が護衛している。余程のことがなければ殺させはしない。」

 

わぁ!頼もしい……惚れちゃいそ。

……戦闘か……直接の戦闘はできないけど、指揮ぐらいならできるかな?

うん、なんかいける気がする!

 

“私が指揮する、任せて。”

 

「え、ええっ?戦術指揮をされるんですか?まあ……先生ですし……。」

 

「分かりました。これより先生の指揮に従います。」

 

「生徒が先生の言葉に従うのは自然なこと、ですね。よろしくお願いします。」

 

「よし、じゃあ行ってみましょうか!」

 

そして私の指揮での戦闘が始まった。

 

“スズミ、少し行ったところに4人待機してる。見えたら閃光弾で牽制。”

 

「はい。了解しました。」

 

指示通りにスズミが閃光弾を投げると、不良たちの前で強い光を発して4人の不良生徒の視界を塞ぐ。

その隙にハスミやユウカが気絶させる。

 

“ユウカ、シールドを。”

 

「現在の状況と条件、よし!勝利の方程式は決まったわ!」

 

シールドで不良生徒の銃弾を防ぎ、その内に攻撃して不良生徒たちを気絶させる。

 

そんな感じでとんとん拍子に戦闘は進み、普段ならありえない速度で戦闘は終わった。

 

「なんだか、戦闘がいつもよりやりやすかった気がします……。」

 

「……やっぱりそうよね?」

 

「先生の指揮のおかげで、普段よりずっと戦いやすかったです。」

 

いやー、そう言ってもらえると嬉しいね。

 

「なるほど……これが先生の力……まあ、連邦生徒会長が選んだ方だから当たり前か……。」

 

「……おそらく、連邦生徒会長が選んだ理由はそれだけじゃないがな。」

 

「それは……どういう?いや、それよりもまずはこの戦闘を終わらせなくては」

「それでは次の戦闘もよろしくお願いします、先生。」

 

“うん、任せて。”

 


 

「もうシャーレの部室は目の前よ!」

 

(ピロン)

 

リンちゃんがホログラムで映される。

 

「今、この騒ぎを巻き起こした生徒の正体が判明しました。」

「ワカモ。百鬼夜行連合学院で停学になった後、矯正局を脱獄した生徒です。似たような前科がいくつもある危険な人物なので、気を付けてください。」

「まあ、本郷さんがいるなら大丈夫だとは思いますが……」

 

えっ、ここまで言われるって本郷は何者……?

 

「まぁ、そうだな。だが、あくまでも私の依頼は先生の護衛なため、危険があるならば手を貸そう。」

 

「騒動の中心人物を発見!対処します!」

 

そこには狐面をつけた銃剣を持つ少女、ワカモと呼ばれている少女がいた。

 

「フフ、連邦生徒会の子犬たちが現れましたか。お可愛いらしいこと。」

「それでは……少し遊んであげるとしましょうか。」

 

そういうと、ワカモはライフルから強力な神秘の弾が放ち、ユウカたちを襲う。

 

「ッ!!!」

先ほどのシールドで少々威力は抑えられたものの、かなり手痛いダメージを受けることになった。が、

“スズミ!”

 

「任せてください。」

 

「くっ……」

 

スズミの閃光弾がワカモに向かって投擲され、光を発する。

投擲された瞬間、ワカモは顔を背けて仮面で軽減することで、視力が潰れることは防いだものの……

 

“ハスミ”

 

「目標を捕捉、攻撃します。」

 

「うぐっ!」

 

その隙にハスミのスキルを発動し、強力な一撃を喰らわすことに成功した。

 

“ユウカは一旦戻ってチナツの治療を受けて。”

 

「……見事な指揮だ。先生。」

 

その声を聞いたワカモが、本郷に目を向ける。

 

「……あら、本郷……?これは、なかなかにマズい状況ですわね……!」

「私はここまで、後は任せます。」

 

そういうと、ワカモは撤退してしまった。

 

「逃げられてるじゃない!?追うわよ!」

 

「いや、私たちの目標はあくまでも、シャーレの奪還。このままシャーレのビルまで前進するべきだ。」

 

「……まあ、本郷さんがいうのなら……あいつを追うのは私たちの役目じゃないってことね。」

 

「罠かもしれませんし。」

 

「はい。建物の奪還を優先で。このまま引き続き、進むとしましょう。」

 

そうして不良生徒を倒しながら進むと……

 

「「「「「イーッ!」」」」」

 

全身黒タイツの変態さんたちが出現した。

 

“誰!?”

