推しの子 RTA 黒川あかねで「B小町の絶対的エース」取得 作:アクあか……いい……
宮崎にB小町として新曲のMVを取りに行くことになった。
そう、新曲なのだ。
私は、歌う時はアイの真似をしている。旧B小町の曲を使っているときは良かった。過去のライブ映像を元にひたすら調整を繰り返せば、アイらしくなる。
ただ、新曲をアイらしく歌うとなると明確なお手本がなく、私の想像で補う部分が増えて、精度が下がる。悩みどころではあるが、どうしようもない。せめて、自分の実力を高めてよりよく聞こえるように歌い、よりよく見えるように踊るしかないと思う。
***
MV撮影自体は、順調に進んだ。事件が起こったのは帰り道。カラスに鍵を奪われてそれを追いかけていたルビーちゃんと私は白骨死体を発見してしまった。
その死体は、首から下げた身分証明書から分かったがルビーちゃんの恩人らしい。
死体発見事件以降、落ち込んでいるのか少し雰囲気の変わったルビーちゃんが、寝る前に質問を投げかけてきた。
「ねぇ、あかねちゃん。お兄ちゃんはどうして役者になったのかな? あかねちゃんなら知ってるんじゃない」
父親を復讐のため、探しています。そのために芸能界入りしました、なんて言えないよね。
「察するところはあるけど、私の口から喋ることじゃないかな。アクアくん、本人に聞いてみたら?」
「きっと教えてくれないよ」
「だったら、私も言えないかな。ごめんね」
「別にいいよ」
***
私の初の主演映画の撮影が終わった。
かなちゃんも同じ映画に出ていて強い存在感を放っていたと思う。
私たち、二人とも、実力派女優兼アイドルとして一般知名度も上がってきている。
ルビーちゃんもバラエティなどの仕事に呼ばれるようになった。
アクアくんも意外と、ネットのバラエティ番組のレギュラーやファッションモデルなどマルチタレントとしてソツなくいろんな仕事をこなしている。
MEMちょはどっちかというとYoutube関連の仕事が多いのが同じB小町のメンバーとしてちょっと悪いなーとは思うけど、自身のチャンネルへと導線引くためだからと笑っていた。普段、配信でお世話になっているので、もうちょっと力になれたらなとも思う。
ただ、やっぱりルビーちゃんの雰囲気は少し変わったままだ。
別に調子が悪いとかそういうわけではなさそうなんだけど、あまり好きな変化ではない。
***
「あかねちゃん、私、あかねちゃんからセンター奪ってもっともっと売れて見せるから」
ルビーちゃんとの二人だけのレッスンの休憩時間に、そう声をかけてきた。
その両目は、アイに似て非なる、強く訴えかける何かが宿っている。
「ルビーちゃんは、今は復讐のためにアイドルやってて、有名になりたいんだ?」
「っ!?」
言葉にならない驚愕を見せるルビーちゃん。
目的はちょっと自信がないけど、カマかけてみようか?
「有名になって、偉くなったアイの関係者に話を聞きに行きたいんだよね?」
「なんで……」
ルビーちゃん、素直すぎない?
私も、不意打ち的に言葉かけたって面もあるけど……
「駄目だよ。こんなカマかけに、そんな簡単に態度に出したら。急な言葉にも対応できないと復讐なんて難しいよ?」
私の挑発じみた言葉に、ルビーちゃんは明確な敵意を持ってにらみつけてくる。
「あかねちゃんは何を知ってるの?」
「ほとんど知らないよ? ルビーちゃんが雰囲気変わって心配だったから、何を考えてるのかなーって想像したくらいかな。ルビーちゃんがカマかけに引っかからなかったら、変なこといってごめんって謝ることになってたと思う」
ルビーちゃんの視線はまだ厳しい。
「他には? 犯人とか私たちの父親とか知らないの?」
「アクアくんによく似た人なら知ってるけど、本当に父親かどうかはわからない。でも、例えば、私があの人が犯人ですって言ったとして、どうやってそれが本当か調べるの?」
ルビーちゃんは苛立った表情を見せる。
カマかけて警告したのに、表情を偽らないのは信頼されてる証なんだろうか?
