第3章 新人さんとお稽古
刀と梅干とよっちゃんとわたし
第3章 新人さんとお稽古
私が、お城へ行って
「3日前からお城
「よろしくお願い致します」深々と頭を下げる、新人さん。
「こちらこそよろしくお願い致します」と、にこやかに
歳は、私と同じくらいか、下かも。背は、よっちゃんと私の間くらい。細身で、姿勢が良い。立ち姿からすると、筋肉もしっかりついているような感じで、体はできているように思う。
しっかりしていそうなのに、でも、なんで?と思っていると、よっちゃんが理由を教えてくれた。
「腕は悪くないと思うんだけど、何かが悪いの。僕じゃ、そこが良く分からなくて」
剣には、性格がでる。
のんびりなのかせっかちなのか、
だが、この男は何だ?
打ち込めば、きちんと受ける。が、その瞬間木刀の角度をわずかばかり、変える。
できない、ということではない。知らない訳でもない。むしろ、知っている。
でも、何だろう、“フリ”をしている感じがする。何のフリ?何のために?
木刀を握る手に、私の手を添えてみる。
握り方は正しい。入るべき所に、力が入っている。どこか
肩の向き、腰のひねり、確認すればする程、混乱してくる。この人は、ちゃんと、訓練を受けている。指導されている。印象が、確信へと変わっていく。その証拠に、筋肉の付き方が
“フリ”をしている?なぜ?何のために?
疑問の言葉が、頭の中をぐるぐる回るだけで、答えが出ない。
「ね、Pちゃん、そろそろいいんじゃない?」よっちゃん、何か気付いた?声がいつもより高い、というか、
「うん、もう少し・・・」私は、自分で答えを見つけたい。
「Pちゃん、もう
「あ、うん。・・・そう」どこが悪い?どうしたら直せる?それが、分からない。
よっちゃんの顔も、だんだん
珍しい、よっちゃんがこんな顔するなんて。
というか、初めて見た。
「はいっ!終わり!もう時間!もう、
えっ?ちょっと待って。直すべきところが、分かりそうで、分からない。だから、直せそうで直せない。良くなったところがないなら、指導したとは言えない。これでは、指導者として失格だ。
「もう少し」と、言いかけた時、その言葉に
「新人さん!先にお城に帰ってくれる?」
新人さんは、礼儀正しく、私に深々と頭を下げ、お礼の言葉を言った。
そして、この場を提供してくれたと、よっちゃんにも、深々と頭を下げた。
いい人そう、なのに、なんでかな?
「ありがとう、Pちゃん」静かに言うよっちゃん。
でも、何でよそ向いて言うの?いつものよっちゃんらしくない。目線ぐらい合わせてよ。お礼言うのに、それ、ないんじゃない?何だか、ムッとしてしまう。
「時間制限があるなら、先に言ってもらいたかったな」ちょっと、言葉にトゲがある。でも、
「先に言うも何も、こんなに長くなるなんて思わなかったから」今度はこっち向いたけど、私の顔は見ない。
「ごめんね、役に立てなくて」もう、ケンカ腰。気まずいので、詳しく説明しようと言葉を続ける。
「気になるなあ、あの人。いい人そうなのに。何でだろう」よっちゃんの顔を、チラチラ
「気になる?いい人?」よっちゃんの声が低くなる。
説明したら分かってくれるかな?
「体もできてる、体の持って行き方や足の
「体ができてるって、Pちゃん、いっぱい
そんな、大きな声で言わないで。何だか、
「手、握って、指とか
「腰まで、触ってたよ、何回も・・・」
えっ?よっちゃん、何が言いたいの?
「気になるんだ、新人のこと」顔を斜めに向けて、横目で私を見ながら話すよっちゃん。
何?私、なんか変なこと言った?さっきまでのイライラが、一転不安に変わる。
「あ、うん、でも、よっちゃんも気になるって・・・」
「僕っわぁっ・・・何かが悪いってっ、言ったよっ!」
明らかに
「気になるんだよね。好きなタイプなの?
は?よっちゃん、何言ってんの?そんな意味じゃないけど・・・。もう、こっちも向いてくれない。
この言い方、もしや・・・。
「
「
また、怒らせた。
こっちじゃないのか、よっちゃんに引っかかってるのって。
あ~ん、分かんないよぉ~。
「何か、ヘンなの、フリしてるみたいで」
気まずいまま、よっちゃんは、お城に帰って行った。
多分、多分だけど、よっちゃんのことだから、私が言ったことは分かっていると思う。明日になって、顔を合わせた時点で、何もなかったようになってるだろう。『誤解させてごめんね、私、言い方が悪かったよね』とか何とか言えば、
後日談
さて、
翌日の稽古の時、よっちゃんは
「この間は、ありがとう」って。
「僕、態度悪かったよね。お腹
私は、あんなに心配したのに。
なんか、笑っちゃった。
第4章 第1話へ続く。