 

「ショッカーの構成員!? もうショッカーは壊滅したはずじゃ……」

 

「おそらく、まだ残党が残っていたのでしょう。」

 

ショッカーとはなんだ?どうやらハスミとユウカの会話からヤベーイ組織というのだけは分かる。

 

「なるほど。それならば私が出よう。怪人、特にショッカーに対しては、私の仕事だからな。」

 

本郷がそういうと、どこからともなく風が吹く。

本郷が着ていたジャケットを脱ぐと、その腰には【ベルト】が巻かれていた。

 

「お見せしよう、先生……これが、「仮面ライダー」だ。」

「変身」

 

風が本郷のベルトに吸い込まれると、ヘイローがバッタの頭部のようなヘルメットの形を模し、頭に装着されると、クラッシャーが口元を覆い隠す。

腹部にはメカメカしい腹筋の外骨格が装着され、肩から脚まで一直線に伸びる二本の白線。白いブーツと手袋が装着される。

黒いボディ。輝く真っ赤な眼。碧の仮面。

この騒がしい戦場の中でも、赤いマフラーがたなびく音だけは、しっかりと聞こえた。

 

“カッコいい……!”

 

「先生!?今それを言うタイミングですか!?」

 

カッコいいものはカッコいいのだ。仕方ない。

 

「……ハッハッハ!先生はかなり愉快な人のようだな!」

 

そう言いながら本郷は次々とショッカーの構成員を倒していく。

一人目は首筋にチョップを入れられ倒れた後に、脚を掴まれジャイアントスイングでビルの壁に叩きつけられ、泡となって消えた。

二人目は先程のジャイアントスイングに巻き込まれて倒れ、それに馬乗りになった本郷に顔面を殴打され死亡した。

三人目と四人目は二人目が持っていた棒状の武器を盗られ、それが回されていた所に頭部と腹部を強打し死亡。

五、六人目はこのままではマズイと判断したのか、二人がかりで武器を奪い返そうとした所で空高く跳躍され、それに巻き込まれて空中へと連れられ、空から勢いよく落下。死亡。

七、八、九人目も鮮やかな体術で倒された。

あまりにも一方的な戦闘スタイルに目を奪われていると、そう遠くはない場所から、重機が動くような音が聞こえた。

 

(ゴゴゴゴゴゴ___)

 

「……うん?この音は……。」

 

「気をつけてください、巡航戦車です……!」

 

「クルセイダー1型……!私の学園の制式戦車と同じ形です。」

 

「不法に流通された物に違いないわ!PMCに流れたのをショッカーが買い入れたのかも!

つまりガラクタってことだから、壊しても構わないわ!!」

 

その会話が終わったあたりで主砲の先が本郷に照準を定め、

撃たれた戦車の砲弾が本郷へ迫る……!

 

「とう!」

 

驚異的な跳躍力でそれを避けて空中で一回転すると、右脚を前に突き出す姿勢をとり、戦車へ向かって加速しながら跳んでいく!

 

「ライダーキック!!!」

 

戦車の主砲に強力な蹴りを喰らわすと、そのままの勢いで進み続け、主砲が潰れてグシャグシャになり、装甲ごと貫通していく。

そして完全に戦車に風穴が開き、本郷が地面に着地すると……

 

(ドガアアァァァン!!!)

 

戦車が爆散し、その爆風でまたもやマフラーがたなびき、真っ赤な眼が一際輝いていた。

 

「「シャーレ」部室の奪還完了。そちらはどうだ?リン。」

 

「私も、もうすぐ到着予定です。建物の地下で会いましょう。」

 


 

【ゲイツ!】

「うーん……これが一体何なのか、まったく分かりませんね。これでは壊そうにも……あら?」

 

シャーレの地下で、ワカモと遭遇した。

とりあえず、挨拶でもしておこう。

“こんにちは。”

 

「あら、あららら……。」

 

「……。」

 

「あ、ああ……。し、し……。」

 

“し?”