「あかねちゃんは私に嘘を吐くって言うの?」
「私は隠し事はしても、なるべく嘘はつかないようにしてるよ」
今は特に嘘をつく意味がないし、なるべく誠実であろうとすることはきっと大事なことだ。かなちゃんのためなら嘘の一つや二つ吐くけどね。
「逆に聞きたいんだけど、どうしてアイの関係者たちが嘘をつかないって思ってるの? 犯人かもって名を挙げた人は、ルビーちゃんが警戒してくれるんだよ? あるいは、ルビーちゃんが直接調べようとその人の番組に出たりするかもしれないね。うまく相手を選べば商売敵の邪魔もできると思う。芸能界の上の人なら、それくらいの嘘はつくんじゃないかな」
「……そんなことまでするの?」
ルビーちゃんは愕然としている。
なんというか、兄妹そろって復讐に向いてないなぁ……。
「私も偉い人とはあまり縁がないから、あくまで想像の上の話だよ。でも、そういう想定もしておかなくちゃいけないと思う。情報を一つ一つ精査して、積み上げて、真実を探す。誰かが言ってからアイツが犯人、なんて簡単な解決はない。警察だって追いきれなかったんだよ? ルビーちゃんが犯人を突き止めるのは難しいと思うけど……」
「……難しいとか関係ない。ママとせんせの仇は私が取るんだ!」
ルビーちゃんの目には強い意志が宿っている。
ダメか。復讐を諦めないだろう。
アクア君の父親死亡の話を伝える?
調べたら時系列で間違いがわかるし、止めておいたほうがいいか。
「……そう。あまり無理はしないようにね」
「わかった。……あと、ちょっと疑ってごめん。それと、ありがとう。私が色々考え足りてないことはよく理解できた」
「別に構わないよ。衝動的に動かれたら、B小町メンバー、ひいてはかなちゃんに迷惑かかるから釘を刺しておきたかっただけだからね」
「……あかねちゃん、ほんと、ロリ先輩大好きだよねぇ……」
ルビーちゃんがすっごい呆れた表情をした。
***
「歌と踊りが伸び悩んでるねぇ……。たしかに、あかねの歌と踊りはアイの真似で、完成してるんじゃないって感じはあるわね」
私、有馬かなが見ても、B小町の中で一番、歌と踊りが上手いのはあかねだ。それは間違いない。
「歌と踊りって、没入型の演技じゃなくて、あかね自身がやってるって理解でいいの?」
「演技の表情とか動きとか慣れたものだけど、歌とか踊りをよりキレイによりアイらしく調整するとなると、さすがに演技ってわけにもね……」
つまり、演技方面のアプローチは無理。純粋に歌と踊りのレベルを上げる必要があるわけか。
「最近、ルビーちゃんのダンスもどんどん良くなっているから、このままでいられないかなぁ……」
「ルビーねぇ……最近らしくないわよね。焦ってるというか。前はあそこまで名を売りたいって感じじゃなかったのに」
そりゃ、アイドルだって楽しいことばかりじゃない。けれど、初ステージの時のルビーはもっと楽しそうにしていた。今のルビーは歌も踊りも上手くなって、バラエティの仕事も上手くこなしている。けど、あまり楽しそうには見えない。
「どうしてルビーちゃんがあそこまでしてるのか、察するものはあるの。でも、その理由に関係なく、負けたくないの」
あかねから負けたくないって言葉は意外だった。
演技に関してはもっと上手くなりたいとかいう思いは感じていた。
アイの真似をしてアイドルを始めたせいだろうか、アイドルに関しては上手くなりたいって思いはもちろんあったが、どこか私なんてって雰囲気が拭えていなかった。
「負けたくないか……。どうしてかしら?」
「私、アイのファンなんだ。子供の頃にみて、キラキラしてて憧れて。けど、アイみたいになろうと色々調べてるうちに、あれは演技なんだって気付いた。子供のころは無邪気に信じていたから割とショックだったことを覚えてる」
よくある話といえばよくある話になるだろう。
芸能界が、外から見ればキレイに見せようとしてるけど、中に入ると色々汚いなんて、今更すぎる話だ。
