Pは、お見合い相手を廊下の向こうに見つけます。
その様子は?
第5章 乗馬のお稽古 第1話 よっちゃんがお見合いをした
刀と梅干とよっちゃんとわたし
第5章 乗馬のお稽古
第1話 よっちゃんがお見合いをした
お盆近くのお城の稽古日。
謙信様の
よっちゃんは、稽古に来ていない。「珍しいな、お盆休み、取っているのかな?」と思っていたら、来客らしく、急にお城の中がバタバタし始めた。
休憩となり、廊下に出ると、向こうの廊下を豪華な一群が歩いている。
老中ぽい人や、女中
ほ~と見ていると、家臣の一人が教えてくれる。
「よっちゃん、お見合いらしいですよ」
へっ?お見合い?てことは?け、け、け、結婚?!
「そうなんですねえ~」ヘラヘラ笑いながら、まるで礼をするように上半身を折り、
よっちゃんが、結婚…。そう言えば、叔父が何か
あ、よっちゃん、兼続様に手を引かれている。ちらっとこっちを見て、目が合ったから、
よっちゃんは、大きく
そして、奥へ消えて行った。
「先生~、後半、いきましょう~」場内から呼ばれ、私は稽古に戻る。
稽古に参加している人数が少なかったため、密度の濃い稽古になった。しかも、この暑さ。半時程(※約1時間)で終えた。
皆さんと挨拶して、廊下へ。
場内が暑かったせいか、涼しく感じる。もう、汗だく。
おやっ?さっきのお姫様だ。足早に、さっきとは反対の方へ向かっている。帰っているのかな?まだ、あれから半時くらいしか
「あんた達、いいの?こんなんで」
いつの間にか、かっきーが
“達”?達って、誰達のこと?私は、今、一人だけど?もしかしたら、私が姫様達を見ていたことを言ってるのかな?何か勘違いされるのは嫌だし、はっきりさせたいと思ったから、思い切って聞いた。
「よっちゃんのお見合いのことですか?」
また、胸の中心がズキッとする。イテテと押さえる様子にかっきーは
「ふう~ん、なるほどね。医者でも治らないヤツだ」と、ニマリと笑う。そして目を閉じると、すぐに寝息を立て始めた。
クールなイケメン、カッコ良すぎ。
向こうの廊下では、まだ騒ぎが続いていて兼続様が老中のような方に、しきりに頭を下げている。
あっ、よっちゃん見っけ!兼続様の後ろに小さくなって隠れてる。
『あんた達、いいの?こんなんで』なぜか、かっきーの言葉が耳の奥でこだまする。
春日山城は高い所にあるのに、井戸水に事欠かない。“そういう仕掛け”で作っているという井戸のお陰だそうだ。
稽古が終わって着替える頃、弥彦がいつも手桶にこの水を汲んで持って来てくれる。本当に良く気が付いて優しい子。
私は、そこに“母様の香り”として作っている小袋を
そうだ、と思い弥彦に打ち明けた。
「ねえ、ここがズキッとすることがあるんだけど」
胸の
「かっきーはね、医者でも治らないヤツって言ってた」
納得のいかない顔をしている私に、弥彦は
「いつ、どんな時になるの?」と尋ねる。
私がここに稽古に来て、最初に水を汲んで来てくれた時に、弥彦に「何で男身なりなの?」と“
「よく分かんないんだよね」
「いつ、どこで、ううん、
弥彦は
「誰・・・か・・・。人間関係のストレスかなあ・・・」
襖を大きく開け
「弥彦、ありがとう!」と、送り出す。
あっ、よっちゃん。
弥彦と入れ違いに、よっちゃんが来る。
「弥彦と仲いいの?」
へっ?あ~、女同志だからね、とか言えないので口ごもりながら、答える。
「水桶、持って来てくれるの」
「いつも?」
「うん、いつも」
「着替えとか、手伝ってもらってるの?」
やけに、突っ込んで聞くなあ。
「ハハハ、子どもじゃあるまいし。持って来て、置いたらどっか行って、しばらくしてまた来て、持って行ってくれる」
「そっ!」やっと笑うよっちゃん。
「ね、この後、出かけない?謙信様、みんなに暇をくださったんだ」
別に、用事は無い。
「いいよ」
「じゃ、行こ!」
心なしか、よっちゃんが上機嫌に思える。
もしかして、お見合いが上手くいったのかな?
うっ、また胸が痛い。
第5章 第2話 馬に乗って丘へ