 

「しつれいいたしましたー!!」

 

“……?”

 

ワカモは 逃げ出した!

ワカモは、赤と黒の時計?をドロップした!

 

「……ワカモもあんな顔するんだな。」

 

本郷が呆けた顔をしながら呟いた言葉は、先生の耳には入らなかったようだ。

 


 

「お待たせしました。

 ……?何かありましたか?」

 

うーん……ワカモと会ったけど……わざわざ報告するようなことでもないか。

 

“ううん、大丈夫。”

 

「何も……うん、何もなかった。」

 

「……そうですか。ここに、連邦生徒会長の残したものが保管されています。」(スッ)

「幸い、傷一つなく無事ですね。受け取ってください。」

 

これは……

“タブレット端末……?”

リンからタブレットとメモリのようなものを受け取る。

 

「なるほど、それを使うか。連邦生徒会長は。」

 

「はい。これが、連邦生徒会長が先生に残した物。「シッテムの箱」と「メモリ」です。」

 

どこかで聞いたことある名前……

 

「普通のタブレットに見えますが、実は正体の分からない物です。製造会社も、OSも、システム構造も、動く仕組みのすべてが不明。

連邦生徒会長は、この「シッテムの箱」は先生の物で、先生がこれでタワーの制御権を回復させられるはずだと言っていました。

私たちでは起動すらできなかった物ですが、先生ならこれを起動させられるのでしょうか、それとも……。」

 

“…………。”

 

「メモリの方はパソコンに繋げることでキヴォトス内の様々な物や出来事の記録が閲覧できるようになります。ぜひ役立ててください。」

 

「おい待て、それは……」

 

「大丈夫です。人体に害を及ぼす成分は完全に中和してあります。」

「……では、私はここまでです。ここから先は、全て先生にかかってます。邪魔にならないよう、離れています。」

 

「……そうだな、少し離れておくとしよう。」

 

「シッテムの箱」を起動させる。

 

ピロン…Connecting To 『Crate of Shittim…』

システム接続パスワードをご入力ください。

 

“………パスワードは………。”

 

突如、脳裏に浮かんだ文章を入力する。

 

「“『我々は望む、七つの嘆き(栄光)を。

我々は覚えている、ジェリコの古則(彼らの笑顔)を。』”」

 

接続パスワード承認。

現在の接続者情報は先生、確認できました。

 

「シッテムの箱」へようこそ、先生。

 

生体認証及び認証書生成のため、メインオペレートシステムA.R.O.N.Aに変換します。

 

 

そして、画面は、いや、視界は、海が見える半壊した教室へと変わった。

 

 

(見たことも無い教室で、ひとりの女の子が机の上にうつ伏せで居眠りしている。)

 

くううぅぅ……Zzzz…くううぅぅ……Zzzz…

 むにゃ、ドーナツにはぁ……いちごミルクより……バナナミルクのほうが……ベストマッチ……。くううう……Zzzzzzz…

 

えへっ……まだたくさんありますよぉ……。」

 

頬を突いてみる。

(ツン)

 

「うにゃ……まだですよぉ……しっかり噛まないと……。」

 

頬を摘んでみる。

(ぷにぷに)

 

「あぅん、でもぉ……。」

 

頬を揉んでみる。

(もにゅ、もにゅもにゅ)

 

「……うぅぅぅんっ。」

 

(ガタッ)

 

(むくり)

 

目が覚めたようだ。

 

「むにゃ……んもう……ありゃ? ありゃ、ありゃりゃ……?」

 

目の前の少女が顔を赤らめる。

 

「え?あれ?あれれ? せ、先生!?

 この空間に入ってきたっていうことは、ま、ま、まさか先生……?!」

 

“そうだよ。”

 

う、うわああ!?そ、そうですね!?もうこんな時間!?」

 

少女は机の上に置いてあった白銀の時計で時間を確認する。

 

「うわ、わああ?落ち着いて、落ち着いて……。

 えっと……その……あっ、そうだ!まず自己紹介から!」

「私はアロナ!この「シッテムの箱」に常駐しているシステム管理者であり、メインOS、そしてこれから先生をアシストする秘書です!」

「やっと会うことができました!私はここで先生をずっと、ずーっと待っていました!」

 

“寝てたわけではなくて?”