「ただ、ルビーちゃんは本当に心から楽しそうにしてたよね。少なくともライブ中の楽しそうな笑顔は嘘じゃないって思ってる。ただ、宮崎以降かな、心から楽しめてはいないみたい」
「……そうね。何があったのかまではわかんないけど、変わったわよね」
「子供みたいな押し付けだと思ってるけど……。前の心から楽しそうなルビーちゃんに負けるのはいい。でも、今の楽しめていないルビーちゃんに負けるのは嫌なの! 負けるのなら憧れるような人に負けたい!」
本当に、子供の癇癪みたいな考えだ。芸能界って子供っぽい純粋な思いを汚い力でぶっ飛ばされるなんてよくあることだ。
けれども、あかねのそういうところは嫌いじゃないと思う私も相当ほだされているのだろう。
「いいんじゃない。なら特訓よ」
「特訓? どんな内容の?」
「我を出す特訓よ」
「どうして、我を出すのが、歌と踊りの特訓に?」
あかねの顔が曇る。
我を出す、あんたの苦手分野なのはわかってる。
「あんたが前に言ってたじゃない。アイの歌と踊りってのはアイに最適化されててそれを真似するとどうしても劣化するって。だったら話は簡単よ。黒川あかねによる黒川あかねだけの歌と踊りを作り上げなさい」
「言葉にすれば、簡単だけど、それって凄く難しいことだよね」
無責任だから言葉にはしないけど、あかねなら大丈夫でしょって思う。
「アクアは苦手な感情演技を五反田監督の所で出来るようになったわ。……ルビーに負けたくないんでしょ?」
あかねがすっと目を閉じる。
「……わかった。お願い、特訓に付き合って、かなちゃん」
あかねが目を開き、私の目を見つめながらそう言った。
演技している時のような思わず視線を集めるような雰囲気もない、なんの演技もしていない、素の黒川あかねの目だ。
けれど、強い思いを宿したその目は、あかねなら大丈夫って思いを確信に変えるにふさわしいものだった。
***
その年に最も活躍したアイドルを決める「女性アイドルアワード」が今年も開催された。
その中で「新星賞」を獲得したのが「B小町」の黒川あかねさんだ。
「B小町」は十数年前に解散した伝説的グループのリブートユニットだ。
となれば、道半ばで命を落とした「アイ」と重ねて見る者も多いだろう。
黒川あかねは、その「アイの再来」ともファンから呼ばれていた。
彼女は、もともと劇団ララライで若きエースとも呼ばれる天才役者だったが、アイドル界隈で注目されるようになったのは、彼女がアイの真似をして歌う一分半程度の動画がツイッター上で話題になった頃からだろう。
まさにアイとしか言えないような吸い込まれるような瞳と、歌とダンスに驚いた人も多いのではないだろうか。
清楚なルックスと、アイとは異なり、生真面目で控えめなキャラ。
しかし、ひとたび歌えば、目が離せない圧倒的な魅力が溢れ、評価が高い。
初期こそ、アイの真似に終始していたが、最近ではアイをベースにしつつも彼女らしい魅力に溢れたものとなっている。
加えて、女優としての評価も高く、彼女の主演映画は評判を呼び、上映館数を増やして現在も上映されている。今後、出演する映画の上映も決まっている。
業界的にいうと、まさにこれから「一周目」を迎えようとしている。
また、彼女が所属する「B小町」はユーチューバーグループとしても人気が高い。
バラエティ番組で活躍する星野ルビー、
黒川あかねとの共演作が役者として特に高い評価を受けた有馬かな、
グループだけでなく、個人としてもユーチューバーとして名高いMEMちょ
いずれも、粒ぞろいのメンバーだ。
半年前は40万人前後だったB小町ちゃんねるの登録者数も、現在では170万人を超える所まで伸びている。
役者として軸を持ちつつも、ユーチューバーやアイドルとして活躍し、その磨かれた高い演技力をもってアイを再現し、その経験を元に磨かれた独自の魅力を発揮する彼女は、正に「平成から令和への進歩を象徴するアイドル像」と言えるのではないだろうか。
受賞者インタビューで黒川あかねは次のように語った。