 

「あ、あうう……も、もちろんたまに居眠りしたりしたこともあるけど……。」

 

“よろしくね。”

 

「はい!よろしくお願いします!まだ身体のバージョンが低い状態でして、特に声帯周りの調整が必要なのですが……。

これから先、頑張って色々な面で先生のことをサポートしていきますね!」

 

「あ、そうだ!ではまず、形式的ではありますが、生体認証を行います♪

うう……少し恥ずかしいですが、手続きだから仕方ないんです。こちらの方に来てください。」

 

アロナに近づく。

 

「もう少しです。」

 

更に近づく。そうすると、アロナが指を差し出してきた。

 

「さあ、この私の指に、先生の指を当ててください。」

 

アロナの指に、私の指を重ねる。E.T.みたいだ。

 

「うふふ。まるで指切りして約束するみたいでしょう?

…はい?宇宙人の映画のワンシーンみたいですって?

実は、これで生体認証の指紋を確認するんです!

画面に残った指紋を目視で確認するのですが……すぐ終わります!こう見えて目は良いので。……どれどれ……。うう……。

(うーん……よく見えないかも……まあ、これでいいですかね?)

……はい!確認終わりました♪…え?真面目にやって、って?て、手抜きしてるみたいですって?

えっと……そんなことありません!……。最近の機械は指紋認証ぐらいは自動、ですって?え、1秒もかからないんですか?わ、私にはそんな最先端の機能はないですが……。そ、そんな能力なくてもアロナは役に立ちますから!?目でも十分確認できますから!」

 

少し涙目になってるのがかわいい。

 

「……全然信じてないって顔ですね……。うう……。」(ウルッ)

 

「だったらその最先端のナントカさんのところに行ってしまったらどうですか!」

 

“わー!!冗談、トーセンジョーダンだって!”

 

「くすん……。」

 

いっぱい慰めてあげた

 

「…なるほど……先生の事情は大体わかりました。

連邦生徒会長が行方不明になって、そのせいでキヴォトスのタワーを制御する手段がなくなった……。」

 

“連邦生徒会長って誰?”

 

「私はキヴォトスの情報の多くを知ってはいますが……連邦生徒会長についてはほとんど知りません。彼女が何者なのか、どうしていなくなったのかも……。お役に立てず、すみません。

ですが、サンクトゥムタワーの問題は私が何とか解決できそうです。」

 

“じゃあお願い、アロナ。”

 

「はい!分かりました。それでは、サンクトゥムタワーのアクセス権を修復します!少々お待ちください!」

「検索を始めます!キーワードは「サンクトゥムタワー」、「権限」」

 

周辺に大量の本棚が並び、キーワードから外れた本棚がどこかへ消えていく。最後に残ったサンクトゥムタワーの本を手に取ると、アロナはその本をデータに変換して読み込む。

 

(ウイィィィィィィン___)

 

「……サンクトゥムタワーのadmin権限を取得完了……。

先生。サンクトゥムタワーの制御権を無事に回収できました。今サンクトゥムタワーは、私アロナの統制下にあります。

今のキヴォトスは、先生の支配下にあるも同然です!

先生が承認さえしてくだされば、サンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管できます。

……でも……大丈夫ですか?連邦生徒会に制御権を渡しても……。」

 

“大丈夫。”

 

「分かりました。これよりサンクトゥムタワーの制御権を連邦生徒会に移管します!」

 


 

「……はい。分かりました。(カチャッ)サンクトゥムタワーの制御権の確保が確認できました。これからは連邦生徒会長がいた頃と同じように、行政管理を進められますね。

お疲れ様でした、先生。キヴォトスの混乱を防いでくれたことに、連邦生徒会を代表して深く感謝いたします。

ここを攻撃した不良たちと停学中の生徒たちについては、これから追跡して討伐いたしますので、ご心配なく。

それでは「シッテムの箱」は渡しましたし、私の役目は終わったようですね。……あ、もう一つありました。

ついてきてください。連邦捜査部「シャーレ」をご紹介いたします。」

 


 

「ここがシャーレのメインロビーです。長い間空っぽでしたけど、ようやく主人を迎えることになりましたね。」

(ガチャッ、バタン)

「そして、ここがシャーレの部室です。ここで先生のお仕事を始めると良いでしょう。」

 

“私はこれから何をすればいい?”