「この度は、新星賞を頂き、誠に光栄に思います。この栄誉は私ひとりの力ではなく、父と母、かなちゃん、MEMちょ、ルビーちゃん、先代B小町の方々、児童劇団あじさいや劇団ララライの皆様、前所属事務所や苺プロの社員の皆様、ファンの皆様など、周囲の色々な方々に支えられての事だと思っております。これからも初心を忘れることなく、さらに精進を積み重ねて参ります。まだまだ至らない点がたくさんございますが、引き続きご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします」
アイドルの受賞者インタビューとは思えないほどの生真面目さに会場がざわついたのは、過去あまり例がなかったのではないかと思われる。
後日、B小町チャンネルにて「アイドルらしいインタビューの受け答えとは!?」と題された生配信がされた。ぜひB小町チャンネルで御覧になって貰いたい。
***
降りしきる雨のなか、ふと見慣れた金色が視界に入った。
金髪の男が公園のベンチに座りこんで、雨に打たれている。
うつむいているから特徴的で澄んだ藍玉の瞳は見えないが、私、有馬かながアクアを見間違うわけない。
最近、雰囲気が柔らかくなってきたのに、何かあったのだろうか。
「アクア、雨に打たれてどうしたのよ? まさか、水も滴るいい男なんてつまらないこと言わないでしょうね」
相変わらず、この口は素直に働かないと思いつつ、私の差している傘で雨を遮ってやった。何かぶつぶつとつぶやいてる。ちょっとほんとに大丈夫なの?
「アクア?」
そう声をかけつつ、肩に手をかけようとした。
「うるさい!」
アクアの横に振るった手で、私は尻もちをついた。
え、何、私、そこまで嫌われるようなことした?
アクアも私を捨てるの? お母さんみたいに?
雨に打たれたのとは関係なく、体から熱が抜ける。
体中が震えて視界が涙で歪みそうになった。
その時、幸せそうに笑うあかねの声が聞こえた気がした。
体に熱が戻る。憔悴したアクアの顔が目に入った。コイツの事情はまったくわからないけど、このまま放っておいたら不味いってことはわかった。
「痛いわね! このバカ! ほら、さっさと事務所行くわよ! このバカ!」
勝手に動いた口が発する罵倒のレパートリーが乏しい。その乏しさで、自身の動揺をあらためて自覚する。
呆然と腕を振るったままの姿勢で荒い息を吐いてるアクアの腕を引っ張る。
アクアの肩によりかかった傘がポロリと落ちた。
「何、私が貸した傘、落としてんのよ! さっさと拾う!」
私が無理矢理引っ張ったせいで傘が落ちたのだが、アクアはノロノロと傘を拾った。
「ほら、事務所に、あんたの家に戻るわよ! このバカ!」
アクアは傘を差さずに横向きに持ったまま、呆然と引っ張るままにされていた。しばらくすると、アクアが泣きだしながら喋りだした。
「ごめん……。違うんだ……。俺は、有馬を傷つけようなんて……」
「わかってるわよ。どうせ、雨に打たれて、意識が朦朧としてたんでしょ。理由はわからないけど、自分をいじめるのもいい加減にしときなさい」
「ごめん……ごめん……」
苺プロには、ミヤコさんとルビーは収録で出かけており、時間が遅いからほかの人も帰っており、誰もいなかった。
温かいシャワー浴びて落ち着いた後、あんなことをしていた理由を聞こうとしたら「すまない、喋れない」とだけ返ってきた。かなりイラッとしたが、あかねが無理に聞き出すのはよくないと言っていたことを思い出して我慢する。
というか、泣き言とか愚痴あるなら話せって言ったでしょうに。この野郎。割と怒鳴りたいけど、さすがにこのアクア相手にやるわけにはいかない。
「……別に私に話さなくてもいいけど、ミヤコさんとか五反田監督とか相談できる人に相談しなさい。あと、雨の中で自分を虐めるような真似はもうやめなさい。あんたに何かあったら、私泣くわよ」
私泣くわよの言葉に反応して、アクアが顔を上げた。意外そうな表情が浮かんでいる。
「何よ。その表情は? 私だって、あんたが……その、だ、大事な友人がヤバいことになったら涙の一つも流すわよ。悪い!?」
「……いや、悪くない。心配かけてすまなかった。それと手を上げてすまなかった」
「わかったのなら、もういいわ」
しばらく沈黙が続いたが、疲れたから自室に戻って寝るというアクアをもう馬鹿な真似するんじゃないわよと見送ってそのまま帰ることにした。
***
『アイを殺した奴を見つけ出して、この世の地獄を与えてやらなきゃ。限界まで苦しめてやらなきゃ』
後悔に焼かれる小さな僕自身がそう言葉にする。
『僕は苦しむべきだろう? アイを見殺しにした僕が生きていていいはずがない』
罪悪感にかられる前世の僕自身がそうささやく。
「……眠れない」
逃げ出したい。
ようやく終わったんだ。
すべてを忘れて、
やっと普通の幸せを……。
『復讐を』
『報いを』
終わりたい。
でも、二人の僕自身が僕を許さない。
(泣き言を言いたくなったら思い出しなさい)
有馬の言葉がふと頭によぎる。
全部を吐き出して、楽になりたい。
『何も知らない人間に迷惑をかけるつもりか? 僕みたいな罪人が?』
『苦しみを与えるべきは犯人であって、他の人に苦しみを共有してもらおうっていうのはどうかと思うな』
妙に喉が渇く。
「水でも飲むか」
深夜だ、音を立てないように気を付けて移動する。
「……せ……」
リビングから声?
だれか起きてるのか?
「……ママ……」
ルビー?
「会いたいよ……苦しいよ……」
ルビーの泣き声が聞こえた。
息が止まった。
何も考えられない。
けれども、体は音を立てないように後ろに下がっていく。
自室に戻ると、体から力が抜けそうになる。
音を立てないようになんとか座り込んだ。
大きくなったルビーがあんな風に泣いてるのを見るのは初めてだ。
もう、ルビーは自分の中で整理がついていて、大丈夫なんだと思ってた。
でも、違った。
体中が震え、頭を壁に打ち付けたくなる。
僕自身の間抜けさに。
ギリギリと拳に力が入り、叫びたくなる。
犯人への怒りで。
二人の僕自身の声はもう聞こえなくなった。
やるべきことが一致したんだ。
「この世で最高の苦しみを与えてやる」
鏡に映る僕の両目には、黒い星が浮かんでいるようだった。
***
前までは、私、星野ルビーはあかねちゃんといっしょにライブで歌を歌うことが好きだった。
歌うあかねちゃんはまるでアイそのもので、ママと一緒にステージに立てているみたいで、夢のような時間だった。
宮崎で、ママとせんせを殺した奴を絶対殺してやると誓った後は、あかねちゃんと一緒にステージに立つことになんとも思わなくなった。あれだけ嬉しかったのに自分でもびっくりするほど、その気持ちがなくなった。
あかねちゃんはママじゃないってことを自覚したんだと思う。そう思ってた。
深掘りワンチャンに出てコスプレ回の前後くらいだろうか、あかねちゃんと一緒にステージに立つことが辛くなった。
あかねちゃんはママみたいに歌ってるだけ。嘘なんてついてなくて、売れていて。私もあんな風にアイドルしてたいって思って……。
けどママみたいにもっと有名にならなきゃいけない。ママみたいに上手く嘘をつかなきゃいけない。ママとせんせの仇をとらなきゃいけない。私は絶対、奴を殺すんだ。
あかねちゃんの歌がママの歌じゃなくなった。ママの歌の面影は残ってる。
でも、一歩進んだんだ。より、魅力的になったんだ。
黒川あかね自身の歌になったんだ。
もちろん賛否両論はあるが、概ね好意的な意見が多い。
私は、売れるためにこんなに嘘をついて、ひどいことも沢山して、どうして、きれいなままのあかねちゃんに負けるんだろ……。
胸がズキズキする。
辛い。
『警察だって追いきれなかったんだよ? ルビーちゃんが犯人を突き止めるのは難しいと思うけど……』
あかねちゃんの心配そうな声が頭に響く。
止めたい。
けど、止めたら、誰がせんせの仇をとるんだ。
やる。
やってやる。
私が、ママとせんせの仇を……。
***
アクアがママの隠し子の一件をリークした。