 

「……シャーレは、権限だけはありますが目標のない組織なので、特に何かをやらなきゃいけない……という強制力は存在しません。

キヴォトスのどんな学園の自治区にも自由に出入りでき、所属に関係なく、先生が希望する生徒たちを部員として加入させることも可能です……。

面白いですよね。捜査部とは呼んでいますが、その部分に関しては、連邦生徒会長も特に触れていませんでした。

つまり、何でも先生がやりたいことをやって良い……ということですね。

……本人に聞いてみたくても、連邦生徒会長は相変わらず行方不明のまま。私たちは彼女を探すのに全力を尽くしているため、キヴォトスのあちこちで起きる問題に対応できるほどの余力がありません。

今も連邦生徒会に寄せられてくるあらゆる苦情……支援物資の要請、行方不明者の捜索、環境改善、落第生への特別授業、部の支援要請などなど……。

……もしかしたら、時間が有り余っている「シャーレ」なら、この面倒な苦情の数々を解決できるかもしれませんね。

その辺りに関する書類は、先生の机の上にたくさん置いておきました。気が向いたらお読みください。」

「すべては、先生の自由ですので。」

「それではごゆっくり。必要な特には、またご連絡いたします。」

 

「これで護衛依頼も終了か……そうだ、先生。もし支援物資の要請に関する依頼などが来たら優先して貰えないか?」

 

“いいけど……どうして?”

 

「……昔色々あったんだ。聞かないでもらえると助かる。」

「そちらから、このこと以外に質問はあるか?」

 

“さっき「私の学園のみ対象外」って言ってたけど、それはどうしてなの?”

 

「あぁ、一つ目の理由は、私たち「ライダー学園」は学園とはいうものの、自治区が存在しない。キヴォトス全域を護るというのが学園の存在理由だからな。存在しない自治区に介入することはできない。」

「二つ目は私たちひとりひとりが一組織と同等の実力を持っていること。キヴォトスのパワーバランスが崩壊することになる。」

「三つ目は私たちがシャーレの収集などにより一箇所に集まってしまった場合、複数箇所で重大な問題が起こった時に対処できなくなる。」

「これらは生徒加入ができない理由だ。」

「これで充分か?」

 

“うん。よく分かった。”

 

「ならよかった。あぁ、あと最後にひとつ。」

「本来「仮面ライダー」というものは超機密事項であり、各学園組織の中でも高い地位につくものしかその情報を知ることはできない。」

「だから今日のことはたとえ誰であっても話すことは禁止される。理解してくれ。」

 

“もし話しちゃった場合は……?”

 

「……。」

 

えっなんで黙るの?こわいこわいこわい……

 

「まあ、そういうことだ。よろしくお願いするぞ?」

 

“は……はい……”

 

「それでは、また縁があったら逢おう。それでは。」

 

そして本郷は去っていった……。

 


 

……シャーレに就任して初めての夜、大雨がキヴォトス全域に降り注いだ。

(ピカッ!……ゴロゴロゴロ……)

(ダダダダダダッ……)

 

“凄い雨……”

 

雷の音が数分置きに鳴り響き、時々近くに落ちて閃光を発する。

 

(ピンポーン)

 

“?はーい。”

 

シャーレのインターホンが鳴り、入り口へ向かう。そしてドアを開けたが、そこには誰もいなかった。

代わりに、二通の封筒がそこに置いてあった。

それを拾い、シャーレの部室の中で開ける。

一通目は、最近見つかった遺跡の調査依頼。二通目は、アビドス学園からの支援要請だった。

 

“丁度近くの位置だし、遺跡調査もついでにいっちゃおうか。”

 

明日の予定が決まったところで、私は眠りについたのだった……

 

 




はい。今回は先生視点でしたけど、次回からはライダーの娘視点になります。
お楽しみに。
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