信じられない。
ママの名誉を傷つけた。
みんな嘘吐きだ。
そう思ったけどふとアイの演技をしたあかねちゃんの顔が浮かんだ。
アイの真似はするけど、嘘をついてるわけじゃない。ファンも真似だって分かってる。
隠し事はされたが、悪意のあるような嘘を吐かれた記憶もない。
復讐について知ってて、心配して、助言もくれた。
あかねちゃんに全部話して、泣きついてもいいんじゃないか。
もしかしたら、ママみたいに……。
一瞬でも、そう思った私が嫌いだ。
一番嫌なのは、アクアのリークの流れにのって、私の夢は母が立てなかったドームの夢を叶えることです。なんて話す私だ。
有名になるためにここまでしないといけないのか。
嘘吐き。
嘘吐き。
嘘吐き。
みーんな、嘘吐き。
はい。1話で書いたとおり、ストーリー的には途中ですが、ここで終了です。
変更点は結構ありますが、
本筋自体はそこまで変えてないはずなので原作と合流して
いい感じに終わる………といいなー。
原作終了後に、うまいこと話が書ければ続きをのせたいと思いますが
先のことは考えてないので書けるのかなーとも思ってます。
あと、こんなあかかな書いてましたが、
私はアクあか推しです。信じてください。
あかねB小町入りしたら、もっとアクあかになるんじゃね
→ついでに、重曹ちゃんとイチャイチャさせよ
→あれ、過去のトラウマ的にアクアはアイドルと付き合わんよな?
→あかかなだけ残っちゃった
こんな変異をとげて、あかかなRTAになりました。
アクあかの二次創作もっと増えろ。
とにかく、これまで、ご視聴、ありがとうございました。
感想、評価、ここすき、誤字報告などもありがとうございました。
・アクア
自分のために復讐ってより、他人のための復讐に覚悟決めるイメージ。
今作では、ルビーが泣いてたことで覚悟を決めて両目黒星になった。
ただ、アイのリークで重曹ちゃんを守るためという大義名分もないため、
自分でやっておきながら、ダメージでかい。
割とメンタルぐっちゃぐちゃなものの、
変わらず接してくれる重曹ちゃんとの雑談に結構癒されてる。
・ルビー
あかねの「アクアに似た男を知ってる」発言は、
嘘見抜けないのに、話聞いてどうすんの、って示唆するための嘘だと思ってる。
あかねとアイを重ねてに頼るという選択肢が一瞬とはいえ出るほど
割とメンタルギリギリ。
ゴローバレメンタルリセットが待たれる。
・MEMちょ
ルビーが一人で登録者を稼いだ原作で、「今までの努力は何だったのかと思えちゃうよ」というセリフがあったが、ルビー、重曹、あかねの3人ががっつり売れて、自分だけあんまり売れてないから、割とショックがデカめ。
でもあかねの配信時はすっごい面倒みてる。聖人。
・ミヤコさん
原作ルビー1人でもあれだったのに、3人に増えるのは割と洒落にならない。
ただ、あかねと重曹は役者メインで、バラエティ系に比べると仕事のサイクルに時間がかかるので、ルビーに比べるとまだマシ。
・壱護
あかねコピーアイに対して、本物のアイはもっとよかったと思ってる。
あかねが自分の歌になった後は、アイじゃなくなって安堵もある反面、アイがあのままアイドル続けてたらどう進化していったのかと考えてしまって色々複雑。
・重曹ちゃん
アクアへの恋心は自覚しているものの、
厄介ファンの釘差しが効いてるので割と自重気味。
その分、友人として雑談に興じたりしてる。
メンタル的には大安定で、役者の仕事もアイドルの仕事も頑張ってる。
・あかね
原作と違い復讐絡みイベントにほとんど関わらず
女優とアイドル業を普通に満喫中。
重曹ちゃんがアクアに話しかけるのは内心嫉妬しつつも、頑張って放置してる。
ルビーには、どう声をかけても、止まるわけないし、
アクアと違って考え無しに行きそうでちょっと悩んでる感じ。
アクアがリークとか、普通に驚いた。
現時点で、アクアが何するか察していないが、
プロファイリングを進めれば、すぐ気づきそうな所が、マジあかねちゃん。